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怪盗紳士モンモランシー [海外の作家 あ行]


怪盗紳士モンモランシー (創元推理文庫)

怪盗紳士モンモランシー (創元推理文庫)



<裏表紙あらすじ>
囚人493ことモンモランシー。警察から逃げる際瀕死の重傷を負ったが、運良く若き外科医ファーセット治療の被験者となり、一命をとりとめた男。無事刑期を終えたモンモランシーは高級ホテルに滞在しながら、昼間は紳士、夜は泥棒、ふたつの顔を使い分け、次々とお宝を頂戴していく。だがある日暴れ馬を取り押さえたことで、彼の運命は大きく変わることに。痛快シリーズ第一弾。


今年6番目に読んだ本です。
帯に
昼間は紳士
 夜は泥棒 
 二つの顔を持つ男
高級ホテルに滞在しながら、ロンドンの地下を縦横に駆け、次々とお宝を頂戴する。」
とありまして、こういう話、なんだか魅かれるんですよねぇ。

で、読んでみて冒頭から、あらら...
紳士が泥棒もする、という話ではないんですね。
泥棒が、紳士になるというお話でした。
勝手に、紳士が泥棒もするんだと思い込んでいました。
怪盗紳士と言えば、アルセーヌ・ルパンですが、たしかにルパンも出自は紳士でなかったかも...(記憶は怪しいですが、wikipedia では、父親は体操教師となっていますね)

ということで、シリーズ第1巻となるこの「怪盗紳士モンモランシー」では、泥棒が紳士になるまでと、なってから、あらすじにもある「運命が大きく変わる」までを描いています。
ということで、あまりミステリーっぽくはない。

泥棒ではあるんですが、この主人公、なかなかいい奴っぽいです。
ほぼ視点人物でもありまして、彼の視点で描かれるストーリーやモノローグ的な部分は、違和感なく読めます。
おもしろいのは、昼間は紳士、夜は泥棒というパターンを使っているのですが、二重人格というか、紳士側がモンモランシー、泥棒側がスカーパーと、それぞれに名前を与えて、あたかも二人の人間であるかのように取り扱っているところです。

どうも、この本の翻訳が固くて(内容の割にはかなり読みにくかったです)、「原作で読むとこのあたりが面白く書かれているんじゃないかなぁ」と何度も何度も読書中に考えました。
一人二役的な部分もそうですし、「運命が大きく変わる」部分も、たとえばバルカン諸国にあるマウラマニアの大使館でのシーンなど、ちょっとドタバタコメディみたいな雰囲気がある展開になるんですが、ちっともそういう感じが出ていないんですよね。重々しい。

ミステリーらしさはほぼないですが、書かれたのは2003年と新しいものの、古き良き時代の大衆小説っぽくて楽しかったです。
次の「怪盗紳士モンモランシー2 (ロンドン連続爆破事件) 」(創元推理文庫)がもう出ていますので、どう展開していくのか楽しみです。


原題:Montmorency
著者:Eleanor Updale
刊行:2003年
訳者:杉田七重






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帰ってきたヒトラー [海外の作家 あ行]


帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)
  • 作者: ティムール・ヴェルメシュ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ヒトラーが突如、現代に甦った! 周囲の人々が彼をヒトラーそっくりの芸人だと思い込んだことから勘違いが勘違いを呼び、本当のコメディンにさせられていく。その危険な笑いで本国ドイツに賛否両論を巻き起こした問題作。本国で二五〇万部を売り上げ、映画は二四〇万人動員、世界四二言語翻訳された空前のベストセラー小説の待望の文庫化。著者による原注付き。 <上巻>
テレビで演説をぶった芸人ヒトラーは新聞の攻撃にあうが民衆の人気は増すばかり。極右政党本部へ突撃取材を行なった彼は、徐々に現代ドイツの問題に目覚め、ついに政治家を志していくことに……。静かな恐怖を伴ったこの爆笑小説は、ドイツで大反響を巻き起こした。本国で二五〇万部を売り上げ、映画で二四〇万人動員したベストセラー小説の待望の文庫化。 <下巻>


映画化もされた話題作です。
映画を観る前に原作を読もうと思って読みました。
まだ映画は観ていません。急いで観ないと、上映が終わってしまいますね。
読み終わった感想は、これ、映画化するの?? でした。

2011年8月30日にヒトラーが復活する、というストーリー。しかも、ヒトラーが物真似芸人のようなコメディアンになる。
あらすじを見ても、映画に向いてそうではあります。
けれど、この原作のポイントは、蘇ったほかならぬヒトラーが語り手であることなのです。
語り手の目を通して作品世界に分け入るわけだし、語り手には、読者はついつい感情移入してしまうもの。ヒトラーに感情移入!? このあたり、トリッキーな仕掛けです。
映像化すると、こういう語りの部分は消し飛んでしまいますよね。
ナレーションをいれる手もありますが、だいたいうまくいかないもの...
映画を観るのが楽しみです。

1940年代からそのまま移動してきたようなヒトラーの眼で、2011年のドイツを、そして世界を見るとどうなるか。どう映るのか。
もちろん、ヒトラーのことですから、ドイツ人(アーリア人)こそが至高であり、外人を侮蔑する見方ではありますが、なかなか一面を突いているように思えてきます。
また、テレビ、コンピューター、インターネット(作中でヒトラーはインターネッツと呼んでいます)に触れるヒトラーもおもしろい。

周りの人物はヒトラーが蘇ったとは決して思いませんから、ヒトラーはあくまで物真似芸人、どこまでもヒトラーに成りきってヒトラーのごとく振る舞う芸人、として扱います。
そのずれ、ヒトラーの過ごしてきた時代と現代のずれ、両方が組み合わさって、会話が成立してしまうあたり、あるいは成立しなくても、相手が勝手に勘違いして成立させてしまうあたり、はコメディの常道ではありますが、有効に機能しています。

きちんとした現代のIDを持たない大の大人が、普通の社会生活を送れるのか、という疑問は、触れられてはいるものの、なにせそういう考えを持ち得ないヒトラーの視点で語られることもあり、曖昧なままで通過してしまいますが、そこは物語の本筋ではないので見過ごすべきなのでしょう。
前半、ストーリー展開が遅くて、ちょっと退屈した部分もあったのですが、ヒトラーがテレビに出演し、敵役の新聞〈ビルト〉紙が出てくるあたりでかなりおもしろくなりました。

この〈ビルト〉紙を除くと、あまり対立軸がない、というか、いうほどの敵も現れず、なんだかすいすいと物事が進んでいくのも物足りないのですが、第二次大戦前の実際のナチスの台頭もこんな感じだったのかもしれませんね。
秘書(?) からなじられても、信じるところを述べていくヒトラーが、なんだか筋の通った人のように思えてきてしまって怖い。

で、感心したのがラストです。
半ばあたりで、この物語のエンディングは難しいなぁ、と思っていたのです。
で、突然現代に蘇ったように、突然現代から消えてしまうんじゃないかな、と勝手に考えていたのですが...
最初は、えっ!? ここで終わるのかぁ、という受け止めだったのですが、考えてみれば、ここしかない、と思えるような着地だと感じ入りました。
素晴らしい。

こういう問題作は、いろいろな受け止め方があるでしょうし、それぞれ思い思いに読んでいけばよい、単に笑い飛ばしてもよし、現代の問題をじっくり改めて考えてもよし、あるいはこの問題作が出版された状況とか環境に思いを馳せるのもよし、と思いますが、あらためて、映画が楽しみになりました。
上映が終わってしまう前に観に行かなきゃ。


原題:Er ist Wierder DA.
著者:Timur Vermes
刊行:2012年
訳者:森内薫



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フィデリティ・ダヴの大仕事 [海外の作家 あ行]


フィデリティ・ダヴの大仕事

フィデリティ・ダヴの大仕事

  • 作者: ロイ・ヴィカーズ
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2011/12/26
  • メディア: 単行本


<帯あらすじ>
何でも盗んでさしあげますわ
天使のように関連な淑女怪盗が次に狙うのは--?
手下を操り、完全無欠な計画で大胆不敵にあらゆるものを盗む、フィデリティ・ダヴの冒険譚!
〈どうやって盗むか〉(ハウダニット)のおもしろさを心ゆくまで味わえる傑作短編全12編。


新年を迎えたというのに、感想の方はこの「フィデリティ・ダヴの大仕事」でようやく8月に読んだ本に入りました。

単行本です。
ロイ・ヴィカーズといえば、「迷宮課事件簿 」で、倒叙ものの名手というイメージですが、この「フィデリティ・ダヴの大仕事」は、タイトルからしていわゆる義賊もののようです。

12話収録の短編集で、タイトルは順に
「顔が命」
「宙吊り(サスペンス)」
「本物の名作」
「偽造の定番」
「ガルヴァーバリー侯爵のダイヤモンド
「貴顕淑商」
「一四〇〇パーセント
「評判第一」
「笑う妖精」
「ことわざと利潤」
「ヨーロッパで一番ケチな男」
「グレート・カブール・ダイヤモンド」
です。

新保博久の解説からの孫引きになりますが、都筑道夫のコメントがすばらしく要点を突いています。
「ひとつひとつの短篇で、女賊ファイデリティ・ダヴは、誰かに義憤を感じ、そいつの大事にしているなにかを盗もうと計画する。つまり加害者と被害者は、さいしょからわかっていて、どうやって盗むか、に興味が集中されるのだ。ダヴは計画を立てると、多勢の手下にいいつけて、準備をさせる。その準備が読者にはなんの関連性もないように思われるのだが、最後になると、盗みにぜんぶ必要だったことがわかる。そのおもしろさである」
ここで都筑道夫は「盗む」と言っていますが、おそらくは物を(物理的に)とる、という狭い意味ではなく、広く「騙し取る」趣旨の「盗む」だと思われます。
解説で、新保博久がワンパターンの連作ではないと指摘していますが、むしろ、詐欺的な、いまでいうコンゲームのような作品がほとんどです。そこがまたよろしい。
なんといっても、主役のフィデリティ・ダヴの存在感がポイントの作品ですね。
冒頭の「顔が命」では、レーソン警部補も可憐さにあっさり騙されてしまいます。この第1作目から、窃盗というよりは、詐欺ですしね。
このあと、レーソン警部補はすっかり狂言回しの役どころですね、かわいそうに。次の「宙吊り(サスペンス)」では、文字通りクレーンによって自動車とともに宙吊りにされます。
「本物の名作」では、単純ながらもトリッキーな騙しを見せ、レーソン警部補もしっかり一役買ってしまいます。単純だし、似たような作品が後で書かれているので、今の読者から見ると想定の範囲内の手口なんですが、いいんです、そんなことは。もうこの作品を読む頃には、すっかりフィデリティ・ダヴに騙されたい、とこちらが思うようになっていますから。
「偽造の定番」は、「フィデリティ・ダヴは、歴史上唯一、風景を盗んだ泥棒である--彼女を泥棒と言っていいものなら」という魅力的な書き出しで始まります。風景を盗む!? 実際は、風景を盗んだとは言い難い仕上がりですが、ぬけぬけとしたフィデリティ・ダヴの手口には感嘆します。
誰が見ても、レーソン警部補が見ても、被害者が見ても、フィデリティ・ダヴが仕組んだことがわかっているのに、ちゃんともくろみ通りになる。この展開こそが、このシリーズの大きな特徴で、特長です。フィデリティ・ダヴなら、そうでなくては。
フィデリティ・ダヴに魅力があるからこそ、続く「ガルヴァーバリー侯爵のダイヤモンド」でのラストが印象に残ります。義賊という由縁ですね。
とまあ、12編全部にコメントをつけると長くなりすぎるので、このあたりにしておきますが、フィデリティ・ダヴのキャラクターと騙しの手口、二つのおいしさの好短編集だと思いました。
こういう人を喰ったような作品、大好きです。


<蛇足>
「貴顕淑商」の手口は、現在では違法です。
まあ、フィデリティ・ダヴのお仕事はどれも違法ではありますが、フィデリティ・ダヴが仕組んだことがわかっていても捕まらない、首尾よく目的を達成する、ことがポイントなわけで、「貴顕淑商」の場合はこの手口を使うことだけで(現代では)捕まってしまうので、よくないですね。言ってみれば、教科書的な犯罪なわけですが、当時としては、これはアリ、だったのでしょう(本文中にも、そのような記載があります)。


原題:The Exploits of Fidelity Dove
作者:Roy Vichers
刊行:1924年
翻訳:平山雄一


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ミステリ通信「みすみす」blog




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囁く谺 [海外の作家 あ行]


囁く谺 (創元推理文庫)

囁く谺 (創元推理文庫)

  • 作者: ミネット ウォルターズ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ロンドンの住宅街の一角で、浮浪者が餓死しているのが発見された。取材に訪れたマイケルは、発見者の女性から意外な話を聞かされる。彼は、自ら餓死を選んだに違いないというのだ。だが、それよりも不可解なのは、彼女が死んだ男に強い関心を抱いていることだった。興味を引かれたマイケルは、この浮浪者の素性を調べ始める。“ミステリの新女王”の最新刊が文庫オリジナルで登場。


「本格ミステリ・ベスト10 〈2003〉」第10位です。

ミネット・ウォルターズらしいといえばそれまでなんですが、非常に複雑なプロットを持った作品です。
話は入り組んでいるし、登場人物も多いし、524ページもあるし、大変です。
でも、読みにくいか、というとそんなことはありません。冗長でもありません。しっかり書かれているので、それぞれの登場人物像がしっかりと浮かび上がってきますし、じっくり読めます。

死んだ浮浪者ビリー・ブレイクを巡る謎、というわけですが、ビリーにガレージで死なれた女性アマンダ・パウエルが謎めいていて、いい感じです。
死んだビリーは、実はアマンダの失踪した夫なのではないか? 
物語にはもう一人の失踪者が出てきまして、謎が拡散していきます。

ミステリとしては、ジグソーパズルのように、ピースを少しずつ集めていって1枚の大きな絵を完成させるというよりは、暗闇の中に掲げられている一枚の絵をところどころ、飛び飛びにスポットライトを当てながら読者に見せていって想像させながら、最後に日の光のもとに全体をさらすというか、全体に照明を当てて大きな絵を見せる、という手法なので、推理してどうこうというタイプではありません(もちろん、登場人物は推理していくのですが)。
この作品ではちょっと絵が精緻で複雑すぎて、全体に照明が当たった時に、一気に「うわーっ、すごい、こういう絵だったんだ」とならずに、「ああ、ここはこうなっていたんだ。」「この部分とこの部分はつながって、こういう絵になっていたんだな」とディテールに気を取られて、全体像がとっさにはわかりにくいのがちょっと残念です。

餓死した浮浪者というきわめて地味な事件が、どんどん広がっていくさまを楽しむのがポイントなのだと思いました。

探偵役(?)は、記者のマイケル・ディーコン。タッグを組む(?) ホームレスの少年テリーがとてもいい。
ディーコンの仕事仲間バリー・クローヴァーのダメっぷりも堂に入っています。

じっくり読める実力派のミネット・ウォルターズ。今後も、ゆっくりゆっくり読んでいきます。


原題:The Echo
作者:Minette Walters
刊行:1997年



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エアーズ家の没落 [海外の作家 あ行]


エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)エアーズ家の没落下 (創元推理文庫)エアーズ家の没落下 (創元推理文庫)
  • 作者: サラ・ウォーターズ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/09/18
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
かつて隆盛を極めながらも、第二次世界大戦終了後まもない今日では、広壮なハンドレッズ領主館に閉じこもって暮らすエアーズ家の人々。かねてから彼らと屋敷に憧憬を抱いていたファラデー医師は、往診をきっかけに知遇を得、次第に親交を深めていく。その一方、続発する小さな“異変”が、館を不穏な空気で満たしていき……。たくらみに満ちた、ウォーターズ文学最新の傑作登場。 <上巻>
相次ぐ不幸な出来事の結果、ハンドレッズ領主館はますます寂れていた。一家を案じるファラデー医師は、館への訪問回数を増やし、やがて医師と令嬢キャロラインは、互いを慕う感情を育んでいく。しかし、ふたりの恋が不器用に進行する間も、屋敷では悲劇の連鎖が止まることはなかった……彼らを追いつめるのは誰? ウォーターズが美しくも残酷に描く、ある領主一家の滅びの物語。 <下巻>


「このミステリーがすごい! 2011年版」 第7位、週刊文春ミステリーベスト10も第7位です。
サラ・ウォーターズはすごいですねぇ。
処女作「Tipping the Velvet」は未訳ですが、日本初紹介となった第2作「半身」 (創元推理文庫)が、「このミステリーがすごい! 2004年版」第1位、続けて第3作「荊の城」 (上) (下) (創元推理文庫)「このミステリーがすごい! 2005年版」第1位と、2作連続で第1位をとっています。
続く4作目である「夜愁」 〈上〉 〈下〉 (創元推理文庫)は、ミステリの味付けがかなり薄めでしたが、それでも「このミステリーがすごい!  2008年版」では第18位に食い込んでいます。
そして5作目のこの「エアーズ家の没落」 (上)  (下) が再びベスト10入りし第7位。
こんなに高打率(?) な作家、あまりいないと思います。
今回は、ゴシックロマンのバリエーションですね。
お屋敷物を、その家(ハンドレッズ領主館)にいる人間ではなく、その外側にいる人物(ファラデー医師)から描いて見せます。外側から描けば、もうゴシックロマンではない、とも言えそうですが、立派にその雰囲気をたたえています。

貴族、領主の生活などというものはきっと時代に流されて崩れていってしまったものでしょうから、「エアーズ家の没落」 (上)  (下) で描かれたようなことがなくても、じわじわと没落していったことでしょう。
往年のイギリスの貴族の生活って、なかなか味わい深そうですねぇ。と同時に維持するのも大変。没落するのもむべなるかな、といった感じ。
屋敷とその暮らしぶりがたっぷり描かれていて、なんとかして体面を保とうとするところもあわせ、とっても興味深く読みました。ありふれた題材といえばありふれているのですが、雰囲気に十分に浸れます。
果たして怪異現象はあったのか、なかったのか。「エアーズ家は時代と共に進歩することができなかったために、後退することを選び--自殺や狂気の中に消えた」だけなのか。
どうしても、そこに“なにか”を見とってしまう。じわじわと、それでいてそれなりのスピードで、“なにか”エアーズ家を蝕んでいく様子が堪能できます。屋敷の外側(ファラデー医師)に視点を置いている効果が発揮されているようです。



<おまけ>
ところで、解説で三橋曉さんが、かつての創元推理文庫だったら、本格推理小説、警察小説とハードボイルド、スリラー・スパイ・サスペンス、その他の推理小説(法廷ものや倒叙もの)の4つに分類され、それぞれ名探偵の横顔(またの名をオジサン)、拳銃、猫、時計といった分類マークがつけられていたことに触れ、
「昔だったらこの作品にはいったいどのマークが付けられたのだろうか? と。当時であれば、この『エアーズ家の没落』は、どのジャンルに分類すべきか、さぞかし担当編集者氏を悩ませたに違いない」
と書かれているのですが、この4分類の中だったら、猫しかないのではないでしょうか?
付け足しのように触れられている、帆船マークの怪奇と冒険、も含めると、帆船マークになる可能性もありますが...


原題:The Little Stranger
作者:Sarah Waters
刊行:2009年



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夜明けのパトロール [海外の作家 あ行]


夜明けのパトロール (角川文庫)

夜明けのパトロール (角川文庫)

  • 作者: ドン・ウィンズロウ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
カリフォルニア州最南端、サンディエゴパシフィックビーチ。探偵ブーン・ダニエルズは、夜明けのサーフィンをこよなく愛する。まわりには波乗り仲間 “ドーン・パトロール” 5人の面々。20年ぶりの大波の到来にビーチの興奮が高まる中、新顔の美人弁護士補がブーンのもとを訪れた――仕事の依頼。短時間で解決するはずの行方不明者の捜索は困難を極め、ブーンの中の過去の亡霊を呼び覚ます。ウィンズロウの新シリーズ第1弾!!


ドン・ウィンズロウの新シリーズです(といっても2010年7月刊行なので、3年近くも積読にしていました...)。それだけでも、期待が高まりますね。
『前作の「犬の力」 〈上〉 〈下〉 (角川文庫)が剛腕でねじ伏せるような迫力満点であったのに対し、この「フランキー・マシーンの冬」 〈上〉 〈下〉 (角川文庫)は緊迫感あるクライム・ノヴェルなのに、どことなく余裕を感じさせる、そんな作品です。』
と前作「フランキー・マシーンの冬」 〈上〉 〈下〉 の感想で書きましたが(リンクはこちら)、今回の「夜明けのパトロール」 (角川文庫)はさらに余裕を感じさせるというか、文体といい、会話といい、くつろいで楽しめます。
内容や雰囲気はずいぶんと違うのですが、「ストリート・キッズ」 (創元推理文庫)から始まるニール・ケアリー シリーズをちょっと思い出しました。
いいじゃないですか。こういう作品、もっともっと多くなるといいのに。
まず、ブーンを取り巻く人物がいいですね。“ドーン・パトロール”のメンバーそれぞれが持つ(サーフィンに対する、人生に対する)スタンスもそうですし、それぞれが秘めた(?) 過去も印象深い。
また会いたい、と強く感じました。
特にシリーズということでは、サニーとペトラという女性二人の今後がとても気になります、ブーンとの関係も含めて。
「しかし、暗黒の大作「犬の力」を経たウィンズロウが、そのまま“うふふオモシロ小説”で終わるはずもありません。」と訳者あとがきに書いてあるのは、まるでピュアな娯楽小説を低いもの、価値のないもののようにとらえていて気に入らないのですが、確かに指摘通り、明るい叙述ぶりにもかかわらず、扱われている事件は非常に重苦しいもので、この落差もみどころなのだと思います。
なんにせよ、楽しみなシリーズができました。続けて読んでいきます。


原題:The Dawn Patrol
著者:Don Winslow
刊行:2008年



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女王陛下の魔術師 ロンドン警視庁特殊犯罪課 1 [海外の作家 あ行]


女王陛下の魔術師 (ハヤカワ文庫FT ロンドン警視庁特殊犯罪課 1)

女王陛下の魔術師 (ハヤカワ文庫FT ロンドン警視庁特殊犯罪課 1)

  • 作者: ベン・アーロノヴィッチ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
二年間の見習い期間を終え、新米巡査ピーターの配属先が決まった。特殊犯罪課! 第一希望の殺人課でこそないが、事務処理仕事よりはずっとましだ。意気揚々と上司のもとへと向かうが、主任警部のナイティンゲールから衝撃の事実を明かされる。自分は英国唯一の魔法使いであり、これから二人で特殊な犯罪――悪霊、吸血鬼、妖精がらみの事件を捜査するのだと!? かくて魔術師見習い兼新米警官の驚くべき冒険がはじまる!

この作品、翻訳された時から気になっていて、本屋さんで手に取ってみることしばしば。
レーベルが、ハヤカワ文庫のFT。FTってことは、ファンタジー。ミステリではない。
かなり悩んだんですが、おもしろそう、という勝手な勘を信じて購入。結果オーライ。とても楽しく読めました。
ミステリ風味です(見立て殺人なんかも出てきます!)が、ファンタジー味が強いですね。
現代のロンドンに、もう一つの神霊世界(?)のロンドンを二重写しにして見せています。ロンドンなら、こういうこともあるかも、と思えるのが強みですね。

まず、個人的に楽しんだ一番のポイントは、ロンドンの具体的な地名が出てくること。
さすがに「A to Z」(ロンドンの地図)片手にとはいきませんでしたが、相応にメジャーな通りや地名なので、懐かしく楽しく読みました。たとえばコヴェント・ガーデンとか、よく行くところでしたし。
(ただ、逆にご存知ない場合には、固有名詞はうるさく感じられるかもしれません)

主人公がアフリカ系とアラブ系の混血という設定が興味深い。
白人が有色人種を支配する世界観も根強いところ、古き良き大英帝国は、決して白人だけのものではなかったはずですし、この設定は新しい、今風のものと言えると思います。

原題は「Rivers Of London
ロンドンには川がいくつも流れていますが、その川を支配する(?) 妖精--ではないですね、霊でもないし、人ならぬものが関係してきます。そしてその仲裁を主人公ピーターは負わされるのです。
どうやって仲直り(?) させるのか、見ものです。

シリーズはこのあとも順調に訳されていまして、
「顔のない魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
「地下迷宮の魔術師」 (ハヤカワ文庫FT)
が出ています。
ミステリ風味は薄いですが、続きも読んでいきたいです。
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フランキー・マシーンの冬 [海外の作家 あ行]


フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)
  • 作者: ドン・ウィンズロウ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/09/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴ釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた――。 <上巻>
何者かの罠にはまり姿をくらました伝説の凄腕“フランキー・マシーン”を、マフィアの刺客がつけ狙う。20年来の友人、連邦捜査官のデイヴ・ハンセンも重要証人の殺害容疑でフランクの逮捕状を取った。じりじりと包囲網が狭まる中で、フラッシュバックする記憶をふるいにかけるフランク。誰がなぜ、彼を消そうとしているのか。だが容疑者のリストはあまりに長く、残された僅かな時間は尽き果てようとしていた――。<下巻>

この上下巻の文庫本の表紙、並べると続き物になっていたんですね。カバーをかけているので、気づかないでいました。
「このミステリーがすごい! 2011年版」第4位。2010年週刊文春ミステリーベスト10 第9位。

あらすじにある“紳士の時間”とは
「カリフォルニアのサーフィンの名所なら、どこにでも“紳士の時間”というしきたりがある。始まりは八時半か九時。そのころになると、若き名人たちが、出勤するために急いで海から引き揚げるので、もっと時間を自由に使える男たちに出番が回ってくる。波間に集まるのは、医者、弁護士、不動産投資家、早期退職した公務員、引退した教師、つまり“紳士”たちだ」
「若い連中が、“高齢者の時間”と呼ぶなら、呼ばせておけばいい。やつらに何がわかる?」(P27)
ということのようです。なんだか素敵な感じがしますね。

前作の「犬の力」 〈上〉 〈下〉 (角川文庫)が剛腕でねじ伏せるような迫力満点であったのに対し、この「フランキー・マシーンの冬」 〈上〉 〈下〉 (角川文庫)は緊迫感あるクライム・ノヴェルなのに、どことなく余裕を感じさせる、そんな作品です。
もちろんそれは、主人公であるフランク・マシアーノの魅力ゆえ、ですが、彼をめぐるエピソードの数々が素晴らしい。
元マフィアとはいえ、今は普通の(?) おっさんのなんということのない日常生活が、なんだかかっこいい。そう思えます。

フランクを消そうとしているのは誰か。
過去の回想をちりばめながら、フランクがつきとめていくわけですが、その道筋、過程がテンポよく、彩りよく語られるので、さほど意外とは言えない犯人でも、十分な満足感を得られました。
ウィンズロウの作品は、この後もどんどん訳されているので(当然ながら(?) 全部買ってあり、積読中です)、とても楽しみです。
「夜明けのパトロール」 (角川文庫)
「野蛮なやつら」 (角川文庫)
「紳士の黙約」 (角川文庫)
「キング・オブ・クール」 (角川文庫)
「サトリ」 (上) (下) (ハヤカワ文庫NV)

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航路 [海外の作家 あ行]


航路〈上〉 (ヴィレッジブックス)航路〈下〉 (ヴィレッジブックス)航路〈下〉 (ヴィレッジブックス)
  • 作者: コニー ウィリス
  • 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2004/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
認知心理学者のジョアンナは、デンヴァーの大病院にオフィスを持ち、朝はER、午後は小児科と、臨死体験者の聞き取り調査に奔走する日々。目的は、NDE(臨死体験)の原因と働きを科学的に解明すること。一方、神経内科医のリチャードは、被験者の脳に臨死体験そっくりの幻覚を誘発する薬物を発見し、擬似NDEを人為的に引き起こしてNDE中の脳の状態を記録するプロジェクトを立ち上げ、彼女に協力を求める。だが、実験にはトラブルが続出し、やがて被験者が不足する事態に。こうなったら自分でやるしかない。ジョアンナはみずから死を体験しようと決意するが…… <上巻>
危機に瀕した研究プロジェクトを救うため、みずから<死後の世界>を垣間見ようと決意したジョアンナ。だが、彼女がNDE(臨死体験)の暗いトンネルを抜けて赴いた先は、思いがけない現実の場所だった。私はこの場所を知っている。でも、どこだったか思い出せない 。ただの幻影だから当然だと言うリチャードに反発し、ジョアンナはその場所がどこなのか、記憶の糸をたどって必死に調べはじめる。とうとう突き止めた答えは、まったく予想もしないものだった……
圧倒的なストーリーテリングで描く感動巨編! <下巻>

2002年10月にソニーマガジンズから出版され、2004年12月にヴィレッジブックスで文庫化されました。
今回読んだのは、この文庫版です。
昨日の「死体をどうぞ」 (創元推理文庫) (ブログへのリンクはこちら)もそうでしたが、積読期間が長すぎて、先々月ハヤカワ文庫SFに収録されました。

航路(上) (ハヤカワ文庫SF)航路(下) (ハヤカワ文庫SF)航路(下) (ハヤカワ文庫SF)
  • 作者: コニー・ウィリス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2013/08/27
  • メディア: 文庫


ハヤカワ文庫版は、すごーくポップな表紙でかわいいですね。
でも、これSFかなぁ? 「被験者の脳に臨死体験そっくりの幻覚を誘発する薬物」というのを除けばSF的要素はあんまりないような。

扱っている題材が、臨死体験。
臨死体験は、死後の世界を垣間見るものだ、という立場と、死の直前に脳が見せる幻覚だ、という立場。
もちろん(?) 視点人物のジョアンナは、死後の世界なんて信じていませんが、一方で幻覚と決めつけてもおらず、きちんと究明しようとしていて好感が持て、入り込みやすい設定でした。
前半、非常にゆったりと物語は進んでいきまして、個人的には、ユーモラスなシーンがあちこちにちりばめられていて、ちっとも退屈しませんでしたが、もどかしく感じる人もいるんじゃないかと思うくらい。
ところが一転、後半は怒涛の展開、というか怒涛の伏線回収。
上巻の巻末に収録されている「日本版に寄せて」で作者が明かしている、ジョアンナの臨死体験の舞台がはっきりしてからは特にその傾向が顕著です。
そして、下巻の280ページになって衝撃の展開。307ページから第三部が始まるその直前に、コニー・ウィルス、なんてことするんだ!!
そして第三部では、さまざまな登場人物たちが、大団円へ向けて集結(?) します。
被験者たち(第二次世界大戦の話をしてうんざりさせるミスター・ウォジャコフスキーなど)も、敵役(死後の世界を信じるマンドレイク)も、そして愛すべき心臓病患者で大災害(ヒンデンブルグ号とか、ポンペイの噴火とか、タイタニック号とか)好きの少女メイジーも(メイジーのキャラクターがとても印象的です)。

作者は、臨死体験について一つのアイデアを提示しているのですが、非常に説得力があるというか、納得感あるもので、なるほどなぁ、と感心できました。

ジャンル(SFかどうか)はともかく、とびきりのエンターテイメントです。
長さに見合うだけの、充実した読書体験を約束してくれます。ぜひ、ぜひ。

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犬の力 [海外の作家 あ行]


犬の力 上 (角川文庫)犬の力 下 (角川文庫)犬の力 下 (角川文庫)
  • 作者: ドン・ウィンズロウ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
メキシコの麻薬撲滅に取り憑かれたDEAの捜査官アート・ケラー。叔父が築くラテンアメリカの麻薬カルテルの後継バレーラ兄弟。高級娼婦への道を歩む美貌の不良学生ノーラに、やがて無慈悲な殺し屋となるヘルズ・キッチン育ちの若者カラン。彼らが好むと好まざるとにかかわらず放り込まれるのは、30年に及ぶ壮絶な麻薬戦争。米国政府、麻薬カルテル、マフィアら様々な組織の思惑が交錯し、物語は疾走を始める――。 <上巻>
熾烈を極める麻薬戦争。もはや正義は存在せず、怨念と年月だけが積み重なる。叔父の権力が弱まる中でバレーラ兄弟は麻薬カルテルの頂点へと危険な階段を上がり、カランもその一役を担う。アート・ケラーはアダン・バレーラの愛人となったノーラと接触。バレーラ兄弟との因縁に終止符を打つチャンスをうかがう。血塗られた抗争の果てに微笑むのは誰か――。稀代の物語作家ウィンズロウ、面目躍如の傑作長編。 <下巻>

「このミステリーがすごい! 2010年版」第1位、週刊文春ミステリーベスト10第2位、です。
帯には
「腐敗と裏切り、復讐のサーガ。」
とあり、麻薬戦争を描く年代記です。ジャンル分けすると、犯罪小説になるのでしょうか。狭義のミステリではありません。
ドン・ウィンズロウといえば、「ストリート・キッズ」 (創元推理文庫)をはじめとするニール・ケアリーシリーズや、出版社が角川に移って出た「ボビーZの気怠く優雅な人生」「歓喜の島」 「カリフォルニアの炎」 (角川文庫)のように、サスペンスフルではあっても、ユーモア漂うというか、余裕がある作風だったのですが、この「犬の力」 〈上〉 〈下〉 (角川文庫)は違います。
長期にわたる物語なのに、疾走感あり。
何と言っても麻薬マフィアですので残虐なシーンも多々ありますので、苦手な方は気を付けていただく必要がありますが、熱いストーリーに浸れます。
タイトルの「犬の力」が何を指すのかは明記されていません。
冒頭に、詩編二十二章二十節からの引用として
「わたしの魂を剣から、
 わたしの愛を犬の力から、
 解き放ってください」
と掲げられています。
途中、「ケルベロス」という語がコードネームとして登場します。ケルベロスは、冥府の門の番犬(ではなく案内係と説明されていますが)、なので、ちょっとしたつながりはあるのでしょうが、これも明示はありません。訳者あとがきで東江さんが一つの解釈を提示しておられます。説得力ありますのでご確認ください。ただ、ラストを読むと、意味が分からなくてもよいのではないか、という気もします。
さまざまな登場人物が入り乱れて、一大物語を織りなしていく、というのが、小説の醍醐味の一つだと思いますが、この本はまさしくその好例だと強く感じます。最初、読みながら、船戸与一が「山猫の夏」 (講談社文庫)を書いたように、ウィンズロウもウィンズロウ版「赤い収穫」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)を書こうとしたのかな、とも思ったのですが、この勝手な推測が正しかったかどうかは読んでお確かめください。
テーマがテーマなだけに、万事ハッピーエンド、というわけにはいかないですが、どっしりとした充実な読書の時間が約束されています。

<蛇足>
そういえば会社の若い部下(女子)がこの本を読んでいて、「おもしろい?」と聞いたら、「とてもおもしろいです」と答えていたのを思い出しました。こういうハードな本を読みそうには見えない子だったので、かえって印象的でした。

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