So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

顔のない魔術師 ロンドン警視庁特殊犯罪課 2 [海外の作家 あ行]


顔のない魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

顔のない魔術師 (ハヤカワ文庫FT)

  • 作者: ベン アーロノヴィッチ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
歓楽街ソーホーで奇妙な事件が多発した。ジャズ・ミュージシャンが演奏直後、あるいは帰宅途中に相次いで突然死したのだ。その体から魔術の痕跡をかぎとったピーターは、ただちに捜査を開始する。死体はみな古いジャズの名曲《ボディ・アンド・ソウル》を奏でていたのだ! だがその直後、高級クラブの地下トイレで、魔術師とおぼしき男の惨殺死体が発見される。やがて事件の背後に、妖しい魅力をもつ女と黒魔術師の姿が!?


今月(12月)に読んだ最初の本です。
「女王陛下の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)に続くシリーズ第2弾。
「女王陛下の魔術師」を読んだのが2014年1月なので、ほぼ4年ぶりに読んだシリーズです。

設定自体は、パラレルワールドというか、現代のロンドンに、もう一つの神霊世界(?)のロンドンが二重写しにしている世界観となっています。なんといっても、主人公も魔術師(見習い?)ですから。
その中で、事件が起こる。
この第2巻はかなりミステリ色が強いですね。
ジャズ・マン連続殺人事件、というのと、男性器を噛みちぎられて殺される事件。

章題(の多く)が、ジャズやポピュラー・ソングのタイトルとなっています。
本書の原題“Moon over Soho”含め、いずれも歌のタイトルでもおかしくなさそうなものばかりですが、訳者あとがきによると、全部というわけではなさそうです。

前作でかなりダメージを受けた同僚レスリーの容態がかなりひどそうで心配です。
ピーターの師匠であるナイチンゲールもあんまり具合よくなさそう。
というわけで、本書ではかなりピーターが独りで捜査していきます。
かなりハードボイルドに近づいた作品だな、と感じました。
こういう感じも楽しく読めますね!
レスリーとの関係性が変わりそうな気配で幕を閉じるので、続編が楽しみです。

シリーズはこのあとも順調に訳されていて、といいたいところですが
「地下迷宮の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
「空中庭園の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
と出たところで止まっています。原書も続きは出ていなそうで、気がかりです。



<蛇足1>
「“シニステル”とはラテン語で、“左の”という意味だ。生徒たちのばかばかしい冗談で、男女共学にとってそれほどはっきりした教訓になっている。友人の一人が運悪く“右の(デクスター)”という名で呼ばれることを想像してみるといい。どんなに腹をかかえて笑ったことだろう」(173ページ)
というくだりがあります。
まったく意味がわかりませんでした。
こういうところにこそ訳注をつけてもらいたいです。


<蛇足2>
<ヨー! 寿司>で夕食をとったあと(385ページ)、
「日本人の食べ物はとってもおいしいけど、まっとうなケーキの作り方はわかってないみたい」(388ページ)
というセリフが出てきます。
<ヨー! 寿司>というのは、<YO! SUSHI>という実際にあるレストランですね。ロンドンのSOHOからスタートしたもので、いまやあちこちにあるようです(上の<YO! SUSHI>にホームページのリンクをはっておきました)。
しかしなぁ、ここの料理、和食あるいは日本食といわれて素直にはうなずけませんね...料理名はともかく、似て非なるもの、という感じです。
ここのデザートを食べて、日本人は「まっとうなケーキの作り方はわかってない」と言われてもちょっと困ります。困るというか、憤慨します!
だいたいイギリスはデザートもただただ甘いだけだったりして壊滅的にまずいくせに...



原題:Moon over Soho
作者:Ben Aaronovitch
刊行:2011年
翻訳:金子司

nice!(11)  コメント(0) 
共通テーマ:

ゲット・アウト [映画]

ゲットアウト T0022228p.jpg



映画のHPからあらすじを引用します。

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待される。
若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。
その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。
翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。
そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、
フラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。
“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。

いつも引用するシネマトゥデイから、見どころを引用します。

見どころ:『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどを手掛けてきたプロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作に名を連ねたスリラー。恋人の実家を訪ねた黒人の青年が、そこで想像を絶する恐怖を体験する。メガホンを取るのはコメディアンのジョーダン・ピール。『Chatroom/チャットルーム』などのダニエル・カルーヤ、ドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」などのアリソン・ウィリアムズらが出演する。


知人が、主演が大根だ、と言っていたんですよね、この映画(笑)。

それはさておき、わりと評判いいみたいですね。
でも、よくできている、とか、傑作、とかいう作品ではないと思いました。どちらかというと、失敗作なんではなかろうかと。

目の付け所はいいと思うんです。
白人とつきあっている黒人が主人公。
相手の実家に呼ばれ、両親、家族に紹介される。
使用人は、様子のおかしい黒人2人。
知り合いは、驚くほど白人ばかり。一人見つけた黒人は、これまた様子が変。
居心地がどんどん悪くなっていく。
いまどき(ありえないよな)、と思うような設定で、一方でアメリカの現実って(一部では)こんなものなのかな、なんて考えたり。オバマ大統領から、トランプ大統領に代わったアメリカで、意外と時宜を得た作品かも、なんて思ったり。

現代アメリカにおける人種差別問題を扱った作品かな、とそう思わせる導入部。
でも、そう思わせておいて、ぐーっとまったく違う切り口に展開していくところが見どころなんだと思います。
この導入部から、「ステップフォード・ワイフ」(観ていて思いついた別の映画のタイトルを書いておきます。ネタバレなので伏字で)みたいな話が出てくるとは思わないですもん。
あっぱれ! といいたくなるような組み合わせ。人種差別問題と相性のいい(というのは語弊のある言い方ですが)アイデアなんですね、アレ。
ここが評判のいいポイントですね。

しかし、しかし、しかし。
そうわかって振り返ると、建付けが悪くないですか、この映画。そして、安っぽい。
伏線をしっかり張ろうとしたのはわかりますが、数少ない黒人が出てくる場面の仰々しさ、安物のホラー映画を観ているかのようなものものしさは、せっかくのアイデアを活かしているとは思えません。
逆に、人種差別を扱った普通の物語ではないんだな、と見当をつけさせてしまう。
(ただし、それぞれの黒人の俳優さんの演技力はびっくりします。知人が言った、主人公が大根というのも、対比のためにわざとそういう演技にしている可能性もあるような気もします)

もちろん、普通の物語ではない、と見抜かれたとしても、この映画が用意している地点までは想定できないとは思います。アイデアの勝利。
ただ、仰々しさ、ものものしさを排したほうが、より驚けたと思います。

ということで、いい材料をそろえたのに調理法を失敗した料理みたい、というのが個人的な感想です。
ああ、もったいない!





原題:GET OUT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年10月27日


nice!(17)  コメント(0) 
共通テーマ:

タルト・タタンの夢 [日本の作家 近藤史恵]

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/04/27
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは? フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか? 絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ。


5月に読んだ11冊目の本です。
近藤史恵の新しいシリーズです。
カウンターが七席、テーブルが五つという小さなフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル」の店長=料理長三舟忍が探偵役をつとめる連作。
視点人物は、ギャルソンである、ぼくこと高築智行。レストランの従業員はそのほかに料理人・志村洋二とソムリエ・金子ゆきの2人だけ。合計4人のお店。
店の名前パ・マルの意味は、〈悪くない〉。ぼくが料理長を「変わった人」という理由の一つ。

「クレープシュゼットの青い火が、燃え上がった」
という印象的な一文で幕開けです。
このあとも、数々の料理、デザートが次々と出てきます。どれもこれもおいしそうで、読んでいるとおなかがすきそう。

常連さんが二日も体調を崩したことから意外な事実を導き出す、「タルト・タタンの夢」
凄まじく好き嫌いが激しい客の愛人がたどる顛末を描く「ロニョン・ド・ヴォーの決意」
料理人志村の妻が抱いていた積年の疑問を解く「ガレット・デ・ロワの秘密」
客の奥さんが急に出ていったわけを探る「オッソ・イラティをめぐる不和」
高校生の野球合宿でないはずなのに泥酔した部員の謎を解く「理不尽な酔っ払い」
パリでの恋人との行き違いの原因をつきとめる「ぬけがらのカスレ」
パ・マルのチョコレートがまずいと喝破した客の心持をさぐる「割り切れないチョコレート」
の7編収録。
いずれの話にも、大詰めのところで(?) シェフ特製のヴァン・ショーが印象的に出てきます。

ミステリとして解く、という感じにはなっていないのはミステリ好きとして少し残念ですが、解かれる謎が、単なるいい話、となっていないのがステキです。甘さと苦さがともに味わえる、いい作品だなぁ、と思いました。

「オッソ・イラティをめぐる不和」に出てくるせりふ、「女のお喋りは無駄な話ばかりで」というのは、いろいろな意味で気を付けないといけない言葉ですね。
「割り切れないチョコレート」に出てくる、チョコレート専門店<ノンブル・プルミエ>の詰め合わせのセット数が必ず素数ということに秘められた意図は、なかなかステキですねぇ。商売上それでいいのかわかりませんが...

シリーズはこの後も巻を重ねていますので、読み続けていきたいです。


nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:

三毛猫ホームズの証言台 [日本の作家 赤川次郎]

三毛猫ホームズの証言台 (カッパ・ノベルス)

三毛猫ホームズの証言台 (カッパ・ノベルス)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 新書

<裏表紙側帯あらすじ>
ある殺人事件の証言から始まった物語は、新たな悲劇を招く……。
過去の因縁を乗り越え、片山とホームズが難事件に挑む!!
〈S商事〉社長の千葉典子が殺された。夫の克茂が殺人容疑で逮捕されるが、出会い系サイトで知り合った森川礼子の証言によって無罪となる。社長の座を引き継いだ克茂は礼子と結婚する。一方、片山のお見合い相手の加賀涼子は、車にひかれかけた辻川友世をかばって怪我をし、辻川夫妻や片山たちと〈高原ホテル〉で療養することに。そこで辻川夫妻の友人である千葉夫妻も同宿する。だが、千葉の妻・礼子の元夫・誠二は殺人の罪で追われている中、〈高原ホテル〉に乗り込んできて――。過去の因縁と複雑な人間関係が絡み合う大人気シリーズ第51弾!!


今年5月に読んだ10冊目の本です。
三毛猫ホームズシリーズも51冊目ですか...すごいですねぇ。
この本の帯から、赤川次郎著書600冊へ向けたカウントダウンが始まっています。カウントダウンは出版社の枠を超えて行われており、どの出版社の本も同じ体裁の帯を使っています。この「三毛猫ホームズの証言台」 (カッパ・ノベルス)は594冊目の著作のようです。

この前に感想を書いた「東京零年」には厳しい感想をぶつけてしまいましたが(リンクはこちら)、シリーズ作だとそういう心配をあまりせずとも、安心して読めますね。

いつものように(?) 非常に錯綜した人間関係が設定されています。
赤川次郎はもともと大人数を捌くのが得意ですが、その前段階ともいえる設定上の、人間同士を結び付けるのもとても上手です。
普通だと、「えっ!?」と戸惑ってしまうような関係性も、すっと読者に届けてしまう。
ちょっとありえないような偶然を多用していますので、ミステリとしての出来はお世辞にも良いとはいえませんが、表紙袖の著者の言葉を読めば、それもまたよし、ということなのでしょう。
著者のことば
人と人の出会いとは面白いものである。一本の電車に間に合うか間に合わないかで、恋に落ちることもあれば、全く他人のままで一生終わることもある。おそらく「運命的な出会い」なんてありはしないのだ。ただの偶然を「運命」に変えるふしぎな力が人間にはそなわっているのだろう。

三毛猫ホームズも、「三毛猫ホームズの推理」 (光文社文庫)のころは名探偵という感じでしたが、最近は推理を披露するというよりは、人間をやさしく見守っている女神のような?


<蛇足1>
「当機は間もなく成田国際空港に着陸いたします」(29ページ)
とありますが、成田国際空港、とはアナウンスされないのでは?
新東京国際空港、でしょうし、成田を使う場合は成田空港と呼ぶような気がします(通称に「国際」なんてつけても意味がない)。

<蛇足2>
社長令嬢で、部長の妻である人物が、ニューヨークでの滞在に触れて
「大変だったのよ、毎日ホテルの部屋で洗濯して。途中で足りなくなって、向こうでドレスを二着買ったわ。」(32ページ)
なんて言うんですが、ちょっといただけないですね。
数知れないパーティに出席するような人物が、自分でドレスを洗濯しますか?
そういうキャラクター設定とも思えませんでしたし、つましい人物だったとしたら逆に二着もドレス買ったりしませんよね。あまり考えずに書き飛ばしましたかね...



nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:

氷姫 [海外の作家 か行]

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

氷姫―エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

  • 作者: カミラ レックバリ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/08/01
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
海辺の古い邸で凍った美しい女の全裸死体が見つかり、小さな町を震撼させた。被害者が少女時代の親友でもあった作家エリカは、幼馴染の刑事パトリックと共に捜査に関わることに。20年以上疎遠だった親友の半生を辿ると、恐るべき素顔が覗く。画家、漁師、富豪…町の複雑な人間模様と風土に封印された衝撃の過去が次々明らかになり、更に驚愕の……。戦慄と哀歓。北欧ミステリの新星、登場!


5月に読んだ9冊目の本です。
このところ日本で話題の北欧ミステリです。作者のカミラ・レックバリはスウェーデンの作家です。
実はこの作品、以前一度読もうとして読み始めたものの、なぜか挫折してしまった過去が...
今回読んでみて、あのときどうして挫折したのかなぁ、と不思議に思うくらい充実した作品でした。

文庫本にして570ページを超える大部な作品ですが、被害者はいったいどういう人物だったのか...、まずはそういう枠組みで始まります。引用したあらすじにも書いてありますね。
それを調べるのが、長い間音信不通だった知り合い(幼馴染、親友)というのが特徴でしょうか。
同時に、探る側の幼馴染エリカや家族、友人の日常も描かれていきます。
シリーズ第1作なので、事件関係者の日常・人間関係と、探偵役であるエリカの日常・人間関係が混然一体となっているところがミソなのかもしれません。

人間関係がポイントの作品です。
まず目を引くのはエリカのキャラクター設定。自然体、のように思えます。
副題「エリカ&パトリック事件簿」があっさり明かしてしまっていますが、この「氷姫―エリカパトリック事件簿」 中で、エリカはパトリックと恋人関係になります。
エリカの昔のボーイフレンドであるダーンとエリカの現在の関係が、なかなかよろしい。大人の男女に友人関係はありうるか? というのは割とあちこちで聞く議論ですが、成立させています。
一方で、周りが必ずしもそう見てくれるとは限らない。ここも人間関係上のポイントですね。ダーンの妻パニッラが爆発するシーンが出てきますが、シリーズ中でいろいろと出てくるんでしょうね。
被害者アレクサンドラやダーン、そしてエリカの妹アンナの夫婦関係が様々で、そこにいろいろな登場人物の夫婦関係、家族関係が重要なテーマとして出てきます。

これら人間関係の中に、ミステリとしての構図が埋め込まれています。
結局トラウマかいっ、と言いたくなるところもなくはないですが、因習というのか、スウェーデンを舞台にした横溝正史っていう感じの枠組みにトラウマはぴったりなのかもしれません。

さすがにちょっと長すぎる気がしましたが、主要人物たちともお近づきになれたし、続く作品も読んでみるかもしれません。


<蛇足>
「ちょうど大きな雪ひらがゆっくり地面に降り始めていた」(379ページ)
という記述があります。
「雪ひら」という語にひっかかりました。こんな語ありますか?
PCの変換でも出てきませんし、辞書にも載っていません。
でも、花びらからの連想で、すぐに意味が想像できますし、なかなか趣のある語ですねぇ。
使ってみようかな。






原題:Isprinsessan
作者:Camilla Lachberg
刊行:2003年
翻訳:原邦史朗








nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:

仮面病棟 [日本の作家 た行]

仮面病棟 (実業之日本社文庫)

仮面病棟 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 知念 実希人
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2014/12/05
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
強盗犯により密室と化す病院
息詰まる心理戦の幕が開く!
療養型病院に強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。事件に巻き込まれた外科医・速水秀悟は女を治療し、脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知る―。閉ざされた病院でくり広げられる究極の心理戦。そして迎える衝撃の結末とは。現役医師が描く、一気読み必至の“本格ミステリー×医療サスペンス”。著者初の文庫書き下ろし!


5月に読んだ8冊目の本です。サイン付きの本を紀伊国屋書店で買いました。知念さんの本を読むのは初めてです。

話題作、というのでしょうか。少し前まで本屋さんで大きく平積み展開されていました。
帯に「怒涛のどんでん返し!! 一気読み注意!」と書いてあります。
一気読み、しました。おもしろかったですね。
ただ、確かにどんでん返しが仕掛けられていますが、あまりどんでん返し、どんでん返しと声高に宣伝してまわらないほうがいい作品ではないかと思いました。

病院を舞台に、一晩の出来事を描いたスピーディな作品です。
ピエロのマスクをかぶった男が、人質連れで病院へやってきて立て籠もる。
単なる立て籠もりかと思いきや、途中、病院の抱える秘密が暴かれていく...

このあたりでミステリを読みなれている読者であれば仕掛けに見当がついてくるんじゃないかと思います。

一方でちょっと安直かな、と思うところもないではないですが、非常にスピーディーな中で、よく考えられていると思いましたし、楽しい作品でした。
また、物語の展開上あまり意識されないのかもしれませんが、「そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)」のバリエーションになっているのでは、と思いました。あるいは「十角館の殺人 (講談社文庫)」のバリエーションというほうが近いかもしれません。(ともに、書いてしまっても妨げにはならないと思いましたが、予断を与えないよう為念伏字にしておきます)
この辺も実は読みどころなのではないかと思いました。

知念さんのほかの作品もぜひ読んでみたくなりました。


nice!(10)  コメント(0) 
共通テーマ:

シャーロック・ノート: 学園裁判と密室の謎 [日本の作家 ま行]

シャーロック・ノート: 学園裁判と密室の謎 (新潮文庫nex)

シャーロック・ノート: 学園裁判と密室の謎 (新潮文庫nex)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/03/28
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
学園裁判。暗号。密室。
謎vs論理の青春ミステリ。
剣峰成は退屈していた。都内屈指の進学校にもかかわらず、クラスメイトは凡庸な生徒ばかり。目指す高みには到底たどり着けそうにない……。そんな成の前に現れた少女、太刀杜からん。彼女との出会いをきっかけに、成は鷹司高校の真の姿を目の当たりにする。論理と論理をぶつけ合う学園裁判。殺人と暗号。連続密室爆破事件と犯人。若き才能が放つ、青春×本格ミステリの新機軸。


5月に読んだ7冊目の本です。
ルヴォワール・シリーズの円居挽の新シリーズ(といっても奥付は2015年4月)です。
オープニングのプロローグで登場する警部が鬼貫。出てくる洋館が黒死館。黒死館のオーナーが降矢木家。
おっ、なんだかやってくれそうな。
と一転そのあとは学園が舞台に。
「第1章 学園裁判と名探偵」では、名探偵育成高校である鷹司高校における学生同士の対決が描かれます。
裁判といっても、「丸太町ルヴォワール」 (講談社文庫)の双龍会(そうりゅうえ)と違って、「星覧仕合」と呼ばれており、裁判というよりむしろゲームみたいですけどね。
星覧仕合は、学年に1人しかいないとされる特究生をめぐるもので、新入生が二人一組になって片方がその特究生であるとして先輩が就く審問者の追及を切り抜けられるかどうか、というもの。
名探偵の輝きを放つ者を探し出す目的があるといっても、まあ、ゲームですよね。
この星覧仕合での、屁理屈合戦(失礼)が、まずおもしろかったですね。
若干ネタバレ気味ですが、裏ルールというのも個人的には納得の内容です。
「どんなに泥臭い謎解きをしても探偵ならば許される。探偵は謎を解くことが仕事だからだ。だが、名探偵はそうではない。名探偵の仕事は謎を解くことではなく、真実を告げることだ。」(107ページ)
ちょっとよくわかんない文言ではありますが、かっこいいですね。

「第2章 暗号と名探偵」では、主人公である剣峰成の過去に焦点があたります。
ここでも、名探偵との駆け引きが読みどころ、というか楽しいところですね。

「第3章 密室と名探偵」は、第1章、第2章と、更にはプロローグも受けてのエピソードとなっており、最後の(?) 対決が描かれます。

タイトルの意味がもう一つぴんと来ませんでしたが、シリーズ化されているので、おいおいわかるのかな?
ぎくしゃくしたところもありますが、こういう作風嫌いじゃないので、追いかけてみようと思います。





nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ:

海街diary 8 恋と巡礼 [コミック 吉田秋生]

海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

  • 作者: 吉田 秋生
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/04/10
  • メディア: コミック

<裏表紙あらすじ>
家のゴミ箱で見つけてしまった妊娠検査薬のことを誰にも相談できず、気持ちが落ち着かないすず。そんな時、地蔵堂の軒下で眠っている千佳を見つけて!? 夏の日差しが降り注ぐ鎌倉を舞台に、家族の「絆」を丁寧に描く、シリーズ第8巻。


このシリーズ第8巻「海街diary 8 恋と巡礼」 (フラワーコミックス)には、
「乙女の祈り」
「恋と巡礼」
「姉との旅」
「満月と言霊」
の4話 収録。

「乙女の祈り」は、すずのサッカーチーム湘南オクトパスの初戦勝利で幕開けです。
続けて、オードリー・ヘップバーンを意識してショートにした千佳ちゃん登場...オードリーですか...
裕也の
「命かけてやってたものをやめるって決める時には やっぱいろいろあんだよ おれもそうだったからわかる でも だからこそ決めた後はもう迷わない」
という言葉重いですよねぇ。それに浜田店長がエベレストに戻る理由は何か、という問いがダブっていく。
ようやくすずは、千佳ちゃんと妊娠のことを話すことができます。

「恋と巡礼」では千佳ちゃんの妊娠の話が急展開。
四姉妹と浜田店長、考えがすれ違ったり、一致したり。でも、みんなお互いのことを大切に思っているところがいいんですよね。
浜田店長の口から、エベレストに戻る理由が語られます。

「姉との旅」では、ついに湘南オクトパスが負けちゃいます。将志、お前はやっぱり将志だな。
千佳ちゃん一気に入籍ですか...ドラマだねぇ。
しかし、幸ねえ、駅で迷子になるのが得意って、かまぼこ板の使い方といい、そういうキャラ設定でしたか...

「満月と言霊」は、母親から千佳ちゃんに届いたお祝いの品=トウモロコシとシャケで、大船のおばさん激怒り、というのが受けました。これは確かにインパクトありますもんね。
「とまとちゃんつぶし」って、なんかおいしそうですね。トマトをすり鉢でざっとすりつぶしたものにリンゴのすりおろし(+レモン汁)を加えただけのもの、らしいんですが。
幸ねえも、佳乃も、いろんな側面で一気に話が進んだ感がありますね。満月のおかげ??


nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:

麗しのオルタンス [海外の作家 ら行]

麗しのオルタンス (創元推理文庫)

麗しのオルタンス (創元推理文庫)

  • 作者: ジャック ルーボー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/01/28
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。平和な街に続く〈金物屋の恐怖〉事件。犯人は? 動機は? 哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャール警部、そして高貴な血を引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ……。何がどうなる? 文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ……なのか。


映画の感想を挟みましたが、5月に読んだ6冊目の本の感想です。
300ページもない薄い本なのですが、少々読むのに時間がかかりました。なにせ実験的な小説なもので。
『最近読んだ本でいうと、「チャーリー・モルデカイ」(角川文庫)シリーズがイギリス風のおふざけなら、この「麗しのオルタンス」 (創元推理文庫)はフランス風のおふざけです。』と書こうと思っていたのですが、考え直しました。
イギリス風、フランス風の対比ではなく、
『最近読んだ本でいうと、「チャーリー・モルデカイ」シリーズのような高踏的なおふざけに、文学的なおふざけ(あるいは実験)を加えると、この「麗しのオルタンス」 になります。』
と書くほうがいいと思います。

非常に「語り」を意識した小説になっていまして、ある意味わかりづらい。メタ炸裂。
冒頭早々、2ページ目にして「筆者(われわれ)」とか「私ことジャック・ルーボー」とか「語り手」とかの語が出てきます。すでに読者が混乱する兆しが。
2ページ目で予告されていますが、第2章で「語り手」である私(小説家志望のジャーナリストであるジョルジュ・モルナシエ)の視点が導入され、一方で猫のアレクサンドル・ウラディイロヴィッチのことを書く章もあります。かと思えば、いわゆる神の視点である三人称の部分もある。
著者(ジャック・ルーボー)と語り手(モルナシエ)に加えて、校正担当者や校正部長まで出てきたりもします(大体においては註ですが)。

こういう入り組んだ構造の中で語られる事件が、金物屋での悪戯、ですから...「殺人事件はまったく起こっていない」(276ページ)のです。
そこに、タイトルにもなっている魅力的な哲学専攻の女子大生でワンピースの下にパンティをはいていないことが(比較的稀にだが)ある(30ページ)オルタンスの日常生活(?) や、二年前に失踪したポルデヴィア公国の第一皇位継承者ゴルマンスコイ皇子の失踪(?) 事件や、アレクサンドル・ウラディイロヴィッチ(猫です)の恋模様(?) も描かれます。
すみません、(?) ばかりですが、どれもこれも読んでいると重要な気になる要素ながら、さてどういうことを描いているのか的確に言い表しにくいのです...

こういう凝りに凝った、そして計算ずくの作品(ちっとも読み取れていないと自分でも思いますが、こういう作品が作者による緻密な設計の賜物であることは自明だからこう書いておきます。緻密な計算に裏打ちされていないと、ただただでたらめになってしまって、ぼくのような理解度の低い読者には全体が何がなんだかわからず何が書いてあるのかもわからなくなるはずですから)、ミステリかどうかは置いておいても、たまに読むと刺激になりますね。じっくり読み返してみたい気もします。

訳者あとがきによるとこれは三部作らしく、今のところ2作目の
「誘拐されたオルタンス」 (創元推理文庫)
まで翻訳が出ています。


原題:La Belle Hortense
作者:Jacques Roubaud
刊行:1990年
翻訳:高橋啓


nice!(7)  コメント(0) 
共通テーマ:

エイリアン:コヴェナント [映画]

エイリアン:コヴェナント T0020587p.jpg

いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:巨匠リドリー・スコット監督がメガホンを取った『エイリアン』シリーズの原点となるSFホラー。移住のため宇宙船コヴェナント号で旅立ったクルーたちが、ある惑星で遭遇した出来事を描写する。アンドロイドを『スティーブ・ジョブズ』などのマイケル・ファスベンダーが演じ、ヒロインを『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などのキャサリン・ウォーターストンが熱演。スコット監督が構築した世界観と衝撃の展開に絶句する。

あらすじ:宇宙移住計画を遂行するため、コールドスリープ中の男女2,000人を乗せた宇宙船コヴェナント号は、植民地の惑星に向かって宇宙を航行する。最新型アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)が船の管理を任されていたが、途中で事故が発生。乗組員たちは必死で修復作業に取り組み……。


前作「プロメテウス」に続く作品です。と書くと、ある意味「プロメテウス」のネタばらしになってしまいますが、「プロメテウス」のHPであっさり明かされているから書いてしまってよいのでしょう。
「プロメテウス」も観ているんですが、感想をこのブログに書いていませんね。映画館ではなく、飛行機の中で観たんだったのかもしれません。
「プロメテウス」はポスターに「なぜ人類誕生の瞬間は空白のままなのか」「謎の答えを知ってはいけない」なんて書かれていて、人類誕生の秘密を描いた映画かと思わせておいて、エイリアンでした(笑)。ちなみに、「プロメテウス」のHPには『「エイリアン」の原点ーーすべての謎が明らかに!!』と書かれています。
「プロメテウス」を観ていなくてもまず大丈夫ですが、観ていたほうが楽しめそうです。

「プロメテウス」が宇宙船の名前だったように、「コヴェナント」も宇宙船の名前です。
「コヴェナント」の乗組員が、選んではいけない選択肢を次々選んでひどい目にあう、という話です。宇宙船に乗るような人たちって、優秀なはずなのに、ホラー映画の一つも観ていないのでしょうか? 頭の悪い中学生みたいな行動をとりまくりですね(笑)。

「プロメテウス」は人類誕生の秘密をちっとも明かしてくれませんでしたが、「エイリアン:コヴェナント」はエイリアン誕生の秘密をしっかりと明かしてくれます。満足!
マイケル・ファスベンダーが演じるアンドロイドが重要な役割を果たすところが興味深いですね。
しかし、エイリアンって、(ネタバレにつき伏字)で広まるんですね。繁殖、というのとは違う気もします。飛沫感染

なんか原点回帰というか、非常に由緒正しいSFホラーになっていまして、来るぞ、来るぞ、来るぞ、って感じがおもしろかったです。
ラストのオチは、まあそうなるだろうな、ってところなので、取り立てていうほどのことはないのかもしれませんが、この点も含め由緒正しい感じがしました。
ひょっとしたらエイリアンシリーズ、これで完結なのかも。

原題:ALIEN: COVENANT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年9月15日


nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | -