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C.M.B.森羅博物館の事件目録(22) [コミック 加藤元浩]


C.M.B.森羅博物館の事件目録(22) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(22) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: コミック




この第22巻は、
「夏期補講授業」
「ガラスの楽園」
「螺旋の骨董品店」
の3話収録です。

「夏期補講授業」は、夏期補講後に、電研のソーラーカーを壊したのは誰か、という謎を扱っています。
謎自体は他愛ないですが、ソーラーカーの特性が活きていてよかったです。
あと、嫌みな教師が
「世の中数学や物理みたいに正解が一つしかないことばかりじゃない!
 いろんな正解のある学問こそ人生には大事なんだ」
というのに対応して、森羅が
「正解が一つしかない勉強をする理由はね
 自分が間違えることをしるためにやるんだよ」
と返してみせるところ、かっこいい。

「ガラスの楽園」は、ガラパゴス諸島を指します。
自然環境を守る立場と、生活のため金儲けをする立場の対比。
それと、大昔ダーウィンがガラパゴス諸島を巡っていた頃のエピソードが描かれます。
現代のパートとダーウィンのパートの結び付け方が素晴らしいですね。
ダーウィンが自然選択の考えを得た理由が、この「ガラスの楽園」で描かれたような事件があったから、だったら本当に楽しいかも。

最後の「螺旋の骨董品店」は、一転して地味~な日本の骨董品店の殺人事件。
螺旋状のお店というのが、いいですねぇ、ばかばかしくて(褒め言葉です、為念)。
並んでいるのがニセモノばかりで、「本物だったら目玉が飛び出るほど高いよ」というのが口癖の店主って、なんかいいですねぇ。
この螺旋状の変な骨董品店の謎を探るっていうのもおもしろい趣向でした。
殺人のトリックもかなりの定番だな、と思っていたのですが、読み返してみると、かなりつなわたり的な情景で、よくあるトリックもこうやってちゃんと吟味してみないといけないのだなぁ、と変なところに感じ入りました。



タグ:加藤元浩 CMB
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Q.E.D.証明終了(44) [コミック 加藤元浩]


Q.E.D.証明終了(44) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(44) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: コミック




この第44巻には「チューバと墓」と「Question!」の2つの話が収録されています。

「チューバと墓」は、お騒がせ探偵同好会の面々が殺人事件を目撃します。
お手本のようなミステリというか、定石通りの仕上がりなんですが、これ、うまくいきますかねぇ?
死体がどこに行ったのか、という部分の答えは皮肉が効いていて楽しかったんですが。

「Question!」は、離婚協議中の二組の夫婦が、謎の招待を受けて、謎の(?)別荘に集められてクイズ(?)に挑む、という話。
フェルマーの定理とか、ゴールドバッハ予想とか、派手な話題が出てきますが、派手である分、誰が仕組んだのか、の答えがわかりやすくなってしまっています。こんなの夫婦がすぐに気づくんじゃないですかねぇ?
それでも、
「(数学は)問題を解くのも才能……
 でも問題が作れるのも大事な才能」
という燈馬のセリフがポイントなのでこの作品はこれでいいんですね、きっと




タグ:加藤元浩 QED
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怪盗紳士モンモランシー [海外の作家 あ行]


怪盗紳士モンモランシー (創元推理文庫)

怪盗紳士モンモランシー (創元推理文庫)

  • 作者: エレナー・アップデール
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/08/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
囚人493ことモンモランシー。警察から逃げる際瀕死の重傷を負ったが、運良く若き外科医ファーセットの治療の被験者となり、一命をとりとめた男。無事刑期を終えたモンモランシーは高級ホテルに滞在しながら、昼間は紳士、夜は泥棒、ふたつの顔を使い分け、次々とお宝を頂戴していく。だがある日暴れ馬を取り押さえたことで、彼の運命は大きく変わることに。痛快シリーズ第一弾。


今年6番目に読んだ本です。
帯に
昼間は紳士
 夜は泥棒 
 二つの顔を持つ男
高級ホテルに滞在しながら、ロンドンの地下を縦横に駆け、次々とお宝を頂戴する。」
とありまして、こういう話、なんだか魅かれるんですよねぇ。

で、読んでみて冒頭から、あらら...
紳士が泥棒もする、という話ではないんですね。
泥棒が、紳士になるというお話でした。
勝手に、紳士が泥棒もするんだと思い込んでいました。
怪盗紳士と言えば、アルセーヌ・ルパンですが、たしかにルパンも出自は紳士でなかったかも...(記憶は怪しいですが、wikipedia では、父親は体操教師となっていますね)

ということで、シリーズ第1巻となるこの「怪盗紳士モンモランシー」では、泥棒が紳士になるまでと、なってから、あらすじにもある「運命が大きく変わる」までを描いています。
ということで、あまりミステリーっぽくはない。

泥棒ではあるんですが、この主人公、なかなかいい奴っぽいです。
ほぼ視点人物でもありまして、彼の視点で描かれるストーリーやモノローグ的な部分は、違和感なく読めます。
おもしろいのは、昼間は紳士、夜は泥棒というパターンを使っているのですが、二重人格というか、紳士側がモンモランシー、泥棒側がスカーパーと、それぞれに名前を与えて、あたかも二人の人間であるかのように取り扱っているところです。

どうも、この本の翻訳が固くて(内容の割にはかなり読みにくかったです)、「原作で読むとこのあたりが面白く書かれているんじゃないかなぁ」と何度も何度も読書中に考えました。
一人二役的な部分もそうですし、「運命が大きく変わる」部分も、たとえばバルカン諸国にあるマウラマニアの大使館でのシーンなど、ちょっとドタバタコメディみたいな雰囲気がある展開になるんですが、ちっともそういう感じが出ていないんですよね。重々しい。

ミステリーらしさはほぼないですが、書かれたのは2003年と新しいものの、古き良き時代の大衆小説っぽくて楽しかったです。
次の「怪盗紳士モンモランシー2 (ロンドン連続爆破事件) 」(創元推理文庫)がもう出ていますので、どう展開していくのか楽しみです。


原題:Montmorency
著者:Eleanor Updale
刊行:2003年
訳者:杉田七重






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友の墓の上で 怪異名所巡り 8 [日本の作家 赤川次郎]


友の墓の上で 怪異名所巡り 8

友の墓の上で 怪異名所巡り 8

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/08/05
  • メディア: 単行本


<帯紹介文>
自殺した親友を偲ぶバスツアーを企画する男、兵器設計の仕事を断った技術者、億万長者である若き実業家の妻……。〈幽霊と話せる〉名物バスガイド・町田藍が、人々の感情を読み解き、難事件に立ち向かう! 人気シリーズ第8巻。


シリーズ第8巻の本書には
「友の墓の上で」
「人のふり見て」
「乙女の祈りは永遠に」
「地の果てに行く」
「殺意がひとり歩きする」
「夢は泡に溶けて」
の6編を収録。

マンネリ化していると思っていたシリーズ(失礼)なので、いつも通りさらっと読めて、そこそこ楽しめればいいや、と思って読み始めたのですが、冒頭の表題作「友の墓の上で」でびっくり。
パターン通り幽霊(あるいはそれに類するもの)が出てきて、生きていた頃の思いを伝える、という話だと思っていたら、なるほどねー、町田藍の霊感にそういう使い方があるんだ...と思えました。普通に考えれば、当たり前の使い方なんですが、このシリーズの中に置くと新鮮。
生者と死者の思いが、すっと交錯するところなんて、見事ですねぇ。

そのあとの「人のふり見て」「乙女の祈りは永遠に」「地の果てに行く」では、ゴースト・ストーリー、怪談のいろいろなヴァリエーションを見せてくれます。

そして「殺意がひとり歩きする」。
怪異現象的なことも出てきますが、力点はそこにありません! 
人物設定が若干現実離れしているというか、ファンタジックな方向へ振れてしまっていますが、ミステリではそれほど珍しい物語ではないのに、このシリーズの中に置くと、不思議な存在感を示す作品になっています。

ラストの「夢は泡に溶けて」は正統派の(?) 怪談で締めくくっていますが、

前作「とっておきの幽霊 怪異名所巡り 7」 (集英社文庫)の感想(リンクはこちら)でも、マンネリ、マンネリと言って申し訳なかったです。
読者がマンネリと思い込むのを逆手にとって、ありふれた話を一味違った風味に仕立てる、ベテランの技だと感じました。



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レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち [日本の作家 篠田真由美]


レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち (講談社タイガ)

レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち (講談社タイガ)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/18
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
アルヴァストン伯爵家で行われた晩餐会の夜、「エトワール」と讃えられるダイヤモンドの耳飾りが片方だけ、忽然と消えた。
スコットランド・ヤードも手を焼くその事件は、噂話には事欠かないヴィタ・アメリ・シーモア元子爵夫人に持ち込まれることに。
天真爛漫なレディと笑顔ひとつ見せない美貌で有能なメイド。19世紀ロンドンを舞台に自由な女性たちの冒険が、はじまる!


講談社タイガで始まった、篠田真由美の新シリーズです。
ヴィクトリア時代で、上流階級をめぐる事件で、かつ、メイドや使用人の世界も描く、というとなにやら流行に乗った作品のようです。
あとがきにも
「リアルなヴィクトリアン・メイドが活躍するミステリはありだろうか。」
と書かれていますので、それっぽい。
でもね、篠田真由美がそんなひょいと流行に乗っかったような話、書くわけないっしょ、ということで注意しながら読み進めます。

第1章でレディ・ヴィクトリア、先代シーモア子爵の未亡人ヴィクトリア・アメリ・シーモア(通称? ヴィタ)が登場するのですが、そもそも異色の貴族、です。
アメリカ出身で、お召し物もなかなか奇抜。
第2章で持ち込まれた謎が絵解きされるわけですが、いやあ、ここでニヤリとしてしまいました。
レディ・ビクトリアって、「貴族探偵」 (集英社文庫)なんですか!?
ヴィタのレディスメイドであるシレーヌがカギを握っていそうです。

で、ここで読者としては思うわけです。レディ・ヴィクトリアをめぐる使用人たちとの関係からして、本書で描かれるのは、ちっとも「リアルなビクトリアン・メイド」ではないのでは? と。
確かに、レディ・ヴィクトリアと使用人の関係の特異性と対比するかのように、それこそダイヤモンド消失事件の舞台となったアルヴァストン伯爵家のように、伝統的な? 正統派の? メイド、使用人も登場しますが、物語の比重はやはりレディ・ヴィクトリアでしょうからねぇ。

登場の仕方からして、レディ・ヴィクトリアは謎めいた人物として描かれているのですが、徐々に徐々にレディ・ヴィクトリアの謎が明らかになってくるので、より一層そう思いますね。
シリーズの展望は、レディ・ヴィクトリアがいかに敵(正体は、この第1巻「レディ・ヴィクトリア アンカー・ウォークの魔女たち」 で明らかになりますが、ここでは伏せておきます)と闘うかにあるのでしょう。
とすると、メイドたち云々というのは、背景、ということになると思います。
篠田真由美のことですから、リサーチも行き届いていると思われますし、ディテールは十分楽しめます。贅沢な感じ。

レディ・ヴィクトリアを読者に見せていくやり方も凝っています。
第1章、第2章では依頼人となる人物からの視点を中心にしてありますが、第3章からは野次馬とでもいうべき、お向かいさんの視点(!)。そしてさらっとレディ・ヴィクトリア視点が導入されたりもします。
このあたりの呼吸が、読者によっては読みやすい、あるいは読みにくいという感想につながりそうです。

ミステリ的には、冒頭の、晩餐会で消えたダイヤモンドの行方を推理するエピソードが一番ミステリっぽい。
舞台設定からして「盗まれた手紙」なんだな、と推察できてしまうので、謎解きには意外感はないものの、手段と動機が混然一体となっているので、ああうまく仕込んだなぁ、と感心できます。(真相の手がかりを大胆にさらしてある点も高ポイントなのですが、当時の人、殊に貴族だったらすぐに気づくんじゃないか、と思えるのは難点です)
以降の謎ときには、金持ちはなんでもできる、的な匂いが少しする点気になりますが、シリーズ全体のトーンが対決物なのだとしてら、これはOKということなのでしょう。

その、レディ・ヴィクトリア対敵の対決、というパターンになっていくシリーズだと思われますが、キャラクターからして、もってまわったような対決となりそうなのが、逆に期待度大です。
次の「レディ・ヴィクトリア 新米メイド ローズの秘密」 (講談社タイガ)も出ていますし、どういう風に展開するのか、楽しみですね。


<蛇足>
ヴィクトリア時代のレディスメイドが
「とんでもございません」(16ページ)
「申し訳、ございません」(34ページ)
なんていうのは、とんでもないことだと思うんですが...

<蛇足2>
アンカー・ウォークというのは、チェルシー河岸近くの小路、という設定ですが、架空の地名のようです。




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見えない復讐 [日本の作家 石持浅海]


見えない復讐 (角川文庫)

見えない復讐 (角川文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/09/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
エンジェル投資家・小池規彦の前に、同じ大学の後輩にあたる田島祐也が現れた。立ち上げたばかりのベンチャー企業への出資を求めに来たという院生の田島は、熱意と才能に満ち溢れた若者のように見えた。しかし彼の謎めいた行動から、小池は田島が母校の大学に烈しい復讐心を持っていることを見抜く。そして実は小池自身も、同じ復讐心を胸に抱いていたのだった……。「実行者(テロリスト)」と「支援者(スポンサー)」、ふたりの天才が繰り広げる極限の推理劇!


今年読んだ3冊目の本です。
とても石持浅海らしい作品でした。
極めて石持浅海作品らしい登場人物が登場します。
目次をみると第一話から第七話とありますが、序章、最終章で挟んでありますので、長編として読めばよいのだと思われます。

まず、法人への復讐を考える大学院生、というのがおもしろい。
そしてそのためには大きな金額の金が必要で、その金がないから、稼げばよい、とベンチャー企業を設立する、というのが、これまたおもしろい。
こんなこと、普通考えませんよね。
この大学院生田島と、彼に出資することになる投資家の小池が主要人物です。

田島の復讐の対象に対して、小池も恨みを抱いていて、田島の意図を見抜いて小池は出資を決断する...
いやぁ、無茶苦茶です。
でも、無茶苦茶だからいいんです。石持浅海らしい。

小池が田島に会社経営のアドバイスをした、というくだりを読んだところで、ひょっとするとベンチャー経営を扱った新しい小説になるんじゃないかな、という別の期待を抱きました。
事業がうまくいく、ということには、財務面、資金面もうまくいくということが兼ね備わる必要があります。企業が倒産するのは、金が回らなくなるから、です。
ですが、企業小説で事業の苦労そのものを描いたものはあっても、資金面、財務面を扱った小説はあまりないような気がしていて、この「見えない復讐」 (角川文庫)における小池のアドバイスが財務面であったことから、そこを重点的に扱った小説になるんじゃないかな、と期待したわけです。
この期待は裏切られましたが(そりゃあ、まあ、こちらの勝手な期待ですから)、肝心の復讐をめぐる、ロジック遊びは十分楽しめました。

法人に対する復讐の資金獲得のため法人(ベンチャー企業)を設立する、ということから、一つ予想していた展開があったのですが、違った展開を見せてくれました。
石持浅海、周到です。予想をはるかに超えるひねりを見せてくれました。
うーん、そちらへ話を転がしていきますか...なるほどねー。
エンディングはかなり衝撃的です。
異論もあろうかと思いますが、この作品のラストはこれがふさわしいようにも思えました。

ただ、作品全体として、後味が悪いんですよね。
物語の初めから「結果によっては多数の死者が出る」という前提に立っていることが明かされてはいますが(なにしろ、あらすじによれば、テロリスト、ですから)、復讐は、やはり無関係な第三者を巻き込まないようにしないと、(ことエンターテイメントをめざすミステリとしては)まずいですね。
そしてこの点は、この作品において、100パーセント回避とはいかなくても、緩和することはできただろうと思われるだけに、残念なポイントかと思います。
というのも、田島たち、会社がうまくいくにつれて、揺れるんですね。人間だから、状況が、立場が変われば考えも変わりますよね。そして、揺れることはこの作品では大きな意味を持っています(これは上で触れたひねりに関連するので詳しくは書きません)。だから、その揺れを利用して、復讐の後味の悪さを少しでも緩和させることが可能だったんじゃないかなぁ、と思えてなりません。
そうしても、エンディングの衝撃は薄れることは全くないと思われますし。
ちょっともったいない。

とはいえ、石持浅海らしい凝った作品を楽しめました。

<蛇足>
ところで、ストーリー展開でかなり重要な役割を担う弦巻がどうなったのか、書いておいてほしかったです。



タグ:石持浅海
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愚者たちの棺 [海外の作家 わ行]


愚者たちの棺 (創元推理文庫)

愚者たちの棺 (創元推理文庫)

  • 作者: コリン・ワトスン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/03/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
港町フラックスボローの顔役だったキャロブリート氏のつましい葬儀から七ヶ月後。今度は参列者のひとり、新聞社社主のグウィルが感電死する。真冬に送電鉄塔の下で発見された遺体には不可解な点がいくつもあり、現場近くでは“幽霊”の目撃証言まで飛び出す始末。相次ぐ町の名士の死には関連があるのか。奇妙な謎と伏線の妙…英国本格ミステリの粋が凝縮された巧手の第一長編。


この「愚者たちの棺」 (創元推理文庫)が今年最初に2番目に読んだ本です。
帯に
「奇妙な謎、伏線の妙と意表をつく結末」
と、まるで本格ミステリに期待する三要素、みたいなことが書いてあって、原書の発表年が1958年ですから、名作発掘という感じ?

奇妙な謎、というのは死体の様子ですね。
創元推理文庫名物(?)、表紙扉のあらすじだと「真冬に送電用鉄塔の下で発見された遺体はスリッパ履きで、マシュマロを口に入れたままという不可解な状態だった」とされています。
うん、いい感じですね。

ミステリとしては、伏線の妙、というほどのこともないかな、と感じましたが、要所要所にちりばめてあって、いい感じ。また、意表をつく結末、はそれなりの効果を挙げているのではなかろうかと。定番といえば、定番のトリックなのですが、うまく使っているな、と思えます。

と、田舎町を舞台とした手堅いミステリに仕上がっていますが、全体として、探偵役のバーブライト警部が地味ながら、よさげな感じで、ユーモアもそこはかとなく漂うのがポイントかな、と思いました。
同時に、作者の意地悪な視点が味わえるのも特色かと思います。(蛇足、ですが、原題「Coffin Scarcely Used」も皮肉が効いていると思います)
この意地悪さが、シリーズを通してどう展開していくのか、注目していきたいです。



原題:Coffin Scarcely Used
著者:Colin Watson
刊行:1958年
訳者:直良和美





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バジャーズ・エンドの奇妙な死体 [海外の作家 か行]


バジャーズ・エンドの奇妙な死体 (創元推理文庫)

バジャーズ・エンドの奇妙な死体 (創元推理文庫)

  • 作者: ケイト・キングスバリー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/09/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ここはペニーフット・ホテル。田舎町バジャーズ・エンドにひっそりと建つ、紳士淑女御用達の隠れ家だ。ところがその静かな町で不審死が続発。ただでさえホテルにとって痛手なのに、そのうえ関係者がふたりも疑われているとあっては放っておけない。ホテルの女主人セシリーは、堅物の支配人バクスターの心配をよそに調査をはじめる。古き良き英国の香り漂う人気シリーズ第二弾。


舞台が1906年のイギリス南西部バジャーズ・エンドにあるペニーフット・ホテルのシリーズ第2弾です。
あらすじを読んでびっくり、第1作「ペニーフット・ホテル受難の日」 (創元推理文庫)を読んだときは意識していなかったのですが、このホテル、「紳士淑女御用達の隠れ家」ってことは、そういう用途のホテルだった!?
でも、この「バジャーズ・エンドの奇妙な死体」 (創元推理文庫)を読んでもそんな印象は受けませんでした。
「それによってさらにホテルの格が上がるわ。」(230ページ)
というセシリーのセリフも、そういう用途のホテルではないことを裏付けているように思います。
こちらの勝手な思い込みだったのでしょう。ちょっとあらすじの書き方、ミスリーディングですけどね...
時代(背景)のせいで、そう思えなかっただけ??? 後続巻では気を付けて読むことにします。

今回もセシリーがどたばたと謎を解いていきます。
バクスターが嫌々ながら、巻き込まれていってしまう段取りも、セシリーの危機一髪を、バクスターが救うという段取りも、予定通り(笑)。
登場人物のにぎやかなことも、第1作と同じく健在。
謎の宿泊客ミセス・パルマンティエとか、メイド、ガーティの妊娠騒ぎとか、わさわさと楽しいですね。
(しかし、ガーティの言葉遣い、ちょっとひどいというか、ホテルの雰囲気に合わないですね。)

事件の方は、他愛ないといえば他愛ないし(日本題の「奇妙な死体」のゆえんである殺害方法の古典的なlことにはびっくりできますよ、いまさら感があって)、(ミステリーでは)ありふれた動機ではありますが、おもしろい使い方をしているなぁ、と思いました。怒る人もいるでしょうけれどねぇ。ミッシリング・リンクの解としては、反則ですもんねぇ。

と、作品としてよかったのか、悪かったのか、今一つ難しいところですが、楽しんで読むことは読みました。
シリーズ続刊も、読んでいきます。



原題:Do not Disturb
著者:Kate Kingsbury
刊行:1994年
訳者:務台夏子





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今出川ルヴォワール [日本の作家 ま行]


今出川ルヴォワール (講談社文庫)

今出川ルヴォワール (講談社文庫)

  • 作者: 円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/08/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
京都・大怨寺(だいおんじ)の僧侶が転落死した。殺人容疑をかけられたのはその場に居合わせた御堂達也。嫌疑を晴らすため、彼の母校、越天(えてん)学園に向かった瓶賀流(みかがみつる)。そこで出会ったのは達也の死んだ母親と瓜二つの女性だった。三十年前に起きた悲劇と私的裁判・双龍会が繋がるとき、過去の呪縛から解放されるのは、誰だ。


今年最初に読んだ本です。
「丸太町ルヴォワール」 (講談社文庫)(感想のページへのリンクはこちら
「烏丸ルヴォワール」 (講談社文庫)(感想のページへのリンクはこちら
に続くシリーズ第3弾です。
前作「烏丸ルヴォワール」の感想を書いたのが、2015年9月ですから、ほぼ1年半ぶりですか...
「河原町ルヴォワール」 (講談社文庫)もとっくに文庫化されているというのに、読むのはいつのことになるのやら。今年の目標の一つにしようっと。

さて、今回は冒頭部分は御堂達也を被告とした法廷(双龍会)で、これはこれで楽しかったのですが、いやあ、本作の重点はそこにはなくて、権々会、というお寺主催の(!) ばくち大会が見せ場ですね。
競われる種目は、「鳳」という独自ゲーム。
京都発祥のゲームとかで、「元々は占いやってんけど、いつしかそこに競技性が生まれ、ゲームになったってわけや」(184ページ)ということで、ルールも説明されています。
実はこのルール、ぴんとこなかったんですが、試合シーン(?) は迫力ありましたね。
達也の出生の秘密(?) とかいろいろと明かされるのですが、それもこれも試合シーンを盛り上げるため、だったのかも。

落花の仕掛ける技(?) も、いやあ無理でしょ、という中身ですが、絵になるし、恰好いいし、京都ならではというほどのことはなくても京都は感じさせるし、いいじゃないですか。
こういうケレン、大好き。

人間関係も、非常に狭い範囲で錯綜させているので、ちょっとやり過ぎ感も漂うのですが、舞台が京都なら、まあいいか、と思えてしまうところも、またよし、です。

次の「河原町ルヴォワール」 でシリーズ完結のようですので、今年中に読みたいです。
とても楽しみです。


<蛇足>
しかし、帯に書かれている
「彼の決意、彼女の親愛。
いくら心がすれ違っても、この手だけは絶対に離さない。」
というの、確かにそういう側面もこの物語は持っていますが、そこは前面に押し出されるべきものではないように思います。



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秘密 トップ・シークレット (12) [コミック 清水玲子]


秘密 12―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

秘密 12―トップ・シークレット (ジェッツコミックス)

  • 作者: 清水 玲子
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2012/10/29
  • メディア: コミック




あけましておめでとうございます。
昨年は、仕事の環境が激変し、ちっとも読めず、感想もかけず、という状態でしたが、今年はもっと本が読めるといいなぁ。

さておき、今年最初の感想は、コミックです。
2012年10月に出たコミックで(奥付は2012年11月になっていますが)、シリーズ最終巻です。
最終巻であるこの第12巻には「秘密 トップ・シークレット 2010 END GAME」の続きと「秘密 トップ・シークレット エピローグ・一期一会」が収録されています。

事件のおおよそはすでに11巻までで描かれているので、全体としては後日談に近くなっていますね。
あれだけの事件となったので、牧の処遇が問題となります。
昇格させるわけでにもいかず、だけど、あからさまに左遷するわけにもいかず... 上層部も悩んだことでしょう。
非常に収まりのよいポストが用意されています。
薪、青木、岡部、山本その他の第九の面々と三好雪子先生がちゃんと出てきますが、やはり青木ですね。
命令ではなく、「願い」だ、という牧の言葉、牧らしくないですが、そこが一層ポイントということなのでしょう。

エピローグで描かれる牧の活躍は、いやあ、まあ、すごいの一言。

それにしてもねぇ、最後のページの絵、なんなんでしょうか。
雪子先生のウエディング・ドレス姿はいいんですが、青木~。

なにはともあれ、シリーズ完結、めでたいです。


タグ:清水玲子
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