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秘密 トップ・シークレット (9) [コミック 清水玲子]


秘密 9―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

秘密 9―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

  • 作者: 清水 玲子
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2011/02/28
  • メディア: コミック


<帯>
最高傑作シリーズ、衝撃の第9弾!!
犯罪被害者の脳を取り出し、生前の映像記憶を再現する技術を駆使し、難解な事件の真相に迫る科学警察研究所・法医第九研究室。貝沼事件以前の「第九」内部関係者が捜査情報漏洩!? そんな疑惑が浮かぶ中、薪の新車に爆弾が!! 何者が、何の為に!? しかし、それは事件の始まりに過ぎなかった……!!


2011年2月に出たコミックです。
死者の脳を分析して、死者が生前に見ていたものをMRIスキャナーで再生できるようになっている、という物語の前提がSF的な設定のシリーズです。
第9巻には「秘密 トップ・シークレット 2010 The Last Supper(最後の晩餐) プロローグ」「秘密 トップ・シークレット 2010 The Last Supper(最期の晩餐)」、「秘密 トップ・シークレット 2010 END GAME」が収録されています。

このブログでは、小説は読んだ順に感想を書いています。
映画やコミックに関しては、読んだ順には関係なく、ほぼ観たり読んだりしたらわりとすぐに感想を書いています。
ですが、この「秘密 9 トップ・シークレット」 (ジェッツコミックス)はかなり前に読んだんですが、感想を書いていませんでした。
だってねぇ、青木が可哀想で、可哀想で。
せっかく雪子先生を親に紹介なんて段取りまでこぎつけたのに。
まあ、それを言ったら、青木のお母さんの方が可哀想なんですが...
でもねぇ、清水玲子さん、ここまで青木につらくあたることないじゃないですか!!!!
ラストの青木とお母さんのやり取りなんか、もう、読むだけでつらくて、つらくて。
なかなか感想を書こうなんて気にならなかったんですよ。

ストーリー展開的には、第九にも、あやしい新入り登場。
元第九のメンバーで、精神を病んで未だ入院拘束されているはずの、滝沢幹生。
ここまであやしいと、文句をつける気がなくなります。

ここから、きっと、「秘密」というタイトルの由縁を納得させるような、第九の秘密が明かされていくのでしょう。
怖い。

しかしなぁ、「秘密 8―トップ・シークレット」 (ジェッツコミックス)に出てきた山本賢司はどうなったんだ。出番ないぞ。
この後の巻でちゃんと活躍するんでしょうね!?



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鼠、滝に打たれる [日本の作家 赤川次郎]


鼠、滝に打たれる (「鼠」シリーズ)

鼠、滝に打たれる (「鼠」シリーズ)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/12/27
  • メディア: 単行本


<裏表紙あらすじ>
天下の大泥棒、鼠小僧次郎吉。
その華麗なる活躍をご覧あれ。
壱、賭場で見かけた勝気な女。一人勝ちする女の驚きの正体。「鼠、裏を返す」
弐、女医の千草に縁談が。お相手は大名の息子だというけれど。「鼠、高砂やを謡う」
参、そば屋で出会ったわけあり男女。まさかあんな事件を予防とは。「鼠、滝に打たれる」
肆、将棋盤の前で愚痴ばかりのやせ浪人。それが招いた死の危険。「鼠、恨み節を聴く」
伍、遊郭で、女と男が殺人計画? 妹・小袖と潜入調査。「鼠、密談に探る」
陸、道場に現れた若侍。御前試合に向け、小袖に弟子志願!? 「鼠、太鼓を打つ」

シリーズ第8弾です。前々作「鼠、危地に立つ」 (角川文庫)、前作「鼠、狸囃子に踊る」 (角川文庫)はいきなり文庫でしたが、この「鼠、滝に打たれる」 は単行本です。
ちなみに、2014年12月に単行本が出て、2016年3月には文庫化されています。

この第8巻には上で引用したあらすじ(?) にもあるように六話収録です。
「鼠、危地に立つ」 「鼠、狸囃子に踊る」では、本があまりに薄いことを指摘しましたが、収録話数が増えたのでこの点は若干なりとも緩和されたでしょうか?
とはいえ、1ページ当たりの行数は17行と、開いてみれば、すっかすか...

会話主体で、改行に次ぐ改行ではありますが、ストーリーの輪郭はくっきりと伝わってきます。
スラスラ読めてしまうので、あまり感じませんが、かなり複雑なプロットが忍んでいたりします。
現在では当たり前に受け止められていることを、ぽんと江戸時代に抛り込んでみるという実験的なこともやってのけたりもします。

シリーズとしてのポイントはやはり、第二話「鼠、高砂やを謡う」で扱われている、千草先生の縁談でしょう。
でも次郎吉は、気にはなるけど、態度にそれほど変化はあらわれない。
千草先生と次郎吉の仲も、進展するでもなく、しないでもなく。
このあたりの呼吸が、じれったくもあり、心地よくもあり、というシリーズですね。


次の「鼠、地獄を巡る」 (KADOKAWA)が2016年3月に出ています。
相変わらずのハイペースです。

文庫版の書影も最後に掲げておきます。


鼠、滝に打たれる (角川文庫)

鼠、滝に打たれる (角川文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 文庫



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このミステリーがひどい! [日本の作家 か行]


このミステリーがひどい!

このミステリーがひどい!

  • 作者: 小谷野敦
  • 出版社/メーカー: 飛鳥新社
  • 発売日: 2015/07/30
  • メディア: 単行本




ミステリーファンにとっては、かなり刺激的なタイトルになっています。
確かにミステリーの悪口満載ですが、気分悪くはならなかったですね。
だいたい、作者自身 “ミステリー嫌い” として書かれているようですが、ここも実はあやしいように思います。
「ミステリー嫌い」と明記されていなかったような気がします。
「私がしばらく嫌っていた推理小説を見直すきっかけとなったのがこの作品である」(12ページ)
なんて記述もかなり早い段階で出てきます。「嫌っていた」「見直す」ってことは、今は嫌いじゃないってことでしょう??
第一章の章題が「いかにして私は推理小説嫌いとなったか」なんですが、正直、嫌いになったようには見受けられません。

「私を決定的にミステリー嫌いにしたのは、一九八四年十一月二十六日月曜日に読了したアガサ・クリスティの『クロイド殺人事件』である。」(45ページ)
なんて書かれていますが、その理由がもう一つぴんと来ません。
(ちなみに、どうでもよいことですが、大久保康雄訳の創元推理文庫版で読んだとされていますので、タイトルは、「アクロイド殺害事件」のはずです。殺人事件、ではなく、殺害事件ですね)
「『意外な犯人』と書いた紹介文が悪いのではない。記述に矛盾があるとも言われるが、それもどうでもいい。我慢ならないのは、たったそれだけのことで、いかにもいわくありげに、色々な登場人物を出して、面白くもない長いストーリーを読ませたことである」(46ページ)
と書かれています。
まあ、「アクロイド殺害事件」がどうか、というのは置いておくとしても、意外な種明かしをミステリの身上とするなら、長いストーリーが無駄だ、と思う人もいるでしょうし、そういう批判はこれまでもいろんな人がしているので、なんだかなぁ、というところ。それが理由でミステリ嫌いに?? なんだかつまんない理由ですねぇ。
で、そのあと、クリスティーが原作の映画とかドラマの話になるのです。
「まあそこそこ面白くはあるが、原作まで読もうという気にはならない」(50ページ)とも。
うーん、映画もドラマも小説もごっちゃで、ストーリーを重視されているのだなぁ、ということがうっすらとわかります。
(99ページには
「私は、純文学派ではあるが、ストーリー主義者である。」
「だから推理小説でも、トリックやらアリバイだけでなく、優れたストーリーが必要だと考えているのだが」
という記述もあります。)
であれば、こういうスタンスでミステリーを(あるいはそれ以外のジャンルの小説も)読まれているのであれば、批判されても一向に気にはなりませんねぇ。見方が違うというだけだから。そう読む人もいるんだね、ってだけです。
あと、小谷野さん、「嫌い」とされる割には、小説も、映画も、ドラマも、かなりの数を読んだり観たりされているようです。
こういうのって結局好きなんじゃないですかねぇ?
知人に、「アンチジャイアンツ」というのは結局(裏返しの)巨人ファンなんだ、と主張する人がいますが、そんな感じ?
こう受け止めたから、ミステリーの悪口満載でも気にならなかったのかも。

あとがきに、推理小説ベストが挙がっています。
一位、西村京太郎「天使の傷痕」 (講談社文庫)
一位同点、筒井康隆「ロートレック荘事件」 (新潮文庫)
三位、貴志祐介「硝子のハンマー」 (角川文庫)
四位、ヘレン・マクロイ「殺す者と殺される者」 (創元推理文庫)
五位、中町信「模倣の殺意」 (創元推理文庫)
六位、北村薫「六の宮の姫君」 (創元推理文庫)
七位、折原一「倒錯のロンド」 (講談社文庫)
偏ったリストではありますが、なかなかいい作品が並んでいるではないですか。

ほかに、悪口満載のこの本の中で褒められているのは、
「江戸川乱歩傑作選」 (新潮文庫)(33ページ)
ケン・フォレット「針の眼」 (創元推理文庫)(98ページ)
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」 (文春文庫)(104ページ)
ディクスン・カー「皇帝のかぎ煙草入れ」 (創元推理文庫)(106ページ)
フリーマン・ウィルス・クロフツ「樽」 (創元推理文庫)(112ページ)
貴志祐介「青の炎」 (角川文庫)(113ページ)
西村京太郎「終着駅(ターミナル)殺人事件」 (光文社文庫)(143ページ)
丸谷才一「横しぐれ」 (講談社文芸文庫)(147ページ)
広瀬正「エロス―もう一つの過去」 「ツィス」  どちらも集英社文庫(167ページ)
高村薫「レディ・ジョーカー」 〈上〉〈中〉 〈下〉 (新潮文庫)(197ページ)
天藤荒太「永遠の仔」〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉〈5〉 (幻冬舎文庫)(197ページ)
宮部みゆき「龍は眠る」 (新潮文庫)(200ページ)
辻村深月「鍵のない夢を見る」 (文春文庫)(212ページ)
野沢尚「破線のマリス」 (講談社文庫)(215ページ)
加納朋子「ななつのこ」 (創元推理文庫)(237ページ)
小杉健治「土俵を走る殺意」 (光文社文庫)(242ページ)
小野不由美「残穢」 (新潮文庫)(246ページ)
これだけ、おもしろい、よい、気に入った作品があるなんて、ミステリー好き、ですよ。

かなりネタバレ満載ですので、そこは気を付けた方がよいかもしれません。


タグ:小谷野敦
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QED 伊勢の曙光 [日本の作家 高田崇史]


QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)

QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/01/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
伊勢の鄙びた村から秘宝の鮑真珠を持参していた神職が、不審な墜落死を遂げる。事件解決へ協力を頼まれた桑原崇は、棚旗奈々とともに伊勢へ。しかし、二人を待ち受けていたのはシリーズ中最大の危機だった。果たして崇は、事件の真相と、日本史上最大の深秘「伊勢神宮の謎」を解けるのか? 「QED」完結編!


シリーズもとうとう最終巻。13巻っていうのも、ミステリらしくていいですね。
最終巻のテーマは伊勢神宮。
現実の事件の方は抛っておいて(失礼)、伊勢神宮と天照大神をめぐる三十の謎、てのがすごいです(474ページ)。ちょっとムリヤリっぽく数を増やしている観はありますが...

・何故、内宮より後に建てられた外宮から先にお参りするのか。
・何故、祭祀も外宮の方が先 -外宮先祭なのか。
・何故、外宮の様式は『男千木(おちぎ)』で、鰹木も奇数本なのか。 これは男神を祀っていることになるが、祭神は豊受大神-明らかに女神である。
・何故、五十鈴川を渡ってから下るのか。
・何故、外宮・内宮共に参道が九十度折れているのか。 天皇家の祖神が怨霊だというのか。
・何故、天皇は明治の御代まで公式参拝されなかったのか。
・何故、明治になって突然公式参拝されたのか。
・何故、鳥居に注連縄がないのか。
・何故、狛犬がいないのか。
・何故、賽銭箱がないのか。
・何故、神殿正面に鈴がないのか。
・何故、本殿正面に蕃塀が建てられてるのか。
・何故、興玉(おきたま)神をそれほどまでに祀るのか。二見浦に祀られている猿田彦命のことである。
・何故、倭姫巡幸で二十四ヶ所も転々としたのか。その資金は一体どこから捻出されたのか。
・何故、当時住みづらかった伊勢に落ち着いたのか。
・何故、五百年も経ってから豊受大神が呼ばれたのか。
・何故、二十年に一度、遷宮を行うのか。
・何故、伊勢参りにあれほど多くの人々が熱狂したのか。
・何故、伊勢白粉が梅毒に効くといわれるようになったのか。
そして
・天照大神は、本当に女神だったのか。
・天照大神は、蛇だったのか。
・天照大神は、『かはく』 『河童』だったのか。
・天照大神は、天岩戸で殺害されたのか。
・天照大神は、本当に天皇の祖神だったのか。
・天照大神は、何者なのか。
・天照大神は、卑弥呼だったのか。
・天照大神と、天照国照彦天火明櫛玉饒速日命との関係は。
・天照大神と、持統天皇の関係は。
・天照大神は、本当に伊勢に祀られているのか。
あとおまけ(?)
・そもそも『神宮』とは何なのか。

薀蓄系ミステリの最高峰と言っても過言ではなさそうなこのシリーズのラストを飾る謎として、伊勢神宮はなかなかよいな、と思いましたが、高田流史観といいますか、このシリーズを通して繰り返し繰り返し読者に伝えられてきたことが底流となっているので、通念が大きく覆される快感は、愛読者には少な目?
伊勢神宮の祭神や、天照大神をめぐる真相(?) はかなり衝撃的なはずなんですが(そしてなにより、ミステリ的に解かれているのが素敵なんですが)、なんだかすーっと流れてしまったような気がします。
でも、いいんですよね、これで。言ってみれば、ボスキャラと対決したんですから。
ボスキャラとの対決時に、いちいち驚いていたら....お話がめちゃくちゃになってしまいますよね。

それにしても、タタルと奈々、うまくいったんですよね、このラスト。
ここまで長々と付き合ってきたんだから、はっきり書いてくれたらいいのになぁ。最後くらい。

ということで、シリーズ完結めでだしめでたし。
ミステリの中で、個性光るシリーズです。

<蛇足1>
「大師は弘法に奪われ、黄門は光圀に取られた」(318ページ)という言葉知りませんでした。おもしろい言葉ですね。

<蛇足2>
目次に続く、あとがきの暗号、わかってうれしかったです。
でも、これ、暗号というよりは、言葉遊びでしょうか?

<蛇足3>
最後にさらっと、明治神宮をめぐる謎(祀られている明治天皇が怨霊!?)が提示されていますが、これって、解決なし??

<蛇足4>
この作品のタイトル、あけぼの、ってふりがなが振ってありました。


最後にシリーズをまとめて掲示してみます。

No. 作品名 書影
1 QED 百人一首の呪 QED 百人一首の呪 (講談社文庫)
2 QED 六歌仙の暗号 QED 六歌仙の暗号 (講談社文庫)
3 QED ベイカー街の問題 QED ベイカー街の問題 (講談社文庫)
4 QED 東照宮の怨 QED 東照宮の怨 (講談社文庫)
5 QED 式の密室 QED 式の密室 (講談社文庫)
6 QED 竹取伝説 QED 竹取伝説 (講談社文庫)
7 QED 龍馬暗殺 QED〈龍馬暗殺〉 (講談社文庫)
8 QED 鬼の城伝説 QED 鬼の城伝説 (講談社文庫)
9 QED 神器封殺 QED 神器封殺 (講談社文庫)
10 QED 河童伝説 QED 河童伝説 (講談社文庫)
11 QED 諏訪の神霊 QED 諏訪の神霊 (講談社文庫)
12 QED 出雲神伝説 QED 出雲神伝説 (講談社文庫)
13 QED 伊勢の曙光 QED 伊勢の曙光 (講談社文庫)


番外編? が4冊あります。
No. 作品名 書影
1 QED~ventus~ 鎌倉の闇 QED~ventus~〈鎌倉の闇〉 (講談社文庫)
2 QED ~ventus~ 熊野の残照 QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社文庫)
3 QED~ventus~御霊将門 QED~ventus~御霊将門 (講談社文庫)
4 QED ~flumen~ 九段坂の春 QED ~flumen~ 九段坂の春 (講談社文庫)



<2017.03訂正>
タイトルが間違っていました。
今頃気づきました。きちんと伊勢の曙光に修正しました。
タグ:高田崇史 QED
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桐島教授の研究報告書 テロメアと吸血鬼の謎 [日本の作家 喜多喜久]


桐島教授の研究報告書 - テロメアと吸血鬼の謎 (中公文庫)

桐島教授の研究報告書 - テロメアと吸血鬼の謎 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/03/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
拓也が大学で出会った美少女は、日本人女性初のノーベル賞受賞者・桐島教授。彼女は未知のウイルスに感染し、若返り病を発症したという。一方、大学では吸血鬼の噂が広まると同時に拓也の友人が意識不明に。完全免疫を持つと診断された拓也は、まず桐島と吸血鬼の謎を追うことになり!?
『美少女教授・桐島統子の事件研究録』改題


喜多喜久、快調ですねぇ。ぽんぽん新刊が出ています。
この「桐島教授の研究報告書 - テロメアと吸血鬼の謎」 は2012年12月に出た「美少女教授・桐島統子の事件研究録」を文庫化にあたって改題したものです。
テロメアというのは1ページ目に説明がありますが、真核生物の染色体の末端を保護する特殊な構造のことらしいです。なんのこっちゃ!?
こちらには、なんのこっちゃ、なんですが、桐島統子(キリシマモトコ)は、この研究でノーベル生理学・医学賞を受賞したという設定になっています。日本人女性初という設定。
現在御年88歳。だけど、若返り病に発病し、十代相当の肉体になってしまっている。
もう一人の主人公は入学したばかりの大学一年生・芝村拓也。こちらは、ウイルスに完璧な(?)抵抗力を持つ、完全免疫の持ち主。若返り病がウイルス性だったとしてもかかる心配がなく、助手(?) に選ばれる。
おりしも大学では吸血鬼が跋扈していた。
うん、おもしろそうではないですか。
喜多さんの作品らしく、すいすい読めます。
「吸血鬼」の狙いも、ミステリ(あるいはSF?)では前例がないわけではないと思いますが、壮大というか気の遠くなるような話であるところがポイントかなぁ、と思いました。おもしろい。
遠大な話が、きわめて卑近な手段でなされるところも、特徴的ですね。

なんですが、ちょっとこの作品には不満があるのです。
それは、若返り病、という設定があまり活かされていないように思えるところです。
桐島教授が若返る必要、ないんですよねぇ。芝村とのつながりをつけるため、なら、ほかにいくらでも方法あるでしょうし。
まあ、続編がありそうな書きぶりではあるので、続編に期待しましょう。2016年05月現在、まだ続編は出ていませんが...




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ペニーフット・ホテル受難の日 [海外の作家 か行]


ペニーフット・ホテル受難の日 (創元推理文庫)

ペニーフット・ホテル受難の日 (創元推理文庫)

  • 作者: ケイト・キングズバリー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/05/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ここはペニーフット・ホテル。海辺の田舎町にひっそりと建つ、上流階級に人気の快適な宿だ。そのホテルで宿泊客の婦人が墜落死した。事故、それとも? ホテルの評判を守ろうと、勝ち気で行動的な女主人セシリーは、冷静で忠実な支配人のバクスターと共に、宿泊客らに事情を聞いてまわるのだが……。優雅なホテルで起こる事件の数々と、紳士淑女の人間模様を描くシリーズ第一弾。


舞台は1906年のイギリス南西部バジャーズ・エンドにあるペニーフット・ホテル。
まずこの雰囲気がポイント、と言いたいところですが、そしてその要素は確かにありますが、むしろにぎやかな登場人物たちに重点があるのでしょう。
事件そのものは安直というかなんというか、単純なものですが(時代設定を100年以上前にしているので、いろんなことが楽~に設定できますね)、ニシキヘビを使ったエンターテイメントとか、正直、何考えてるの? (笑) といいたくなる素っ頓狂さが素晴らしい。
帯に
「勝気な女主人&謹厳実直な支配人
 凸凹コンビがホテルの危機に探偵開始」
とあるように、この二人のやりとりがシリーズの注目点でもありますね、きっと。
身分の違いをどう二人が埋めていくのか、というところ?

「バジャーズ・エンドの奇妙な死体」 (創元推理文庫)
「マクダフ医師のまちがった葬式」 (創元推理文庫)
「首なし騎士と五月祭」 (創元推理文庫)
「支配人バクスターの憂鬱」 (創元推理文庫)
と出たところで翻訳はストップしているようですが、よたよたでも読み進めていきたいなと思いましたので、また、続きを翻訳してください、東京創元社さん。


原題:Room with a clue
著者:Kate Kingsbury
刊行:1993年
訳者:務台夏子


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さよならの手口 [日本の作家 若竹七海]


さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた――。有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書下ろしで帰ってきた!


まさに待望の葉村シリーズ。
前作「悪いうさぎ」 (文春文庫)が出たのが2001年。
この「さよならの手口」が2014年ですから、なんと13年ぶり。
13年ぶりの新刊が文庫書き下ろし...ぜいたくですねぇ。(作者は大変でしょうけれど)
「このミステリーがすごい! 2016年版」第4位です。発売時期が違えばもっと上位に来たのでは?

しかしまあ、葉村晶は不運ですねぇ。
オープニング早々、古本を引き取りにいっただけなのに、大けがし、白骨を発見し...
この白骨事件はあっさり解決されますが、その真相もたいがいびっくりできますよ(笑)。

で、そのあとハードボイルドでは定番の失踪人捜しへ。
ここから、葉村には不幸が積み重なり、同時並行で謎もつみあがっていきます。
ころころとストーリーが転がるように広がって行って、最後にきちんとたたまれる。
こんなにあれもこれもと欲張ったプロットなのに、ちゃんとエンディングでまとまるのは本当に素晴らしい。
いやあ、13年待ったかいがありますよ、この充実度は。
ミステリ的にはさほど目新しいところはないのかもしれませんが、組み合わせの妙というのか、カチッと組み上げられた感がしてステキです。
視点が葉村に固定されていて、その語り口にうっすらとユーモアが漂うところもいい。

タイトル、「さよならの手口」
巻頭に掲げられている
「警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない、」
というチャンドラーの引用を意識したものですが、これに呼応するエンディングも見事ですね。
でもなぁ、これ、ちゃんとさよならできますかね?

次はこんなに待たせないでほしいですっ!

<蛇足>
それなりに重要な役どころとして登場する美枝子というおばさんの話し方が気になります。
「ねーえ?」
「ねーえ」
どういう発音なんだろな。


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秀頼、西へ [日本の作家 あ行]


秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)

秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)

  • 作者: 岡田 秀文
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
戦国末期。天下を手中にしようとしていた徳川家康は、大坂城に配下の者を忍び込ませた。一方、真田大助は、父・幸村より、落城の際には秀頼を連れ出し落ち延びよ、という密命を受ける。目指すは薩摩、島津家の元。燃えさかる大坂城を脱出した一行は西へ――。誰が味方で誰が敵なのか? 行く手には、想像を絶する謀略が待ち受けていた! 
迫真の傑作時代ミステリー。


岡田秀文は、カバー袖の作者紹介にもありますが、1999年「見知らぬ侍」で第21回小説推理新人賞を受賞し、2002年に「太閤暗殺」 (双葉文庫)で第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作家です。
「太閤暗殺」 は読んでいます。
中身はほとんど覚えていないんですが、おもしろかったと思います。
岡田秀文は、ここ数年「伊藤博文邸の怪事件」 (光文社文庫)「黒龍荘の惨劇」(光文社)が評判ですね。
「伊藤博文邸の怪事件」 を買ってあって、読む前に岡田秀文の別の昔の本も読んでおこうと思って、この「秀頼、西へ」 を手に取りました。
単行本の時のタイトルは「落ちた花は西へ奔れ」だったのですが、文庫化で「秀頼、西へ」 へタイトルが変更されています。
中身がわかりやすくなりましたね。
大坂夏の陣で淀君と豊臣秀頼は自決し、豊臣家は滅亡した、という史実がありますが、実は秀頼は生き延びて西へ逃れたていた...と。
解説の細谷正充によると、こういう伝説があるんですね。

主人公は、真田幸村の息子大助。おっ、地味...
でも、この地味さがいい感じに仕上がっています。
一種の成長物語にもなっていますし、大坂城にいた侍女茜との恋(?) もあり、娯楽小説の王道です!

しかし、この作品はポイントはやはり、張り巡らされている策謀・謀略、でしょう。
徳川家康や本多正純、片桐且元に真田幸村・大助父子、そして薩摩の島津義弘に息子の家久。
誰が敵で、誰が味方なのか。
一見敵のようで味方、味方のようで敵、なんて生ぬるい方で、一見敵のようで味方と見せかけた敵なんかもいますし、そもそも何を目指すかによって、味方か敵か自体がくるくると入れ替わってしまう。そんなこの時代ならではの化かし合いがみどころです。
家康と島津義弘なんて、まあ、キツネとタヌキというと、キツネやタヌキが「俺たちそこまで性格悪くないよ」と怒って来そうな...
ラストで明かされるそれぞれの思惑は、なかなか深いです。
一方で、大助・茜がさわやかな読後感を残してくれます。

なかなかよかったですね。
今さらながら、岡田秀文、ちょっと注目です。


<蛇足>
楽しく読みましたが、
「申しわけございません。」(379ページ)
というせりふはあまりにも興ざめですねぇ。


タグ:岡田秀文
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黄金のアデーレ 名画の帰還 [映画]

黄金のアデーレ T0020398p.jpg


映画のHPから引用します。

数奇な運命を辿った名画に秘められた真実の物語が、今、明かされる--。
82歳の女性と駆け出し弁護士が国を訴えた!?
20世紀が終わる頃、ある裁判のニュースが世界を仰天させた。アメリカに暮らすマリア・アルトマン(82歳)が、オーストリア政府を訴えたのだ。
“オーストリアのモナリザ”と称えられ、国の美術館に飾られてきたクリムトの名画〈黄金のアデーレ〉を、「私に返してほしい」という驚きの要求だった。伯母・アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である自分のもとに返して欲しいというのが、彼女の主張だった。共に立ち上がったのは、駆け出し弁護士のランディ。対するオーストリア政府は、真っ向から反論。
大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てたマリアが、クリムトの名画よりも本当に取り戻したかったものとは──?


昨日感想を書いた「ミケランジェロ・プロジェクト」と2本立てでした。
「ミケランジェロ・プロジェクト」に続いて、実話に基づいた物語、でした。

この「黄金のアデーレ 名画の帰還」は、なにより主役マリア・アルトマンを演じるヘレン・ミレンが素敵です。
82歳という役柄にしては若々しいですが、品があって、とてもチャーミングです。
プライド、というよりも、なんだか、矜持、と呼びたい感じの心持ちの、背筋がぴんと伸びた女性です。
ラストで、本物のマリアの写真も出てきましたが、これも矜持ある女性という感じで素敵でしたねぇ。

弁護士役のライアン・レイノルズも、あまり弁護士、弁護士した雰囲気なく、いい感じですね。

名画として知られているクリムトの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」の所有権をめぐる争いです。
マリアの伯母アデーレを描いたこの絵は、マリアの家族がクリムトに描かせたもので、ナチが襲ってきたときに奪われてしまったもの。

物語は、個人対国家という裁判というおもしろい展開になります。
素人なので、誤解もあると思いますが、流れを書いておきます。
オーストリアが制定した美術品返還法に基づき、オーストリア(ウィーン)で委員会に提訴。
オーストリア政府側は、アデーレの遺言(夫の死後は美術館に寄贈したい)に裏打ちされている、と主張。
一方で、マリア&ランディは、アデーレの夫の死よりも前に絵は奪われていることを明らかにし、さらに、絵の正当な所有者はマリアではなく、マリアの夫である伯父さんであることを代金の支払い状況から確認し、かつ、伯父は財産をすべて姪に残すことを遺言で決めていたことをつきとめて、提出。
結果は、マリアに換返還せず。どう考えても、マリアの方に正当性はあるように見受けられるんですが、まあ、オーストリアに対する訴えをオーストリアでやるとこうなりかねないですよね。
オーストリアで裁判を起こすには、保証金180万ドル(!)を積まなければならず、断念。

ところが、オーストリアをアメリカで訴える方法がある! というのが次のポイントになります。
3つの要件を満たせば、ということで、見事に満たすことが判明して裁判に。
ここで、裁判は、アメリカの裁判所に管轄権があるかどうか、がまず争われていきます。
最高裁まで行くシーンは、ある意味一つのクライマックスですね。
で、マリア側が勝訴したけれど、今度はそれから、絵の実際の所有権の帰属をめぐる裁判に。
オーストリア側が徹底した引き延ばし作戦をとる中、高齢のマリアが、数次にわたる裁判をやり遂げられるのか? 
和解の申し出をオーストリア側が断ったことから、ランディはオーストリアでの調停をしようとする。
で、あれっ? と素人としては思うわけです。
調停って...調停案には拘束性がないので、気に入らなければマリアは従わなければよいはず...なのに、絶対的な判決みたいな感じで扱われている。
これ、仲裁、とすべきところを、誤訳でしょうねぇ。と思って、ググったら、弁護士の方のHPに解説がありました。ネットってありがたいですね。
はい、やはり、仲裁、というべきでしょうねぇ、日本語の感覚からすると。

さておき、マリアにしてみれば、気の進まなかったアメリカでの訴訟がせっかく軌道にのっているのに、どうしてオーストリアの仲裁をランディが選ぶのか、ということなんでしょうねぇ。完全アウェイですし、最初の委員会のようになることを考えてしまいますよね。
一方でランディにしてみれば、賭けは賭けだけれど、マリアの年齢を考えると...というところ。
ここは難しい判断ですね。映画では、マリア演じるヘレン・ミレンが若く見えるので、ぴんと来ないのが難点でしょうか。

もう一つの注目は、マリアによるウィーンの回想シーン。こちらも素敵でした。
(いや、もちろん、ナチに蹂躙されていくことが分かっているので、楽しそうであればあるほどつらくなるんですが...)
非常に豪華な、そしてハイソな一族で、楽しめます。

実は事実に基づいた話ってことで、あまり期待していなかったのですが、うれしい誤算。
とても楽しく、充実した映画でした。


最後に、いつものシネマ・トゥデイからも引用しておきます。

チェック:ナチスに奪われた世界的に有名なグスタフ・クリムトの名画を取り戻すため、オーストリア政府を相手に返還訴訟を起こした女性の実話を基に描いた人間ドラマ。肖像画のモデルとなった女性のめいで、戦争に運命を翻弄(ほんろう)された実在の主人公をオスカー女優ヘレン・ミレンが好演する。彼女とタッグを組む弁護士に、『[リミット]』などのライアン・レイノルズがふんし、『ラッシュ/プライドと友情』などのダニエル・ブリュールらが共演。『マリリン 7日間の恋』などのサイモン・カーティスがメガホンを取る。

ストーリー:アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画で第2次世界大戦中ナチスに奪われた名画が、オーストリアにあることを知る。彼女は新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こす。法廷闘争の一方、マリアは自身の半生を振り返り……。


<蛇足>
個人的にはこの絵、ウィーンのベルベデーレ美術館で見たような気がします...
返還前、ですね。


原題:WOMAN IN GOLD
製作年:2015年
製作国:アメリカ / イギリス




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ミケランジェロ・プロジェクト [映画]

ミケランジェロ・プロジェクト T0016180p.jpg


GWに、飯田橋ギンレイホールという、いわゆる名画座で観ました。

映画のHPから引用します。

美術の専門家で結成された特殊部隊"モニュメンツ・メン"は、
美術品を奪還するため1944年7月フランス・ノルマンディの上陸。
ヨーロッパ各地を手分けして捜索するも、
全ては奪われた後だった…。
そんな中、敗北を悟ったヒトラーは、
遂に「ネロ指令」-ドイツが敗北した際には全てを破壊すること-を発令し、
一刻の猶予もなくなる。
世紀の美術品は、どこに隠されているのか…。
あることに気づいたとき、彼らの怒涛の快進撃が始まる!


いつものシネマ・トゥデイからも引用しておきます。

チェック:『オーシャンズ』シリーズなどのジョージ・クルーニーが、製作・監督・脚本・主演をこなした実録サスペンス。第2次世界大戦末期を背景に、ナチスドイツに奪われた美術品を取り戻す命令を下された者たちの姿を活写していく。『ボーン』シリーズなどマット・デイモン、『アビエイター』などのケイト・ブランシェット、『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイら、実力派スターが共演。彼らが繰り出す重厚で濃密な物語もさることながら、戦下での壮絶な戦闘を描写したアクションも見もの。

ストーリー:ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーの命を受け、ドイツ軍は侵攻した欧州各国の美術品を略奪。それに強い危機感を抱くハーバード大学付属美術館の館長ストークス(ジョージ・クルーニー)はルーズベルト大統領を説得し、美術品や歴史的建造物を保護する部隊モニュメンツ・メンを結成する。中世美術に精通したグレンジャー(マット・デイモン)や建築家キャンベル(ビル・マーレイ)などのメンバーを集め、ヨーロッパ各地を奔走。だが、劣勢を強いられて自暴自棄になったナチスや、妨害しようとするソ連軍が彼らの前に立ちはだかる。


"モニュメンツ・メン"のなかに死者も出るのですが、どことなくおっとりしていように観えたのは、美術品の奪還という、戦場の最前線とはちょっといいがたい題材だから、というよりは、製作のジョージ・クルーニーの狙いなんでしょうね。
そもそも、"モニュメンツ・メン"のメンツは、美術系としてはプロでも、兵士としてはアマチュアもアマチュア。どうみても単なるジジイみたいなのも交じってる(笑)。"モニュメンツ・メン"のやり方も、どう贔屓目にみてもいきあたりばったりだし、かなりの運に左右されています。実際の活動はもっと計画的で緻密だったのでしょうねぇ、きっと...
ナチスがどこに美術品を隠していたのか、というのは、ミステリファンからすると安直な絵解きで意外性はかけらもないのですが、その分現実味がありますし(なにしろ、実話です)、膨大な美術品を隠すにはそれなりの規模が必要だからやむをえませんね。
ただ、総統美術館に収納する予定だった品々の置き場所はちょっと疑問ですね(と、史実にケチをつけてもしかたないのですが)。連合軍に狙われそうなんですが...

なので、ナチスの出てくる戦争を背景にした映画にしては、かなり悠長な部類に入る、珍しい作風で、なかなかおもしろいところを狙っているなぁと感じました。

人の命は美術品よりも尊い、という命題は、かなり早い段階でジョージ・クルーニー演じるストークスから語られるのですが、一方で美術品をナチスから守ろうとし、あるいは、美術品奪還のために命を落とすものもいる。このあたりをどう扱うかは、娯楽映画として作る以上結構重要なポイントじゃないかと思うのですが、人の暮らしの積み重ねとしての美術品、という無難な着地でしたね。美術品奪還のために、誇らしく死ねる人たちがいる、というだけで十分な気もしました。

全体に、淡々と進んだ印象で、映画監督としてのジョージ・クルーニーって、意外と変な映画(褒め言葉です)を乱発してくれる期待感を持ちました。

<蛇足>
しかしねぇ、どうしてモニュメンツ・メンが、ミケランジェロ・プロジェクトになるんでしょうねぇ???


原題:THE MONUMENTS MEN
製作年:2013年
製作国:アメリカ




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