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三本の緑の小壜 [海外の作家 た行]


三本の緑の小壜 (創元推理文庫)

三本の緑の小壜 (創元推理文庫)



<裏表紙あらすじ>
ある日、友人と遊びにいった少女ジャニスは帰ってこなかった――。その後、ジャニスはゴルフ場で全裸死体となって発見される。有力容疑者として町の診療所勤務の若い医師が浮上したものの、崖から転落死。犯行を苦にしての自殺と目されたが、また少女が殺されてしまう。危険を知りながら、なぜ犠牲に? 真犯人への手掛かりは意外にも……。英国本格の名手、待望の本邦初訳作。


久しぶりにディヴァインを読んだ、という感じです。

タイトルの「三本の緑の小壜」 というのは、
「一列に並んだ、三本の緑のガラス壜。あの有名な数え歌のように、一本ずつ落ちて割れていく。」(271ページ)
と書かれているように、童謡(?)からとられているようです。
Ten Green Bottles
でも、ここ、なぜわざわざ「緑のガラス壜」となっているのでしょうね? “glass” という単語が使われているのでしょうか? 不思議。

少女たちが続いて殺されていく作品なわけですが、
「こんなことが殺人の動機になりうるとは思えない」(344ページ)
と書かれている動機がポイントでしょうか。ミッシリング・リンクとして、面白い作品だと思いました。
個人的にはミステリとしては、あり、だと思ったものの、まあ、こんな理由で殺されちゃたまらないですが...

動機はさておくとして、犯人を見抜くのはそんなに難しくはないだろうと思います。
「この人物しかありえないというところまで、われわれは犯人を絞り込んだ。五万人から六人へ、六人からふたりへ、そしてついに最後のひとりへ。」(355ページ)
とロウビンズ警部補が言う場面がありますが、これは言い過ぎというもので、もともと容疑者は六人くらいからスタートしているわけです。
ただ、バラまかれた手がかりと作者の仕掛けたミスディレクションとはかなりいろんなパターンを組み合わせてありまして、贅沢な作りの本格ミステリです。
少々犯人が分かりやすかったとしても、満足できます。

そして、この作品は視点人物が切り替わっていくのですが、切り替わるたびに趣が変わっていくというところもポイント高い。
派手ではないですが、いわゆる“ロマンス”が盛り込まれているのも、時代を反映していい感じで楽しめました。

ディヴァインの作品は、ゆっくりとですが、着実に訳されています。
本書のあとも、
2013年に「跡形なく沈む」 (創元推理文庫)
2015年に「そして医師も死す」 (創元推理文庫)
が訳されています。
今月末に
「紙片は告発する」 (創元推理文庫)
が出版されるようですね。
楽しみです。全部読まなきゃ。

<おまけ>
HP「黄金の羊毛亭」の解説(?)は、いつもながら素晴らしいです。
これ読んじゃうと、感想書くのが悪いことをしているみたいな気分になります...


原題:Three Green Bottles
著者:Dominic Devine (D・M・Devine)
刊行:1972年
訳者:山田蘭





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貴婦人として死す [海外の作家 た行]


貴婦人として死す (創元推理文庫)

貴婦人として死す (創元推理文庫)

  • 作者: カーター・ディクスン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2016/02/27
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
戦時下イギリスの片隅で一大醜聞が村人の耳目を集めた。俳優の卵と人妻が姿を消し、二日後に遺体となって打ち上げられたのだ。医師ルークは心中説を否定、二人は殺害されたと信じて犯人を捜すべく奮闘し、得られた情報を手記に綴っていく。やがて、警察に協力を要請されたヘンリ・メリヴェール卿とも行を共にするが……。張り巡らした伏線を見事回収、本格趣味に満ちた巧緻な逸品。


この作品はハヤカワ・ミステリ文庫版で読んでいます。

創元推理文庫の常(?)として、裏表紙のあらすじと、表紙扉の部分のあらすじがずいぶん違います。
扉の方もおもしろいので引用します。

私はルーク・クロックスリー、長らく医者をやっている。旧知のアレックは六十、妻のリタと年は離れているが、バリー・サリヴァンという若造が来るまでは平穏だった。リタは私に行ったのだ、バリーに惚れた、諦めきれないと。カード遊びに呼ばれアレックを訪ねた夜、海へ真っ逆さまの断崖まで続く足跡を残してリタとバリーは突如姿を消した。思い余って身を投げたのか。遺体は二日後に発見されたが謎は多々残っている。その話題で持ちきりの村を電動車椅子で暴走中の男は警察関係者らしいが、てんで頭が回らないとみえる。ふむ、ヘンリ・メリヴェール卿とやらに私が真相を教えてやるか……。

ね? おもしろいでしょう?
語り手である私は、「真相を教えてやるか」なんて感じではまったくなく、むしろリタもアレックも気に入っているので、やきもきしているばかりですが、これもミスディレクションになっているんですね、さすがはカー。
タイトルもかっこいい。読んでみるとあんまり「貴婦人として死す」って感じじゃないんですが...

再読のはずですが、すっかり忘れてしまっていて、ラストのトリック解明シーンになってようやく、トリックを思い出しました。最初に読んだとき、がっかりしたトリックだったんですよね。
でも今回はがっかりしませんでした。
むしろ、このトリックが、ヘンリ・メリヴェール卿の優しさ(?) を物語るエピソードの要素になっていることに感心んしてしまいました。
犯人の隠し方がおもしろい作品だったと思います。

被害者の不倫が物語の底流にあるので、いつものロマンスは控え目ですが、ちゃーんとあります! 
H・M卿といえばつきものの、ドタバタシーンもしっかり!
カーはぬかりないですね。

この本、解説にあたるところに、山口雅也が「結カー問答」というのを書いています。
これが素晴らしい。
カー問答といえば、江戸川乱歩に松田道弘で、どちらも何度も読んだなぁ、と。
カーは、創元推理文庫の巻末に掲げてあった顔写真が怖くて避けていたのですが、松田道弘のカー問答を読んでから、俄然読む気になったことを思い出します。江戸川乱歩のカー問答を前提に、乱歩にはなかった視点を繰り出してくるところが、興味を引いたんです。
山口雅也のカー問答もおもしろいですよ。
それぞれが挙げるカーの特徴というのも、違いを並べるとなかなか楽しい。

江戸川乱歩の挙げたもの
①空想派的作風(チェスタトンからの影響)
②密室・不可能犯罪のトリックメイカー
③怪奇(オカルト)趣味

松田道弘の挙げたもの
①ロマンス(伝奇騎士物語)好み
②奇術愛好癖による趣向だて
③職人作家としてのサービス精神

そして山口雅也が挙げているのが
①フーダニット(誰がやったか? =犯人隠蔽)の名手
②神のごとき視点の高さ
③ユーモア--取り分けスラプスティック・コメディに長けている
④世界大戦の影

山口雅也だけ4つというのはちとずるい気もしますが、戦争も中に取り込む意欲というのはおもしろい着眼(瀬戸川猛資も指摘していたと思います)ですし、偶然の解釈も楽しかったので、〇。

創元推理文庫はカーをじゃんじゃん復刊してくれているので、これからも期待しています!



<蛇足1>
104ページに「猥(みだ)りがわしい」という語が出てきます。
はじめて見ました。辞書引いちゃいました。
「みだらである。好色でいやらしい」とか「 規律・礼儀・風紀などが乱れている」という意味なんですね。

<蛇足2>
157ページに
「最後に見えたのはH・M卿の見事に禿げ上がった後頭部で、車が走り去っていく時いかにも意地悪そうにぎらりと光った」
とありますが、意地悪そうに光る禿げ頭って...
思わず笑っちゃいました。



原題:She died a lady
著者:Carter Dickson
刊行:1943年
訳者:高沢治


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オタバリの少年探偵たち [海外の作家 た行]


オタバリの少年探偵たち (岩波少年文庫)

オタバリの少年探偵たち (岩波少年文庫)

  • 作者: セシル・デイ ルイス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/09/17
  • メディア: 単行本


<裏表紙あらすじ>
第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに……。


「エーミールと探偵たち」 (岩波少年文庫)(感想ページへのリンクはこちら
「名探偵カッレくん」 (岩波少年文庫)(感想ページへのリンクはこちら
に続いて児童書です。
岩波少年文庫の児童書はいったんこれで打ち止め。というよりはこの「オタバリの少年探偵たち」が真打で、既読だった「エーミールと探偵たち」 「名探偵カッレくん」 はいわば前座の位置づけ。
「オタバリの少年探偵たち」は初読です。
作者のセシル・デイ=ルイスはイギリスの桂冠詩人ですが、別名ニコラス・ブレイクでミステリを書いています。「野獣死すべし」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)が有名ですね。これは読んでみなければ、とおもったわけです。

ところが冒頭、
「『オタバリの少年探偵たち』を書くにあたって、私はフランス映画 “Nous les Gosses” (『ぼくら悪ガキ』)を下敷きにしました。」
と作者が書いています。
あれれ? 本当の意味でのオリジナルではないのですね...

さて、その内容ですが、少年探偵ものとしては、かなりハードです。
最初のほうの、ガラスを割ってしまった仲間のために、みんなでお金を集めようとする、というくだり、牧歌的でいいな、なんて思っていたら、途中でどーんと大展開。本物の、冒険というかスリルです。
子どもたちの勇気に乾杯、といったところでしょうか。大人が関与していたら、きっと危険すぎるので止めたと思いますが。だって、相手は悪党一味ですから。

女の子が出てこないのが時代を感じさせますが(今この種の作品を書いたら、かならず女の子も登場すると思うので)、子どもならではというか、男の子ならでは、というか、助け合って、かばい合って、でも意地を張りあって、というあたりがよく伝わってきます。
エドワード・アーディゾーニの挿絵も(表紙もそうです)、そっけないようで、味があって、なかなかよかったです。

<蛇足1>
この作品の書き出し
「事の起こりからはじめて、結末まで行ったら、そこで終わりにしろ」
ふと岡嶋二人の「クラインの壺」 (講談社文庫)を思い出しました。
手元にないので記憶ベースですが、たしか、「クラインの壺」 も似たような書き出しだったかと。

<蛇足2>
冒頭訳者による「物語のまえに」という導入部分があるのですが、わかりにくい当時の通貨単位と度量衡の説明があって親切です。
それにしても、インチ、フィートの説明で、寸、尺、間を引き合いに出し、「一ヤードは畳の短いほうの幅くらい」という説明はいいとして、「こういう単位は、十進法とちがって計算はめんどうですが、目分量には具合よくでてきているということですね。」っていうのは、どうですかねぇ?
日本では畳をベースにわかりやすい、具合よい、と言えても、イギリスには畳ありませんよ!? さらに最近では日本でも畳のないマンションが増えていませんか?



原題:The Otterbury Incident
作者:Cecil Day Lewis
刊行:1948年
翻訳:脇明子





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死をもちて赦されん [海外の作家 た行]


死をもちて赦されん (創元推理文庫)

死をもちて赦されん (創元推理文庫)

  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ウィトビアでの歴史的な教会会議(シノド)を前に、アイオナ派の有力な修道院長が殺害された。調査にあたるのはアイオナ派の若き美貌の修道女“キルデアのフィデルマ”。対立するローマ派から選ばれたサクソン人の修道士とともに、事件を調べ始める。フィデルマの名を世に知らしめることになる大事件と、後に良き相棒となるエイダルフとの出会いを描いた、ファン待望の長編第一作遂に登場。


上で引用したあらすじでは、ファン待望の、とありますが、このシリーズ、初めて読みます。
あとがきに書いてありますが、このシリーズの邦訳は5-3-4-1-2という順で訳されたようですね。
シリーズ物はできれば(原書が)出た順に読みたい(シリーズ物でなくても、ある作者の作品は出版順に読みたいと思っていますが)ので、ここまでの邦訳3冊が売れていなかったら、この第1作が訳されることもなかったわけで...こういう翻訳順はちょっと困るなぁというところ。日本では割とこういうこと(出版順に翻訳されないこと)がよくあるんですよね。
でも逆に、第1作を手に取るころには日本で好評を持って受け入れられたことがわかっているということでもあるので、本を選ぶときに安心できるとも言えるんですよね。うーむ。

で、この「死をもちて赦されん」 を読んでどうだった、というと、おもしろかったですね。
シリーズの翻訳順が原書出版順とならなかった理由は、第1作、第2作で色濃いカトリック内部の教義論争が受け入れられにくいと判断されたことと、作品の舞台がアイルランドではないので古代ケルトというシリーズの特色があまり出ていないと判断されたこと、のようです。
いや、こんなの杞憂ですよ。
しっかりとした作品ですし、「死をもちて赦されん」 から訳されても、十分受け入れられ、評価されたと思います。
宗教会議も、おもしろかったですよ。特に、政治状況と結びついているところがよろしい。宗教が宗教のみの事情で決せられない、というよりも、宗教はそもそも政治と分かちがたく結びついていたということでしょう。
ミステリの部分も、クラシックなミステリらしい結構で楽しめました。
これだけ古代の香りが立ち込めている中に、こういう動機を抛り込んでくるなんて、なかなかピーター・トレメインも曲者ですね。

それにしても、人気シリーズとのことですが、主人公であるフィデルマ、嫌な女ではありませんか(笑)?
シリーズ続巻を読んで、フィデルマがどう変わっていくのか、観ていきたいと思いました。

<蛇足>
(1) バリトンに“中髙音”という漢字があててあるのですが(117ページ)、高 ではなく、髙(いわゆる、はしごだか)でした。なぜ?
(2) 「客観的な同情の視線で見守った」(221ページ)というのは、どういう視線なんでしょうね?


原題:Absolution by Murder
作者:Peter Tremayne
刊行:1994年
翻訳:甲斐萬里江


ここにこれまで邦訳されている長編の書影を、ぼく自身の備忘のために順に掲げておきます。
死をもちて赦されん (創元推理文庫)

死をもちて赦されん (創元推理文庫)

  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: 文庫

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

サクソンの司教冠 (創元推理文庫)

  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/03/10
  • メディア: 文庫

幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫)幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫)
  • 作者: ピーター トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2007/09/28
  • メディア: 文庫

蛇、もっとも禍し上 (創元推理文庫)蛇、もっとも禍し下 (創元推理文庫)蛇、もっとも禍し下 (創元推理文庫)
  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫

蜘蛛の巣 上 (創元推理文庫)蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)蜘蛛の巣 下 (創元推理文庫)
  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2006/10/24
  • メディア: 文庫

翳深き谷 上 (創元推理文庫)翳深き谷 下 (創元推理文庫)翳深き谷 下 (創元推理文庫)
  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/12/21
  • メディア: 文庫


消えた修道士〈上〉 (創元推理文庫)消えた修道士〈下〉 (創元推理文庫)消えた修道士〈下〉 (創元推理文庫)
  • 作者: ピーター・トレメイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/11/21
  • メディア: 文庫




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八方破れの家 [海外の作家 た行]


八方破れの家 (創元推理文庫)

八方破れの家 (創元推理文庫)

  • 作者: ジル・チャーチル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/09/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
顔見知りの女性ビッツィから、古いお屋敷を企業向けの宿泊施設に改装するので、内装を担当してほしいと頼まれたジェーンとシェリイ。工事関係者はほぼ女性のみという異色ぶりに加え、契約書も設計図もいいかげんなことに、二人は不安を覚える。そのうえ当の屋敷に嫌がらせをされ、止めにある夜、関係者の死体が転がる事態に…主婦探偵リフォームに手を貸す、シリーズ第13弾。


シリーズ第13弾の本書で、ジェーンとシェリイは、改装する建物の内装を担当します。
うーん、どうなんだろう? 
シェリイの家がとても素敵だったし、そのお隣さんのジェーンも仲良しなんだからすてきなんだろう、ってことで、素人2人に装飾を頼んだりしますか? もっともそうでもしないと、物語が始まらないわけですが...
施主がフェミニストだから、修理する職人もほとんど女性、という設定(?)が付け加わっているのは、作者自身ちょっと無理があるなぁ、と思っていて、それを少しでも和らげるためなんじゃなかろうか、と邪推したりしました。

今回のタイトルは、解説で説明されていますが、ナサニエル・ホーソーン「七破風の家」(The House of Seven Gables) のもじりだそうです。
ははは、全く知りません。
ホーソーンは、「緋文字」 (光文社古典新訳文庫)しか知りません。
それも、エラリー・クイーンに「緋文字」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)という作品があって、それがホーソーンの「緋文字」 を下敷きにしているから知っているだけであって、読んだことはありません....
原典(?) を知らないからけなすわけではありませんが、今回の「八方破れの家」 、動機にいつもの切れ味が感じられませんでした。
動機が弱いので、事件そのものも弱くなってしまったようです。

ミステリ的にはちょっと残念でしたが、このシリーズは引き続き読んでいこうと思っています。


原題:The House of Seven Mabels
作者:Jill Churchill
刊行:2002年





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時のかなたの恋人 [海外の作家 た行]


時のかなたの恋人 (新潮文庫)

時のかなたの恋人 (新潮文庫)

  • 作者: ジュード デヴロー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
恋人に捨てられて教会で泣いていたダグレスの前に、16世紀イングランドの伯爵を名乗る奇妙な男が突然現れた。無実の罪で捕われた部屋に女の泣き声が聞こえ、気づくとここにいたのだという。このままでは処刑されてしまう彼の運命を変えるため、ダグレスのタフな愛の冒険が始まった! ―― 400年の時を越えて永遠の絆を求めあうふたりの、せつなく優しいタイムスリップ・ラブ・ロマンス。


いつもの読書傾向からは大きく外れた「時のかなたの恋人」 (新潮文庫)ですが、確か本の雑誌で推されていたので買ったものです。積読が長かったので、本の雑誌だったかどうか自信がないのですが...
積読期間が長すぎて、Amazon.co.jp を見るともう品切れ・絶版状態なんですね。
ラブ・ロマンスはいつも読んでいないので、ラブ・ロマンスというジャンルの中でのこの作品の位置づけやレベル感はわからないですが、面白かったですよ、十分に。

あらすじでお分かりかと思いますが、2001年の映画ニューヨークの恋人」に似てますよね。原作というわけではないでしょうが、脚本のヒント?

ニューヨークの恋人」は、19世紀からタイムスリップした貴族レオポルドが、現代のケイトと恋に落ちるというストーリーでしたが、「時のかなたの恋人」 は、もっと複雑で、堪能できます。
というのも、とその理由を書いちゃうとネタばれになるので自粛。

しかし、ダグレスの現代の婚約者ロバート・ホイットニーとその娘グロリアが、すごーく嫌な父子で、イライラ、うんざりできます。すっかり作者の術中にはまっていますね。
あまり読むジャンルではないのですが、楽しかったです。たまには、こういうのもいいかな。


原題:A Knight in Shining Armor
作者:Jude Deveraux
刊行:1989年



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枯れ騒ぎ [海外の作家 た行]


枯れ騒ぎ (創元推理文庫)

枯れ騒ぎ (創元推理文庫)

  • 作者: ジル・チャーチル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/07/27
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ガーデニング講習会に参加する予定のジェーンとシェリイは、講師の女性が自宅で襲われたことを知る。その直後、ジェーンは不注意から足の骨を折り、松葉杖の世話になることに。講習会は代打の講師を迎えて開催されたが、ジェーンは骨折のせいか調子が今一つのうえ、長男マイクのガールフレンド問題も気になって……。主婦探偵が文字通り “骨を折って” 事件にぶつかる第12弾。


この「枯れ騒ぎ」 (創元推理文庫)から、ようやく7月に読んだ本の感想になります。

早いもので、シリーズ12作目です。訳者が浅羽莢子さんから、新谷寿美香さんになってから3作目です。
読み慣れているシリーズなのですが、訳が気になってしまいました。訳者が変わってから、ちょっとね。
それは、ジェーンと親友シェリイの間の二人の会話。
二人称が「あんた」なのですが、ずっとそうでしたっけ? と思ってしまいました。もともとジェーンもシェリイも庶民的な親しみやすい感じではあるのですが、どうも「あんた」を使った会話の調子が、親しみやすいというよりは、蓮っ葉というか品がない感じが強くしたのです。
読み終わった本は次々と実家に送っているので手元にないので、本屋さんでシリーズ第1作「ゴミと罰」 (創元推理文庫)チェックしてきました。
確認したところ、「ゴミと罰」でも二人称は「あんた」でした。
こちらの勘違い、でしたね。二人称のせいではない。
でも、どうしてでしょう? 近作のジェーンとシェリイの会話は下品で嫌だなぁ。

ガーデニング講習会で各自の庭見学が計画され、庭らしい庭をつくっていないシェリイとジェーンが、庭の素材(?) をレンタルして切り抜けようとするエピソードがおかしいですね。よくやるなぁ。
講習のなかみも、ガーデニングといいながら、交配による品種改良と植物特許なんて方向に流れていくのも、なんだかおかしい。ちょっとムリヤリ感はありますけどね。
それにしても、連続して講師が襲われたり殺されたりする講座って、どうなんだ!!
事件の方は....
動機がポイントになることが多いシリーズだと思っているので、ジェーンが容疑者リストを見直して、動機を探すくだり(243ページ)にはニヤリとしてしまいました。
今回はいつもよりは平凡な印象ですが、コージーらしい要素とコージーらしからぬ要素を組み合わせて動機を作り出しているのがポイントでしょうか。

長らく積読にしているうちに、
「八方破れの家」 (創元推理文庫)
「大会を知らず」 (創元推理文庫)
と2冊も続刊が出ています。
読めるのはいつになるかな??


原題:Mulch Ado About Nothing
作者:Jill Churchill
刊行:2000年



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災いの古書 [海外の作家 た行]


災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

災いの古書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン ダニング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
古書店主クリフは、恋人エリンの頼みで蔵書家射殺事件の調査を開始した。被害者男性とエリンが交際していた過去があり、容疑者女性がエリンの元親友という事情から依頼を引き受けたのだ。まもなく被害者が貴重なサイン本をコレクションしていたという事実が判明する。本をめぐる争いに巻き込まれたのか? やがてその蔵書をめぐり怪しい三人組が暗躍しはじめ……古書にまつわる意外な蘊蓄を盛りこんだ人気シリーズ第四作。


うわー、懐かしい、ジョン・ダニング。
なんて言っている場合ではありませんね。
「死の蔵書」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「幻の特装本」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
「失われし書庫」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
と続いてきたシリーズ、第3作の「失われし書庫」が訳されたのが2004年。
この「災いの古書」は、2007年に訳された第4作で、訳されたの自体が3年ぶりではありましたが、積読約7年とは...
第5作の「愛書家の死」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)が訳されたのすら2010年。「愛書家の死」 は、それほど間をあけずに読むことにします。

さて、「災いの古書」です。
久しぶりに読むシリーズですが、クリフ・ダンウェイとエリンの世界に、すっと入り込むことができました。

今回の古書のテーマは、サイン本。
エリンの元親友ローラが逮捕された状況というのは、血まみれで発見され保安官代理に自分がやったと自白していた、というもの。
しかし、障害を持つ養子ジェリーをかばっているのではないか、という見立てもあり...
そして被害者は大量の貴重なサイン本を保有していた。サイン本をめぐってあらわれる怪しい三人組。
はたして、ローラが殺したのか? ジェリーをかばっているのか? それなら、ジェリーが犯人なのか? それともローラがそう思っているだけでジェリーとは別に真犯人がいるのか?
定番中の定番ともいえそうな設定ですが、やや無鉄砲というか無軌道なクリフの捜査の進展具合と絡みながら、じっくり展開していきます。いや、活劇シーンもありますし、かなりスピーディではあるんですけれどね。

印象の残るのはやはりジェリーの取扱いでしょう、きっと。
真犯人がかなりどぎつい設定となっているので、一層際立ちます。ジェリーのその後を確かめたい気になります。

シリーズは快調です。
次作「愛書家の死」 も楽しみです。本当に、それほど間をあけずに読むことにします!

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ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ  [海外の作家 た行]


ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (上) (ハヤカワ文庫NV)ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (下) (ハヤカワ文庫NV)ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ (下) (ハヤカワ文庫NV)
  • 作者: オレン・スタインハウアー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/08/30
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
ツーリスト―――それはCIAがアメリカの覇権維持を目的に世界中に放った凄腕のエージェント。過去も、決まった名前ももたない者たちだ。元ツーリストのミロは現役を退き、妻子と暮らしていた。だが、機密漏洩が疑われる親友の調査を命じられ、最前線に舞い戻る。親友の無罪を信じながらも、彼は監視をはじめるのだった――不確かな新世界秩序の下で策動する諜報機関員の活躍と苦悩を迫真の筆で描く、新世紀スパイ・スリラー。 <上巻>
ミロは殺人の容疑で国土安全保障省に追われる身となった。上司グレインジャーのおかげで、間一髪、逮捕の手を逃れたが、愛する家族との絆は壊れつつあった。いったい誰が仕掛けた罠なのか。ミロは親友の家を捜索し、陰謀の背後に潜む人物の手がかりを得る。だが、明かされる真実は、ミロをさらなる苦境へと突き落とすのだった。彼に逆転の術はあるのか?――ジョージ・クルーニー主演映画化決定! スパイ小説の新傑作 <下巻>

もうすでに年もあらたまり2014年になっていますが、前回感想を書いた
「三姉妹、舞踏会への招待 三姉妹探偵団(23)」 (講談社ノベルス)でようやく10月(!) に読んだ本の感想がおわり、この「ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ」 (上)  (下) (ハヤカワ文庫NV)から、ようやく11月(!) に読んだ本の感想となります。
積読だけでなく、読了本の感想まで滞っているという惨状で、がんばらなきゃ。

さておき、9・11後の世界を舞台にしたスパイ小説です。
ジョージ・クルーニーが映画化を獲得したのですが、映画は完成したのでしょうか?
アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが出ている「ツーリスト」 [DVD]とは別でしょうし。あらすじに、クルーニー主演と書いてあるので、当然違いますね、失礼。

冷戦終結後のスパイ小説というのは、なかなかむずかしいようで、ヒット作らしいものもなかった(と思う)のですが、この「ツーリスト 沈みゆく帝国のスパイ」 (上)  (下) は快調です。
新しい時代背景で、いかにもスパイ小説らしいスパイ小説を完成させたところがお手柄、と思えます。
「いかにもスパイ小説らしいスパイ小説」ゆえに、展開やラストに既視感を覚えて、不満を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、敵陣営との駆け引き、二重スパイ疑惑...ちょっと、わくわくしませんか?
久しぶりに、こういったわくわく感を堪能できた気がします。黒幕(?) の正体に意外感なくてもいいんです。とても満足。
すでに続巻「ツーリストの帰還」 (上)  (下) (ハヤカワ文庫NV)が翻訳されています。期待しています。


<おまけ>
解説で霜月蒼が
『嘆きの橋』 (文春文庫) 『極限捜査』 (文春文庫)を読んだ者は、本書のあるシーンで、再会の喜びと別離の悲しみが混交した衝撃を感じることになるはずだ。」
と書いていて、すごーく気になりましたが、両作は未入手なので...
「嘆きの橋」 (文春文庫)はもう品切れのようですね。「極限捜査」 (文春文庫)だけでも買って読むかなぁ??




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ベンスン殺人事件 [海外の作家 た行]


ベンスン殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集1) (創元推理文庫)

ベンスン殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集1) (創元推理文庫)

  • 作者: S・S・ヴァン・ダイン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
証券会社の経営者ベンスンがニューヨークの自宅で射殺された事件は、有力な容疑者がいるため、解決は容易かと思われた。しかし捜査に、尋常ならざる教養と才気をもつファイロ・ヴァンスが加わり、事態は一変する。物的・状況証拠を否定するヴァンスが用いる、心理学的推理とは?巨匠のデビュー作にして、米国本格ミステリ黄金時代の幕開けを告げた記念碑的傑作、新訳で登場。

うわぁ、もう出ないんじゃないかと思っていた、ファイロ・ヴァンスシリーズ新訳が出た!
第1弾の「僧正殺人事件」 (創元推理文庫)が出たのが2010年4月で、2011年の10月に書いたブログでも(リンクはこちら)続きが出ないな、と書いていた、シリーズ新訳が出ました。ほぼ3年ぶり...この「ベンスン殺人事件」 はデビュー作なので、今後はシリーズ刊行順に出るのかな?
「ベンスン殺人事件」 は、瀬戸川猛資さんの「夜明けの睡魔―海外ミステリの新しい波」 (創元ライブラリ)で、触れられていまして、ファイロ・ヴァンス初登場のセリフが紹介されています。このセリフ、確認したかったんですよね。
「こんなふうに庶民並みに早起きしたもので、疲れてね」(P17)
うーん、確かに、すごい上から目線この上ないセリフで初お目見えしたんですねえ。瀬戸川さんのおっしゃる通り、嫌な奴(笑)。
ところが、そのあと、早起きしたことを受けて、
「それにしても、なんとも理不尽な時間だよ! 誰かに見られたらどうしよう」(P28)
なんて言うので、おかしくなってしまいました。なんか、お茶目(本人にはそんな意識ないでしょうが)。
なんにせよ、瀬戸川さんご指摘のこのせりふが確認できて満足です。

さて、ファイロ・ヴァンスといえば、心理的推理。
「真相を知るには、犯罪の心理的要因(ファクター)を分析して、それを人物に適用するしかないんだよ。唯一ほんとうの手がかりになるのは、心理的なものだ--物的なものじゃなくて」(P90)
という通りで、後期の作品では、その印象は薄くなっても、第1作のこの「ベンスン殺人事件」 では、心理的探偵法一本やりで、ブイブイ言われていたのだろう、と、そんな風に思っていました。
今回読み返してみて、びっくり。
確かに、心理的に犯罪を眺めてはいますし、証拠にとらわれる警察をバカにしきってはいますが、意外や意外、かなり親切に物的証拠もマーカム地方検事に示してくれています。いうほど嫌な奴じゃなくて、意外といい奴じゃん(笑)。
むしろ、物的証拠と心理的証拠のバランスが優れた作品だったのでは、と思いました。
それほど多くはない(少なくもないですけど)登場人物の間で、疑わしい容疑者がくるくると変わっていく様子もなかなかよくできていて、古い作品だからと恐れていたようには退屈しませんでした。
まあ、さすがにファイロ・ヴァンスの垂れる講釈(ペダントリー)は余計だなぁ、とは思いますが、全体として現代でも十分楽しめる記念碑的作品と感じました。
新訳シリーズの次の刊行、まさか3年後ではないですよね!?
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