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放課後はミステリーとともに [日本の作家 東川篤哉]


放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)

放課後はミステリーとともに (実業之日本社文庫)



<裏表紙あらすじ>
探偵部副部長の涼は、推理よりギャグの方が得意だった?
霧ケ峰涼が通う鯉ケ窪学園高校にはなぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメートと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動、密室状態の屋上から転落した女子…etc.それらの謎を解くはずの涼だが、ギャグが冴えるばかりで推理はなぜか発展途上。解決へ導くのは探偵部副部長なのか、それとも意外なあの人か? ユーモア学園推理の結末は?


もうこのシリーズの次作「探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに」 も文庫化されていますね。
この「放課後はミステリーとともに」 は、連作短編集で、8話収録です。
チラシがはさまっていまして、それから写しておくと、
「霧ヶ峰涼の屈辱」
鯉ヶ窪学園高等部のE館で発生した盗難事件。涼が先輩や警備員と犯人を追いかけたが、その姿が館内で消失してしまった。
「霧ヶ峰涼の逆襲」
学園芸能クラス出身の女優の部屋を張り込む芸能カメラマン。涼がカメラマンの愚行を止めようとした時、当の女優が現れたが……。
「霧ヶ峰涼と見えない毒」
涼は親友にしてクラス委員の高林奈緒子居宅を訪れた。奈緒子の居候先の祖父が、珈琲毒殺未遂事件に巻き込まれたというのだ。
「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇」
流星雨観測の夜、国分寺上空にUFOらしき飛行体が出現。UFO愛好家・地学の池上先生と涼はその物体を追いかけることに。
「霧ヶ峰涼の放課後」
体育倉庫から煙草の煙が。涼と奈緒子は体育倉庫の掃除道具入れで不良の荒木田を捕まえたが、肝心の煙草はどこに?
「霧ヶ峰涼の屋上密室」
学園裏門近くで、女生徒が突如落下。運悪く教育実習生に当たってしまった。居合わせた涼が、女生徒がいたらしき屋上で見たものは。
「霧ヶ峰涼の絶叫」
陸上部の自称スーパースター、走り幅跳び選手の足立が砂場で倒れていた。だが、砂場には足立以外の足跡がなかったのだ。
「霧ヶ峰涼の二度目の屈辱」
またもE館で事件発生。涼が美術室で昏倒している荒木田を発見。逃げる犯人は学生服姿だから間違いようがないはずだが……。


冒頭の「霧ヶ峰涼の屈辱」はミステリとしてはかなり常識的な解決を見せますので、喰い足りないといえば喰い足りないのですが、作者と編集部が「第1話『霧ヶ峰涼の屈辱』からお読みいただくようお願いいたします」という由縁の仕掛けがあるので、つかみはOKですね。(まあ、その仕掛けも他愛ないといえば他愛ないですが)
で、第2話の「霧ヶ峰涼の逆襲」が、平凡そうな舞台装置でツイストを効かせてあって〇。これがこの作品集の中では個人的にベスト。第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」のあとに、この「霧ヶ峰涼の逆襲」が置いてあるというのも、いいではないですか。
次の「霧ヶ峰涼と見えない毒」のトリックは、正直つまらない。一転して「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇のトリックは、その絵面のばかばかしさに和みますが、UFOと絡ませてあるのは優れているなぁ、と。
「霧ヶ峰涼の放課後」がまたつまらないトリックでがっかりするところへ、「霧ヶ峰涼の屋上密室」のシチュエーションがトリックそのものというような設定に少し感心。
「霧ヶ峰涼の絶叫」は、ちょっと作品にしたことを後悔してほしいくらいの無理さ加減ですが(砂場でのこのトリック? はないなぁ)、ラストの「霧ヶ峰涼の二度目の屈辱」は、第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」と同じ設定の謎を違う形で解決し、そのほかにも第1話と呼応するところをちりばめた趣向に満足できる。

というように、1冊の中でアップダウンの激しい作品集なわけですが、どことなく、なんとなく愛すべき短篇集のような気がしました。
シリーズ第2作も、きっと読みます。



<蛇足>
アルファベットのEの書き順、
「よっぽどのひねくれ者でないかぎり、横、縦、横、横、横の順に棒を引いたはずである」(13ページ)
と書かれているのですが、アレ? 僕、違う書き順で書いてますね....




タグ:東川篤哉
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殺意は必ず三度ある [日本の作家 東川篤哉]


殺意は必ず三度ある (光文社文庫)

殺意は必ず三度ある (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
連戦連敗の鯉ヶ窪学園野球部のグラウンドからベースが盗まれた。われらが探偵部にも相談が持ち込まれるが、あえなく未解決に。その一週間後。ライバル校との対抗戦の最中に、野球部監督の死体がバックスクリーンで発見された! 傍らにはなぜか盗まれたベースが……。探偵部の面々がしょーもない推理で事件を混迷させる中、最後に明らかになる驚愕のトリックとは?


「学ばない探偵たちの学園」 (光文社文庫)に続く、恋ヶ窪学園探偵部シリーズ第2作です。
サイン本が本屋にあったので、それを買いました。

ベースが盗まれる、という捻った謎からスタートするものの、あらすじにもある通り、読者の感想はやはり野球場での殺人事件のトリックに向うんじゃないかと思うんですが、いやあ、相変わらず無理のある豪快なトリックですねぇ。あっ、豪快、というのとはちょっと違うかも。
文庫本で299ページに図入りで説明されていますが、これ、無理ですよ。絶対ばれますって。
でもね、ミステリ的にはとっても興味あるトリックで、発想は好きです。

途中の恐ろしく滑るギャグは相変わらず好みではないものの、探偵側から見た事件が、ベース盗難から野球見立て殺人へと(これ、書いてしまってもネタバレというほどのことはないと思います)、すーっとつながっていくあたりは見事です。

それともう一つ、恋ヶ窪学園探偵部ならではと言いたくなる探偵たちの勘違いは、前例がたくさんあるものの、いいな、と思えました。ミスディレクションとして非常に有効に機能しています。

<蛇足>
野球はちゃんと見ていないので、捕殺と補殺、見事にわかっていませんでした。
やはり、おもしろいんですね、野球用語は。




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ここに死体を捨てないでください! [日本の作家 東川篤哉]


ここに死体を捨てないでください! (光文社文庫)

ここに死体を捨てないでください! (光文社文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/09/12
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
妹の春佳から突然かかってきた電話。それは殺人の告白だった。かわいい妹を守るため、有坂香織は事件の隠蔽を決意。廃品回収業の金髪青年を強引にまき込んで、死体の捨て場所探しを手伝わせることに。さんざんさ迷った末、山奥の水底に車ごと沈めるが、あれ? 帰る車がない!! 二人を待つ運命は? 探偵・鵜飼ら烏賊川市の面々が活躍する、超人気シリーズ第五弾!


積読している間に、新しいカバーになっていますね。
Amazon.co.jp の画像的には、Kindle版がぼくの持っているのと同じ図のようです。
ここに死体を捨てないでください! 光文社文庫


鵜飼杜夫、戸村流平、二宮朱美の3名が活躍する烏賊川市シリーズ第5弾です。
「密室の鍵貸します」 (光文社文庫) 密室の鍵貸します (光文社文庫)

「密室に向かって撃て!」 (光文社文庫)密室に向かって撃て! (光文社文庫)

「完全犯罪に猫は何匹必要か?」 (光文社文庫) 完全犯罪に猫は何匹必要か? (光文社文庫)

「交換殺人には向かない夜」 (光文社文庫)交換殺人には向かない夜 (光文社文庫)

と来て、この
「ここに死体を捨てないでください! 」
になります。
みんな表紙がかわいくなっていますね。

遅れながらもずっと読んできていますが、いやあ、ベタですね。
ユーモアミステリというよりは、コメディ、あるいは、ドタバタ、と言うべき作風です。
冒頭、死体をコントラバスケースで運ぶ、というくだりがあって、ミステリファンとしてはニヤリとするところですが、いつもながら展開がちょっと強引すぎますね。
非常に豪胆なトリックが使われていて、映像で見たら凄そうなんですが、これも無理が...
こういうトリック、大好きなんですが、かなり派手に痕跡が残りそうなトリックなんですよね。なのにそれらしいことにはあまり触れられておらず、大げさに言うとアンフェアですよね。
ギャグのなかにも骨格正しいミステリが忍ばせてある、というのが東川作品によくつけられる宣伝文句ですが、どうもこの「ここに死体を捨てないでください! 」の場合は、ミステリの無理をギャグで誤魔化してしまったような感が強いですね。

このあとも、
「はやく名探偵になりたい」 (光文社文庫)はやく名探偵になりたい (光文社文庫)

「私の嫌いな探偵」(光文社)私の嫌いな探偵

と快調に出ていますので、のんびり読んでいきたいです。


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謎解きはディナーのあとで [日本の作家 東川篤哉]


謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。
大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。「お嬢様の目は節穴でございますか?」――暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。二〇一一年ベストセラー一位のミステリ、待望の文庫化。書き下ろしショートショート『宝生家の異常な愛情』収録。


この作品から、3月に読んだ本です。
大ベストセラーですね。今頃読みました。
2011年本屋大賞第1位です。
ちなみに、2010年週刊文春ミステリーベスト10 第10位。
櫻井翔、北川景子のキャスティングでドラマ映画にもなっています。

ドラマのおかげで、探偵役である執事の影山のキャラクターは広く知られていますね。
主人であるはずのお嬢様、麗子に対する暴言(?) がポイントの連作です。
六話収録されているのですが、決め台詞のない作品もあるのですねぇ。水戸黄門の印籠みたいに、必ず出てくる方がいいと思うんですが...
さておき、決め台詞を各短編から抜き出してみます。

「失礼ながらお嬢様--この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」
「失礼ながらお嬢様」「ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」
「失礼ながらお嬢様」「こんな簡単なこともお判りにならないなんて、それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」
「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか」

戯画化した設定のユーモア・ミステリなので、目くじらを立てるのもどうかとは思いますが、この影山のせりふ、正直ひっかかりました。
日本語としておかしくないでしょうか?
標準語の語彙にはない「アホ」を使っている、とか、侮蔑するような表現に敬語はふさわしくない、というのをおいておくとしても、お嬢様のことを指して「ございますか」ということはない。
慇懃無礼な執事、という設定なら、日本語はあくまで清く美しいものを使ってこそ、だと思います。たとえば、ジーヴスのように(英語の翻訳ですけど)...

以前「もう誘拐なんてしない」 (文春文庫)の感想にも書きましたが(ブログへのリンクはこちら)、デビュー作「密室の鍵貸します」 (光文社文庫)から一貫して、泥臭い、ベタな笑いを持ち味にされているので、言っても詮無いことかもしれませんが、ギャグが狙いにしてもねぇ。

ミステリとしての側面に目を向けると、大ネタはなくても、各話それぞれ、ちょっとした思い付きが盛り込まれています。
もっとも「ちょっとした」思い付きですから、ギャグ満載の設定にあわせたミステリの難易度、と捉えるか、あるいは、ミステリの難度が高くないことをギャグで誤魔化している、と捉えるか読者の意見が分かれるところかもしれません。安楽椅子探偵ものとしては、まずは基本のポイントを押さえたレベルにはなっていると思います。
ただ、物足りないのも事実で、好評につき続編が次々と書かれているようですが、安楽椅子探偵ものらしく論理のアクロバットを見せてくれることを期待します。




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もう誘拐なんてしない [日本の作家 東川篤哉]

もう誘拐なんてしない (文春文庫)

もう誘拐なんてしない (文春文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/07/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
大学の夏休み、先輩の手伝いで福岡県の門司でたこ焼き屋台のバイトをしていた樽井翔太郎は、ひょんなことからセーラー服の美少女、花園絵里香をヤクザ二人組から助け出してしまう。もしかして、これは恋の始まり!? いえいえ彼女は組長の娘。関門海峡を舞台に繰り広げられる青春コメディ&本格ミステリの傑作。

「謎解きはディナーのあとで」(小学館)で大ブレークした東川篤哉の作品です。
東川篤哉は、ユーモアミステリで知られていますが、あらすじにも書いてある通り、ユーモアというよりはコメディといったほうが近いかもしれません。ユーモアミステリといっても、たとえば赤川次郎や天藤真のようなものではなく、もっとあからさまな、ベタな笑いを特徴にしています。ギャグという用語が似つかわしいかも。
笑いというのは好みがそれぞれ分かれるので難しいと思うのですが、東川篤哉の笑いは、ちょっと泥臭い感じがして手放しで喜んで読むわけにはいきません。
一方で、その笑いのなかで、トリッキーな作風を展開しているので、ミステリファンとしては見逃せない。もうちょっとさらりとした、さわやかな笑いに移ってもらえるとこちらの好みにはぴったりくるのですが。
その意味では、傾向として、折原一の黒星警部シリーズに近いのかもしれませんね。
さて、この作品は誘拐もの。扱っているのは狂言誘拐。
誘拐ものには名作・傑作がひしめきあっていますが、この作品は誘拐を背景にして、本格ミステリを展開してみせたところが新しいのではないかと思います。
もちろん、関門海峡を舞台にしたからこその身代金受け渡しトリックなど、誘拐ものの勘所はきちんとおさえられていますが、正直、そのトリックそのものはローカル色豊かでよいと思うものの、想定の範囲内というか、あまり意外性はありません。でも、それはおそらくわざとというか、作者の計算で、本格ミステリの設計図をちゃんと引いて作品が作られているところが最大の長所ではなかろうかと思います。
東川さんには一度、ギャグの要素を抑えた作品を書いてみてほしいところです。
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