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さよならの手口 [日本の作家 若竹七海]


さよならの手口 (文春文庫)

さよならの手口 (文春文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
探偵を休業し、ミステリ専門店バイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた――。有能だが不運な女探偵・葉村晶が文庫書下ろしで帰ってきた!


まさに待望の葉村シリーズ。
前作「悪いうさぎ」 (文春文庫)が出たのが2001年。
この「さよならの手口」が2014年ですから、なんと13年ぶり。
13年ぶりの新刊が文庫書き下ろし...ぜいたくですねぇ。(作者は大変でしょうけれど)
「このミステリーがすごい! 2016年版」第4位です。発売時期が違えばもっと上位に来たのでは?

しかしまあ、葉村晶は不運ですねぇ。
オープニング早々、古本を引き取りにいっただけなのに、大けがし、白骨を発見し...
この白骨事件はあっさり解決されますが、その真相もたいがいびっくりできますよ(笑)。

で、そのあとハードボイルドでは定番の失踪人捜しへ。
ここから、葉村には不幸が積み重なり、同時並行で謎もつみあがっていきます。
ころころとストーリーが転がるように広がって行って、最後にきちんとたたまれる。
こんなにあれもこれもと欲張ったプロットなのに、ちゃんとエンディングでまとまるのは本当に素晴らしい。
いやあ、13年待ったかいがありますよ、この充実度は。
ミステリ的にはさほど目新しいところはないのかもしれませんが、組み合わせの妙というのか、カチッと組み上げられた感がしてステキです。
視点が葉村に固定されていて、その語り口にうっすらとユーモアが漂うところもいい。

タイトル、「さよならの手口」
巻頭に掲げられている
「警官にさよならを言う方法はまだみつかっていない、」
というチャンドラーの引用を意識したものですが、これに呼応するエンディングも見事ですね。
でもなぁ、これ、ちゃんとさよならできますかね?

次はこんなに待たせないでほしいですっ!

<蛇足>
それなりに重要な役どころとして登場する美枝子というおばさんの話し方が気になります。
「ねーえ?」
「ねーえ」
どういう発音なんだろな。


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みんなのふこう 〜葉崎は今夜も眠れない [日本の作家 若竹七海]


みんなのふこう〜葉崎は今夜も眠れない (ポプラ文庫ピュアフル)

みんなのふこう〜葉崎は今夜も眠れない (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 作者: 若竹七海
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
葉崎FMで放送される「みんなの不幸」は、リスナーの赤裸々な不幸自慢が人気のコーナー。そこに届いた一通の投書。「聞いてください、わたしの友だち、こんなにも不幸なんです……」。海辺の田舎町・葉崎市を舞台に、疫病神がついていると噂されながら、どんなことにもめげない17歳のココロちゃんと、彼女を見守る女子高生ペンペン草ちゃん、周囲の人々が繰り広げる、泣き笑い必至の極上エンタテイメント!


俗に不幸体質なんていったりもしますが、このココロちゃんのレベルまで行くと、そんな悠長なこと言ってられないような。
ラジオの投稿コーナーに届けられるココロちゃんの不幸のオンパレード。
よくもまあ、次から次へと、という感じなのですが、話が進むにつれて(すなわち時間が経過してエピソードが積み重なっていくにつれて)、次第次第に、なんだか怪しげな構図が浮かび上がって来るような、来ないような。
この辺りのさじ加減が読みどころなのでしょう。

しかしなぁ、ココロちゃん、身近にいたらどうなんだろう? ダントツの不思議キャラです。
客観的には不幸でも、本人は必ずしも不幸とは捉えていないことも含めて、周りにいたらイライラするかも!?
周りにある毒や悪意も、実はココロちゃんが引き寄せたものだったりして。
ただ、カラッと描かれていまして、不幸が不幸になっていない。
いや、不幸なんですけど、ココロちゃんはそうは受け取っていない。
テンポよく、あらすじにもある通り「泣き笑い」というかたちになっているのはさすがですね。





タグ:若竹七海
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御子柴くんの甘味と捜査 [日本の作家 若竹七海]


御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/06/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
長野県警から警視庁捜査共助課へ出向した御子柴刑事。甘党の上司や同僚からなにかしらスイーツを要求されるが、日々起こる事件は、ビターなものばかり。上田市の山中で不審死体が発見されると身元を探り(「哀愁のくるみ餅事件」)、軽井沢の教会で逃亡犯を待ち受ける(「不審なプリン事件」)。『プレゼント』 に登場した御子柴くんが主役の、文庫オリジナル短篇集。


「プレゼント」 (中公文庫)に登場した御子柴くん、とありますが、「プレゼント」 読んでますけど、ずいぶん前のことなので覚えてません...
でも、大丈夫でした。

「哀愁のくるみ餅事件」
「根こそぎの酒饅頭事件」
「不審なプリン事件」
「忘れじの信州味噌ピッツァ事件」
「謀略のあめせんべい事件」
の5話収録です。
いやあ、貧乏くじを引かされまくって、一身に面倒事を引き受けさせられる御子柴くんがいい味出してますねー。
「警視庁内に、地方の県警本部から、連絡調整役として捜査官を派遣して常駐させるというシステムができた。御子柴はそれに選ばれてしまった」(17ページ)とありますが、そんなポジション、本当に警視庁にあるんでしょうか? まあ、それが捜査共助課と。
で、地元長野の人たちからは東京名物を買うよう頼まれ、東京の人たちからは長野名物を送るよう頼まれ...
「お留守居役もたいへんですねえ。江戸のお菓子を国元に送らなくてはならないし、お国元の名産品を江戸の役人にふるまわなくちゃならないし」
と茶化されたりしてますが。まあ、御子柴くんほどの頻度ではなくても、そういう立場の人がいたらある程度は名産のやりとりは必要になるのでしょうねぇ。
で、事件の推理というか、真相を突き止めるのが御子柴じゃないところも、GOODです。
長野県警時代の上司というのか、相棒というのか、それが「プレゼント」 にも登場した小林警部補。電話で真相を言い当てます。
「なーんか変なこと思いついちゃった」
とか言いながら。
残りページが少なくなってから、すとんと捻ってみせる小林警部補、いい感じです。
で、各話の締めは最終話を除いて、御子柴くんが名産品を食べて言うせりふ、
「ホントだ。これ、うまいわ」
「さすがだ。これはうまいわ」などなど、というところもポイント高い気がしました。
若竹七海らしい、悪意、意地の悪さも健在で、楽しみました。
これでシリーズ終わらせるのもったいないと思うので、ぜひ、続編書いてください。


〈2014.10.30追記〉
書き忘れていましたが、この「御子柴くんの甘味と捜査」から8月に読んだ本となります。


タグ:若竹七海
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プラスマイナスゼロ [日本の作家 若竹七海]


プラスマイナスゼロ (ポプラ文庫ピュアフル)

プラスマイナスゼロ (ポプラ文庫ピュアフル)

  • 作者: 若竹七海
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2010/11/05
  • メディア: 文庫



<裏表紙あらすじ>
ある時、センコーがアタシらを見てこう言った――「プラスとマイナスとゼロが歩いてら」。
不運に愛される美しいお嬢様・テンコ、義理人情に厚い不良娘のユーリ、 “歩く全国平均値” の異名をもつミサキの、超凸凹女子高生トリオが、毎度厄介な事件に巻き込まれ、海辺にある おだやかな町・葉崎をかき乱す!
学園内外で起こる物騒な事件と、三人娘の奇妙な友情をユーモアたっぷりに描いた、学園青春ミステリ。

久しぶりに本の感想に戻ります!

若竹七海の「プラスマイナスゼロ」 (ポプラ文庫ピュアフル)
出版されたレーベルからしても YA (ヤングアダルト向け) になるのですが、作者が続けている葉崎シリーズの1冊のようです。解説によると第5弾。順に、
「ヴィラ・マグノリアの殺人」 (光文社文庫)
「古書店アゼリアの死体」 (光文社文庫)
「クール・キャンデー」 (祥伝社文庫)
「猫島ハウスの騒動」 (光文社文庫)
と来て、この
「プラスマイナスゼロ」 (ポプラ文庫ピュアフル)
になります。
「クール・キャンデー」 もそうだったんだ。なんとなく、カッパノベルスから出たものがこのシリーズだと勝手に認識していたので、気づいていませんでした。
さて、この「プラスマイナスゼロ」 とてもいい!! 若竹七海でいちばん好きかもしれません。
日本のコージー・ミステリを目指している、とかいっても、意地悪というかシビアな目線を特徴とする若竹七海の長所は、この作品でも出ています。
それでいて、いつものように後味が悪い、ということもない。シニカルに、意地悪に構えても、後味が悪くならないって、とっても難しいことだと思うのですが、さわやかな印象をもたらしてくれます(というのはさすがに言い過ぎか。ちゃんと悪意はありますので...)。
女子高生が主人公なんですが、シビアな見方がとても、とても似合っています。
語り口は軽やかだし、テンポよく会話が進んでいくし、YAらしく読みやすく親しみやすいのですが、そんななかでもきちんと若竹テイストは健在。ミステリらしい仕掛けも十分。ああ、もっと早く読めばよかった。こんなに楽しいのなら。
このあと、葉崎シリーズとしては、
「ポリス猫DCの事件簿」 (光文社)
「みんなのふこう〜葉崎は今夜も眠れない」 (ポプラ文庫ピュアフル)
が出ているのですが、この調子だと「みんなのふこう〜葉崎は今夜も眠れない」 に大きな大きな期待を寄せます!!

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猫島ハウスの騒動 [日本の作家 若竹七海]


猫島ハウスの騒動 (光文社文庫)

猫島ハウスの騒動 (光文社文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/05/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹以上の猫がのんきに暮らす通称・猫島。その海岸で、ナイフが突き刺さった猫のはく製が見つかる。さらに、マリンバイクで海を暴走する男が、崖から降ってきた男と衝突して死ぬという奇妙な事件が! 二つの出来事には繋がりが? 猫アレルギーの警部補、お気楽な派出所警官、ポリス猫DCらがくんずほぐれつ辿り着いた真相とは?

架空の町(といってもモデルがあることははっきりしていますが)葉崎を舞台にしたコージー・ミステリシリーズの1作です。と解説にも、ネットにもコージー・ミステリだとあるのですが、個人的にはコージー・ミステリというにはちょっと違和感があります。
若竹さんといえば毒のある作風でも知られていますが(「悪いうさぎ」 (文春文庫) なんか印象的でした)、その毒がコージーであっても滲み出ているからかもしれません。登場人物も辛口の人が多いですし。
コージー・ミステリとは、という明確な定義があるわけではありませんが(cozyという単語の意味は心地よい、ですから、中身を示唆するものではありませんし)、狭い地域を舞台に主婦探偵が活躍する、というのが典型ではなかろうかと。シリーズ探偵である主婦がストーリーを引っ張っていき、探偵に焦点があたるわけです。
その点、この作品は、舞台こそ狭いですが(なにしろ島ですから)、かなりの多視点なので、探偵役に的を絞らせません。シリーズ探偵でもありません。ストーリーもプロットもかなり複雑です--だからこその多視点なのだと思いますが。この複雑なプロットを、この長さでまとめた作者の腕の冴えにはうれしくなりますが、そのせいで「コージー」の印象が薄れてしまいます。もっと硬質な読後感なのです。
著者自身によれば「小さな町を舞台とし、主として誰が犯人かという謎をメインにした、暴力行為の比較的少ない、後味の良いミステリ--これすなわち、コージー・ミステリです」ということで、こう定義づければあてはまりますが...
実は前作の「古書店アゼリアの死体」 (光文社文庫) でも同じように感じました。好きなシリーズですが、コージー・ミステリとしてにとどまらず、プロットの充実したミステリとして楽しんでいます。
この作品は、タイトル通り猫がいっぱい登場するのですが、ラストを締めくくるのが猫という趣向も、ポイントとしてあげておきたいと思います--この猫、どうやらこの後の作品でも活躍するようですね。
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