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風は青海を渡るのか? [日本の作家 森博嗣]




<裏表紙あらすじ>
聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。
ハギリはヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地を再訪する。
ウォーカロン・メーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地89以外の遺跡の存在を知らされる。
小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。


Wシリーズの第3作です。
「気づき」という無神経な語をあらすじに使うのは勘弁してください、講談社さん。

さておき、前作「魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?」 (講談社タイガ)で見つけた(?) 聖地に一ヶ月ほどで戻ってくるところからスタートです。

冒頭、ハギリとヴォッシュ教授が会話します。
真賀田四季(と思しき)存在について「矛盾を抱えてこその天才」という表現をとった後で、
「生命が、それだ。」「エントロピィ的に考えても、存在自体が矛盾ではないか、違うかね?」(20ページ)
この第3作は、スタートから思索に富んでいます。

54ページからの、ハギリとヴォッシュとツェリンとの会話なんか、もうすごくてクラクラします。
意識とは、生命とは、生きているとは...
ウォーカロンと人間の差異というのが、とりもなおさず、人間とは何か、という点を突きつけてくるので、このシリーズの中心課題ですね。
動きが少ない作品ですが、その分、考えるところが多いです。

またウォーカロンにも異常が発生することが明らかにされます。
「ウォーカロンは、全体でリンクしています。それは、メインのプログラムがすべての頭脳のインストールを司るからです。ある意味で、全体として一つの生体のようなものです。ウォーカロンの個体は、その大きな生物の一つの細胞にすぎません。これは、おそらく人間でも同じです。今やネットで世界中がリンクしていますからね。」
「人間よりも、思考回路のリンクが密接なのです。そのため、拒絶反応も生じやすい。また、生体内で異常な細胞が突然生じるような変異の発生率も高くなります。かつて人類を悩ませた癌と同じメカニズムです。それが、全体思考回路において起こる。そのために、一部のウォーカロンが異変を来す。具体的には、現実離れした妄想を抱くのです。夢を見るような現象のようです」(200ページ)
生殖機能を持つウォーカロン開発に携わっていて、で会社をやめた技術者(科学者?)が日本人で、タナカというのも興味深い設定ですし
「メーカが、逃げたウォーカロンとタナカさんを追わなかったのは、何故でしょう?」
「おそらく、良心だろう」「失敗の責任を取ったものと、むしろ好意的に捉えたのではないかな」(207ページ)
なんてやりとりも出てきます。

そして最後のほうで、ハギリは
「人間の思考の方がランダムで、他回路へ跳びやすい。
 その不規則な運動は、白昼夢に似ている。
 忘れることにも似ている。
 間違えるのも、勘違いも、似ているのだ。
 ぼんやりしてしまうのも……、同じ。
 ウォーカロンの人工頭脳は、それをしない。
 整然としすぎている。
 効率がよく、合理的すぎる。
 だが、もしかして、それは単に……。彼らが新しすぎるからなのではないか。
 古くならなければならない?
 あるいは……。
 歴史を持たなければならないのか?
 人間は、遺伝子によって結ばれた系列の中で、古くなったのだ。
 歴史を育んだのだ。
 我々の頭脳は、いわば腐りかけている。
 もう少し綺麗に言えば……、
 そう、熟成している。
 ということは……。
 今の識別システムによって、人間になりつつあるウォーカロンを判別できる。」(222ページ以降)と考え、
「気まぐれ。
 人間にしかないものだ。
 もしかして、頭脳全体が、その回路の異変を拒否するのではないか。
 そうか。
 拒絶反応か。
 ハードではなく、ソフト的な拒絶
 それは、明らかに、信号からなる論理の世界における拒絶だ」
「ウォーカロンの頭脳には、その遊びがない。」
「ウォーカロンが暴走するのは、それかもしれない。」
と流れて行って、新しい研究に取り掛かります。

百十三年間眠っていたコンピュータも起動しますし、今後の展開がますます楽しみになりました。


英語タイトルと章題も記録しておきます。
The Wind Across Qinghai Lake?
第1章 月下の人々 Sublunary people
第2章 月下の営み Sublunary working
第3章 月下の理智 Sublunary intellect
第4章 月下の眠り Sublunary sleep


<蛇足>
「まるで、空中に向かって塗装のスプレィを吹くような感じだ。どこにも色がつかないうえ、塗料が無駄になる。」(40ページ)
ウグイとの会話を受けて、ハギリが思うのですが、そして確かに二人の会話はそんな感じではあるのですが、「ウグイは空気なのか、と思ってしまった」と続けるのはウグイがかわいそうです。


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マジシャンは騙りを破る [海外の作家 か行]


マジシャンは騙りを破る (創元推理文庫)

マジシャンは騙りを破る (創元推理文庫)



<裏表紙あらすじ>
ミネソタ州ミネアポリスとセントポール。ツインシティと呼ばれるこのあたりの川沿いの洞窟で、今夜、死後の世界と交信できるという男のショーがテレビで生中継される。マジシャンのぼくの役どころは、そのインチキを暴くこと。それがうまくいった翌日、ぼくは警察に連れていかれる。件の男が殺され、ぼくが容疑者のひとりだというのだ……。ライトなミステリ・シリーズ第一弾。


今年4月に読んだ本、一冊目です。
愉快な新シリーズの開幕です。
コージー・ミステリとはジャンルがちょっと違いますが、読み心地のよいミステリです。
まず、主人公であるぼく・イーライ・マークスをはじめとするキャラクターがいいですね。
インチキ超能力者対マジシャンという構図は常道というか王道というか、まあよくある設定なんですが、この対決シーンが終わるころにはすっかりイーライ・マークスのファンになっていました。
子供の前でマジックを披露するエピソードもかなりいい感じです。
なにより余裕の感じられる語り口がよいですね。

また、インチキ超能力者対マジシャンということを扱っていても、一方で超能力とか超常現象そのものを否定しきっていないのも興味深い。
結構あたらしい試みなのではないかな、と感じました。
いろんな登場人物たち、シリーズ次巻以降にもぜひ出てきてほしいですね。

ミステリ的には、謎解きが行き当たりばったりで、お世辞にもうまくいっているとは言えないと思いますが、意外な犯人を演出しようとしている点は買えますし、超能力者やマジシャンのあふれた世界で、普通のといいますか、現実的なといいますか、堅実な動機(変な表現ですが)を提示してくれたのもなかなかセンスあるなぁ、と感じました。

あらすじでは、ライトなミステリと書かれていますが、古い表現だと軽本格というのか、こういう手触りの作品、意外とすくないと思いますので、ぜひ続けていってほしいと思います。読みます!

原題は“The Ambitious Card”
67ページ以降、主人公が演じて見せてくれますが、マジックのネタ(技?)の名前です。


原題:The Ambitious Card
作者:John Gaspard
刊行:2012年
訳者:法村里絵




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ジーサンズ はじめての強盗 [映画]

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映画HPからあらすじを引用します。

ジョー(マイケル・ケイン)は、離婚して戻ってきた娘とその孫と一緒に暮らしながら、親友のウィリー(モーガン・フリーマン)とアル(アラン・アーキン)とブルックリンの公園でローンボウリングをして過ごすのが日課だ。3人は40年間ウェクスラー社で働き、定年後は悠々自適な年金生活を送るはず……だったが、会社の所有者が変わったことで、彼らの年金は消えてしまった!!
さらにジョーは、住宅ローンが一夜にして3倍になり、家を差し押さえられる危機に直面。銀行へ相談に行くことに。しかし、担当の銀行員はまったく聞く耳を持たず、怒りが爆発! その瞬間、マスクを着けた3人組の強盗が銀行に押し入り、客たちを床に伏せさせ、次々と現金を奪っていく。ジョーのところにも首にタトゥーのある強盗の1人がやって来て財布を差し出すが 「年寄りを敬うのは社会の義務だ」と言って、なぜか受け取らずに去って行った。強盗たちが銀行にいた時間はわずか数分間、しかも誰も傷つけることなく、警察にも決して捕まらなかった!
消えた年金、問題のある住宅ローン、これからの人生、自分たちの置かれた状況を何とかしなければならないと考えた結果、ジョーはウィリーとアルに“あの3人”のように銀行強盗をしないか? と持ちかける。まずは自分たちの強盗としての能力を試すため、いつも買い物をしている食料品店で万引きを試みるが……防犯カメラにバッチリ記録され、警備員に追いかけられ、あっけなく捕まった挙げ句、若い店長に説教されてしまう。
それでも諦めきれない3人は、盗みのノウハウを教えてくれるコーチを探すことにする。あるツテを使って、動物保護施設の運営と泥棒、2つの顔を持つ“ジーザス”という男を紹介してもらい、彼の指導のもと3人の仲間たちは銀行強盗になるための特訓をはじめる。
そんななか、ウィリーは腎臓が悪く移植が必要なことを誰にも相談できず、アルは自分に好意を持っている女性との関係に戸惑いながらも、ついに! 運命の“決行”の日がやってきて──。


いつものシネマ・トゥデイから見どころを引用します。

見どころ:モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンというオスカー俳優たちが一堂に会して放つコメディー。ひたむきに働き権利を得た年金を打ち切られた高齢の男性3人が、銀行強盗に及ぶ姿を生き生きと描写する。メガホンを取るのは『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』で監督と脚本と主演をこなしたザック・ブラフ。主人公たちのぶっ飛んだ行動が見どころ。

連休最後に見た映画は、「ジーサンズ はじめての強盗」
いやあ、いいですねぇ、この映画。
馬鹿馬鹿しいことを(馬鹿馬鹿しいことを承知の上で)まじめにやって、ちゃんと馬鹿馬鹿しくなっています! (褒めています。念のため)
馬鹿馬鹿しいことをふざけてやるケースが多いのですが、それでは見ている方は白けてしまったりしますよね。

あらすじからもおわかりかと思いますが、おじいちゃんたちが銀行強盗をするというのですから、そりゃあ、もう、突っ込みどころ満載ですけど、いいんです、こういう映画はこれで。
それを、ベテラン・オスカー俳優が真剣にやっている。素敵です。

ジーサンたちが、強盗のトレーニング(?) をするところもおかしかったですし(まずもって、銀行強盗の練習にスーパーで万引きって...)、用意するアリバイも傑作です。
このアリバイ、すぐに破られそうな気もしますが、一方で、ゆるーいアリバイであるからこそ、却って崩しにくいような気もします。
刑事が指摘するミスも、簡単に切り抜けられる(言い抜けられる)ように思えました。

邦題の「ジーサンズ」って、ふざけた語ですが、いい感じです。
原題の“GOING IN STYLE” 「かっこよくいこう」くらいの意味でしょうか? 「流行に乗ろう」ではなさそうですし。
これもなかなかいいタイトルと思いますが、「ジーサンズ」お気に入りです。
実はタイトルを見て、観ようと思ったくらいです。

それにしても、刑事役のマット・ディロン、久しぶりに見た気がします。

<蛇足>
引用しておいていうのもなんですが、HPのあらすじ、あちこち変ですね。
たとえば「住宅ローンが一夜にして3倍になり」というのには失笑。
返済額、月々の返済負担が3倍になるだけで、残高が3倍になるわけないですね。
書いていておかしいと思わなかったんでしょうか。
それにしても、年金が減額どころか打ち切りになる、というのは大変ですね。日本のような公的年金ではなく、企業年金であれば企業の経営状態によって当然起こりうることですが、働いてきた身からしたらたまりませんね。


原題:GOING IN STYLE
製作年:2017年
製作国:アメリカ



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ハクソー・リッジ [映画]

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前回の「ライフ」に続いて映画です。
映画のHPからあらすじを引用します。長いけど。

ヴァージニア州の豊かな緑に囲まれた町で生まれ育ったデズモンド・ドスは、元気に野山を駆け回る少年だったが、家族に問題を抱えていた。父親のトム(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、兵士として戦った第1次世界大戦で心に傷を負い、酒におぼれ、母バーサ(レイチェル・グリフィス)とのケンカがたえない日々を送っていた。
 月日は流れ、成長したデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋におち、心躍る時を過ごしていた。だが、第2次世界大戦が日に日に激化し、デズモンドの弟も周りの友人たちも次々と出征する。そんな中、子供時代の苦い経験から、「汝、殺すことなかれ」という教えを大切にしてきたデズモンドは、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。
 グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)の部隊に配属され、ジャクソン基地で上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)から厳しい訓練を受けるデズモンド。体力には自信があり、戦場に見立てた泥道を這いずり回り、全速力で障害物によじ登るのは何の苦もなかった。だが、狙撃の訓練が始まった時、デズモンドは静かにしかし断固として銃に触れることを拒絶する。
 軍服や軍務には何の問題もなく「人を殺せないだけです」と主張するデズモンドは、「戦争は人を殺すことだ」と呆れるグローヴァー大尉から、命令に従えないのなら、除隊しろと宣告される。その日から、上官と兵士たちの嫌がらせが始まるが、デズモンドの決意は微塵も揺るがなかった。
 しかし、出征前に約束したドロシーとの結婚式の日、デズモンドはライフルの訓練を終えないと休暇は許可できないと言われ、命令拒否として軍法会議にかけられることになる。面会に訪れたドロシーに、銃に触れないのはプライドが邪魔しているからだと指摘されたデズモンドは、その“プライド”こそが大切だと気付く。「信念を曲げたら生きていけない」というデズモンドの深い想いに心を打たれたドロシーは、「何があろうと、あなたを愛し続けるわ」と励ますのだった。「皆は殺すが、僕は助けたい」─軍法会議で堂々と宣言するデズモンド。ところが、意外な人物の尽力で、デズモンドの主張は認められる。
 1945年5月、沖縄。グローヴァー大尉に率いられて、「ハクソー・リッジ」に到着した第77師団のデズモンドとスミティ(ルーク・ブレイシー)ら兵士たち。先発部隊が6回登って6回撃退された末に壊滅した激戦地だ。150mの絶壁を登ると、そこには百戦錬磨の軍曹さえ見たことのない異界が広がっていた。前進した瞬間、四方八方からの攻撃で、秒速で倒れていく兵士たち。他の衛生兵なら見捨てるほどの重傷の兵士たちの元へ駆け寄り、「俺が家に帰してやる」と声をかけ、応急処置を施し、肩に担いで降り注ぐ銃弾の中を走り抜けるデズモンド。ひるむことなく何度でも、戦場に散らばった命を拾い続けるデズモンドに、感嘆の目を向け始める兵士たち。しかし、武器を持たないデズモンドに、さらなる過酷な戦いが待ち受けていた─。

いつものシネマ・トゥデイからは、見どころだけ引用します。

見どころ:俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』でオスカーも手にしたメル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作。第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描く。主人公を『沈黙 −サイレンス−』などのアンドリュー・ガーフィールドが熱演。自身の信念に基づき、勇気ある行動をとった兵士の物語が胸を打つ。


あらすじを見ると、辛気臭そうな映画のように思うかもしれませんが、全然そんなことないですよ。
田舎の平和な生活と恋の芽生え、兵隊の訓練、軍法会議、そして戦場での戦闘シーン。
場面がテンポよく切り替わって、そのたびに映画のトーンも変わって、退屈なんかまったくしません。
ことに戦闘シーンの迫力というか、凄惨さはすごいです。
主人公デズモンドは衛生兵なので、救助というか救護を旨とするわけですが、戦場での過酷さが本当に怖くなります。
そんな状況で、よく救護・救助なんかできたなぁ、と。
戦争映画的なもの、いくつか見てますが、ダントツのすさまじさです。
いままでは、「プライベート・ライアン」の戦闘シーンがすごいと思っていましたが、かるーく凌駕しています。時間も長い。
銃とか手榴弾とか近代的兵器があったとして、行きつくところが白兵戦。怖いです。
戦艦(?)からの砲撃だったら、すごいと思ってもあまり見ていて怖くはないんですけれど。

で、その舞台となる戦場がタイトルのハクソー・リッジで、その意味も、これまた映画のHPから引用します。
〈ハクソー・リッジとは…〉第2次世界大戦の激戦地・沖縄の前田高地のこと。多くの死者を出した壮絶な戦いの場として知られている。ハクソーとはのこぎりで、リッジとは崖の意味。150メートルの断崖絶壁の崖が、のこぎりのように険しくなっていたことから、最大の苦戦を強いられたアメリカ軍が、“ハクソー・リッジ”と呼んだ。

沖縄戦なんですね。ちょっと日本人的には複雑な気分になりますが。
日本軍の抵抗の激しさが、戦闘の凄惨さの大きな要因だったのでしょうね、やはり。

唯一、文句をつけたくなったのが、偉い人っぽい日本兵の切腹シーン。このシーン、必要でしたでしょうか?

この映画に関するHPで素敵なのを見つけたのでリンクを張っておきます(勝手リンクです)。
メル・ギブソンの話とか、戦闘シーンのすごさとか、印象的です。
「町山智浩 メル・ギブソン監督 沖縄戦映画『ハクソー・リッジ』を語る」
そりゃ、町山さんのコメントだったらおもしろいに決まってますけどね...

3連休、毎日映画を観たので、このあともう一本感想を書きます。


原題:HACKSAW RIDGE
製作年:2016年
製作国:オーストラリア/アメリカ





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ライフ [映画]

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いつものシネマ・トゥデイから引用します。

見どころ:『デンジャラス・ラン』などのダニエル・エスピノーサがメガホンを取ったSFスリラー。国際宇宙ステーションを舞台に、火星で発見された生命体の脅威にさらされた宇宙飛行士たちの運命を追う。『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホール、エスピノーサ監督作『デンジャラス・ラン』にも出演したライアン・レイノルズ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などのレベッカ・ファーガソンらが出演。宇宙船内での手に汗握る展開に息をのむ。

あらすじ:世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結し、火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査することに。まさに神秘としかいいようのない地球外生命体の生態に驚がくする彼らだったが、細胞は次第に進化と成長を遂げ高い知能を誇るようになる。やがて地球外生命体に翻弄(ほんろう)され、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始め、ついには命を落とす者も出る。助けを呼べない宇宙で追い詰められた彼らは……。


久しぶりの映画です。今年に入って初めてです。
引用したあらすじからもおわかりいただけるように、要するに「エイリアン」なんですよね。
結構な豪華キャストで、真田広之も出ていて、見どころなんだと思うんですが、既視感にあふれていてあまり感心できませんでした。

火星から得た生命体の造形は新しいとは思うんです。
火星の土のサンプルから見つかった、単細胞の生命体。
それが大きくなり、なんだかかわいらしい感じに。透明なヒトデみたい。あるいはクリオネ?
「カルヴィン」と名前を付けるあたりは、なんだか楽しかったんですね。
ところが、電気刺激を与えたことで狂暴化、そしてどんどん大きくなる。
この成長の仕組みが、あまりちゃんと説明されないし、見せてもくれないので、今一つ伝わってきません。
なにより、水が必要? 酸素が必要? このあたりが場面場面できちっと納得できるようにはなっていないようです。火星に近い環境にするために酸素の比率を落としていたかと思うと、生命体が狙う水分はどこにあるか、なんて会話をしていたり。さらには生命体のいる区画の酸素をなくしてしまえば、なんて言ってみたり。どっちなの??
国際宇宙ステーションにいる科学者たちともあろう面々が対して考えもしないというのはちょっと...もともと火星にいた、という感じもあまりしない。
また、知能もあるような感じになっているのですが、知能獲得していく様子も描かれないし、説得力に乏しい。
生存していくためだけにしては、知能の獲得がご都合主義です。ただただ、人間を襲うのに都合よく知能を獲得していくのでは、映画として残念です。

エンディングも、想定の範囲内。
こういうオチにするんじゃないかなぁ、と思っていたらその通りになりました。
想定通りではありましたが、むりやりなオチなので、唐突感があります。自然にそうなっていない。
ネタバレ覚悟で書いてしまいますと、脱出用のポッドの行く先を手動で操作することにしたのに結局...ってことは、そういう操作をしたってことですよねぇ。でも、人間がそういう操作をするはずがないので、カルヴィンがやったってことになりますけど、そんな操作できる知能・知識はどうやって?
カルヴィンは襲った人間の知識・知能を獲得するってわけでもなさそうなんですよね。
そういう点も脚本に盛り込んでおいてほしかったですね。

とまあ、あげつらいましたが、そんなに嫌いな映画ではなかったですね。
突っ込みどころは満載ながら、楽しんでしまいました。


<蛇足>
冒頭に掲げたポスターなんですが、絵は左から、ライアン・レイノルズ、ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソンなのに、文字は、ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン、ライアン・レイノルズの順なんですね。変なの。


原題:LIFE
製作年:2017年
製作国:アメリカ


おもしろかった・興味深かった感想のブログに勝手にリンクを張っています。
人生半降りブログ 映画『ライフ(2017)』ネタバレ感想 80億人のバカを救う話?
TETSUGAKUMANのブログ 映画「ライフ」感想とネタバレ

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2017年7月になって [折々の報告]

2017年も7月になりました。
早いもんですねぇ。もう今年も半分が過ぎました。
久しぶりにアクセスいただいた順位を調べてみました。

順位を書いてあるところのタイトルクリックするとブログのページへ、ついている書影やそこについている書名をクリックすると amazon.co.jp の商品ページへ飛びます。

1. 生存者ゼロ (宝島社文庫) 安生正



2. かばん屋の相続 (文春文庫) 池井戸潤

かばん屋の相続 (文春文庫)

かばん屋の相続 (文春文庫)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



3. 魔性の馬 (小学館) ジョセフィン・テイ

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

  • 作者: ジョセフィン テイ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 単行本


4. QJKJQ (講談社)佐藤究

QJKJQ

QJKJQ

  • 作者: 佐藤 究
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: 単行本


5. 生きてるうちに、さよならを (集英社文庫) 吉村達也

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫


6. 週刊文春2013ミステリーベスト10

7. モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫) 奥泉光

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

  • 作者: 奥泉 光
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 文庫



8. 体育館の殺人 (創元推理文庫) 青崎有吾

体育館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: 文庫


9.スクールボーイ閣下 (ハヤカワ文庫NV) ジョン・ル・カレ


スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/01/31
  • メディア: 文庫



10. 王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫) 篠田真由美

王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫)

王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: 文庫




1位の「生存者ゼロ」はすごいです。ほかとは圧倒的にアクセス数が違います。
それまでずっと1位だった「かばん屋の相続」のダブルスコアです。

ちなみに、いちばんたくさんnice!をいただいたのは、
雲雀 (文春文庫)佐藤亜紀

雲雀 (文春文庫)

雲雀 (文春文庫)

  • 作者: 佐藤 亜紀
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫

でした。

いつもありがとうございます!
ずいぶん更新が滞っておりますが、これからもよろしくお願いします。





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夏服パースペクティヴ [日本の作家 な行]


夏服パースペクティヴ (角川文庫)

夏服パースペクティヴ (角川文庫)



<裏表紙あらすじ>
都筑台高校2年生にして弱小映研部長の遊佐渉は、気鋭の映像作家・真壁梓が夏休みに企画した撮影合宿に参加することに。しかし、キャストの女子生徒が突然倒れ込む。なんとその胸にはクロスボウの矢が深々と突き刺さっていた。セミドキュメンタリーの撮影現場で起こる虚構の殺人が、いつしか本物の惨劇へ。交錯する思惑、驚愕のトリック、慟哭の真実。“美少女”探偵・樋口真由が、難攻不落のクローズド・サークルに挑む!


「燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)(ブログへのリンクはこちら)に続いて今年3月に読んだ本7冊目で、3月最後の本です。
横溝正史ミステリ大賞「消失グラデーション」 (角川文庫)に続き、樋口真由を探偵役としています。

文庫のカバーには、
樋口真由“消失”シリーズ 少女洋弓銃殺人事件
と書かれています。“消失”シリーズっていうんですか...消失と通してつけるのは違和感があるなぁ、と最初思ったのですが、読後はなるほど、と思えました。ただ、この後もシリーズを消失とつけられるかは疑問を感じますが...
あと、少女洋弓銃殺人事件って、サブタイトルなのかな、と思ったんですが、書いてあるのはカバーにだけで、文庫本本体にはどこにも書いてないんですね。不思議。

それにしても、樋口真由を探偵役とするシリーズが読めるなんて...「消失グラデーション」を読み終わった時には、魅力的な探偵役ではあるけれど、ラストからしてシリーズ化は無理だろうなぁ、と思っていたんですが、なるほどねー、時代(時間)を遡りましたか。時系列的に、本書「夏服パースペクティヴ」は、「消失グラデーション」よりも前に起こった話なんですね。
ということは、樋口真由は転校したんですね、高校生で。
まあ、時代を遡ったところで、シリーズ化が簡単になるわけではなく、作者の筆の冴えというか、苦労しているところがわかってそういう楽しみ方もシリーズ読者にはありました(もっとも、「消失グラデーション」を読んだ身からすると、あれっ、いいのかなと思うところもあって、たとえばラストの1行なんてものすごーく意味深なんですけど...)。

さっと上で引用したあらすじを読んでから本書に取り掛かったのですが、オープニングはあらすじとは大きく異なり、かなり残虐そうな事件からスタートします。
おいおい、と思っていると(あんまり残虐なものは好みでないので)、16ページからの第1章であらすじに記載された物語が始まります。よかった。(とはいえ、折々、残虐な感じのエピソードがつづられるのでそこはちょっと警戒しながらお読みください)
あらすじにも触れてありますが、虚構を作り上げる最中の現実で起こる殺人、というのは、実はあんまり好きじゃないプロットなんですよね。
よほどうまく組み立ててもらわないと、虚構サイドのストーリーや事件が、現実サイドのストーリーや事件をわかりにくくするためだけのものになってしまうことが多いからです。
で、「夏服パースペクティヴ」の首尾はどうだったかというと、さすがは「消失グラデーション」の作者だけあって、周到です。「うまく組み立て」られた作品ですね。
この種の作品では当たり前のことですが、現実と虚構がきちんとリンクしています。現実の謎解きが、虚構の仕掛けと不可分になっているところは、とてもいいです。

ではありますが、全体としての建付けを考えると、ちょっと冗長になったかなぁ、と思います。
虚構と現実に加えて、過去の事件の関係者が現在の誰に相当するか、ということまで盛り込んであるので、なかなか窮屈です。
前半ゆったり進むのは、このあたりを踏まえて、読者に登場人物をきちんと印象付ける目的があるのだと思いますが、そしてそのことは、青春小説としての色合いを打ち出すのにも役立ってはいるのですが、それでもやはり、長いかな、と感じました。
ミステリとしては、早めに事件が起こったほうが、なにかとね。

とはいえ、巧緻というか精緻というか、非常に練りこまれた作品だと感じ入りました。
この作者の本は続けて読んでいこうと思います。


「消失グラデーション」のときに続き、ここでもリンクを貼っておきます。(またもや勝手リンクです。すみません)
a picture is worth a thousand words
*the long fish*
また、以下のブログにトラックバックしています。
積読本は積読け!!
とある暇人の感想日記


<蛇足1>
177ページに、「位置シーン」と書いてあるのは、「一シーン」のタイプミスですね。

<蛇足2>
「全裸探偵」というふざけた作中作が挿入されるのですが、その作中作について
「解決自体はロジカルな手順が踏まれしっかりと描かれていた」(302ページ)
と僕の視点で評されるのですが、うーん、作中作も一部だけだからなんとも言えないのかもしれないけれど、見た感じそれほど「しっかり」とは思えませんでした。自画自賛はほほえましかったですが。




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燔祭の丘 [日本の作家 篠田真由美]


燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/11
  • メディア: 文庫


『僕は――ヒトゴロシ』。謎の詩を残して姿を消した桜井京介は、久遠アレクセイの名に戻り、14歳まで育った屋敷にいた。神代宗の話を聞いた蒼は、京介を捜し歩き、20年前の忌まわしき事件を知る。久遠家のルーツが明らかになった時、父グレゴリの狂気が京介を襲う!「建築ミステリ」の金字塔、ついに完結!


「化学探偵Mr.キュリー4」 (中公文庫)(ブログへのリンクはこちら)に続いて今年3月に読んだ本、6冊目です。

引用したあらすじにも書いてある通り、まさしく、ついに完結、です。
ここまでくると、建築探偵とか本格ミステリとかあんまり関係なくなってきていますね。
前作「黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)で過去に遡ってみた物語は、現在時点に戻ってきます(解かれる謎は過去のものにせよ)。

『僕は――ヒトゴロシ』という京介は本当に人殺しなのか、という謎は、ミステリ読者なら当然「実は違った」という着地を想定して読むわけですが、さて、篠田真由美はどう料理したか、さすがに究極のネタバレになるので実際に読んでみてください、としかここでは書けませんが、なるほどそう来ましたか、という読後感でした。

たぶん、シリーズもここまで続いてくると、ミステリとしての解決云々もさることながら、シリーズのレギュラー登場人物たちがどうなるのか、にも読者は相応に興味を持つので、その意味でも意義深い完結編となっていると思いました。
作中、神代教授が振り返って
「血の繋がらない、だが心は結ばれた疑似家族」(439ページ)
と考えるシーンがありますが、まさにこれこそがシリーズのポイントだったのでしょう。

京介=アレクセイとの対決の相手であるラスボスたる久遠グレゴリは、親子なわけで、上で引用した部分とは対比になっている、と考えるのはさほど見当外れではないのでは、と思います。
言ってみれば
「血はつながっている、だが心はまったく結びついていない家族」
というわけですね。
とすると、この「燔祭の丘」で明かされる真相は、かなり印象に強く残りますね。

それにしても、グレゴリ、すごすぎ。
「お父様は人間ではないわよ!」
「お父様は疾うに、人間の限界を超えておられる」(660ページ)
なんてセリフも出てきますが、いやあ、本当に、人間を超えていますよ。

シリーズ番外編、スピンオフがいろいろと出ているようです。
文庫化を待って読み進めていきたいと思っています。



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MIDNIGHT DRINKER



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化学探偵Mr.キュリー4 [日本の作家 喜多喜久]

化学探偵Mr.キュリー4 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー4 (中公文庫)


<裏表紙あらすじ>
大学で暗躍する『互助組合』の謎。反応を掻き混ぜる以外に使い道のない《スターラー盗難事件》。切断された銅像と雪の上の足跡。そして今回、Mr. キュリーこと沖野春彦がなんと被害者に!? この事件の謎に立ち向かうのは、イケメン俳優にして「春ちゃんラブ」の美間坂剣也。沖野リスペクトによる化学的知識を駆使して新たな名探偵となれるのか!?


「シャーベット・ゲーム オレンジ色の研究」 (SKYHIGH文庫)(ブログへのリンクはこちら)に続いて今年3月に読んだ本、5冊目です。

シリーズ第4弾です。
しかし、数字がついていくだけのタイトルって、わかりやすいですが、ちょっとさびしいですね。
この第4巻には
「化学探偵と猫騒動」
「化学探偵と互助組合の暗躍」
「『化学探偵』の殺人研究」
「沖野春彦と偽装の真意」
「七瀬舞衣と三月の幽霊」
の5話収録。

「化学探偵と猫騒動」は、「大学猫を守る会」というサークルに入っていた女の子が、猫アレルギーになってしまって、好きな会長と一緒にいられなくなると困るなぁ、と思っている、という話です。ところが、アレルギー検査をしてみたところ...という風に話が転がっていくわけですが、この真相はどうでしょうか。いくらなんでも、これはなしだと思います。
犯人(と呼んでおきます)の心理ととった手段のあまりのアンバランスさに、ちょっと気持ちが悪くなってしまいます。

「化学探偵と互助組合の暗躍」は、スマホゲームの課金アイテムを利用した資金略取が取り上げられていますが、そちらよりも焦点はやはり互助組合とは何か、なのでしょう。
互助組合の発想は昔からあるものですし、ここまでの規模ではなくても同様のことは割とよく行われているのではないだろうか、と思いますが、それとスマホゲームの課金という新しい切り口とを同じ作品の中に置いてみたところの構図が面白かったです。

「『化学探偵』の殺人研究」は、美間坂剣也主演のTVドラマにつかうトリックを考えてくれ、とMr. キュリーこと沖野春彦が頼まれるところからスタートします。
使われているトリックは、あまりにも専門的すぎて、普通のミステリには使えないですが、こういう形だと有効活用できますね。
驚きは、やはり沖野が襲われて入院してしまう、というところでしょうか。
全体に対してひねりが仕掛けられているのはご愛敬でしょう。   

「沖野春彦と偽装の真意」は盗んでも使い道がないスターラー(攪拌子を回すための装置)が盗まれる、という素敵な謎が扱われています。
だから、と言ってしまっては少し申し訳ないですが、割と定型的な着地を迎えます。

「七瀬舞衣と三月の幽霊」は、四宮大学初代学長の胸像の首が切り落とされるという事件です。
雪が降って一面真っ白の世界で、なのに胸像へ向かう足跡のようなものは途中で途切れていた...
うわー、絵になる事件!! トリックも、すっきりしていて素敵です。
なにより、この作品ですごいのは動機でしょうか。
ミステリ的にすごいのではないですが、シリーズ的には絶対に見逃せない動機ですね!!

シリーズはこのあと、
「化学探偵Mr.キュリー5」 (中公文庫)
が出ていまして、今月6巻が出るようです。



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小山荘のきらわれ者〜リターンズ〜 2 [コミック]




<裏表紙あらすじ>
下宿館・小山荘は相変わらず毎日が賑やか!
成介&麻里カップルと彰吾&安古カップルはそれぞれの将来に向けて奮闘中。
一方、家主の娘・千夏の恋に新展開!
さらにパリから懐かしのあの人がやって来ます♪
そんな住人達の未来の形は──!?
幸せいっぱいの恋愛事情、感動の完結です!


「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 1」 (花とゆめCOMICS)が出たのが2015年7月で、この「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 2 」(花とゆめCOMICS)が出たのが2016年3月。割とほどなく出たんですね。
「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 1」 は出ているのに気付くのが遅れたんですが、「小山荘のきらわれ者~リターンズ~ 2 」はすぐに買って読んだんです。ただ、引っ越しでどこにしまい込んだかわからず、感想が書けませんでした。
ようやく見つけたので、感想を。ちなみに、第1巻の感想はこちら

第2巻にして完結、ということなので、ちょっと嫌な予感はしたんですが、うーん、正直ちょっと期待外れでしたね。
「この1巻は、復活篇の顔見世みたいなノリ」と前作の感想で書きましたが、この第2巻もそのまま。
懐かしい面々の紹介だけで終わってしまって、あんまり新しい展開がなかった...
せっかく復活させたのだから、もう少し相互に絡み合ったストーリー展開を期待したのですが。
だって、成長した面々が繰り広げる新たなドラマ、見てみたいとおもうじゃないですか...

もちろん、オールドファンとしては懐かしい登場人物たちに再び出会えて、そして、それぞれの人物がそれぞれに夢をかなえて力強く人生を歩んでいることがわかって、十分楽しみました。
でもね、それだけだと、新しいファンは生まれてこないように思うんですよね。
だから2巻なんて早々に終わっちゃったんじゃないかなぁ、と若干失礼なことまで考えてしまいました。

それにしても小山荘の面々の健全さはすばらしいですね。
すきだからこそのないものねだりはせず、この素晴らしい面々に再び出会えたことを寿ぐべきなんでしょうね。


タグ:なかじ有紀
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