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チャーチル閣下の秘書 [海外の作家 ま行]


チャーチル閣下の秘書 (創元推理文庫)

チャーチル閣下の秘書 (創元推理文庫)

  • 作者: スーザン・イーリア・マクニール
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
空襲が迫るロンドン。この街で1年余りを過ごしたアメリカ育ちのわたしに、チャーチル首相の秘書としてタイピストにならないかという話が舞い込んでくる。自らの能力に見合った職ではないことに苛立ちを感じながらも、わたしはその申し出を受け入れた。首相官邸をめぐるいくつもの謀略が待ち構えていることなど知るはずもなく。才気煥発なマギーの活躍を描く、魅力のシリーズ開幕編。


読後の第一印象は、ウェルメイドな海外ミステリを読んだなぁ、というものでした。
今風なところも盛り込まれていますが、戦時中のイギリスを舞台に、勝気な主人公と、それをとりまく個性的な面々。チャーチルや戦時下のイギリスを取り巻く事件、そして、主人公自身の秘密(父の秘密)。
コージー・ミステリに登場しそうな面々を、第二次世界大戦中のロンドンに抛り込むとどうなるだろう、といった趣きの作品。
非常に要領よく、現代ミステリの要素をちりばめた作品となっています。
逆に言うと、それだけ尖ったところのない作品とも言えるわけで、そのことを物足りないと受け止める読者もいらっしゃるでしょうが、これがデビュー作、いやいや、これだけ楽しく読めればたいしたものではないでしょうか。
父の秘密はあっけないというか、物足りないものの、それを起点に物語がさらに進んでいく構図は、ありふれてはいても手堅いものですし、難しい時代に巡り会ってしまった登場人物たちの仲も楽しめます。
「あなたたちだって、自分であることからは逃げられないはずよ。わたしもそうなだけ。ただし、理解してもらえるとは思ってない」(380ページ)
というのは、なかなかの名せりふではないでしょうか。
既に、
「エリザベス王女の家庭教師」 (創元推理文庫)
「国王陛下の新人スパイ」 (創元推理文庫)
とシリーズの続刊が翻訳されています。
またまた楽しみなシリーズができました。

<蛇足>
全体的に読みやすい翻訳文だったと思いますが、「二の舞を踏む」(218ページ)というのはちと残念。
東京創元社にしてはチェックが甘い!?


原題:Mr. Churchil's Secretary
作者:Susan Elia MacNeal
刊行:2012年
翻訳:圷香織




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スワン・ソング [海外の作家 ま行]

ここから今年の感想です。

年末年始の休み期間中に古ーい積読本のどれかを消化しようと思って引っ張り出したのが、このマキャモンの「スワン・ソング」〈上〉  〈下〉 (福武文庫)
福武文庫って、今もあるのでしょうか? 出版社はベネッセコーポレーション(旧福武書店ですね)。特に海外作品では、結構渋いというか、貴重なセレクションをしていたような印象。ウィリアム・ディールの「真実の行方」も福武文庫でしたね。

奥付を見ると1996年。いやあ、古い! おそろしく長い積読にしていました。
当然絶版で、今 amazon.co.jp では手に入りません。いつものような感じではぼくの腕では引用ができなかったので、下のような形で書影を引用します。

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈上〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫
スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

スワン・ソング〈下〉 (福武文庫)

  • 作者: ロバート・R. マキャモン
  • 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
  • 発売日: 1996/10
  • メディア: 文庫

なんか絵は大きいし、上巻の絵は横倒しになっているし(amazon.co.jp のページでの絵自体が横倒しです)、不思議です。

キング、クーンツに次ぐ、モダン・ホラー第三の男、として日本に紹介されていましたね、マキャモンは。
ホラー、ホラーした作品よりも、「少年時代」〈上〉 〈下〉 (ヴィレッジブックス)「遙か南へ」 (文春文庫)といった作品の方が評価が高かったように思います。
この「スワン・ソング」〈上〉  〈下〉 は、それらに比べると古い作品なので、作者が未だ発展途上にいる時代の作品です(原書発行は1987年)。
第1回ブラム・ストーカー賞と日本冒険小説協会大賞を受賞しています。

<裏表紙あらすじ>
第三次世界大戦勃発。核ミサイルによる炎の柱と放射能の嵐が全土を覆い尽くした。生き延びた人々を待っていたのは、放射能障害、「核の冬」の極寒、そして過去の遺物の争奪……死よりなお凄惨な狂気の世界であった。核戦争後のアメリカ大陸を舞台に繰り広げられる世界再生の鍵を握る少女スワンを巡る聖と邪の闘い。世紀末の黙示録神話を描く「超」大作巨篇。<上巻>
“輪(リング)”の浮かぶ掲示に導かれるシスター達、ロシアの来襲を妄想し狂気の軍隊を進軍させるマクリン大佐とローランド、復興に向かう人々の心を再び荒廃と狂気に引き戻さんと暗躍する「深紅の目の男」、あらゆる者たちの運命の糸が、次第にスワンのもとに集められていく……果たして世界の行方はいかに。ホラーの枠を超えたマキャモンの現代の聖杯伝説はここに円を閉じる。 <下巻>

非常に分厚い上下巻ですが、退屈しませんよ。特に下巻は、ページを繰るのがもどかしいほどでした。
核戦争後の世界での正邪の対決、って、まあ手垢のついたアイデアですし、特殊な能力を持った少女とそれを守る人々(こちらは普通の人たち)、というのも、ありふれた話です。
ただ「B級グルメが話題になり人気を集めるように」といったら失礼かもしれませんが、わりとよくある話を、盛りだくさんな内容でリーダビリティ抜群に仕上げられていまして、とてもおもしろいです。
ラストも、お約束、といったら叱られるでしょうか? わかりやすいところへ、わかりやすく着地します。でも、それがいいのです。
普通の人たちが、力を合わせて、悪い集団(しかも人間じゃなかったりもします)に立ち向かっていく、そして勝利する。核戦争後の荒廃した世界に、きっちりと希望の光が差し込んでくる、こんな素敵な話があるでしょうか。
タイトルは、主人公である少女の名前がスワンだから、スワン・ソング、なのですが、一般的にスワン・ソング(=白鳥の歌)といえば、「死ぬまぎわに白鳥がうたうという歌。その時の声が最も美しいという言い伝えから、ある人が最後に作った詩歌や曲、また、生前最後の演奏など」を指す語なので、「生前最後」だと、スワンは死んでしまうんだろうなぁ、と思いながら読んでいました。結果どうだったかは、読んでのお楽しみ、です。

もっと早く読めばよかった。
ちょっと今となっては入手困難かもしれませんが、どこかでお手に取る機会があれば、ぜひ、ぜひ。




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リガの犬たち [海外の作家 ま行]


リガの犬たち (創元推理文庫)

リガの犬たち (創元推理文庫)

  • 作者: ヘニング マンケル
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。その中には、高級なスーツを身につけた二人の男の射殺死体が抱き合うように横たわっていた。彼らはいったい何者なのか? どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが……。小さな田舎町の刑事ヴァランダーは、この国境を超えた事件に思いもよらぬ形で深入りすることになるのだった! 注目のシリーズ第二弾。

「殺人者の顔」 (創元推理文庫)に続き刑事ヴァランダーが主人公をつとめるシリーズの第2作で、帯にも「北欧警察小説の金字塔」と書いてあります。
しかし、読んで受ける印象は、警察小説ではありません。
ヴァランダーはスウェーデン南部の田舎町のイースタ警察の刑事で、その捜査活動を描くので、その意味では警察小説と言ってもよいとは思うのですが、前作「殺人者の顔」 のときも、小さな田舎町の事件かと思っていたら、背景の非常に大きい、国際問題に近いネタが仕込まれていて、スケールのギャップに驚いた記憶があります。
この「リガの犬たち」でも、死体発見こそ田舎町で、最初の捜査は地道な警察小説のパターンですが、途中から急旋回し、タイトル通り、バルト三国のひとつラトヴィアの首都リガまで出張ります。
時代背景としては、まだ独立前のラトヴィアで、旧ソ連の一部です。原書は1992年出版で、作者のあとがきによれば、この本が完成してから数ヶ月後の1991年春にソ連でクーデターが起き、その後押しでラトヴィアが独立する、という時系列です。
独立運動が盛んだったリガで、ソ連派と独立派の闘いに巻き込まれていく外国スウェーデンの田舎町の刑事を主人公にした小説って、警察小説ではないですよね。スパイ小説、冒険小説のテイストでしょうか?
まだ2作しか読んでいませんが、この調子でどんどんスケールの大きい、国際問題がらみの事件に次々とヴァランダーが取り組んでいくとすると、かなり異色のシリーズとして大きく期待したいです。こんな変な小説(念のため、褒め言葉です)、そうそうないですから。読後感は、くそまじめな顔して、バカなこと、とんでもないことをやってみせる人を、横から見ている感じでしょうか? シリアスな作品なのですが、なんだかニヤニヤしてしまいそうです。次作も期待して読みます!
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暗い鏡の中に [海外の作家 ま行]


暗い鏡の中に (創元推理文庫)

暗い鏡の中に (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/06/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ブレアトン女子学院に勤めて五週間の女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。彼女への仕打ちに憤慨した同僚ギゼラと、その恋人の精神科医ウィリング博士が調査して明らかになった“原因”は、想像を絶するものだった。博士は困惑しながらも謎の解明に挑むが、その矢先に学院で死者が出てしまう……。幻のように美しく不可解な謎をはらむ、著者の最高傑作。

一時期復刊が相次いだヘレン・マクロイの作品の中でも、大物中の大物、傑作中の傑作の復刊です。出版社を、ハヤカワから東京創元社に移しての新訳・復刊です。東京創元社、偉い! そんな待望の復刊だったのに、長らく積読にしてしまいました。ごめんなさい、マクロイさん。ようやく読めました。
この作品は、短編「鏡もて見るごとく」の長編化作品で、短編のほうは、あちこちのアンソロジーにも収録されている傑作なので、何度か読んだことがあります。
短編を読んだことのある人でも大丈夫。長編化で、凄味が加わっています。
この凄味を評価する意見が多く、まったくその通りとその意見には同感なのですが、ベースとなる部分、謎の中心である、引用した裏表紙のあらすじでは、“原因”とぼかして書かれているある事象が、合理主義者のウィリング博士の手によって、きわめて合理的に解決されるところも大きなみどころだと思います。
その手掛かりが、きわめて大胆に読者の目の前に提示されている点も高く評価したいですね。その手掛かりで、いかにも不可思議な現象がするすると解けてしまう醍醐味はミステリならではなのではないでしょうか?
そして、長編化で加わった凄味で、この作品が妖しい光を放つのです。
同趣向は、ディクスン・カーの“あれ”が先駆的なものだと思います。ディクスン・カーの“あれ”も大好きな作品です。そういえば、“あれ”も最近復刊されましたね(笑)。
ほかにも何人もの作家が挑んでいますが、日本人でも高木彬光に作例がありますし、最近では今邑彩が得意としている印象です。
この趣向は、うまく嵌ったときには本当に絶大な威力を発揮して作品を輝かせてくれるものだと思います。ただ、その光は、まばゆい太陽の光の明るさではなく、磨き抜かれた黒木の輝きというか、黒石の輝きというか、あるいは暗がりに灯るランプの明かりというか、そういうどこか翳りを潜めたところが、一層魅力的ですね。
ヘレン・マクロイの実力を堪能できる、復刊されてまことに喜ばしい傑作だと思います。
ヘレン・マクロイのほかの作品も読みたいです。どこか翻訳してください。
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Xに対する逮捕状 [海外の作家 ま行]

Xに対する逮捕状 (創元推理文庫)

Xに対する逮捕状 (創元推理文庫)

  • 作者: フィリップ・マクドナルド
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/12/10
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
米国の劇作家ギャレットは自作公演でロンドンを訪れ、齢三十四にしてG・K・チェスタトンの最高傑作ともいうべき本に巡りあった。所在ない日曜の午後、チェスタトンに導かれてノッティング・ヒル界隈を逍遥した彼は、立ち寄った喫茶店で犯罪の謀議と思しき会話を耳にする。すわ一大事と会話の主を追うが尾行に失敗、事件の予兆を告げようにも取り合ってくれる相手が見つからず……。

この「Xに対する逮捕状」は、もともと、国書刊行会の世界探偵小説全集の1巻として翻訳されたものです。クラシックミステリをどんどん翻訳してくれたこの世界探偵小説全集にはとても感謝しています。「探偵小説ファンの見果てぬ夢」と山口雅也さんもおっしゃっている、好企画だったと思います。第4期まで全部で45作となりましたが、実は、「Xに対する逮捕状」だけ、買いそびれていました。単行本で揃わなかったことはかなり残念なのですが、ようやく全部読めたことはたいへんうれしく感じています。
あらすじ、からもわかるかもしれませんが、本書は、本格ミステリというよりは、サスペンスの色彩が強いように思いました。ハリウッドで脚本を書いていた、という作者フィリップ・マクドナルドの経歴が反映されているのかもしれません。
それでいて33ページに「自分がソーンダイク博士だったらな、と思った。そして俄然、ソーンダイク博士とまではいかなくともフレンチ警部くらいにはなったような気になり」なんて文章があったり、茶目っ気があります。
偶然耳にした会話から犯罪の匂いをかぎつける、という、なんだかケメルマンの「九マイルは遠すぎる」 (ハヤカワ・ミステリ文庫)を思わせるような発端ですが、論理論理を積み重ねていく「九マイルは遠すぎる」 と違い、どうやったらたどりつけるのか、推論しては途切れ、途切れては思い付き、思い付いては行き止まり...という一喜一憂ぶりが楽しい作品です。
最後なんて、タイムリミットサスペンスみたいな風味づけもあります。
世界探偵小説全集の1冊だったことから、本格ミステリを期待するとちょっと肩すかしですが、クラシカルな良質のサスペンスだと思いました。なんだか矛盾した表現ですが、おっとりとしたサスペンス-でも、だれたりしません!-をお楽しみください。
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踊るドルイド [海外の作家 ま行]


踊るドルイド (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

踊るドルイド (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)

  • 作者: グラディス・ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2008/09/26
  • メディア: ハードカバー


<表紙見返しあらすじ>
見知らぬ男に車に乗せられ、「遅かったな」と言われてなぜか「重病人」を運ばされた。
犯罪に巻き込まれてしまったかもしれない。
相談を受けたミセス・ブラッドリーと秘書のローラが調査に乗り出し、まもなく「ドルイド」をめぐる大規模な犯罪計画が浮かび上がるのだが……

原書房のヴィンテージ・ミステリ・シリーズの1冊で単行本です。
グラディス・ミッチェルというと、風変わりな作品で知られていますが、この作品も相当奇天烈です。
イギリスで巨石群といえばストーン・ヘンジですが、表紙の写真を見るとちょっと雰囲気が違いますね。
9年間隔の連続失踪事件が発生した場所の中心に巨石群ドルイドがある、という設定自体は非常に興味深く、きちんと漏れなく合理的に説明されたら相当感銘を受けるのではないかと思うのですが、謎解きの部分では不満が残る出来栄えとなっています。一応それなりに説明はされるのですが、すっきりしないというか、なんだかなぁ、という印象が残ります。
本書の特長は、ミセス・ブラッドリーを中心に、秘書のローラ、有能な助手(?)ジョージ、巻き込まれた大学生オハラとデニスといった面々が、わいわいがやがやと事件を解こうとどたばた大騒ぎを起こすところだと思います。ドルイドでの見張りというか潜入行なんかはその象徴的シーンだと思います。
かっちりした本格ミステリが好きな人には向かないと思いますが、変な作品がお好きな人にはぜひ、と思います。
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春を待つハンナ [海外の作家 ま行]


三毛猫ウィンキー&ジェーン〈2〉春を待つハンナ (ヴィレッジブックス)

三毛猫ウィンキー&ジェーン〈2〉春を待つハンナ (ヴィレッジブックス)

  • 作者: エヴァン マーシャル
  • 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
前回、愛猫ウィンキーとあざやかに事件を解決し、一躍“ノース・ジャージーのミス・マープル”として有名になった著作権エージェントのジェーン。でも依然として事務所の経営は火の車で頭を抱えていたところ、超人気歌手ゴッデスの代理人をやらないかという耳よりな話が持ちこまれた。いそいそとゴッデスとの初対面に臨んだ場で、なんと仲立ちしてくれた編集者が無惨な姿で発見される。何日か前に開いたひとり息子ニックの誕生日パーティーでは首吊り死体を発見してしまうし、どうしてジェーンの行く先々に死体が? 今度もウィンキーの手を借りて、みごと事件解決となるのか? 好評シリーズ第二弾。

エヴァン・マーシャルのコージー・ミステリーシリーズの第2作で、「迷子のマーリーン―三毛猫ウィンキー&ジェーン〈1〉」 (ヴィレッジブックス) に続くものです。このあと、「すったもんだのステファニー―三毛猫ウィンキー&ジェーン〈3〉」 (ヴィレッジブックス) が訳されていますが、こちらは品切れ(絶版?)で、手に入りません。増刷(復刊?)してくれないものでしょうか。
この作品の最大の特徴は、猫がラストで大活躍するところだと思います。前作「迷子のマーリーン」 では正直さほどの活躍でもなく、「三毛猫ウィンキー&ジェーン」というシリーズの名前の付け方は若干誇張気味だなと思ったのですが、この作品くらいの位置づけならば、ふさわしいと思いました。途中で、ウィンキーの様子がおかしい、というエピソードが出てくるのですが、ちゃんとラストにつながる伏線(?)ともいえるものでした。ウィンキーがんばる、というところ。
シングル・マザーで、子供を抱えていて、仕事があって、周りには支えてくれる暖かい環境・地域社会があって、というコージーらしい枠組みですが、このシリーズは主人公の職業が著作権エージェントということで、かなり派手な要素を自然と入れられるようになっています。アメリカの出版業界の舞台裏を少しのぞける気分が楽しめます。
前作でも思いましたが、作者は登場人物に対してかなり意地悪な解決を用意していまして、これがコージーの色合いを損ねていない点がすばらしいと思っています。ミステリとしてはちょっと最後が急すぎると思いますが、猫を利用して犯人を追い詰めるくだりはとても愉快でした。
コージー・ミステリ好き、猫好きなかたには、よい作品ではなかろうかと。
「すったもんだのステファニー」 が読みたい!

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死の舞踏 [海外の作家 ま行]


死の舞踏 (論創海外ミステリ)

死の舞踏 (論創海外ミステリ)

  • 作者: ヘレン マクロイ
  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2006/06
  • メディア: 単行本


<表紙袖あらすじ>
12月、雪のニューヨーク。その夜、一体の異様な死体が発見された。
雪のなかに埋まっていた若い女性の死体は、なんと熱かったのである!
精神科医ベイジル・ウィリング博士が捜査に乗り出し、娘のお披露目パーティにすべてをかける義母や軍需品会社の経営者、ゴシップ記者といった人物による無意識の行動をつぶさに検証する。その先に浮かぶ恐るべき意図とは?
サスペンスや短編にも長けたマクロイのデビュー作にして、傑作本格。
ベイジル・ウィリング初登場作品、ここに刊行。

単行本です。
論創海外ミステリの1冊。かなり渋い選択でいっぱい海外ミステリを翻訳してくれているありがたい叢書です。
おかげさまでマクロイのデビュー作を読むことができました。
あらすじにも書かれていますが、帯にも「雪に埋もれた熱い死体!」とあって、まるで不可能犯罪トリックがあるかのような打ち出し方ですが、雪の中で熱射病で死ぬ、という謎は、取り立てていうこともない解決ですし、かなり早い段階であっさり解明されてしまいますので、あらすじや帯でスコープを当てる必要はなかったのではないかと思います。それよりも、その小道具的な解決から導き出されるプロットの素晴らしさこそが本作品の特徴だと思います。このプロットは、アガサ・クリスティのある作品を髣髴とさせるもので、十分楽しめました。
「どんな犯罪にも、心理的な指紋がのこされているものなんですよ」(P.12)というウィリング博士の推理方法は、きちんと証拠に裏打ちされているもので、安心して読めます。
手がかりのひとつが、翻訳のせいで台無しになってしまっているのがとても残念ですが、本格ミステリとしてきちんと構築されていると思います。
当時の社交界の様子がわかるのも楽しい。あの頃から、ダイエットは女性にとっての一大テーマだったのですね。現在にも通用する作品だと思います。

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殺す者と殺される者 [海外の作家 ま行]

殺す者と殺される者
ヘレン・マクロイ
創元推理文庫

殺す者と殺される者 (創元推理文庫)

殺す者と殺される者 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/12/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
遺産を相続し、不慮の事故から回復したのを契機に、職を辞して亡母の故郷クリアウォーターへと移住したハリー・ディーン。人妻となった想い人と再会し、新生活を始めた彼の身辺で、異変が続発する。消えた運転免許証、差出人不明の手紙、謎の徘徊者……そしてついには、痛ましい事件が――。この町で、何が起きているのか?マクロイが持てる技巧を総動員して著した、珠玉の逸品。

本格ミステリを期待して読んでしまいましたが、これはサスペンスでした。
今となってはわりとよくあるテーマというかアイデアですが、原書は刊行が1957年。当時の読者は、びっくりしたでしょうねぇ。
実はこのテーマを扱ったミステリはあまり好きではありません。感心したこともありません。だいたいにおいて、騙されたような気になってしまうからです。
この作品でも、伏線が引いてあることに気づいたので、ひょっとして?? と疑いながら読んでいましたが、悪い(?)予感が的中してしまいました。
けれど、この作品は、大きく分けて2つの点で感心しました。
1つは、このアイデアを明かすのがかなり早い段階であること、です。このアイデア自体、当時としては大きなサプライズだったのではないかと想像しますが、そのサプライズを作品の(唯一の)狙いとしていないことには好感が持てました。
2つは、このアイデアが明かされた後の後半部分、この作品より先にこのアイデアを使った有名な古典作品(ジャンルでいうと、怪奇小説でしょうか?)をなぞらえたように展開するのですが、きちんとひねりが加えられていることです。このひねりがあることによって、同じアイデアを使ったたくさんの後続作品よりも、ミステリとしてのサプライズ効果が高いと思われます。
タイトルは、「殺す者と殺される者が夫と妻である場合、動機の証明は不要であるという、古くからの法格言もありますしね」(P181) という部分に出てきますが、テーマ、先行作品、そして真相・エンディングと照らして考えると、なかなか含蓄深いなぁ、と。
好き嫌いはあるかもしれませんが、復刊されて読めてよかったなと思える作品です。
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幽霊の2/3 [海外の作家 ま行]

幽霊の2/3
ヘレン・マクロイ
創元推理文庫

幽霊の2/3 (創元推理文庫)

幽霊の2/3 (創元推理文庫)

  • 作者: ヘレン・マクロイ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/08/30
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
出版社社長の邸宅で開かれたパーティーで、人気作家エイモス・コットルが、余興のゲーム“幽霊の2/3”の最中に毒物を飲んで絶命してしまう。招待客の一人、精神科医のベイジル・ウィリング博士が、関係者から事情を聞いてまわると、次々に意外な事実が明らかになる。作家を取りまく錯綜した人間関係にひそむ謎と、毒殺事件の真相は?名のみ語り継がれてきた傑作が新訳で登場。

暗い鏡の中に」がひさしぶりに復刊(出版社が変わっていても復刊ですよね?)されたので、積読だったこの作品を取りだしてきて読みました。「殺す者と殺される者」も買ってあります。ちなみに、「ひとりで歩く女」と「家蠅とカナリア」は読んでいます。
解説でも触れられていますが、まず、タイトルがいいですよね。なんだろうな、と思わせてくれる。
あらすじでも判りますが、室内ゲームの名前です。解説から引きますと、「クイズの答えを間違えるごとにプレイヤーが幽霊の三分の一、三分の二になっていき、三回間違えると(つまり三分の三になると脱落する)、というゲームである」。作中でこのゲームが出てきたとき、がっかりしました。この途中で殺人が起こるし、タイトルにしてもおかしくはないのですが、わくわくして読みだしたのに、ゲームそのものもたいした内容ではありませんし、雰囲気ありそうな名前なのでタイトルにした、たったそれだけのこと? と思ったからです。でも、ご安心ください。きちんと作品の内容に即したタイトルであることがわかります。
作家、出版をあつかっているので、内幕というか内輪話も楽しめます。「現在ではプロットはミステリ小説以外の場では無作法と見なされ、そのジャンルは保守的な作家にとって最後の砦になっています。」(P174)とか「ミステリ小説は本のうちに入らんよ」「あんなものは誰にでも書ける。大工や配管工と似たり寄ったりの仕事だ。わたしは前々からミステリ作家に印税を払う必要はないと言ってきた。大工や配管工だって印税はもわらんだろう。ミステリ作家にはいくばくかの原稿料を渡し、二次使用権から発生する金は版元が受け取るべきだと思っている」(P201) とか。本書の締めの一言も、スパイシーでおもしろかったです。
殺人のトリックは、ミステリとして古典的なもので、今となっては意外感に欠ける心配はありますが、そこに力点のある作品ではありませんし、タイトルも内輪話も事件の真相にきちんと結びついていて、ミステリ以外では無作法らしいですが(笑)、プロットの勝利ではないかと。真相に先に思い当っても、十分楽しく読めます。
派手さはないですが、ミステリらしいミステリとして、古典の風格です。
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