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映画:否定と肯定 [映画]

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実話を基にした映画です。
うーん、こんな裁判が2000年にイギリスで行われていたんですね。当時イギリスにいましたが、知りませんでした。
新聞は見ていたつもりなんですが...
ホロコーストがなかったなんて主張はばかばかしいから、裁判の記事があってもスルーしちゃったんでしょうか。

映画のHPのあらすじを引用します。
1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講演が行われていた。彼女は自著「ホロコーストの真実」でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”の主張を看過できず、真っ向から否定していた。 アーヴィングはその講演に突如乗り込み彼女を攻め立て、その後名誉毀損で提訴という行動に出る。異例の法廷対決を行うことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度の中でリップシュタットは〝ホロコースト否定論“を崩す必要があった。彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現地調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。 そして2000年1月、多くのマスコミが注目する中、王立裁判所で裁判が始まる。このかつてない歴史的裁判の行方は…

あらすじや予告編等もミスリーディングな部分がありますが、厳密にはホロコーストがあったかどうかが争われた裁判ではありません。ただ、相手の主張を突き崩すのに(ある程度)ホロコーストがあったことを立証せねばならなかっただけです。
映画の中でも言っていますが、歴史の真実を判定するのに、裁判がいい場所とは思えません。
思えませんが、訴えられてしまえば仕方がない。ホロコーストをめぐる議論を避けて通れない。

このことを端的に示しているのが、クライマックスとなる判決の直前に、裁判長から投げかけられる質問ではなかろうかと思うのです。
その質問は、この種の裁判では常識的な質問であり、誰もが抱いておかしくない質問なのですが、ずっとこの映画では(おそらく実際の裁判でも)ほったらかしにされていた質問です。
むしろリップシュタットの弁護団は、この質問を避けるために奮闘していたといってもよいのかもしれませんが。
裁判の帰趨については、史実ですからわかっているものの、日本ではあまり知られていない裁判だと思うので、勝訴、敗訴は触れておかないことにします。

この点を含め、映画を観た感想は、あぶなっかしいなぁ、というものでした。
弁護団の闘いぶりはすばらしいな、と感じましたが(たとえば、アウシュビッツを扱った裁判シーンはとても見応えがあります)、扱われているテーマがテーマであるだけに戦略、戦術を含め、すごく不安になります。

「否定と肯定」というタイトルは、映画の原題が「Denial」であることから考えて、適切かどうか気になっています。
「肯定」は原題にはありません。
ホロコーストというテーマを考えた場合、否定と肯定を並列させてしまうことがはたして正しいのかどうか、それこそ否定派の思うつぼではなかろうかと思うのです。
映画の冒頭で、レイチェル・ワイズ演じるリップシュタットが、否定派とは議論しない、と切り捨てていますが、こういう態度も重要な気がします。
原作(というのでしょうか。リップシュタットの著作です)の「否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い」 (ハーパーBOOKS)も同様です。もっともこちらは映画の公開に合わせて邦訳出版されたのでしょうから映画のタイトルに引きずられたんだと思われますが、ほかならぬリップシュタットの意見にそぐわない邦題なのは残念ではないかと思います。

最後に、いつも引用するシネマ・トゥデイから。

見どころ:ナチスドイツによるホロコーストをめぐり、欧米で論争を巻き起こした裁判を基に描かれた法廷劇。ユダヤ人歴史学者をオスカー女優のレイチェル・ワイズ、ホロコースト否定論を唱える歴史学者を『ターナー、光に愛を求めて』などのティモシー・スポールが演じるほか、名優トム・ウィルキンソン、『007 スペクター』などのアンドリュー・スコットらが共演。『ボルケーノ』などのミック・ジャクソンがメガホンを取った。

あらすじ:1994年、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が唱えるホロコースト否定論を自著「ホロコーストの真実」で否定していたユダヤ人の女性歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)は、アーヴィングから名誉毀損(きそん)で提訴される。やがて、法廷で対決することになった彼女のサポートのためイギリス人による大弁護団が結成され、歴史の真実の追求が始まり……。

こういう、いろいろと考えながら観る映画、ときどき観るのもいいですよね。

<蛇足>
「訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度」とあらすじにあり、映画の中でも同種の発言がありますが、この捉え方は間違いではないものの、正確性を欠くのではないかと思います。
立証責任の立証の範囲が、われわれ(やアメリカの司法制度)の感覚とずれている、ということではないでしょうか?


原題:DENIAL
製作年:2016年
製作国:イギリス/アメリカ
日本公開:2017年12月8日

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映画:スターウォーズ 最後のジェダイ [映画]

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映画の感想が続きますが、今年は元旦に映画を観ました!
「スターウォーズ 最後のジェダイ」です。

映画のHPのあらすじを引用します。

『フォースの覚醒』のラストシーンで、万感の思いを込めてルークにライトセーバーを差し出すレイ。彼女をじっと見つめるルーク。そこに言葉はない。観る者の胸を感動で満たし、同時に様々な想像をかき立てずにはいられなかった、このラストシーン。――そして物語は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』へと受け継がれる。

伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーとめぐり逢ったレイが知ることになる驚くべき真実とは? なぜカイロ・レンはダース・ベイダーを受け継ごうとするのか? さらには、レジタンスを率いるカイロ・レンの母親レイアと、ポー、フィン、BB-8らレジスタンスたちの新たなるミッションとは? そして、タイトルの“最後のジェダイ”が意味するものとは?
――知られざる秘密が明かされるとき、さらなる謎が生まれる。


これは、あらすじというか...
いつものシネマ・トゥデイにも、「スター・ウォーズ フォースの覚醒」のとき同様、あらすじがありません。
見どころ欄だけ引用します。

見どころ:世界的な人気を誇る『スター・ウォーズ』シリーズの新たな3部作の第2章。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』後のストーリーが展開する。『LOOPER/ルーパー』などのライアン・ジョンソンが監督と脚本を担当し、前作に引き続きデイジー・リドリー、ジョン・ボイエガやマーク・ハミルらが出演。レイがルーク・スカイウォーカーから知らされる真実や、ダース・ベイダーになろうとするカイロ・レン、レジスタンスたちの新ミッションなど見どころ満載。


観ていて、随所で不安になる、ハラハラする映画でした。
レイも、スカイウォーカーも、カイロ・レンも、レジスタンスも、みんなみんな、危なっかしい。
代替わりというのは、大変ですね。
新しい世代へ切り替わっていく、というのは、作中もそうですし、スターウォーズ全体の枠組みもそうなのではないでしょうか。
ひょっとしたらエピソード7~9は、スターウォーズ旧世代へのレクイエムなのかもしれません。

新しいヒロイン・レイの出生の秘密が、まだ明かされていません。
カイロ・レンがダークサイドに落ちた理由というのも、いまひとつはっきりしないまま。
エピソード9ですべてが解き明かされることになるのかどうか...
楽しみに待ちたいです。

<おまけ>
レイア姫のキャリー・フィッシャー、残念です。
映画のラストに、われらがプリンセスに捧ぐ、とあって、ちょっと感動しました。




原題:STAR WARS: THE LAST JEDI
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年12月15日


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映画:オリエント急行殺人事件 [映画]

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昨年の大晦日に観た映画です。
言わずと知れたアガサ・クリスティの名作「オリエント急行の殺人」 (ハヤカワクリスティー文庫)の映画化です。
ひょっとしたら、ミステリーの名作の(再)映画化というよりは、1974年シドニー・ルメット監督アルバート・フィニー主演「オリエント急行殺人事件」のリメイクという方がいいのかな?
日本でも最近三谷幸喜によりドラマ化されていましたね。

いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:これまで幾度も映像化されてきたアガサ・クリスティの傑作ミステリーを映画化。ヨーロッパ各地を巡る豪華列車を舞台に、世界的な名探偵エルキュール・ポアロが客室で起きた刺殺事件の解明に挑む。『ヘンリー五世』『世にも憂鬱なハムレットたち』などのケネス・ブラナーが監督と主演を兼任。さらにジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルスら豪華キャストが集結する。

あらすじ:トルコ発フランス行きの豪華寝台列車オリエント急行で、アメリカ人富豪のエドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)が刺殺体で発見される。偶然列車に乗り合わせていた探偵のエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)が、鉄道会社に頼まれ密室殺人事件の解明に挑む。乗客のゲアハルト・ハードマン教授(ウィレム・デフォー)やドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ)、宣教師のピラール・エストラバドス(ペネロペ・クルス)、キャロライン・ハバード(ミシェル・ファイファー)らに聞き取りを行うポアロだったが……。


当然ながら(?)原作読んでいます。大好きな1冊です。
1974年版映画もTV放映の時ですが、観ています。三谷幸喜版も観ました。
クリスティ作品の映画化というと、豪華キャストが集結という感じですが、この2017年版(ケネス・ブラナー版)もその通りです。
キャストも書いておきましょう。
ブーク: トム・ベイトマン
エルキュール・ポアロ: ケネス・ブラナー
ピラール・エストラバドス: ペネロペ・クルス
ゲアハルト・ハードマン: ウィレム・デフォー
ドラゴミロフ公爵夫人: ジュディ・デンチ
エドワード・ラチェット: ジョニー・デップ
ヘクター・マックィーン: ジョシュ・ギャッド
エドワード・ヘンリー・マスターマン: デレク・ジャコビ
ドクター・アーバスノット: レスリー・オドム・Jr
キャロライン・ハバード: ミシェル・ファイファー
メアリ・デブナム: デイジー・リドリー
ピエール・ミシェル: マーワン・ケンザリ
ヒルデガルト・シュミッツ: オリヴィア・コールマン
エレナ・アンドレニ伯爵夫人: ルーシー・ボーイントン
ビニアミノ・マルケス: マヌエル・ガルシア=ルルフォ
ルドルフ・アンドレニ伯爵: セルゲイ・ポルーニン

ジョニー・デップ、被害者役なんですね。とっても嫌な奴の役です。似合ってます...ヒーロー的な役よりもこういう役の方がいいんじゃないだろうか...
家庭教師メアリ・デブナム役の デイジー・リドリーは、スターウォーズのエピソード7~9で主役をつとめる女優ですね。ずいぶん雰囲気が違います。スターウォーズよりこちらの方がいいみたい...

原作があって、再映画化であり、何度も映像化されている作品なので、どうしても観る方は違いはどこだろう、と思って観ちゃいますね。そう、お手並み拝見、という感じ。
正直、いまいちでした。
細かい演出がなぁ... 原作のファンとしては違和感がぬぐえないですねぇ。
雪崩とかいらなくないですか? ポアロのアクションシーンもいらんでしょう。
ポアロはやはり灰色の脳細胞。頭を使うことに専念して、アクションはほかの人に任せるべきです。
全般に余計な演出が増えて、しかもそれが効果を上げていないような気がします。
あと、この作品の場合、注目はやはり衝撃の真相をポアロが突き止めてからの処理、になると思うんですが...
この場面も、余計な演出があるんですよねぇ...
ポアロの態度も、すっきりしない仕上がりになっていると感じてしまいました。
こういう古典的な作品って、よほど斬新なアイデアでもない限り、ちょっとした現代風な演出とか余計な味付けとかいらないんじゃないでしょうか。(BBCのシャーロック・シリーズは、斬新なパターンですね!)

不満を書きつられましたが、お正月映画として十分楽しみました。
やっぱり豪華キャストは観ていて楽しいんですよね。

ところでラスト、ポアロは冒頭で頼まれたのとは別の事件にかり出されちゃうんですが、いいんでしょうか? それが次のナイル殺人事件になるわけでしょうけれども。
.



原題:MURDER ON THE ORIENT EXPRESS
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年12月8日






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映画:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 [映画]

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いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。

あらすじ:とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。


若干観てから時間が経ってしまっていますが(12月半ばに観ました)、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の感想です。
スティーヴン・キング「IT」の映画化作品です。
原作は、文春文庫から4分冊(!) で訳されています。

IT〈1〉 (文春文庫)IT〈2〉 (文春文庫)IT〈3〉 (文春文庫)IT〈4〉 (文春文庫)









ずいぶん昔に読んだ記憶があります。
おぼろげな当時の記憶でいうと、怖い、という感じがあまりしなかったような。
引用したあらすじでは、「彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。」と書かれていますが、実際には、人々ではなく子供たちが団結して戦うストーリーです。
団結して、というのがポイントで、原作を読んだときにはそちらに意識が向いて(つまり、子供たちが協力して、というストーリーに引きつけられて)、怖い、と思うところが少なかったんですよね。

この映画観て、怖い、です。やっぱり映像の力はすごい。
ピエロ、怖いよ~。
ポスターじゃわかりにくいかもしれませんが、こちらの画像だと少しはわかるでしょうか。
イット 361609_001.jpg
大きな赤い風船に隠れて、凶悪なピエロがいます。
怖い。
この映画でも、力を合わせる子供たちに救われました。

この映画観てびっくりしたのは、物語が終わっていないということ。
いや、映画としてはきちんと区切りを迎えているのですが、これって、原作の途中まで、です。4冊全部じゃないんですね...
続編が作られるのでしょうか。作られるのでしょうね。どういう俳優をキャスティングするのか、注目です。



原題:IT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年11月3日




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映画:ブレードランナー2049 [映画]

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映画のHPからあらすじを引用します。
今、人間と人造人間《レプリカント》
その境界線が崩れ去ろうとしているーー。
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。
人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、
人間社会と危うい共存関係を保っていた。
危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と
呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。

LA市警のブレードランナー“K”(R・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、
《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、
その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。
彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、
ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、
30年間行方不明になっていた男、デッカード(H・フォード)だった。
いったい彼は何を知ってしまったのか?デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉―
人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、
人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。


いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編。前作から30年後の2049年を舞台に、違法レプリカント(人造人間)処分の任務に就く主人公が巨大な陰謀に巻き込まれる様子を活写する。新旧のブレードランナーを『ラ・ラ・ランド』などのライアン・ゴズリングと、前作から続投のハリソン・フォードが熱演。『メッセージ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がメガホンを取り、前作の監督を務めたリドリー・スコットが製作総指揮に名を連ねている。

あらすじ:2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。



若干観てから時間が経ってしまっていますが(11月に観ました)、「ブレードランナー2049」の感想です。
名作「ブレードランナー」の続編、です。
1982年に公開された「ブレードランナー」、リアルタイムでは観ていません。TVで観たのだと思います。
「ブレードランナー」の原作フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 (ハヤカワ文庫 SF)も以前読んだことがあるはずですが、覚えていませんでした。以前読んだ際には、むしろ(ディック作品に対して)苦手意識を持ってしまったはずで、その後ディックの作品は読んでいません。
この2つの予習(復習?)なしで観てしまったのですが、いやあ、おもしろかったです。

大雑把なくくりですが、「ブレードランナー」では、人間とレプリカント(人造人間)という枠組みであったのにたいし、今回の「ブレードランナー2049」では、人間と旧型レプリカントと新型レプリカントという枠組みになっていて、さらに複雑な背景となっています。
ところが、これが分かりにくくない!
むしろ、覚えていなかった前作の世界を、すっと思い出せてしまったくらいです。

ライアン・ゴズリングが新型レプリカントでブレードランナーという設定なんですが、いやあ、表情があまり出ないのがぴったりはまっていて、いや本当にアンドロイドなんじゃないかと(笑)。なので、すこし表情を出すと(表情じみたものを出すと、というべきかもしれませんが)、そのレプリカントが感情を持つようになったのでは、と思わせる効果まであって、本当にぴったりの役者です。

「ブレードランナー」で扱われていたのが「人造人間が感情を持つ」ということで、「ブレードランナー2049」ではさらに発展させて「子供を産む」(早い段階で分かるようになっていますが、ネタバレなので伏字にしておきます)とかいうテーマになっています。これは、森博嗣のWシリーズみたいですね。

この点も含め、世界観や時代・人物設定、テーマ設定、ストーリー展開まで、「ブレードランナー2049」は続編として非常によくできていまして、史上最強の続編かもしれないな、なんて思いました。
オリジナルに登場したハリソン・フォードが、途中から同じ役柄で出てくるのもいい。
ハリソン・フォードって、「スター・ウォーズ」もそうですが、こういうのが続いていますね。若いころにいい作品に出演していたということですね。

おもしろすぎて、観終わった後、「ブレードランナー」のDVDを買って観て、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も買って読みました。順番、逆だよ。
でも、それくらい楽しく観終わりました。
ラストシーンに降る雪が、祝福の雪であるといいのですが...



原題:BLADE RUNNER 2049
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年10月27日



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映画:ゲット・アウト [映画]

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映画のHPからあらすじを引用します。

ニューヨークに暮らすアフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待される。
若干の不安とは裏腹に、過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚える。
その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、動揺するクリス。
翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに多くの友人が集まるが、何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。
そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見し、思わず携帯で撮影すると、
フラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。
“何かがおかしい”と感じたクリスは、ローズと一緒に実家から出ようするが・・・。

いつも引用するシネマトゥデイから、見どころを引用します。

見どころ:『パラノーマル・アクティビティ』シリーズなどを手掛けてきたプロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作に名を連ねたスリラー。恋人の実家を訪ねた黒人の青年が、そこで想像を絶する恐怖を体験する。メガホンを取るのはコメディアンのジョーダン・ピール。『Chatroom/チャットルーム』などのダニエル・カルーヤ、ドラマシリーズ「GIRLS/ガールズ」などのアリソン・ウィリアムズらが出演する。


知人が、主演が大根だ、と言っていたんですよね、この映画(笑)。

それはさておき、わりと評判いいみたいですね。
でも、よくできている、とか、傑作、とかいう作品ではないと思いました。どちらかというと、失敗作なんではなかろうかと。

目の付け所はいいと思うんです。
白人とつきあっている黒人が主人公。
相手の実家に呼ばれ、両親、家族に紹介される。
使用人は、様子のおかしい黒人2人。
知り合いは、驚くほど白人ばかり。一人見つけた黒人は、これまた様子が変。
居心地がどんどん悪くなっていく。
いまどき(ありえないよな)、と思うような設定で、一方でアメリカの現実って(一部では)こんなものなのかな、なんて考えたり。オバマ大統領から、トランプ大統領に代わったアメリカで、意外と時宜を得た作品かも、なんて思ったり。

現代アメリカにおける人種差別問題を扱った作品かな、とそう思わせる導入部。
でも、そう思わせておいて、ぐーっとまったく違う切り口に展開していくところが見どころなんだと思います。
この導入部から、「ステップフォード・ワイフ」(観ていて思いついた別の映画のタイトルを書いておきます。ネタバレなので伏字で)みたいな話が出てくるとは思わないですもん。
あっぱれ! といいたくなるような組み合わせ。人種差別問題と相性のいい(というのは語弊のある言い方ですが)アイデアなんですね、アレ。
ここが評判のいいポイントですね。

しかし、しかし、しかし。
そうわかって振り返ると、建付けが悪くないですか、この映画。そして、安っぽい。
伏線をしっかり張ろうとしたのはわかりますが、数少ない黒人が出てくる場面の仰々しさ、安物のホラー映画を観ているかのようなものものしさは、せっかくのアイデアを活かしているとは思えません。
逆に、人種差別を扱った普通の物語ではないんだな、と見当をつけさせてしまう。
(ただし、それぞれの黒人の俳優さんの演技力はびっくりします。知人が言った、主人公が大根というのも、対比のためにわざとそういう演技にしている可能性もあるような気もします)

もちろん、普通の物語ではない、と見抜かれたとしても、この映画が用意している地点までは想定できないとは思います。アイデアの勝利。
ただ、仰々しさ、ものものしさを排したほうが、より驚けたと思います。

ということで、いい材料をそろえたのに調理法を失敗した料理みたい、というのが個人的な感想です。
ああ、もったいない!





原題:GET OUT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年10月27日


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エイリアン:コヴェナント [映画]

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いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:巨匠リドリー・スコット監督がメガホンを取った『エイリアン』シリーズの原点となるSFホラー。移住のため宇宙船コヴェナント号で旅立ったクルーたちが、ある惑星で遭遇した出来事を描写する。アンドロイドを『スティーブ・ジョブズ』などのマイケル・ファスベンダーが演じ、ヒロインを『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などのキャサリン・ウォーターストンが熱演。スコット監督が構築した世界観と衝撃の展開に絶句する。

あらすじ:宇宙移住計画を遂行するため、コールドスリープ中の男女2,000人を乗せた宇宙船コヴェナント号は、植民地の惑星に向かって宇宙を航行する。最新型アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)が船の管理を任されていたが、途中で事故が発生。乗組員たちは必死で修復作業に取り組み……。


前作「プロメテウス」に続く作品です。と書くと、ある意味「プロメテウス」のネタばらしになってしまいますが、「プロメテウス」のHPであっさり明かされているから書いてしまってよいのでしょう。
「プロメテウス」も観ているんですが、感想をこのブログに書いていませんね。映画館ではなく、飛行機の中で観たんだったのかもしれません。
「プロメテウス」はポスターに「なぜ人類誕生の瞬間は空白のままなのか」「謎の答えを知ってはいけない」なんて書かれていて、人類誕生の秘密を描いた映画かと思わせておいて、エイリアンでした(笑)。ちなみに、「プロメテウス」のHPには『「エイリアン」の原点ーーすべての謎が明らかに!!』と書かれています。
「プロメテウス」を観ていなくてもまず大丈夫ですが、観ていたほうが楽しめそうです。

「プロメテウス」が宇宙船の名前だったように、「コヴェナント」も宇宙船の名前です。
「コヴェナント」の乗組員が、選んではいけない選択肢を次々選んでひどい目にあう、という話です。宇宙船に乗るような人たちって、優秀なはずなのに、ホラー映画の一つも観ていないのでしょうか? 頭の悪い中学生みたいな行動をとりまくりですね(笑)。

「プロメテウス」は人類誕生の秘密をちっとも明かしてくれませんでしたが、「エイリアン:コヴェナント」はエイリアン誕生の秘密をしっかりと明かしてくれます。満足!
マイケル・ファスベンダーが演じるアンドロイドが重要な役割を果たすところが興味深いですね。
しかし、エイリアンって、(ネタバレにつき伏字)で広まるんですね。繁殖、というのとは違う気もします。飛沫感染

なんか原点回帰というか、非常に由緒正しいSFホラーになっていまして、来るぞ、来るぞ、来るぞ、って感じがおもしろかったです。
ラストのオチは、まあそうなるだろうな、ってところなので、取り立てていうほどのことはないのかもしれませんが、この点も含め由緒正しい感じがしました。
ひょっとしたらエイリアンシリーズ、これで完結なのかも。

原題:ALIEN: COVENANT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年9月15日


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ダンケルク [映画]

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いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:第2次世界大戦で敢行された兵士救出作戦を題材にした作品。ドイツ軍によってフランス北端の町に追い詰められた連合軍兵士たちの運命と、救出に挑んだ者たちの活躍を描く。監督は『インセプション』などのクリストファー・ノーラン。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのトム・ハーディ、『プルートで朝食を』などのキリアン・マーフィ、『ヘンリー五世』などのケネス・ブラナーらが出演。圧倒的なスケールで活写される戦闘シーンや、極限状況下に置かれた者たちのドラマに引き込まれる。

あらすじ:1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。


実話に基づいた作品なんですよね、この映画。
ダンケルクに追い詰められた兵士たちを、民間船で助けに行く...
うん、感動ものです。すごいなぁ、と思えます。

でもね、正直、観た感想は、眉唾。すみません。
ダンケルクで兵士たちが空爆を受けたり、あるいはオランダの商船が爆撃されたり、というシーンを観た後で、イギリスの民間船が多数まさに群れをなしてダンケルクに押し寄せても、それほど攻撃されない。そんなうまくいきますか?
実際にうまくいったんだから、ということなんでしょうが、うーん、嘘くさく感じてしまって、あんまり感動できませんでした。
ドイツ側の攻撃が薄まるような伏線がそれなりに張られていたらよかったんですが、それほど感じられません。確かに、イギリスの空軍(といっても数機ですが)は頑張っていましたけどね。

また民間船のうち1隻に焦点をあてて、そこでの出来事も描かれるんですが、これも史実なんでしょうか。新聞記事が引かれていたりするんで事実だったのかもしれませんね。
物語上の創作だとすると、これ必要ですか? と思ってしまいます。可哀そうすぎる。
こういうの、感動はしますけど、苦手なんですよね。

良かった点は、ダンケルクの陸、海、空と3つの要素がすべて満載で、テンポよく切り替わるので、大画面で観ると迫力満点だったこと。これはぜひ映画館で、と思います。
また、いつ攻撃されるか、冒頭のシーンから波止場、駆逐艦、オランダ商船、沖からの泳いでの逃走とサスペンス十分で、はらはらし通しです。

でもなぁ、やっぱり嘘くさく感じてしまいました。いい話のはずなのに...



原題:DUNKIRK
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年9月9日


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ベイビー・ドライバー [映画]

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映画のHPからあらすじを引用します。

ベイビー(アンセル・エルゴート)。その天才的なドライビング・センスが買われ、組織の運転手として彼に課せられた仕事―それは、銀行、現金輸送車を襲ったメンバーを確実に「逃がす」こと。子供の頃の交通事故が原因で耳鳴りに悩まされ続けているベイビー。しかし、音楽を聴くことで、耳鳴りがかき消され、そのドライビング・テクニックがさらに覚醒する。そして誰も止めることができない、追いつくことすらできない、イカれたドライバーへと変貌する―。 組織のボスで作戦担当のドク(ケヴィン・スペイシー)、すぐにブチ切れ銃をブッ放すバッツ(ジェイミー・フォックス)、凶暴すぎる夫婦、バディ(ジョン・ハム)とダーリン(エイザ・ゴンザレス)。彼らとの仕事にスリルを覚え、才能を活かしてきたベイビー。しかし、このクレイジーな環境から抜け出す決意をする―それは、恋人デボラ(リリー・ジェームズ)の存在を組織に嗅ぎつけられたからだ。自ら決めた“最後の仕事”=“合衆国郵便局の襲撃”がベイビーと恋人と組織を道連れに暴走を始める―


いつも引用するシネマトゥデイから、見どころを引用します。

見どころ:『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』などのエドガー・ライト監督のクライムアクション。音楽に乗って天才的なドライビングテクニックを発揮する、犯罪組織の逃がし屋の活躍を描く。『ダイバージェント』シリーズなどのアンセル・エルゴート、テレビシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」などのケヴィン・スペイシー、『Ray/レイ』などのジェイミー・フォックスらが出演。主人公のユニークなキャラクター、迫力満点のカーアクションに注目。


いいです! この映画。
話そのものはありふれた、手垢のついたようなものです。
組織(というほどの感じはしなかったのですが。ギャングでも強盗団でもかまいません)の仕事をやっている者が抜けようとして挑む最後の仕事...
それに、音楽を聴くと腕が上がるドライバーという設定を組み合わせて、とても楽しい映画になっています。

冒頭の強盗からの逃走シーンがまずド迫力で、これだけでもこの映画を観てよかったな、と思えます。
正直、この冒頭のシーンが、ドライブ面では最高だったので、そのあとはそれほど...というのが残念といえば残念ですが、まあ、十分です。
まさにタイトル通りベビーフェイスな主人公(でも、長身なんですよね)が、音楽を聴くと、最高にクールになるのがステキ。

ケヴィン・スペイシーはいつも通りの怪しさ満点。
ジェイミー・フォックスのキレっぷりも素晴らしい。こういうやつ本当にいそうです。

バンバン音楽を流すというのは映画としては手堅いというか、ま、言ってしまえば安直な手口ですが、定番の若者のボーイ・ミーツ・ガールにぴったりなだけではなく、ドライビング・シーンにもマッチするところ、コロンブスの卵的だったのかもしれません。

最近見た映画では上位です!!


原題:BABY DRIVER
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年8月19日


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ハートストーン [映画]

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今年8月の終わりに、夏休みを利用して、アイスランドに旅行に行ってきました。
ちょうど旅行に行く前に、アイスランドの映画が日本にやってきていましたので、観に行きました。1ヶ月以上も前に観た映画ですが、感想を書いておきます。

映画のHPからあらすじを引用します。
東アイスランドの美しく雄大な自然が広がる小さな漁村、ソールとクリスティアンは幼なじみでいつも一緒の大親友。
ソールは美しい母、そして自由奔放なラケルと芸術家肌のハフディス、対照的な二人の姉妹に囲まれて暮らしている。
思春期にさしかかり、ソールは大人びた美少女ベータのことが気になりはじめる。クリスティアンはそんなソールの気持ちを知り二人が上手くいくよう後押しする。そしてクリスティアン自身もベータの女友だちハンスからの好意を受けとめ、4人は行動を共にするようになる。
自然とソールとベータの距離は縮まり二人は心を通わせ合う。ただそこには二人を見守りつつ複雑な表情を浮かべるクリスティアンがいた…。
そんなある日、ソールの姉たちが開いたホームパーティーで、姉ハフディスがソールとクリスティアンに懇願しモデルになってもらい描いた二人が見つめ合う意味深な画が見つかってしまい、そこに居合わせた友人たちは騒然となる。
大人から子供までみなが顔見知りで、古くからの慣習を尊重する村の環境は些細なことが大きな火種となる。
ソールとクリスティアンに向けられた好奇の眼差しは二人の関係をぎこちなくさせていった。
「普通にしてくれよ、そしたら元に戻れる」そう言い放つソールに悲しげな顔でこたえるクリスティアン…。
そして思いつめたクリスティアンは―――。


アイスランドの美しい風景を背景に、思春期の少年たちを描いた映画でした。
いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:豊かな自然が広がるアイスランドの漁村を舞台に、思春期を迎えた少年たちを描いた青春ムービー。本作が長編初監督作となるグズムンドゥル・アルナル・グズムンドソンが、自身の少年時代の思い出をベースに描いた自伝的ラブストーリーは、第73回ベネチア国際映画祭をはじめ、世界各地の映画祭で高く評価された。バルドゥル・エイナルソンとブラーイル・ヒンリクソンが、仲のいい幼なじみを演じる。

あらすじ:東アイスランドの漁村に暮らすソール(バルドゥル・エイナルソン)とクリスティアン(ブラーイル・ヒンリクソン)は、幼なじみの親友。思春期に差し掛かりソールは大人びた美少女ベータ(ディルヤゥ・ワルスドッティル)に夢中になる一方、クリスティアンはそんなソールの気持ちを知りベータとの仲がうまくいくよう後押しするが、自らの内にある親友への特別な感情に気付き……。


こういう映画、普通だったら観に行かないので、こういうきっかけで観られてよかったかな、と思いました。
あまたの賞を受賞している作品ですが、ベネチア国際映画祭クィア獅子賞(最優秀LGBT映画賞)、シカゴ国際映画祭ゴールドQヒューゴ賞(最優秀LGBT映画賞)、などを受賞した、とのことで、ベースとして、同性の友人に対する特別な思いを取り扱っています。
ある意味屈折した感情を抱くものと、一方でまったくそういうことに頓着せず、無邪気といっていいくらいなふるまいをするもの。この残酷な対比が見どころなのでしょうか。ソールはちゃっかり(?)初体験を済ませちゃったりします。
LGBT映画賞ということで、あえて「同性」と書き加えましたが、同性だろうと、異性だろうと、恋なんて一方的になりやすいもの。こちらにとって相手は特別な存在なのに、相手にとってこちらはまったくの one of them。恋愛ストーリーの王道ではないですか。
俺は/私はLGBTなんてわかんないよ、と身構える方でも、そのあたりは伝わってくるのではないでしょうか。
もっともそんなことを言いながら、同性への気持ちというのは、周りや相手の理解という点で異性への気持ちとは比較にならないくらい困難でしょうから、個人的には、クリスティアンの選択が今一つぴんとこなかったのも事実ですが。

あとこの映画は、同性への思いに揺れる少年を描いただけのものでは決してありません。
どちらかというと、思いを寄せる方のクリスティアンよりも、視点は思いを寄せられる方のソールになっていることが多いです。
アイスランドの閉鎖的な寒村で、閉塞感ある大人たちの世界を子供の視点から覗き見ている映画でもあります。
風景も、美しいけれども、荒涼としたというか、厳しい感じを漂わせてもいます。だからこそ美しいといえるのかもしれませんが。

たぶん消化不良のところが多々あるのだとは思いますが、それなりに楽しめました。

で、実際に行ってみたアイスランドは、首都レイキャビク中心だったので、この映画のような寂寥っぽい風景はあまり見ませんでした。ただ、8月末ごろでしたが、雨が多く、火山性の土壌で、ごつごつしていたりして、農業や居住には向かないエリアが多そうで、ちょっと寂しいような、ちょっと荒れたような自然の風景は美しかったです。



原題:Hjartasteinn
英題:HEART STONE
製作年:2016年
製作国:アイスランド/デンマーク



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