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星宿る虫 [日本の作家 ま行]


星宿る虫

星宿る虫

  • 作者: 嶺里 俊介
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/02/18
  • メディア: 単行本


<裏表紙側帯あらすじ>
人間を内側から
喰い尽くす謎の虫。
我々に、何ができる?
長野県の宗教団体施設が燃え、不審な遺体が多数発見された。同じ頃、静岡県山中で見つかった老婆の遺体は、光を放つ虫の大群に覆われ、流れ出す血液は黄に変色していた。周囲には何故か讃美歌が響き、虫は列をなし銀河鉄道のように夜空へと…。異様な事態に、警察は法医昆虫学者の御堂玲子に調査を依頼。また、妹を虫に喰い殺された大学生の天崎悟は感染ルートを探る。増える犠牲者。虫の正体は? 治療方法は?


単行本です。
第19回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

これがミステリーの新人賞の受賞作かぁ、と思うような作品でした。
選考委員の綾辻行人の
「ホラーだが、物語の中心には『ミステリー』がある」
というコメントが表表紙側の帯に引用されていますが、ホラーというのともちょっと違う手触り。
その意味では不思議な作品に仕上がっていると思いました。

妹を殺されてしまった大学生悟と、その伯母で昆虫学者の御堂玲子が、その寄生虫(?) の謎を追う、という構造になっているのですが、感染法とか、防ぐ方法とか、ともかく無茶苦茶です。
人は虫より偉いとでも!? という感じですか?
でも、そこが魅力? 不思議な読後感に見舞われますよ。

タイトルも、わかったような、わからないような。
「『星を宿しているか』、それが学生を見る第一の目だよ。ボクら教鞭を執る者が使う言葉でね。自分が向かう道を見出した学生のことを、そう呼んでいる。人生の指針を見出した人や生きる目的を持っている人を、『星が宿っている』とか『星を宿している』と表現している。『もう星を持っている』、『星宿る生徒』とかね。生涯をかけて、取り組む道を見つけた子たちを指す言葉だ。学生生活で熟成されていく芯の部分だよ」(81ページ)
なんてくだりもありますが、ストーリーと照らし合わせて考えると、ちょっとよく分からない。

個人的には文章があちこちで気になりましたね。上で引用したところの見開き部分でもいくつもあれっと思う表現があります。
「めまぐるしく頭を使う」(80ページ)って言いますか?
同じページの「一生もの」もちょっと使い方が変だと思いました。
「含み笑いを浮かべた」(81ページ)というのも苦しい表現ですよね。
「スムースに流れた」(177ページ)のように、いまどきスムーズをスムースというなんて、作者は年配の方なのかと思ったら1964年生まれらしいので、そう年配というほどのこともありませんね。
このページにも変だなと思う表現がちらほら。
「宇都宮インターチェンジで日光宇都宮道路へ入ってからは、出口まで道なりの一直線だった」
うーん、出口まで道なりって、当たり前でしょ? 日光宇都宮道路と呼ぶくらいなんだから。そして道なりなのに一直線?
「アイスコーヒーで舌を湿らせる」ってのも、言いますか? 舌を湿らせる...
編集者も修正しようとは思わなかったのでしょうか。
日本ミステリー文学大賞新人賞自体がさほどレベルの高くない賞だから、仕方ないのでしょうか。

ミステリー好きにも、ホラー好きにもちょっとおすすめしがたいですが、変な作品をお好きな方は、ぜひ。




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殺人者の湿地 [海外の作家 か行]

殺人者の湿地 (論創海外ミステリ)

殺人者の湿地 (論創海外ミステリ)

  • 作者: アンドリュウ ガーヴ
  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2013/09
  • メディア: 単行本



単行本です。
アンドリュウ・ガーヴの作品を読むのはいつ以来だろう...
「ヒルダよ眠れ」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「カックー線事件」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「遠い砂」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
あたりを大昔に読んだ記憶がありますが、内容は覚えていませんね。
ただ、サスペンスものとしておもしろかったような感じがしていて、この「殺人者の湿地」 (論創海外ミステリ)を手に取りました。
論創社ミステリって、こういう地味な作品をひょいと訳してくれるので、ありがたいですね。
久しぶりに読んだガーヴですが、おもしろかったですよ。

福井健太の解説からあらすじを引用します。

ケンブリッジ州のトレーラー販売所に勤めるアラン・ハントは、ノルウェー旅行中にホテルで出逢った美女グヴェンダ・ニコルズを籠絡した。「道徳心や両親といったものが完全に欠落していた」ハントは、グヴェンダに偽の住所を渡して帰国し、資産家の娘(事実上の婚約者)スーザン・エーンジャーのもとへ戻るが、やがて予想外の事態が勃発した。ハントを探し当てたグヴェンダが「おなかに赤ちゃんがいるの」と告げたのである。ハントは「ぼくらは結婚すべきだと思う」とグヴェンダを丸め込み、大急ぎである計画を練るのだった。
その翌週、オッケン村の警察に匿名の手紙が届いた。村の湿地で男が女を殺したと思われる光景を目撃した、男はトレーラー販売所の従業員に似ている--という内容を重んじた警察は、ケンブリッジ州犯罪捜査課のジョン・ニールド警部とトム・ダイソン巡査部長を現地に赴かせる。二人はハントの言い分を疑いながらも、グヴェンダを捜そうとするが……

この解説、フェアに書こうとして、かえってポイントが浮き上がってしまっているきらいはありますが、コンパクトにまとまっていると思います。

作者の用意したちょっとした仕掛けは、まあ大したことない(し、割と早い段階で明かされる)ので取り立てていうことはないですが、作品そのものはサスペンス物として十分楽しめますよ。
なんとまあ身勝手な男だなぁ、とハントのことを思いつつも、すっかり作者の手中に嵌っちゃった気がします。
警察側の二人もなかなかいい感じですしね。

イギリスの湿地を舞台にしている、なんていかにも渋そうで、たしかに渋い展開を見せはしますが、ちゃんとサスペンスものとして読者を引っ張っていってくれますし、ラストも読後感が悪くならないよう精いっぱい配慮してくれています。このバランス感というか安定感こそがポイントなのかもしれません。
ということで、アンドリュウ・ガーヴ、久々に読めて良かったです。
未訳のものの翻訳を進めることと、既刊分の復刊をお願いしたいですね。


原題:Murderer's Fen
作者:Andrew Garve
刊行:1966年
訳者:水野恵



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死と呪いの島で、僕らは [日本の作家 や行]


死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)

死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)

  • 作者: 雪富 千晶紀
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/09/22
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
東京都の果ての美しい島。少女、椰々子(ややこ)は、死者を通し預言を聞く力を持ち、不吉だと疎まれている。高校の同級生で名家の息子の杜弥(もりや)は、そんな彼女に片想い。しかし椰々子が「災いが来る」という預言を聞いた日から、島に異変が。浜辺に沈没船が漂着し、海で死んだ男が甦り、巨大な人喰い鮫が現れる。やがて島に迫る、殺戮の気配。呪われているのは、島か、少女か。怖さも面白さも圧倒的!! 第21回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作!


日本ホラー大賞受賞作です。
単行本の時のタイトルは、「死呪の島」。文庫化の際に改題されました。(ちなみに、応募時点のタイトルは、「死咒の島」だったそうです)
これ、大賞、ですか...歴代受賞作と比べるとかなり軽い感じがします。

なかなか大賞が出ないことで知られる日本ホラー小説大賞、歴代の受賞作を並べてみると、
第2回 瀬名秀明「パラサイト・イヴ」 (新潮文庫)
第4回 貴志祐介「黒い家」 (角川ホラー文庫)
第6回 岩井志磨子「ぼっけえ、きょうてえ」 (角川ホラー文庫)
第8回 伊島りすと「ジュリエット」 (角川ホラー文庫)
第10回 遠藤徹「姉飼」 (角川ホラー文庫)
第12回 恒川光太郎「夜市」 (角川ホラー文庫)
第15回 真藤順丈「庵堂三兄弟の聖職」 (角川ホラー文庫)
第16回 宮ノ川顕「化身」 (角川ホラー文庫)
第17回  一路晃司 「お初の繭」 (角川ホラー文庫)
第19回 小杉英了「先導者」 (角川ホラー文庫)
第21回 雪富千晶紀「死と呪いの島で、僕らは」 (角川ホラー文庫)
第22回 澤村伊智「ぼぎわんが、来る」
全部が全部傑作とは思いませんが、確かに面白い作品が多いです。
その中でこの「死と呪いの島で、僕らは」 は軽めで、なんだか大賞受賞作というより、最近でいう読者賞受賞作みたいです。

と言うことでお分かりかと思いますが、非常に読みやすいです。
なんだかネガティブトーンのように受け止められそうなので、念のため申し添えておくと、軽いけれど、面白いです。高校生が主役を張っていることもあって、個人的には好印象の作品。
ただ、大賞受賞作というのが意外だった、ということです。

須栄島という南の離島を舞台に、「来るぞ、来るぞ」型のストーリー展開で物語は進んでいきます。
徐々に奇怪なエピソードが積み重ねられていくわけですが、うーん、振り返ってみるとちょっと無理がありましたでしょうか。
それぞれのエピソードが割とばらばらな印象を受けました。
最後のカタストロフィへ向かって、順々に盛り上がっていく、というよりは、いろんなエピソードが(相互に特段の結びつきなく)続けて起きて、最後にドーンと大きなエピソードが来た、みたいな印象です。
言い換えると、いろんなエピソードがつながった長編というよりは、同じ須栄島を舞台にしたいくつかの短編が並んでいて、最後の話が一番派手、という感じ?
逆にいうと、アイデア満載とも言えますね。
大森望が解説を書いていて、賞の選評を引用しているのですが、
「『死咒の島』が成功したのは、お約束の展開を守りつつ、次々と発生する怪奇な事件や現象にはバラエティを持たせ、そのひとつひとつをほどよくコンパクトにまとめて、物語を停滞させなかったからだろうと思います」(宮部みゆき)
というのも、そういう印象を裏付けますね。

全般的には、和のテイストなのですが(〈顔取り〉のエピソードが象徴的です)、豪華クルーズの話とか、遠く離れたハイチの話とかが混じっている点を、好ましくないと思われる読者もいることでしょう。
主人公杜弥と彼が想いを寄せる椰々子の設定や関係性も、型通りと言えば型通りなのですが、そういった様々な要素が、まさに「ほどよく」まとまっていて、抜群のリーダビリティとなっていますので、エンターテイメントとして優れていると思いました。
ホラー小説大賞には、そういったもの=読みやすさやバランスよりも、むしろ破壊力を期待するところがあるので、軽い、という印象を受けますが、次も読んでみようかな、と思わせてくれる居心地良さがあります(ホラーなのに、居心地良いのか、とまた叱責を喰らいそうですが)。







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一千億の針 [海外の作家 か行]

一千億の針【新版】 (創元SF文庫)

一千億の針【新版】 (創元SF文庫)

  • 作者: ハル・クレメント
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
20億の針』から7年。ボブの体内には、すぐれた知性をもつゼリー状の異星人が共生し、体内の病原菌を殺したり怪我の出血をとめたりしていた。しかし最近になって、ボブの体調が悪化しはじめた。日に日に弱りゆくボブを救うには、7年前に島の近海へ墜落した異星人たちの宇宙船を探しだし、一千億の星の中からただひとつの、彼らの母星の科学者に連絡をとらなければならないのだ。


今回の「一千億の針【新版】」 (創元SF文庫)は、タイトルからも明らかなように、「20億の針【新訳版】」 (創元SF文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)の続編です。
「20億の針」 (創元SF文庫)の原書が1950年刊行で、「一千億の針」 (創元SF文庫)が1978年ですから、なんと28年ぶりの続編。待望の続編、といったところでしょうか。

宇宙人"捕り手(ハンター)"のおかげでつつがなく息災に過ごしていたはずのボブが、体調不良。
"捕り手(ハンター)"がいるがために、免疫不全が起きてしまう。
まず、このアイデアが秀逸ですね。いかにも人間の体に起きそうです。
で、これを解決するために、"捕り手(ハンター)"の母星とコンタクトしなければ、と。
でも、どうやって??
それは"捕り手(ハンター)"と"殺し屋(キラー)"が地球へやって来たときに乗っていた船を探し出せば、なんとかなる、母星でも、"捕り手(ハンター)"と"殺し屋(キラー)"が飛んで行った方向は掴んでいるはずだから...と。
若干心もとない感じもありますが、それなりの理屈はつけてあります。このあたりの塩梅が安心して読める理由なんでしょうね、きっと。

宇宙船捜し、になるわけですが、いろいろと事件が起こり、さて妨害されているのでは?
妨害されるということは、ひょっとしてやっつけたはずの"殺し屋(キラー)"が生き残っていて邪魔している?
なんかドキドキする展開ではありませんか。

ボブは疲れやすくなっていて動きが悪くなっている一方、"捕り手(ハンター)"は結構激しく活躍します。
この"捕り手(ハンター)"が非常にいいやつで、理性的。安心して読めます。この安定感がポイントですね。

ミステリ的な手法あるいはサスペンスの手法をあちこちに使って読者の興味をひっぱっていくので楽しく読めますが、ラストは若干拍子抜け、というか、うーん、今までの努力はなんだったの?  系の脱力もの。とはいえ、ボブにとっては一安心になっているのがありがたい。
ボブにも、"捕り手(ハンター)"にも、結構、愛着が湧いてきちゃってます。

<蛇足>
「一千億の針」 という邦題は、当然前作「20億の針」 を意識したものですが、「20億の針」 の原題には20億というのがなかったのと同様、今回の「一千億の針」 の原題にも一千億というのは出てきません。まあ、こじつけですね。


原題:Through the Eye of a Needle
著者:Hal Clement
刊行:1978年
訳者:小隅黎



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服を着るならこんなふうに (1) [コミック]


服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)

服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)

  • 作者: 縞野やえ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: コミック


<帯>
センスも大金も必要なし。おしゃれに大切なのは理論を知ること
ベストセラー「最速でおしゃれに見せる方法」の著者・MB氏によるファッション理論を盛り込んだ史上初のメンズカジュアルファッションコミック!
「服を買いに行く服がない」27歳にも効くロジックが満載


これまたいつもの読書(コミックを読書と呼ぶかどうかは置いておいて)傾向とは大きく外れますが、なんとなく気になって手に取りました。個人的に服を買うのは結構好きなのでこのコミックに興味あった、ということもあります。
ファッション、それも男性向けをテーマにしたコミックって、なかなかないですよね。
好評みたいで、
「服を着るならこんなふうに (2)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (3)」 (単行本コミックス)
「服を着るならこんなふうに (4)」 (単行本コミックス)
と順調に続刊が出ているようです。

こういうハウツー本っぽいコミックって、導入部がワンパターンなんですよねぇ。
なにかに興味ない、やっていない、あるいはバカにしている男の子が、そのなにかをやるはめになって、当然うまくいかなくて落ち込んで、一念発起してそのなにかに嵌っていく...

この「服を着るならこんなふうに (1)」 (単行本コミックス)も見事にこれを踏襲していまして、「服を買いに行く服がない」27歳の主人公が、地元で開かれた小学校の同窓会の打ち合わせで、まわりがおしゃれになっていることに驚き、自分の姿に落ち込み...という出だし。

ま、オープニングはともかく、大事なのは中身ですよね、話の。
ユニクロの(黒の)スキニー(ジーンズ)を推しすぎな気がしないでもないですが、まあ、一つのセオリーですよね。(余談ですが、帯に、ロジック、とありますが、どちらかというとセオリー、ではなかろうかと思うのです、こういう場合は。)
また、ユニクロというと、安いもの、そして安いからよくないもの、というイメージがつきまといがちなところ、そうではなくていいものもあるし、ちゃんとお洒落になる、ということを突くのも狙いなんでしょう。
本文中にも、主人公がユニクロを着ていることを知って
「マジかよ それはないわ いい歳なんだから もっと良いの買えよ」
という登場人物が出てくることも、それを表していますよね。

ドレスとカジュアルのバランス、という指摘がなされていますが、うーん、そういう風に考えたことなかったですが、そういわれて考えてみると、確かにそうかもしれませんね。
意識せずに、なーんとなくそういう風に組み合わせてきたように思いますが、かっちりしすぎない、とか、ラフ過ぎないとかは考えますもんね。
鞄選びのところは、自分でも鞄の選び方は下手だと思っているので、正直参考になりました。結論がクラッチバッグというのはちょっと、あれれと思わないでもなかったですが、そこの至る途中経過に結構ヒントがありました。

ラスト、なにやら不穏な雰囲気を漂わせる終わりかたをしていまして、それはそれで楽しみです。



タグ:縞野やえ
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吸血鬼は初恋の味 [日本の作家 赤川次郎]


吸血鬼は初恋の味 (集英社オレンジ文庫)

吸血鬼は初恋の味 (集英社オレンジ文庫)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
取引先の社長子息の結婚披露宴に招かれたクロロックとエリカの吸血鬼父娘。ところが華やかな結婚式場は、招待客の突然死で大騒ぎに。そんな中花嫁が出逢った男は、死んだはずの恋人で!? 表題作ほか、無理心中を図ろうとした貧しい母娘を救う『吸血鬼の小さな灯』、謎の声がひきこもりの青年に話しかける『吸血鬼と真夜中の呼び声』の2編を収録した人気シリーズ最新作!

「吸血鬼はお年ごろ」シリーズ 第34弾。
第33作だった前作「天使と歌う吸血鬼」 (集英社オレンジ文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)から集英社オレンジ文庫となっていて、この「吸血鬼は初恋の味」 はオレンジ文庫第2弾ですね。

表題作は、タイトルの意味がもう一つわかりませんね。
また、本筋にはあまり影響ありませんが、披露宴でのミスとして、料理の出し違いってあり得ないと思うんですよね。同じ式場で同時に行われる披露宴が同じ人数、ということもないでしょうし、設定ではかなり料理のランクが違うことになっていますからさらに無理がありますね。
吸血鬼や怪異現象が普通のように起こるシリーズなのだから、逆にそれ以外の部分はきちんと常識的に組み立てられていて欲しいです。

その他収録の2作も含め、わかりやすい、典型的な勧善懲悪で締めくくられているのが、よくもあり、悪くもあり、というところでしょうか。


<蛇足>
ひだかなみさんが描くイラストのクロロック、ちょっと若すぎませんか?



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幻双城事件 仮面の王子と移動密室 [日本の作家 さ行]


幻双城事件 仮面の王子と移動密室 (角川文庫)

幻双城事件 仮面の王子と移動密室 (角川文庫)

  • 作者: 椙本 孝思
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/10/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
太平洋に浮かぶ離島で催されるあるパーティに招待された高校生・白鷹黒彦。なんでも招待客はみな、島に佇む城に収蔵された美術品の制作者の子息息女だという……。いるはずのない誰か、刻々と変化する城、「幻双城」という“芸術”に埋め尽くされた奇妙な空間で始まる連続殺人の宴。果たしてその目的と意外に犯人とは?――迷える探偵・黒彦と、自称ロボットの美少女果菜、そして世界最高の知性・犬神清秀が遭遇する新たな事件。


「魔神館事件 夏と少女とサツリク風景」 (角川文庫)
「天空高事件 放課後探偵とサツジン連鎖」 (角川文庫)
「露壜村事件 生き神少女とザンサツの夜」 (角川文庫)
に続くシリーズ第4弾です。今のところ、シリーズはここまで。

今回も、奇天烈な本格ミステリが楽しめます。
楽しめますが、さすがこのトリックはなぁ...
タイトルは孤島ミステリっぽいけど、実態は館ものでして、要するにそういう系統の作品です。
こういうトリックの作品、正直飽きちゃいましたね。このトリックを成立させるために、孤島を舞台にしたんでしょうけれど(島じゃないと、こんな建物建てられない)...
あと、とっても大事なことを登場人物が最後で「錯覚していました」というのはねぇ、あきれるというか...

黒彦と果菜の仲が進展(?) したみたいだから、それでよしとしましょう。







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化学探偵Mr.キュリー3 [日本の作家 喜多喜久]


化学探偵Mr.キュリー3 (中公文庫)

化学探偵Mr.キュリー3 (中公文庫)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/06/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
体調不良を引き起こす呪いの藁人形、深夜の研究室に現れる不審なガスマスク男、食べた者が意識を失う魅惑の《毒》鍋。次々起こる事件を、Mr.キュリーこと沖野春彦と庶務課の七瀬舞衣が解き明かす――が、今回沖野の前に、かつて同じ研究室で学び、袂を分かった因縁のライバル・氷上が現れた。彼は舞衣に対し、沖野より早く事件を解決してやると宣言し!?

「化学探偵Mr.キュリー」 (中公文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)、
「化学探偵Mr.キュリー2」 (中公文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら
に続くシリーズ第3弾。
この第3巻には
「化学探偵と呪いの藁人形」
「化学探偵と真夜中の住人」
「化学探偵と化学少年の奮闘」
「化学探偵と見えない毒」
の4話収録。

「化学探偵と呪いの藁人形」は、タイトル通りで、体調を悪くさせる藁人形の謎を解くわけですが、うーん、合理的な解決でいいですね。
シリーズ的には、七瀬舞衣が昔取った杵柄でソフトボールのピッチャーをするのがポイント(?) でしょうか。
いや、それよりも、「クイーン・オブ・オカルティズムと呼ばれているそうですね」(22ページ)と言われちゃっていることの方がポイント高いかも。

「化学探偵と真夜中の住人」は、急に生活態度がかわった大学院生・松尾の話です。
昼間は来ずに、夜中に研究室にやってきて、朝まで一人で実験、そして他の学生やスタッフが来る前に帰ってしまう。あげく彼は実験をガスマスクを着用して行っていた。
折しも北欧にあるマイセン王国の国王陛下が来日し、四宮大学を訪れる計画があり、バイオテロを計画しているのかも...と。
松尾を思う助教・志保里の視点が効果的に使われています。
なにやら大事を感じさせる展開ですが、沖野がさらっと解決してしまいます。それにしても、ラテックス・アレルギーは知りませんでした。そういうのあっても確かにおかしくはないですね。

「化学探偵と化学少年の奮闘」は、癌になった犬を助けたいと奮闘する小学生を描きます。
問題は、その犬が飼われている家の事情。哲学の先生・能勢の家の醜い事情が。いやあ、重い話でした。

「化学探偵と見えない毒」は、あらすじにもある通り、沖野のライバル登場ってことなんですけど、肝心の氷見って、沖野のライバルとは到底言えなさそうな...
一方で、巷でちょいちょい話題になっている悪い大学サークルをめぐるエピソードが盛り込まれています。
事件の方は鍋パーティーで苦しんだ理由は...というものなんですが、これはまあ科学(化学)の素人でも想定できちゃう範囲ですね。妙にぼかした書き方になっていますが、再現性が高いからでしょうか?


シリーズはこのあと、
「化学探偵Mr.キュリー4」 (中公文庫)
「化学探偵Mr.キュリー5」 (中公文庫)
と順調に巻を重ねております。






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彼女は一人で歩くのか? [日本の作家 森博嗣]


彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ウォーカロン(walk-alone)。「単独歩行者」と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。
研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。
人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。


森博嗣の新シリーズ、Wシリーズの第1作です。
新シリーズとはいっても、本書が刊行されたのは2015年10月で、既に
「魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?」 (講談社タイガ)
「風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake?」 (講談社タイガ)
「デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping?」 (講談社タイガ)
「私たちは生きているのか? Are We Under the Biofeedback?」 (講談社タイガ)
とシリーズ第5作まで出ています。
感想もかけずに溜まっているなぁ。

未来が舞台ですが、つらつらと設定が説明されないところがよいですね。
次第、次第に、どういう世界かが明らかになってくる。
研究者であるハギリの一人称で語られますが、未来で暮らすハギリが、現在の私たちに向って背景を説明するのは不自然で興ざめです。
67ページからざっと説明されるところはあるのですが、ハギリが人類の歴史を振り返るちゃんとした理由付けがなされています。さすが。こういうところ、結構重要ですよね。

人工細胞の発達で、肉体を機械ではなく、生きた細胞、生きた機関で補うことが可能となり、人間の寿命が半永久的に長くなった。
一方、自律型のウォーカロンと呼ばれたロボット(機械)が、その人工細胞のおかげで人間に近づいた。
ところが同時に、人口減少に見舞われた。子供が生まれなくなったからだ。人口が四分の一以下になった。寿命はどんどん延びているのに。代わりに(?) ウォーカロンは増えている。
このウォーカロンは「完全に生きている。有機質の細胞を持ち、人間と同じ肉体を持っている。どこにも違いがない。意識もあり、学習もするし、癖もあり、失敗もし、感情も持っている。ただ、その生い立ちが違うだけだ。」(71ページ)

こういう世界でハギリが研究しているのは、自然に考えているか、考えていないかが、測定できる手法(35ページ)。
これで、ウォーカロンなのか、人間なのかが判定できる、と。
で、こういう背景のもとにハギリが狙われて...というストーリーなんですね。

面白いのは、そういう研究をしていても、ハギリが決して、人間とウォーカロンは見分けがつかないといけないと考えているわけでも、人間至上主義でもない、というところでしょう。
「もう完全に区別がつかないことになっても、大した問題はない。」「おそらく宗教上の問題しかない。」(94ページ)
「自分は、両者を見分ける方法を研究しているが、こんな研究をしなければならないことが、両者の差がいかに微々たるものかを証明しているのだ」(170ページ)

折々事件を挟みながら、思索を重ねていくハギリを読者は追いかけることになるわけですが、このWシリーズでも森博嗣独特のレトリックとか、話の流れが楽しめて、ああ、新シリーズ開始よかったなぁ、と感じました。


<2017.05追記>
①英語タイトルを書いておきます。
Does She Walk ALone?

②今後のシリーズ展開で重要と思ったところ-人類が生まれにくくなった理由-を自分のメモとして写しておきます。
ある種ネタバレかもしれないと思うところは、色を変えておきます。
「パラサイドが犯人だと覆いこんでいるから見つからない。そうではない。いかなるパラサイトも加害者ではない。一つあるいは複数のパラサイトが、加害者ではなく、被害者なんだ」(アリチ博士のせりふ 56ページ)
「同じ人格がこんなに長い時間存在することは、過去に例がない。多くの哲学者がその点について考えているはずだ。精神科の医者も、また心理学者、社会学者も議論を重ねている。答えは見出せないけれど、なにか宗教的な拠り所が必要になるのではないか、という予測はかなり多くに支持されているところだ。それは、おそらく『神』のようなものだろう。ただし、この『神』は、ただの概念ではなく、実在のテクノロジィが実現する装置になるだろう、と観測される」(ハギリの考察 170ページ)
「機構については、アリチ博士が迫っていました。発想は正しい。何故なら、ほかの理由は悉く消去されたからです。ただ、発想を確かめる実験的な再現には、まだ時間がかかるでしょう。しかし、いずれは発見されます。問題は、そこがスタート地点だということ。おそらくは、微小なパラサイトでしょう。それが見つかったとしても、どうやって元に戻せば良いのか。ここが難しい。なにしろ、もう人間の細胞は昔とは違います。パラサイトが生きられる環境に戻すことが、人工的に可能かどうか。複雑な環境の再現です。短時間では無理。そこで、もし人口環境を用いるとすれば、それはもう、ウォーカロンを培養することと変わりありません。それを人間が許容するでしょうか? 理屈を捏ねることはできても、両者の差は、科学的に同じものになります」(ミチルの保護者と名乗る女性のセリフ 178ページ)


<2017.05追記その2>
章題も記録しておきます。
第1章 絶望の機関 Hopeless engine
第2章 希望の機関 Wishful engine
第3章 願望の機関 Desirable engine
第4章 展望の機関 Obsevational engine




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ダンジョン飯(4) [コミック]


ダンジョン飯 4巻 (ビームコミックス)

ダンジョン飯 4巻 (ビームコミックス)

  • 作者: 九井 諒子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/15
  • メディア: コミック




第4弾です!
今回は
第22話 地上にて
第23話から第28話までが、順に炎竜(レッドドラゴン)1~6
となっています。

第22話は、いったんライオスたちから離れ、世界の設定を振り返ります。
そして第23話からは、いよいよ、いよいよ、レッドドラゴン!
いやあ、死闘です、死闘。

で死闘の前に食べる料理が
第23話がレッツ炎竜にカツレツ
カツレツって、こいつら日本人かよっ!!
第24話には
「あっ、なんだかよくわからない言語で罵られている」
なんてシーンもあり、日本人ではなさそうですけどね(笑)。

倒した後は、ファリンの救出、というか復活ですね。
すごいシーン続出ですよ。

で、またも料理。
第28話 ローストレッドドラゴン、タマネギのピザパン、ドラゴンテールスープ

いやあ、よかった、よかった、なんですが、
ラストには力強く
To Be Continued...
炎竜も倒し、ファリンも救い出したので、さて、どんなふうに展開していくのか楽しみです。




タグ:九井諒子
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