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ねずみ石 [日本の作家 大崎梢]


ねずみ石 (光文社文庫)

ねずみ石 (光文社文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/01/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
真ん中にひと文字「子」という漢字が入った灰色のすべすべとした楕円形の石。神支村の子どもたちが祭りの夜に探す「ねずみ石」は、願いをひとつだけ叶えてくれる――。中学一年生のサトは四年前の祭りの日、一時行方不明になった。その夜、村で起きた母娘殺人の犯人は未だに判明していない。親友セイとともに、祭りを調べていくうち、サトは事件の真相へと迫っていく。


大崎梢の作品群の中では、ミステリ味の濃かった「片耳うさぎ」 (光文社文庫)の姉妹編(?) です。主人公が男の子になったので、兄弟編??
うん、書店シリーズよりこっちの方がいいですね。

因習というほどのことはないでしょうが、田舎の小さな村を舞台にしたミステリです。
タイトルの「ねずみ石」というのは、子(ね)と書かれた石で、神支神社(かみしじんしゃ)の祭りで、七個のねずみ石をさがす子供向けのイベントがある、という設定です。村のあちこちに隠されている石を見つければ、願いがひとつ叶えられるという。で、いちど見つけたら、次の年からは参加しないという掟(?)。
主人公は、中学一年生のサト(土井諭大 どいさとひろ)。そして同学年の友人セイ(山田誠也 やまだせいや)と、三年生の内修平がメインの登場人物です。
このメインの登場人物たちの心情がポイントの作品で、うまいなぁ、と思いました。
ミステリとしての出来は...「片耳うさぎ」 (ブログの感想ページへのリンクはこちら)同様、まあ他愛もないものですね。
ただ、この作品の場合、テーマというか、まずまず難しい年ごろの中学生を描くという方向性から真犯人が設定されていると思われ、その意味ではミステリの肝ともいうべき意外性はあえて放棄する形をとっているように感じました。
ミステリ好きとしては若干複雑なところですが、この作品はこれでいい気がします。

千街晶之の解説によると、同系列に「かがみのもり」 (光文社文庫)があるようです。
主人公が新米教師で大人なのがちょっと不安ですが...そちらもいずれ読んでみます。

タグ:大崎梢
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背表紙は歌う [日本の作家 大崎梢]


背表紙は歌う (創元推理文庫)

背表紙は歌う (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/07/27
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
作り手と売り場、そのふたつを結ぶために。出版社の新人営業マン・井辻智紀は今日も注文書を小脇に抱え、書店から書店へと飛び回っている。しかし取次会社の社員には辛辣な言葉を投げかけられ、作家が直々に足を運ぶ「書店まわり」直前にはトラブルを予感させる出来事が……。井辻くんの奮闘をあたたかな筆致で描いた、本と書店を愛する全ての人に捧げるミステリ短編集第二弾!


ようやく2015年に読んだ本の感想に突入です。

「平台がおまちかね」 (創元推理文庫)に続くシリーズ第2弾ですが、やはりミステリ味は薄いですねぇ。
ここまで薄くなると、「日常の謎」ではなく、単なる「日常」のような気もします。

「ビターな挑戦者」
「新刊ナイト」
「背表紙は歌う」
「君と僕の待機会」
「プロモーション・クイズ」
の5話収録です。

気になったのは、「プロモーション・クイズ」。
成風堂書店のあの人が関連する、大崎梢の愛読者にはたまらない1作なのだと思いますが、こういうの、どうなんでしょうね?
本に書かれているなぞなぞと、それを受けて成風堂書店のあの人が書いたなぞなぞ。それを解く、という話なんですが、こういう建て付けだと大げさに言えば無限に書けちゃいますよね。
なぞなぞのロジック(というのでしょうか?)が、図抜けて突飛だとか、意外性があるとかいうのならまだしも、普通のなぞなぞなんです(突飛すぎたり、意外性がありすぎると、解けなくなっちゃいますけれどね)。
こういうのはどうもなぁ。
これだと単なるクイズですよね。

「ビターな挑戦者」ももう一つですね。
嫌味な取次会社の社員が登場するんですが、もうそれだけで、当然ながら、そんなに嫌味ではない、いや嫌味は嫌味でも実はそれなりにいいところがある、という着地に向っていることが丸わかりで、そしてその通りの着地を見せる。

一方、気に入ったのは、「君とぼくの待機会」。
文学賞の発表間近の作家の様子とか、出版社営業の様子とか興味深かったので。
賞が出来レースだという噂が事前に流れる。その源をつきとめる、というのも「日常の謎」としてはアリだと思います。
着地が平凡ではあっても、嫌みのないところへ落ち着く手さばきも、この作品においては悪くないですね。

ただ、ミステリとして読むと不満だらけでも、シリーズを読んでいこうという気にさせる居心地の良さがこのシリーズにはあります。井辻くん、応援したいですもん。
これ、東京創元社から出ているのでなければ、こういう不満も少なかったかもしれません。でも逆に、創元推理文庫でなければ、手に取ることもなかったかも。難しいところです。
「君とぼくの待機会」で顕著なように、出版をめぐる舞台裏をいろいろと教えてもらいたいですね。

というわけで、このシリーズにはミステリを期待せず、井辻くんとの再会を期待することにします。
でも、このあと、出ていないですね。




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片耳うさぎ [日本の作家 大崎梢]


片耳うさぎ (光文社文庫)

片耳うさぎ (光文社文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
小学六年生の奈都は、父の実家で暮らすことになった。とんでもなく大きくて古い屋敷に両親と離れて。気むずかしい祖父に口うるさい大伯母。しかも「片耳うさぎ」をめぐる不吉な言い伝えがあるらしいのだ。頼りの中学三年生さゆりは、隠し階段に隠し部屋と聞いて、張り切るばかり――二人の少女の冒険が“お屋敷ミステリー”に、さわやかな新風を吹き込む。

「配達あかずきん ― 成風堂書店事件メモ」 (創元推理文庫)「平台がおまちかね」 (創元推理文庫)などの大崎梢の作品です。
上記二つのシリーズが本屋をめぐる「日常の謎」で、ミステリとして見た場合あまりにも謎が小さいことに不満を述べてきましたが、この作品はシリーズを離れたおかげか、これまでの作品よりもぐーんとミステリらしさが漂っています。
舞台が田舎のお屋敷。ときたらやっぱり横溝正史を連想してしまいますが、主人公を小学生にしたところがポイントなのでしょう。
大人が見たらなんでもないことも、子供から見たら怖いこと、不思議なことだったりするので、古いお屋敷がワンダーランド(お化け屋敷!?)と化すのも自然な成り行きかもしれません。主人公奈都と一緒に屋敷を探検するさゆりという人物を設定したのも、この流れに沿ったものと言えます。
ここを作者は強く訴えたかったのか、この作品は非常に導入部分が長く、ちょっとストーリーがもたついた印象があるので残念です。一方で、解決近くなるとあまりにも駆け足になって、物語のバランスが崩れてしまっているようです。(あと、作者のせいではありませんが、上に引用したあらすじは不正確です。奈都は両親と離れて暮らすことになったのではなく、作品の期間中両親が家を留守にしているだけです)
ミステリとしてみると...隠し部屋だ、屋根裏部屋だ、大家族の秘密、因縁だ、古い言い伝えそして過去の事件だ、と盛りだくさんで、やはり横溝正史の世界ですが、からりとした感覚なのが新しいですね。
真相は、まあ他愛もないもので、特段感心するところはありませんが、いつもよりもミステリへ踏み出してきた作者の姿勢には拍手を送っておきたいです。
もう1冊、「ねずみ石」 (光文社文庫)という作品が、この「片耳うさぎ」と同じ傾向の作品のようですね。さらにミステリ寄りになっていることを期待することにしましょう。

タグ:大崎梢
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平台がおまちかね [日本の作家 大崎梢]

平台がおまちかね (創元推理文庫)

平台がおまちかね (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2011/09/10
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
作り手と売り場を結ぶ糸をたくさん鞄に詰め込んで、出版社の新人営業、井辻智紀は今日も本のひしめくフロアへと向かう。――でも、自社本をたくさん売ってくれた書店を訪ねたら何故か冷たくあしらわれ、文学賞の贈呈式では受賞者が会場に現れない!?他社の先輩営業マンたちにいじられつつも、波瀾万丈の日々を奮闘する井辻君の、こころがほっとあたたまるミステリ短編集第一弾。

成風堂書店事件メモシリーズの作者大崎梢の新シリーズです。
今度は出版社の営業を扱って、やはり本まわりの作品です。本屋も引き続き頻繁に登場しますし、成風堂書店のあの人もちらっと出てきます。
成風堂書店シリーズのほうは、「日常の謎」とはいえ、ミステリ味が薄すぎるという感想を持っていますので、新シリーズに切り替わるのはOKなのですが、こちらもやはりミステリ味は薄い...
出版社の営業という、本屋好きにも馴染みのなさそうな、それでいてつながりは深そうな職業を取り扱っていて非常に興味深い。
たとえば第4話の「絵本の神様」なんて、とってもよい話で、読んでよかったなぁ、としみじみ思います。
でもね、でもね、でもね、やっぱりミステリとしても読みごたえある作品にしてほしい、と願ってしまう。
さて、シリーズ次作 「背表紙は歌う」 (創元クライム・クラブ)は、どうなんでしょうね!?

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サイン会はいかが? [日本の作家 大崎梢]


サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)

  • 作者: 大崎 梢
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2010/03/11
  • メディア: 文庫


<背表紙あらすじ>
「ファンの正体を見破れる店員のいる店で、サイン会を開きたい」――若手ミステリ作家のちょっと変わった要望に名乗りを上げた成風堂だが……。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵のコンビが、書店に持ち込まれるさまざまな謎に取り組んでいく。表題作を含む五編を収録した人気の本格書店ミステリ、シリーズ第三弾。

「配達あかずきん―成風堂書店事件メモ」 (創元推理文庫)「晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編)」 (創元推理文庫) につづくシリーズ第3弾。
ミステリ好きな人って、本屋にも結構な頻度で行く人が多いでしょうし(=本屋が好きな人も多いでしょうし)、本屋を舞台にしたミステリって、なかなか狙い目としていいですよね。本屋の内情というのにも興味ありますし。
昔なら、どんどん事件を起こすのも大変だったと思うのですが、最近だと「日常の謎」にすればいいので、むりやり殺人事件を設定する必要もありません。
シリーズになっているので、各作品でバラエティを持たせようと、いろいろなパターンを登場させているのには好感が持てます。
しかしながら、やはりミステリ味が薄すぎるのではないでしょうか? 登場人物もいい人ばかり、というのも、ミステリとしてはマイナスかな? 創元推理文庫から出るからには、もう少し濃い目の作品を期待したいところです。
逆に言うと、ミステリを期待しない人には長所かもしれません。大げさではないさりげない謎。どぎつい事件も起きません。いい人ばかりということはかなり人の善意を信じられるということ。ほろりとさせるようなエピソードも随所に。この世界には確かに魅力があります。そういう話を求める方には絶対のおすすめ。
それにしても、後味が悪くなりそうな話でも、後味が悪くならないように、ひょいと解釈をひっくり返してみせる作者の手際はあざやかで、その手法はミステリを作るときにも十分発揮できると思うので、ぜひぜひ、本格的なミステリを書いてください、とお願いしたいです。
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