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船から消えた男 [海外の作家 F・W・クロフツ]


船から消えた男 (創元推理文庫)

船から消えた男 (創元推理文庫)



<裏表紙あらすじ>
やむを得ず長い婚約期間を過ごしているジャックとパムの許に、桁外れの儲け話が舞い込んだ。懸案の経済問題が解決し憧れの結婚生活は目前--と思われたそのとき運命は暗転する。失意のどん底でパムは一縷の望みを見出し、海を渡ってロンドンへ。フレンチ主席警部に会おう。管轄外の事件ながら、捜査に関わり、公正で親切そうだったあの人なら助けてくれるんじゃないかしら……。


2015年の復刊フェアの1冊です。
引用しておいてなんですが、↑ あらすじとは思えませんね...
ここに書かれているパムの行動は、物語もかなり後半になってからのものですから。


創元推理文庫恒例で扉のあらすじも引用します。

北アイルランドの小さな町で平穏な毎日を送っていたパミラと婚約者ジャックはある化学上の発見の実用化計画に参加することになった。発見とは、ガソリンの引火性をなくし危険性のない燃料にできるというものだった。実用化されれば彼らが巨万の富を得るのは間違いない。計画が進み、ロンドンのある化学会社との契約成立も間近というとき、その化学会社の社員が失踪した。ロンドンへ向かう船から姿を消したのだ。数日後、彼は水死体となって発見された。ベルファスト警察からの要請で捜査に乗り出すフレンチ警部。事態は意外な展開を見せ……。


こちらの方がストーリーがわかりますね。
ここに書かれているようなガソリンを安定化させる技術、実現したら確かにさぞかしお金になることでしょう。
パムが喜ぶのもわかる。

この作品の特徴は、このようにパムの視点のパートが結構多いということでしょう。
逆にいうと、フレンチ警部の視点のパートの方が少ない。ほかにも2名視点となる人物がいまして、合計4名の視点でつづられます。
この視点の切り替えがなかなか物語としては効果的だったと思います。
パムの視点が多いので、本格ミステリのごりごりした感じがやわらいでいるのもポイントですね。
法廷シーンもあるのですが、パムの視点で描かれるので、結構はらはらします。

犯人をつきとめる手がかりであったり、船を舞台にしたトリックだったりは、お世辞にもうまくいっているとはいえない出来栄えですが、結構どぎつい事件をあっさりと読ませてしまう作品に仕立てている点、クロフツもうまいもんだなぁ、と感心しました。
ただ、ストーリー展開の核となった、ガソリンを巡る技術、ちょっと軽く扱いすぎですよ、クロフツさん。ものすごい注目を集めちゃうテーマなんだから、もう少し気を配ってもらえれば...



<蛇足1>
被害者が会社に打っている電報が、真相を知ってから考えるとちょっと???です。
こんな電報、打たないでしょ...


<蛇足2>
原題、Man Overboard! って、船から「人が落ちたぞ~」という言葉なんですが、そういうシーン、本書にありません...


原題:Man Overboard!
作者:Freeman Wills Crofts
刊行:1936年
訳者:中山善之





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三つの棺 [海外の作家 ジョン・ディクスン・カー]


三つの棺〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

三つの棺〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)



<裏表紙あらすじ>
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授のもとを、コート帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男が訪れた。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた!  しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていたのだ!  名高い〈密室講義〉を含み、数ある密室ミステリの中でも最高峰と評される不朽の名作


2014年に出た新訳です。
帯には訳者あとがきからの引用で、

1981年に17人のミステリ作家、評論家が選出したオールタイム不可能犯罪ミステリ・ランキングで、ヘイク・タルボット『魔の淵』、ガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』などをおさえて第1位に輝いたのが本書。なにしろ選出にあたったのが、フレデリック・ダネイ、ハワード・ヘイクラフト、エドワード・D・ホック、リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク、フランシス・M・ネヴィンズJr.、ビル・プロンジーニ、ジュリアン・シモンズ、オットー・ペンズラーといった錚々たるメンバーなので、その品質保証には全幅の信頼がおけると言えよう(本書「訳者あとがき」参照)。

と書かれています。
名作と誉れ高いこの作品、当然、旧訳でも読んでいます。が、例によってうろ覚え...
〈密室講義〉にのみ気をとられていたことがよくわかります。
--この種の講義の常として、いくつかの作品のネタバレがされているので要注意です。まあ、いずれも古典的名作ではありますが、未読の方には嫌な状況ですね。

ただ、忘れていた自分を弁護するわけではありませんが、この作品、すごく込み入っているんです。メインとなっているのはシンプルなアイデアなんですが、その周りに贅沢にちりばめられた小技の数々、数々、数々、こりゃ、また、忘れるわ、きっと。
それでも、今回読み返すこととなって、メインとなっているアイデアと、周りの小技の組み合わせの剛腕ぶりには、さすがカーと、ため息がでちゃうくらいの凄いレベル。
凄い状況、謎を作り上げるぞー、というカーの強い意気込みが感じられます。

吸血鬼伝説、というか、墓場からの甦りを成し遂げた人物グリモー教授が被害者となる、という結構強烈な話なんですが、もうバリバリ、カー全開です。
何とも言えない恐ろしげな雰囲気がカーの魅力の一つですし。
その分、小技には無理に次ぐ、無理が見られてしまいます。
「コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男」にまつわるところなんか、出現する現象の凄さに、思わず叫びだしたくなるようなアイデアなんですけど、図入りで説明されても、うーん、これはないなー。
「二発目はお前にだ」というセリフとともに殺されるフレイ(グリモー教授と因縁のあった奇術師)も、わくわくする中身なんですが、こちらもなー。このトリックは成立しなだろう、きっと。

と建て付けはあんまりうまくないような気がするのですが、読んでいて、こりゃだめだ、という気にはなりません。
素敵な不可能状況のために、これでもか、これでもかと趣向を詰め込んでいくカーに圧倒されるからです。
数々の仕掛けの凄さは、 SAKATAM さんのHP「黄金の羊毛亭」をご覧になると、技巧に感心できます。

個人的には一番感心したのはタイトルですね。
新訳、復刊でカーの作品がどんどん読めるようになることを引き続き期待します。


<蛇足1>
「びっくり箱のなかにいた禿頭のように跳び上がった」(200ページ)って、どういう比喩なんでしょう?

<蛇足2>
ヒズ・マジェスティーズ劇場というのが201ページに出てきますが、これ、現在の Her Majesty's Theatre と同じでしょうか? オペラ座の怪人を上演している劇場です。

<蛇足3>
「足の指のつけ根ですばやくなめらかに歩くところを見ると、おそらく空中ブランコか綱渡りをする男だ」(221ページ)って、どういう歩き方なのかなぁ、気になる。



原題:The Three Coffins
著者:John Dickson Carr
刊行:1935年
訳者:加賀山卓朗




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京都寺町三条のホームズ [日本の作家 ま行]


京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)

京都寺町三条のホームズ (双葉文庫)



<裏表紙あらすじ>
京都の寺町三条商店街にポツリとたたずむ、骨董品店『蔵』。女子高生の真城葵はひょんなことから、そこの店主の息子、家頭清貴と知り合い、アルバイトを始めることになる。清貴は、物腰は柔らかいが恐ろしく勘が鋭く、『寺町のホームズ』と呼ばれていた。葵は清貴とともに、客から持ち込まれる、骨董品にまつわる様々な依頼を受けるが―古都を舞台にした、傑作ライトミステリー!


結構人気があるシリーズのようです。
このシリーズ第1作「京都寺町三条のホームズ」 (双葉文庫)が出たのが2015年4月。
すでに
「真贋事件簿-京都寺町三条のホームズ(2)」 (双葉文庫)
「浮世に秘めた想い-京都寺町三条のホームズ(3)」 (双葉文庫)
「ミステリアスなお茶会-京都寺町三条のホームズ(4)」 (双葉文庫)
「シャーロキアンの宴と春の嵐-京都寺町三条のホームズ(5)」 (双葉文庫)
と第5作まで出ています。

帯に
E☆エブリスタ【ミステリ・推理小説】ランキング1
と書いてあります。
しかし、これをミステリとして評価するのは相当苦しいと思います...
引用したあらすじの最後に「ライトミステリー」とあり、作者によるあとがきでも「よし、それじゃあ、京都を舞台にしたライトミステリーを書こう!」となっていますが、ライトもライト。軽すぎて、薄すぎて、もう、ミステリーの味、ほとんどしませんよ。
ライトミステリーというのは、定義が今一つ定かではありませんが、きっと、ミステリとは別物なのでしょう。
よくある「京風~」が、京都の人から見たらちっとも京都を感じさせないものであるのと同じなんですね。

帯にはさらに「いけずな京男子が鑑定するのは骨董品に秘められた謎」と書いてあります。
骨董品に秘められた謎、というのも実際のところはよくわかりません。どこに謎があったのかしらん??
あと、ホームズと呼ばれている家頭清貴(やがしらきよたか)というのが「いけずな京男子」なわけですが、ちっともいけずではありません。
文中にも、頻繁に葵が清貴のことをいけず、いけずというのですが、どこがいけずなんでしょう。こんなかわいいの、いけずのうちには入りませんよ。

とまあ、悪口にしか思えないコメントを連ねてきましたが、でも、この作品、おもしろかったかどうかというと、おもしろかったんです、個人的に。ミステリとしての評価は別にしまして。厳密にいうと、小説としての評価も別にして、となりますが(ケータイ小説やラノベにまともな小説としての結構を求めるな、というお声もあるでしょうから)。

そもそも、骨董品を扱いながら、その来歴を問うたり、あるいは真贋を争ったりしない、というのがすばらしい。

また、いかにもな、わざとらしい京都がずんずん出てくるところがいいではありませんか。
文章とか雰囲気はちっとも京都を感じさせませんが、そのかわり、地名や事物、祭りなどで京都を押しつけていく感じ、楽しいです。
京都というのは、意外と舞台にするのが難しい場所だと思います。観光という観点で観るのと、暮らしという観点で観るのとの落差が定まりにくい地だと思うので。
作者は2013年から京都にお住まいとのこと、京都のいいところ、悪いところ、きちんとご覧になったうえで、選んで、掬い上げて小説に盛り込んでおられるのでしょう。京都以外の地の人が読んだ時のわかりやすさを最重要視しながら。
(それでも、京都の仲居さんは、「こちらのお席を用意させていただきました」(198ページ)とは言わないでしょう。まあ、最近の若い仲居さんならいうかもしれませんが)
1年や2年住んだからって、京都の何がわかると言うのか、という京都の人がいいそうなことは言いません。京都素人から観てのわかりやすさ、こそがこの作品の身上だと思いますから。
さきほど申し上げた通り、これはライトミステリー。京風であればよいのです。

ホームズこと清貴と、葵の関係も、わかりやすいっちゃあわかりやすいんですが、その分親しみやすい。
清貴の、父、祖父のキャラクターも、ほどよく奇矯でなかなかよろしい。
この雰囲気は、きっとずっと楽しめます。(文章がもうすこしまともならもっとよい)

そしてもう一つ、この作品はミステリらしさがほとんどありませんが、この作者、ミステリがお好きなんじゃないかと思うんです。
ホームズという名を使っていて、あとがきで、「敬愛するコナン・ドイル先生」と書いているから、だけではなく、作中、ちらちらとミステリっぽい手法やノリが紛れ込んでいるように思われるからです。
そちらの風味を強く打ち出してもらえたら、個人的にはさらに親しみやすくなるのにな、と思いました。











タグ:望月麻衣
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ダンジョン飯(3) [コミック]


ダンジョン飯 3巻 (ビームコミックス)

ダンジョン飯 3巻 (ビームコミックス)



<帯惹句>
焼いて食う? 刺身でいく?
巨大クラーケン!!
大きくて強いヤツほど美味いのか!? 魔物食を極めるため、いざ進め!
知られざる魔物の生態と、食への活用法が、いま明かされる!
<裏表紙側帯惹句>
地下4Fは水のフィールド。美味しそうな魔物がいっぱい!
と思いきや、手強い奴らに四苦八苦。どうなるライオス一行!?


第3弾です。!
今回は
第15話 雑炊
第16話 蒲焼き
第17話 木苺
第18話 焼き肉
第19話 テンタクルス
第20話 シチュー
第21話 大ガエル

それぞれの料理は、
第15話 そのへんに落ちてた大麦の雑炊
第16話 ジャイアントクラーケンについてたジャイアント寄生虫の蒲焼き&白焼き
第17話 この話は、マルシルとファリンの魔術学校時代の回想シーンです。
      料理ではなく、文字通り、木苺をそのまま食べます。
第18話 水棲馬(ケルビー)の焼き肉
第19話 テンタクルス(触手生物)の酢和え。
第20話 ウンディーネで煮込んだテンタクルスと水棲馬(ケルビー)のシチュー
第21話 テンタクルスのニョッキ


帯にもありますが、水のフィールド、を舞台にしていても、水産物尽くしではありませんね。
むしろ、水産物は水棲馬(ケルビー)だけかも。
シリーズの展開的には、ファリンを助けに行く間のエピソード、というところでしょうか。
第2巻感想にも書いた通り、キャラクターやそれにまつわるエピソードに焦点が当たっていて、じゃんじゃん料理していく~、という感じではなくなっています。
たとえば、第16話、クラーケンを食ってない!!

1番笑ったのは第15話の1シーン。
ローレライ伝説の様に、歌声で人を引き込んでしまう人魚に対して、ライオスが合わせて歌いだすというところ。
人魚はそれで歌うのをやめてしまう。
チルチャックの解説が秀逸で、
「知らない奴が急に歌を合せてくるって相当な恐怖だぜ」
怪物(人魚)を怖がらせるって、ライオス、お前何者!?

1巻の頃の様に新鮮さを感じなくなってしまっていますが、それでも快調です。第4巻にも期待!!



タグ:九井諒子
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