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モップガール2 事件現場掃除人 [日本の作家 加藤実秋]


モップガール2 事件現場掃除人 (小学館文庫)

モップガール2 事件現場掃除人 (小学館文庫)

  • 作者: 加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/07/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
事件・事故現場を専門とする清掃会社で働き出した桃子は、現場に遺された想いに感応して、超常現象に襲われてしまう面倒な特殊能力の持ち主だ。今回も、交通事故現場で、正体不明のくすぐったさに襲われたかと思えば、殺人の容疑で同僚が逮捕され、会社は大揺れに揺れる。やがて、桃子は自らの能力の秘密を知ることになる事件に巻き込まれていくのだが……。桃子は、そしてクリーニングサービス宝船の運命は!? 桃子の身におこった超常(?)現象を手がかりに、個性豊かな同僚たちが、事件・事故の「謎」に挑んでいく。笑って泣ける新感覚ミステリー、待望の続編刊行!!



「モップガール」 (小学館文庫)(ブログの感想へのリンクはこちら)の続編です。単行本のときのタイトルは「スイーパーズ 事件現場掃除人」だったのが改題されていますね。

帯に「涙の完結」とか「泣かされましたよ」とか、下品ですねぇ(作者のせいではありませんが)。そんな安っぽい売り方しないでほしい。

いや、そんなことはさておき、あの面々が帰ってきたのが、まずうれしい。
そして、「モップガール」 のエンディングのひっぱりも、ちゃんとつながります。
桃子の “ちから” の謎というか、仕組みは、ミステリを読み慣れたかたなら容易に想像がつくものなので、取り立てていうほどのことはないのですが、◯◯◯とまでつなげるとはねぇ。いや、それもありふれているんですが、そこまでつなげちゃうとは思っていませんでした。
そして、犯人側(と言っていいのかどうかわかりませんが)の事情と、桃子サイドの事情が二重写しになっているという構図はなるほどなぁ、と(しつこいようですが、これもありふれているんですが)。
「全部背負っていきるしかない」(389ページ)
ってせりふ、さらっと流されていますが、重いですよねぇ。
そういう重みをさらっとかけてしまうところが、このシリーズの(そしてこの作者の)強みかと思います。
ラスト、とりあえずハッピーエンドぽくてよかったですが、たぶん、このシリーズはもう続編ないだろうな...






ブラックスローン [日本の作家 加藤実秋]


ブラックスローン インディゴの夜 (集英社文庫)

ブラックスローン インディゴの夜 (集英社文庫)

  • 作者: 加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2014/03/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
個性的なホストたちが人気を集める渋谷のホストクラブ「club indigo」。常連客の真千子が殺され、指名されていたホスト・DJ本気が疑われる。オーナーの晶とホストたちが事件を追ううち、ネット上に「もう一つのindigo」が存在し、真千子がそこを運営していたことが分かる。ネットとリアルの両方から犯人探しを進める晶たちだが……。大人気シリーズ最新作が文庫オリジナルで登場!


いままで東京創元社で出ていた「インディゴの夜」シリーズですが、この「ブラックスローン」 から集英社に移ったみたいですね。
前作「Dカラーバケーション」 (集英社文庫)までの4作も集英社文庫に収録されました。表紙を並べて比べてみましょう。
インディゴの夜 (集英社文庫)インディゴの夜 (創元推理文庫)

チョコレートビースト (集英社文庫) チョコレートビースト―インディゴの夜 (創元推理文庫)

ホワイトクロウ インディゴの夜 (集英社文庫)ホワイトクロウ (インディゴの夜) (創元推理文庫)

Dカラーバケーション インディゴの夜 (集英社文庫) Dカラーバケーション (インディゴの夜) (創元推理文庫)


買いなおしてはいませんが、大矢博子さんの解説によると、集英社文庫版は大幅に加筆修正されていて、かつ、おまけの連載短篇まであるらしい...
これって昔からのシリーズ読者に不親切極まりない移籍ですよね!

この「ブラックスローン」はシリーズ初めての長編となっています。
あらすじはちょっとストーリーを明かしすぎな気もしますが、的確です。
リアルの世界とバーチャルな世界をいったりきたりするというプロットの作品、実は難しいテーマだと思うのですが、ホストクラブという、リアルにあるバーチャル的な世界を通すことでうまく展開していっています。

懐かしいホスト達とも再び会えたし、ミステリ度も(当社比)大幅アップで、短いストーリーなのに、十分楽しみました。
次の「ロケットスカイ インディゴの夜」 (集英社文庫)も出ていて楽しみです。



ヨコハマ B-side [日本の作家 加藤実秋]


ヨコハマ B-side (光文社文庫 か 52-1)

ヨコハマ B-side (光文社文庫 か 52-1)

  • 作者: 加藤実秋
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/13
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
横浜駅西口ビブレ前広場でティッシュ配りをしているチハルは埼玉生まれの埼玉育ち。横浜に憧れて片道二時間近くをかけ、通勤している。一方、外見もダサく、使えない新人バイトの山田は生粋の横浜育ち。広場で出会った中年男から結婚相談所で紹介された女性が失踪したと相談を受けた二人は?(「女王様、どうよ?」)。広場に集まる若者たちの疾走を描く青春群像小説!


「インディゴの夜」 (集英社文庫)シリーズの加藤実秋のこの作品の舞台は横浜。
連作ですが、各話ごとに主人公が入れ替わっていきます。
つまり、さまざまな若者を描くと同時に、横浜という街を描いています。
横浜といっても、おしゃれな港町のイメージの部分ではなく、「足下のドブ川から磯の香りが漂い、カモメの姿が見られる以外は日本中どこにでもある、ありふれて猥雑な繁華街」(P11)という横浜駅西口繁華街を中心エリアです。
いつものことですが、この作者、若者を描くのがとてもうまいと感心します。作者紹介を見れば1966年生まれとのことですから、年齢差はあるでしょうに、同じ目の高さで書かれているように思います。すばらしい。

全体を通すエピソードとして「パニッシャー」と呼ばれる通り魔(?) というか、仕置き人の正体をめぐるストーリーがあり、ラストでその正体が明かされる構図になっています。とはいえ、ミステリー味はごくごく薄目です。ミステリーということを意識しなくてもよいのかもしれませんね。
ラストももうひとひねりもふたひねりもできそうですし、またミステリとしてなら、ひねってしかるべきところですが、作者はそんなこと百も承知であえてひねらず、テーマにあわせて直球で勝負してきたんだろうな、という気がしています。
この登場人物たちにまた会ってみたいですね。続編書いてくれないかな?


タグ:加藤実秋

モップガール [日本の作家 加藤実秋]


モップガール (小学館文庫)

モップガール (小学館文庫)

  • 作者: 加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/03/06
  • メディア: 単行本


<裏表紙あらすじ>
なんなのこの人たち? なんなのこの会社!?
高給優遇・初心者歓迎……求人広告に誘われて、フリーターの桃子が就職した先は、事件・事故現場の後始末が専門の掃除会社だった。そこで働くのは、超犬好きの社長を筆頭に、売れない役者の重男、ギャルの未樹、イケメンだが無愛想な翔と、変人ばかり。
ようやく仕事にも慣れてきた桃子だったが、ある事件現場の清掃中、フラッシュバックに襲われる。
個性豊かな清掃員達が、桃子に起こる超常現象を手がかりに、事件や事故の謎に挑む日本初! お掃除サスペンス。

テレビドラマの原作、ということなのですが、ドラマは観ていません。全然設定が違ったらしいですね。

個性豊かな、というよりはむしろ変わった人ばかりの会社(職場)という設定はままあるもので、作者自身の「インディゴの夜」 (創元推理文庫)で始まるシリーズもそうなのですが、さすがは加藤実秋というべきか、手慣れたもので、そういった変人たちに次第に親しみがわいてくるから大したものです。--もっとも、犬好きが嵩じて、「大」という字をみると点を打って「犬」に変えてしまう社長はさすがに、なし、だと思いますけど(笑)。
特に、主人公の桃子までもがたいがい変な設定になっているところには唸らされました。普通の人がいて、比較して変人が浮かび上がるのではなく、視点人物も含めて変人ばっかり、という中で普通にストーリーを展開していくのは結構な腕が必要なのではないでしょうか?
ミステリとしてみると、やはり軽めなのは軽めなのですが、主人公桃子が体験する、あらすじでいうところの超常現象が、4話それぞれ、フラッシュバックで映像が見える(視覚)、赤いきつねの味がする(味覚)、つんとくる刺激はあるが同時に甘くてまろやかなニュアンスのある嫌な感じのしない匂いがする(嗅覚)、強烈な寒気がする(これはいわゆる五感ではないですね。どういえばいいのでしょうか?) という風に、違うタイプのものに設定されているところに趣向が凝らされていると思いました。
それにしても最終話の「ブラッシュボーイ」のエンディング、中途半端というか、いかにも続編があります! という終わり方で、すごく後を引きます。気になる! 昨年10月に出た「スイーパーズ 事件現場掃除人」(小学館)が続編のように思われるので、期待します。

Dカラーバケーション [日本の作家 加藤実秋]


Dカラーバケーション (インディゴの夜) (創元推理文庫)

Dカラーバケーション (インディゴの夜) (創元推理文庫)

  • 作者: 加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/02/28
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
風営法の改正に合わせ、club indigoは営業形態を変更。若手ホストが接客する、よりカジュアルな二部を設け、集客に効果をあげていた。だが、イマドキな若手ホストは都市伝説がらみのトラブルを運んでくるし、晶は豆柴と殺人事件に巻き込まれるし、憂夜が休暇を取れば厄介な問題が発生するしで、相変わらずの大騒動。新キャラクターも登場し、ますます好調のホスト探偵団シリーズ。

「インディゴの夜」 (創元推理文庫)ではじまったシリーズの第4作です。と、前回「ホワイトクロウ (インディゴの夜)」 (創元推理文庫)のときと同じフレーズではじめてみました。
ようやくclub indigo の改装も終わり、新しいホストも登場し、新しいトラブルを持ち込んでくる...新しいレギュラーメンバーができて、それにふさわしい(?)事件が起こる、という、きわめてこのシリーズらしい展開を見せています。事件よりもレギュラーメンバーのキャラクターで魅せるシリーズなので、これは自然のなりゆきでしょう。
といっても、ミステリとしては軽いことは軽くても、最近の薄味の日常の謎よりはよほどミステリしていますのでご安心を。
今回はやっぱり表題作で最終話の「Dカラーバケーション」ですよね。だって、憂夜さんにクローズアップするんですから! と期待させても、やっぱり憂夜さんは謎多き人ですよ。安易な期待は禁物です。というか、逆に謎が深まってしまったような...
さておき、ひさしぶりにレギュラーメンバーに会えて満足しました。次作はいつ!?

ホワイトクロウ [日本の作家 加藤実秋]

ホワイトクロウ (インディゴの夜) (創元推理文庫)

ホワイトクロウ (インディゴの夜) (創元推理文庫)

  • 作者: 加藤 実秋
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/02/10
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
ホストたちの要望から、大幅改装を図ることになったclub indigo。ある伝手で、有名インテリアデザイナーに内装を手がけてもらうことに。工事期間中の仮店舗探しに晶が奔走する中、ジョン太、アレックス、犬マンはプライベートで事件に巻き込まれてしまう。一方、店の工事はいっこうに進まず、さらにトラブルの臭いが……。若者の“いま”を活き活きと描く、好評シリーズ第3弾。

「インディゴの夜」 (創元推理文庫)ではじまったシリーズの第3作です。舞台がホストクラブ「club indigo」。とはいっても歌舞伎町ではなく、渋谷、しかも東口。ホストたちも、いかにもホストといった感じではなく、DJとかダンサーとかそういった種(?)です。
よく石田衣良のウエストゲートパーク・シリーズと比較されているようですが、あちらよりも今を切り取っているのではないかと思います。
ウエストゲートパークは若者視点でありながら大人から見た若者像という印象があるのに対し、インディゴは大人視点でありながら若者のリアル感があるように思います(若者のリアル感なんて言い方自体がリアル感ないですが...)--まあ、所詮イメージ論ですが。おそらく視点人物であるオーナー晶が若者であるホストたちに対し、大人対若者という構図で見下ろしているのではなく、姉弟みたいな感覚で接しているからだと思います。
また、ウエストゲートパークではレギュラーメンバーを描くことよりも毎回毎回の事件やそこに登場する人物を描くことに重点が置かれているのに対し、こちらはレギュラーメンバーに筆が割かれている割合が高いようです。すなわち、ウエストゲートパークの場合、作品作品で作者の書きたいテーマ、人物、事件があってそこにレギュラーメンバーが絡むという作りである一方、インディゴの場合は事件や謎はレギュラーメンバーを書く手段のような印象を受けます。それだけミステリの比重が低いともいえますので、ミステリファンとしてはちょっと寂しいかな。だいたい事件の枠組みが提示される段階で真相に見当がついてしまいますから。
第3作となるこの作品集では、ホストそれぞれが店を離れた時間帯に遭遇する事件を描いていて、最後の作品ではそれまでの作品に登場した人物が友情出演みたいな雰囲気で出てきます。キャラクターはつながっていても事件がつながっていないあたり(この意味では東京創元社から出る本らしくないかも)、このシリーズの性格を象徴しているのかもしれません。
全体としてライトな仕上がり感は心地よいですし、ミステリ的な興趣は薄くても、晶やホストたちにはまた会いたいと思います。次作「Dカラーバケーション (インディゴの夜)」 ももうすぐ文庫化されると思いますが、必ず読みます。

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