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黒影の館 [日本の作家 篠田真由美]


黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)



<裏表紙あらすじ>
一九八〇年秋、突然の義父の死。神代宗は傷ついた心を埋めるため訪れた北の町で、殺人の罪を着せられてしまう。そして、疑惑が晴れぬまま土地を支配する久遠家の「館」に軟禁され、血塗られた過去を目撃する。謎の美少年・アレクセイが悲劇の真相を語りはじめたとき、銃声が轟いた! 大人気シリーズ第14弾。


建築探偵シリーズも残り1冊となりました。
ちなみにタイトルは「黒影」に「かげ」とルビが振ってあります。
前作「一角獣の繭 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)(感想ページへのリンクはこちら)のラストで急展開があったので、さて、続きはどうなる!? と勢い込んだりもしましたが、この「黒影の館 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)では、さっと物語は過去に遡ってしまいます。

若かりし日の神代宗、そして桜井京介!!
シリーズ大団円の(はずの)次作「燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)前にちょっと過去を振り返っておきましょう、という感じ?

22年前の、神代宗と桜井京介の出会いが描かれます。
で、あらすじ読んでいただくとわかりますし、みんながみんな想像すると思うので書いてしまうと、謎の美少年・アレクセイというのが京介です。
舞台となるのは、タイトルにもなっている館で、地元ではお館と呼ばれている、と(156ページ)。
「お館様というと特定の個人を指し示しているようですが、それはむしろ一個の抽象的な概念です。お館は共同体の内部にあるのではなく、しかし外部でもない。閉ざされた世界の中心に存在し、支配はせぬがその上に燦然と君臨している。」(157ページ)
と登場人物のひとりに解説されますが、いいではないですか。
いかにも、ミステリの舞台に似つかわしい、素晴らしい舞台。

登場人物もいいですよ。
屋敷に住む久遠(くどお)家の面々が、呉でグレゴリ、叡でアレクセイ、珠でモイラ、衿でエレナ、そして庵でイオイリ。
ロシアの高貴な血を引いている、って貴種流離譚ですか。京介にふさわしいではありませんか。
館の主グレゴリが、この世のものとは思われない怪物で権力と魔力の持ち主ってのも、いいですね。
で、当然これが、京介=アレクセイの敵なわけですよ。
シリーズの最終盤に向けて、いよいよ対決ものの素地完成といったところですか。

そういう構図なので、読者の興味は京介に集中してしまうのですが、この「黒影の館」 で描かれている事件は、きちんと本格ミステリのセオリーに則って展開されて、いわゆる意外な犯人も、見抜く読者が大半だとは思いますが、きちんと演出されています。

アレクセイがやはりとっつきにくすぎる性格に描かれている点、子どもには甘いにせよ、もう少し神代教授がアレクセイに肩入れする理由をわかりやすくしてもらえるとよかったかも、とは思いましたが、若き日の神代教授がいいやつだ、ってのもわかりましたし、よかった、よかった。
残りは、いよいよ「燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿」 (講談社文庫)です。

<蛇足>
194ページに、ポーの詩「大鴉」の翻訳をめぐるやり取りがあるのですが、
「西条八十」
とあって、ちょっとびっくり。西條だと思い込んでいたからです。
さっとネットで調べてみると、どちらの表記もあるんですねぇ。
「森鷗外」と「森鴎外」みたいなもんだったんですね。






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