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ボランティアバスで行こう! [日本の作家 た行]




<裏表紙あらすじ>
東北で大地震が発生した。多くの支援活動が行われるなか、大学生の和磨は、バスをチャーターして援助活動に参加する「ボランティアバス」を主催することに。行方不明になった父親の痕跡を探す姉弟に出会う女子高校生の紗月。あることから逃亡するため、無理やりバスに乗り込んだ陣内など、さまざまな人がそれぞれの思惑を抱えてバスに乗り合わせるが……。驚きのラストが感動に変わる!


「僕はお父さんを訴えます」 (宝島社文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)で第10回このミステリーがすごい! 大賞優秀賞を受賞してデビューした友井羊の第2作です。
前作の感想で
「次作が楽しみだと思いました」
なんて生意気をことを書いてしまったのですが、楽しみにしていたので買いました。
帯の惹句がすごいんです。いわく、
「どんでん返しを見事に決めた傑作」
ダ・ヴィンチ2013年11月号に掲載された千街晶之のコメントを引用したもののようですが、どんでん返しで傑作、ときたらミステリファンとしては読まずには...
読み終わっての感想は、確かにどんでん返しはあるものの、それをあからさまに「売り」にしないほうが良い作品なのではないだろうか、というものでした。
日常の謎といってもよいような謎解きの連なる連作なのですが、どんでん返しがある、と思って身構えて読むと、この作品で用意されているどんでん返しは新味のあるものではなく、事前に気づく人も多いと思われますし、仮に気づかずに明かされてもさほど驚かないと思われるからです。

どんでん返しそのものよりも、どんでん返しを通してボランティアというテーマ、恩送りというテーマが浮かび上がって来ることの方が重要なポイントなのだと思いました。
「恩送り、という言葉があるそうだ。誰かから受けた恩をその人に返すのではなく、他の人に送るという言葉らしい。」(P.87)
と早い段階でさらっと書かれていますが、難しいボランティアというテーマを印象付けるのに非常に効果的です。

連作という体裁で、いろんな立場のボランティアが登場しますし、ボランティアと地元の被害者の方々とのやりとりも描かれます。
ボランティアが抱える問題やいいところが、手際よく紹介されていきます。
それだけでも十分な作品に仕上がったと思いますが、どんでん返しを仕掛けることで、さらに印象が強くなったように思います。
あまり書くとネタバレになってしまいますが、どんでん返しがあることで物語が重層構造となり、その重層構造そのものが「ボランティア」の本質(?) をついている、ということではないでしょうか?
募金や寄付をするだけで実際のボランティアをやったことのないものがわかったようなことを書くことはよくないのかもしれませんが、ミステリ好きが本書を読んで、そんなことを考えました。


タグ:友井羊
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