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C.M.B.森羅博物館の事件目録(26) [コミック 加藤元浩]


C.M.B.森羅博物館の事件目録(26) (講談社コミックス月刊マガジン)

C.M.B.森羅博物館の事件目録(26) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/17
  • メディア: コミック


<帯裏表紙側あらすじ>
ライオンに襲われた戦士の死に、不審を抱くマサイの族長。勇敢だったオディンガが、なぜ槍も構えず襲われていたのか? 唯一の目撃者・ハガ少年は、トラウマから供述ができない。数年前、同じく父親をライオンに殺されていたのだ。相談を受けた森羅は、動物学者・クック博士とともに、呪医・ガンビットの元へと旅立つ。ガンビットは「辛い過去から悲しみだけを消す薬」を持っているというのだが――!?


この第26巻は、
「ゴンドラ」
「ライオンランド」
「兆し」
の3話収録です。

「ゴンドラ」は、雪山の別荘近くのスキー場のゴンドラでの殺人事件を描く、倒叙スタイルの物語です。
倒叙スタイルのお手本みたいによくできた作品だと思いました。
なくなってしまった指輪の行方をめぐるエピソードも秀逸。
犯罪発覚だけではなく、犯罪のベースそのものが崩れ去る設定がすばらしいですね。

「ライオンランド」は、ケニアを舞台にした作品、です。
父親をライオンに殺された少年・ハガをキーに、周到に設計図が引かれた作品だと思いました。(ただし、ライオンはそうそう都合よく行動してくれたりしないとは思うので、そこはひっかかりますが)
与えてもらった喜びとそれを失う悲しさはまったく同じものだから、悲しみを消してくれるということは喜びもなくしてしまうのだ、というくだりは説得力がありますね。
ただ、どことはっきり言えないのですが、すっきりしないところがあって、よくできた作品だと言い切れない、今でも複雑な印象です。

「兆し」は、トウガラシのお守りを森羅博物館から買い戻したがっている香港経済界の大物の話で、主として文化大革命時代の混乱を描いています。大物は当時、自分の両親を罰する側に回ってしまった過去があります。
トウガラシのお守りは、悪いことが起こる前にその凶兆を知らせてくれると信じられたガラス製のお守り、ということですが、このお守りに効果があったかどうか、さっと反転するところがすばらしい。




タグ:加藤元浩 CMB
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Q.E.D.証明終了(48) [コミック 加藤元浩]


Q.E.D.証明終了(48) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(48) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者: 加藤 元浩
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/17
  • メディア: コミック


<帯裏表紙側あらすじ>
モロッコからスペインへの集団密航船「ブランカ号」が拿捕された。ブランカ号の船長は、麻薬密輸にも関わっており、積み荷を守るため発砲。国境警備隊との銃撃戦は、死傷者を出す大惨事に。ところが、押収された船から麻薬は発見されず、乗船していたはずの少女の姿も見当たらない。彼女の行き先はスペイン・バルセロナ――燈馬と可奈は、不法移民の少女・ファイハの足取りを追う!!
〈描き下ろし「ファイハの画集」他1編を収録〉


この第48巻には「代理人」と「ファイハの画集」の2つの話が収録されています。

「代理人」はマスコミに姿を見せない作家世見のエージェント株戸が殺された事件。
ミステリとしての仕掛けは、それなりに手の込んだことをしているのですが、正直凡庸。どこかで見たことのあるような手口の集合体です。
まあ、狂気の犯罪を描いているということなんだと思いますが、個人的にはちょっと納得しづらい設定でした。
「自分のなりたい者になれるように努力」
「自分の好きな自分になるのと 他人に好かれてる他人になるのは別のこと」
というあたりは、なかなか深いテーマなので掘り下げる価値は十分あると思ったのですが。
ちなみに、ほかの登場人物の名前は、桑形、揚葉、天道(てんとう)でした。


「ファイハの画集」は、モロッコを脱出し、ヨーロッパを目指す少女ファイハの物語です。
ミステリとしては、使った移民運搬船で密輸をやっていたと思われるのに、麻薬が見つからないという謎。
うーん、単純なトリックですが、うまくいくでしょうか?? 実効性に疑問あり、です。
一方で、ファイハの物語は、困難にあっても力強いですねぇ。すごい。
スペインで暮らす移民に
「そんなに辛いなら故郷で家族と暮らした方がよいない?」
と聞いて得た答えが
「ここには故郷にないものがある
 仕事だ
 それにここでガマンすれば家族が食べていけるんだ」
というのが切ないですね。それが貧しい国の現実ではあるけれども。


<蛇足>
この本の奥付2014年6月17日なのですが、この48巻から、カバーのデザインが変更になっています。
それは裏側なのですが、左上に2段で表示されていたバーコードとその右側のISBNコードや価格等の表示がなくなっています。ISBNコードが右上の余白部分に小さく書かれているのみになりました。
バーコードは、本そのものではなく包装してあるビニールに貼りつける形となっています。
これで読もうとビニール袋を外してしまうと、バーコードのないすっきりした裏表紙となります。
これ、いいですね。
デザイン的にもいいですし、常にビニールコーティングされたきれいな本が手に入ることになります。
本体に価格表示がない、ということでもありますので、価格変更も容易になるというメリットもありますね...ひょっとして万引き防止にも役立つのかな?




タグ:加藤元浩 QED
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髑髏城 [海外の作家 ジョン・ディクスン・カー]

髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)

髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/11/28
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
ドイツ・ライン河畔に聳える奇城“髑髏城”。城の持ち主であった稀代の魔術師が謎の死を遂げてから十七年が経った。そして今、城を継いだ男が火だるまになって胸壁から転落、凄絶な最期を迎える。予審判事アンリ・バンコランは事件の捜査に乗り出すが、そこで彼は、好敵手フォン・アルンハイム男爵と邂逅を果たす――。古城を舞台に火花を散らす仏独二大名探偵の推理、新訳決定版。


2018年になって、2017年を振り返ってみたら、なんと2017年は、カーもクロフツもクリスティも読んでいない! 黄金時代の巨匠ではクイーンの新訳だけ読んでいました。これはいかん。
ということで(どういうこと?)、2018年にカー、クロフツ、クリスティを読むことにして、その準備運動として(?) 2016年2月に読んでいた「髑髏城」【新訳版】 (創元推理文庫)を引っ張り出して感想を書くところからはじめようと思いました。

バンコランが探偵役となる長編第三作です。
まずは髑髏城というのがいいではありませんか! (ばかばかしくて)
「髑髏城の名はだてじゃない。気色悪い建築の粋を凝らした館の正面は、眼窩や鼻や乱杭歯の顎骨にいたるまで巨大な髑髏そのままなんだ。しかも塔を両脇にひとつずつあしらい、一対の大耳になかなかうまく似せてある。さしずめ聞き耳立てて笑う悪魔ってとこかな」(23ページ)
「なだらかな山腹にかぶさる狭間胸壁付きの城壁。高さ百フィートはありそうだ。」「城壁の中ほどでされこうべの歯をかたどる中央胸壁の奥に巨大な石造の頭骨が控えている。」「髑髏の眼窩ふたつ。両脇におぞましい双塔の耳。」(34ページ)
わかったような、わからないような描写ですが、悪趣味な建築物であることがわかります。
舞台は、この髑髏城とその対岸にある夏別荘。
そこで、バンコランと宿敵(?) フォン・アルンハイム男爵の推理合戦が繰り広げられる...
もう、この舞台装置と設定だけでおなか一杯になりそうな楽しさです。

17年前の事件と現在の事件。
17年前が、走行中の列車から忽然と消えた大魔術師。現在の事件が、全身を炎に包まれ城(髑髏城)から転落した名俳優。
すごく派手な事件です。
城と対岸の別荘をいったりきたりするのも堂に入っていますし(さすが、カー)、細かな手がかりもちりばめられていて、狐と狸の化かし合いみたいな推理合戦ともども、雰囲気いっぱいの中、物語が繰り広げられます。
推理合戦が、二重の解決=どんでん返し、という形になっていて楽しいです。
バンコランも悪魔(メフィストフェレス)みたいながら、ちゃんと人間なんだぁと思わせてくれるラストまで、カーのサービス精神が縦横に発揮されている作品だと思いました。

あと、本書にはどうしても付け加えておきたい点があり、それは青崎有吾による解説です。
これがすばらしい。バンコランとアルンハイム男爵の推理合戦に、カーがそんな意図を秘めていただなんて...


<蛇足1>
「太い鼻の両脇にかっきりと法令線を刻み」(14ページ)
よく聞くほうれい線って、法令線と書くのですね、知りませんでした。
上に引用した部分の「かっきり」もそうですが、この訳者結構クラシックな日本語を駆使してくれて(新訳とは思えない!?)、楽しいです。
「才槌頭」(14ページ)
「小手で目をかばう」(42ページ) 小手ってこういう使い方するんだ...
「胸突き八丁のしんどい坂」(43ページ)
かと思えばくるみではなく「ウォールナット材の鏡板」(120ページ)。
また、「申し訳ございません」(73ページ)と言わせちゃったりもしていますし、「ほんのさわりだけなら構わんよ」(163ページ)と「さわり」の意味を間違っていたり、「百歩譲って」(185ページ)とものすごい量の譲歩をさせていたりもします。
古いんだか、新しいんだか、わかりませんね(笑)。

<蛇足2>
「なぜだかこの男は竿の先の猿を思わせるところがある。」(73ページ)
竿の先の猿って、なにかの言い回しでしょうか? ちょっと調べてみてもわかりませんでした。


原題:Castle Skull
著者:John Dickson Carr
刊行:1931年
訳者:和爾桃子




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映画:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 [映画]

イット T0022329p.jpg


いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:1990年に映像化されたスティーヴン・キングのホラー小説を、『MAMA』で注目を浴びたアンディ・ムスキエティ監督が映画化。静かな田舎町に突如現れた正体不明の存在が、人々を恐怖に陥れるさまが描かれる。『ヴィンセントが教えてくれたこと』などのジェイデン・リーバハー、『シンプル・シモン』などのビル・スカルスガルドをはじめ、フィン・ウォルフハード、ソフィア・リリスらが出演。

あらすじ:とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。


若干観てから時間が経ってしまっていますが(12月半ばに観ました)、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の感想です。
スティーヴン・キング「IT」の映画化作品です。
原作は、文春文庫から4分冊(!) で訳されています。

IT〈1〉 (文春文庫)IT〈2〉 (文春文庫)IT〈3〉 (文春文庫)IT〈4〉 (文春文庫)









ずいぶん昔に読んだ記憶があります。
おぼろげな当時の記憶でいうと、怖い、という感じがあまりしなかったような。
引用したあらすじでは、「彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが……。」と書かれていますが、実際には、人々ではなく子供たちが団結して戦うストーリーです。
団結して、というのがポイントで、原作を読んだときにはそちらに意識が向いて(つまり、子供たちが協力して、というストーリーに引きつけられて)、怖い、と思うところが少なかったんですよね。

この映画観て、怖い、です。やっぱり映像の力はすごい。
ピエロ、怖いよ~。
ポスターじゃわかりにくいかもしれませんが、こちらの画像だと少しはわかるでしょうか。
イット 361609_001.jpg
大きな赤い風船に隠れて、凶悪なピエロがいます。
怖い。
この映画でも、力を合わせる子供たちに救われました。

この映画観てびっくりしたのは、物語が終わっていないということ。
いや、映画としてはきちんと区切りを迎えているのですが、これって、原作の途中まで、です。4冊全部じゃないんですね...
続編が作られるのでしょうか。作られるのでしょうね。どういう俳優をキャスティングするのか、注目です。



原題:IT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年11月3日




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神様の値段: 戦力外捜査官 [日本の作家 似鳥鶏]

神様の値段: 戦力外捜査官2 (河出文庫)

神様の値段: 戦力外捜査官2 (河出文庫)

  • 作者: 似鳥 鶏
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/03/06
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
新興宗教団体「宇宙神瞠会」が極秘裏にすすめている“ハルマゲドン”計画。ある日、大学進学のために上京していた妹の未来を訪ねた設楽は、妹が知らぬ間に教団信者になっていたと知り愕然とする。必死の説得も届かず、教団にのめり込む未来。妹を人質にとられた設楽と海月は、最悪の無差別テロを阻止し、未来を救うことができるのか!?


似鳥鶏の「戦力外捜査官 姫デカ・海月千波」 (河出文庫)に続く戦力外捜査官シリーズ第2弾です。
(前作のラストで明かされる越前刑事部長の狙いが113ページでさらっと書かれていますので、前作を読んでおかれる方がいいかもしれません。明かされてしまっても、そんなに問題にはならないと思いますが)
このところ先月(2017年12月)に読んだ本の感想を書いていましたが、ちょっとお休みしてこのシリーズを。手元の記録によれば、読んだのは2015年11月...

新興宗教団体の無法。うーん、今や手垢にまみれた題材ですね。
読者が当然前提とするオウム真理教という現実の存在は、作中でも前提として取り扱われています。
これに似鳥鶏がどう切り込んでいくかというと、探偵の身内の事件とする手法。
これも、まあ、新しさはないですねぇ。もっとも、設楽と海月が所属しているのは警視庁捜査一課火災犯罪捜査二係ですから、宗教団体がらみの事件に関与させるにはこうするのが必要だったのでしょう。
また、事件の性格からして、多少強引な捜査が必要にもなってくるので、この二人はうってつけ、ですね(笑)。

冒頭、一般市民の点景と「二ヶ月後のその日」うんぬんの思わせぶりな文章で幕を開けますが、すぐに海月がやってくれます。
多摩川を流される...頭にカワセミがとまるなんて、さすが。
こういう風に、シリアスな部分と、間抜けな部分が入り混じる作風になじめるかどうかが分かれ道のような作品です。
ぼくは似鳥ファンなので気にしませんが、気になる人にはつらいでしょうねぇ...

さて、事件はさきほど申し上げたように、新興宗教団体、宇宙神瞠会の所業、です。
設楽、海月は、公安部の気安い部員・三浦(編み物が趣味の公安部員...)と早い段階で出会って、協力(?)するようになります。
宗教法人の捜査であれば、必然的に公安と絡みますし、主導権も公安が握るのがふつうだと思われるので、捜査一課の二人が事件に関与し続けるには、公安と結びつきを作る必要があります。フィクションなので無視してもいいようなものですが、この辺の段取り、似鳥鶏はきちんとしています。おちゃらけた部分があっても(多くても?)、きちんと押さえるところは押さえてあるわけです。

捜査小説、警察小説として破格なのは、神瞠会内部の視点も導入されていること。
そしてもう一つ、設楽の妹・未来の視点も導入されていること。
この両者の視点は、なくても物語的には前に進めることができたと思われるのですが(むしろないほうがすっきりします)、作者の意図が掴めていません。
設楽、海月の潜入捜査の様子を読者にわかりやすくするためだけ、とは思えないですしね。

クライマックス近くで、冒頭の一般市民の点景が再び浮かび上がってきてGOOD。
(ただ、インターネットの世界が置いてけぼりだったのは個人的には?? でしたが、それは余談。)

このシリーズは映像化されたこともあってか、順調に巻を重ね、設楽、海月はいろいろな危機にチャレンジしていっているようです。楽しみです。
「ゼロの日に叫ぶ: 戦力外捜査官」 (河出文庫)
「世界が終わる街:戦力外捜査官」 (河出文庫)
「破壊者の翼 戦力外捜査官」(河出書房新社)


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2018年になりました [折々の報告]

2018年になりました。
よたよたやっているブログにアクセスいただき、ありがとうございます。

節目ということで、アクセス数の多いページを調べました。
順位を書いてあるところのタイトルをクリックするとブログのページへ、ついている書影やそこについている書名をクリックすると amazon.co.jp の商品ページへ飛びます。
週刊文春2013ミステリーベスト10体育館の殺人 (創元推理文庫)青崎有吾は同率8位です。
前回2017年7月にやったきとあまり変動がないのですが、6位と7位が新顔で、ちょっとあれっと思いました。
どちらも対象となっている作品は、人気あるシリーズものですが、シリーズ最新作ではありません。アクセス数が増えた理由なんだろな。


1. 生存者ゼロ (宝島社文庫) 安生正

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 安生 正
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/02/06
  • メディア: 文庫


2. かばん屋の相続 (文春文庫) 池井戸潤

かばん屋の相続 (文春文庫)

かばん屋の相続 (文春文庫)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



3. QJKJQ (講談社)佐藤究

QJKJQ

QJKJQ

  • 作者: 佐藤 究
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: 単行本


4. 魔性の馬 (小学館) ジョセフィン・テイ

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

  • 作者: ジョセフィン テイ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 単行本


5. 生きてるうちに、さよならを (集英社文庫) 吉村達也

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫


6. ジグβは神ですか (講談社文庫) 森博嗣

ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN (講談社文庫)

ジグβは神ですか JIG β KNOWS HEAVEN (講談社文庫)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/15
  • メディア: 文庫


7. ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫) 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~ (メディアワークス文庫)

  • 作者: 三上 延
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/02/25
  • メディア: 文庫


8. 週刊文春2013ミステリーベスト10

8. 体育館の殺人 (創元推理文庫) 青崎有吾

体育館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: 文庫


10. モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫) 奥泉光

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

  • 作者: 奥泉 光
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 文庫





1位の「生存者ゼロ」は引き続きすごいです。ほかとは圧倒的にアクセス数が違いますね。

ちなみに、いちばんたくさんnice!をいただいたのは、2017年7月1日時点と同じ
雲雀 (文春文庫)佐藤亜紀

雲雀 (文春文庫)

雲雀 (文春文庫)

  • 作者: 佐藤 亜紀
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫

でした。この作品に対するnice!数はあれから増えていません。

いつもありがとうございます!
これからもよたよた続けますが、よろしくお願いします。







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生還者 [日本の作家 さ行]


生還者 (講談社文庫)

生還者 (講談社文庫)

  • 作者: 下村 敦史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/07/14
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
雪崩で死亡した兄の遺品を整理するうち、増田直志はザイルに施された細工に気づく。死因は事故か、それとも――。疑念を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が生還を果たす。真相を確かめたい増田だったが、二人の証言は正反対のものだった! ヒマラヤを舞台にいくつもの謎が絡み合う傑作山岳ミステリー。


今月読んだ本の感想に戻ります。
この「生還者」 (講談社文庫)は12月に読んだ6冊目の本です。
作者の下村敦史は「闇に香る嘘」 (講談社文庫)で江戸川乱歩賞を受賞してデビュー作家で、「生還者」は第3作です。第2作「叛徒」より先に第3作が文庫化されました。「叛徒」は来月(2018年1月)に文庫化されるようです。
「闇に香る嘘」(感想のページへのリンクはこちら)がとてもとてもおもしろかったので、期待していました。これだけ第2作を期待させてくれた乱歩賞作家はひさしぶりかもしれません。
読んだ感想は、これも非常におもしろかったです。下村敦史、個人的にしっかり要マークの作家になりました。

山岳ミステリーです。
山登りにはもともと興味がなく、正直、雪山に挑む人たちの気持ちがちっともわからないのですが、
「登山家は危険に挑むんじゃないく、困難に挑むんだ。危険を作り出すんじゃなく、困難を作り出しているんだ」
「登山家が困難に挑むときは、あらかじめ登攀ルートも装備も綿密に計算して、メンバーと同意のうえで挑戦するんだ」(66ページ)
と書かれているのを読んで、自分ではそれでもやろう、挑もうとは思いませんが、すこし近く感じるようになれた気がします。

雪山を舞台に、そこで何が起こったのか、を探るミステリーはそれなりに作例がありますが、実はとても難しい設定だと常々思っています。
舞台設定からして、証拠もあまり残りませんし、目撃者も基本的にはおらず、当時現場にいた当事者間にしか知りえないものだから、どんでん返しみたいなことをやってくれたとしても「そりゃあ、だれも(生き)残っていないんだから、なんとでもできるし、なんとでも言えるよな」という感想を読者が抱きがちですし、ミステリーとして仕掛けをするにも、(手がかりは残ってないし)なかなか解きづらくなってしまって優れた作品にしにくいと思えます。

このあたり、作者も十分自覚されていて
「……登山って、自分との戦いなんです。単独登頂にしても『単独』に暗黙の定義がありますよね。外部と連絡をとらない、装備は全て自分で用意する、他人が残していたザイルなどを使わない、とか。山にいるのは自分ひとりだから、ズルをしようと思ったらいくらでも可能なんですよね。ズルをしておきながら単独登頂に成功した、って言い張ることもできます。だけど、本物の登山家はそんなことはしません。山に正直でありたいからです。苦しいとき、目に留まった誰かの残置支点を使ってしまったらーー正直に告白するものです。容易に嘘がつける状況だからこそ誠実でいる。それが大切だと思うんです」(138ページ)
というセリフが早い段階で出てきます。

舞台となるのは、ネパールのカンチェンジュンガと白馬岳。どちらでも遭難が起こります。
カンチェンジュンガというのは知りませんでしたが、「標高こそエヴェレストに二百数十メートル及ばないものの、登山者の死亡率は四倍近い約二十パーセントだ」(15ページ)ということらしいです。

この作品のポイントは、生存者が二人いて、それぞれの証言が食い違っていることです。どちらが嘘をついているのか?
さきほども述べたように、ある意味どうとでもできる舞台なので、いかに説得力を持たせるかが勝負ではないかと思います。
その点、この作品は細かいディテールやザイル、ダウンジャケット、アイゼン、ビーコンといった小道具が効果的にちりばめられていて、そのうえに、断罪やサバイバーズ・ギルト(*)という語、が心理面の補強をしっかり支えています。すばらしい。
この真実がどちらかという点で、くるくると遭難事故の様相が変容を遂げていくところがミステリとしての読みどころで、同じ遭難事故でも、こんなにバリエーションができるんだとびっくりしました。
ミステリ的にも、物語的にも、着地が見事に決まっています。
真相はまさに
「山は生命の本質を剥き出しにするからこそ、美しくて、怖いの」(357ページ)
というところかと感じ入りました。

来月文庫化の「叛徒」が楽しみです!

(*)サバイバーズ・ギルトというのは、知りませんでしたが、
「サバイバーズ・ギルトーー生存者の罪悪感と呼ばれる症状だ。」
「災害や大事故で近親者を亡くして自分だけ生還すると、罪の意識を感じてしまう。他者から見て何一つ非がなくても、罪悪感に苦しめられる」(104ページ)
と説明されています。

ほかにも登山関係で勉強になることが多い本でした。
たとえば、
「さすが元レスキュー隊。適切だ。温めるだめでも、低体温症の患者の手足だけはマッサージしてはいけない。末端の血流が滞っているあいだに老廃物が毛細血管に溜まっているので、冷え切った血液と一緒にそれが心臓に流れ込んで心室細動を引き起こしかねないからだ。
アルコールや珈琲、紅茶、煙草も同様に厳禁だ。カフェインには利尿作用があるので脱水症状が起きるし、ニコチンには血管を収縮させる効果があるので凍傷が起きる」(315ページ~316ページ)
温めちゃ、ダメなんですね。

また、知識ではありませんが、2011年3月の震災直後の遭難事故について
「お前らは好きで登って勝手に命を落としただけだろーー被災者にそう言われそうな気がした。もちろん被害妄想だと分かっている。だが、日本列島が揺れたあの大惨事を経験してしまうと、生の充足感を得るためにあえて危険にーー兄は『困難』と表現していたがーー挑んでいる自分たちを愚かに感じたのは事実だ」(175ページ)
という記載があります。ここにもはっとさせられました。

こういう点も含め、個人的に読みどころの多い作品だと思いました。



タグ:下村敦史
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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? [海外の作家 た行]


アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

  • 作者: フィリップ・K・ディック
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1977/03/01
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では生きた動物を所有することが地位の象徴になっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から逃亡した〈奴隷〉アンドロイド8人の首にかけられた莫大な懸賞金を狙って、決死の狩りをはじめた! 現代SFの旗手ディックが、斬新な着想と華麗な筆致をもちいて描き上げためくるめく白昼夢の世界! 〔映画化名「ブレードランナー」〕


映画「ブレードランナー2049」を観て、久しぶりに読み返そうと買いました。
映画の感想を昨日書いたので、本の感想は今月(12月)読んだ本を書いてきたところですが、もどって11月に読んだこの本を。
ぼくが買った版では、表紙に非常に大きい帯(もはや帯とはいえず第2のカバーとでもいうべき大きさですが)がかかっていて、映画化仕様という感じです。
実は映画「ブレードランナー」も、この「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も、以前はあまり感銘を受けず、覚えているところがほとんどありませんでした。
ところが、「ブレードランナー2049」を観たら、「ブレードランナー」がよみがえってきて、勢いをかって「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を読んじゃえと思った、ということです。

いやあ、おもしろいじゃないですか、やはり。もちろん、わからない点も多々残ってはいるのですが...
どうして最初に読んだとき感銘を受けなかったのかな? と不思議におもうほど。
たぶん、映画「ブレードランナー」の印象にひきずられすぎたのかも。
そして、いつも読んでいるミステリのようにかちっとピースが嵌っていかないと満足できなかったからかも。

今回読み返してみて、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のポイントは、イメージの奔流に身をゆだねることだな、と感じました。そもそもSFというのはそうやって読むものなのかもしれませんが。

映画「ブレードランナー」を観てから読むと、ハリソン・フォード(リック・デッカード)に嫁がいるよ...まずそこに驚けるわけですが(笑)、情調(ムード)オルガンとか人工物でないペットを飼いたがるとか、未来っぽい要素とイメージは、まずこのデッカードの家庭から気づかされます。スムーズですね。
デッカードのほかにも、アンドロイドを匿うことになる(?)イジドア、という主要人物が登場します。そしてアンドロイド。
共感(エンパシー)ボックスとウィルバー・マーサー(マーサー教? の教祖?)。そして印象的なレイチェル。フォークト=カンプフ検査。
人間とは? アンドロイドとは? 人間らしさとは? 人間とアンドロイドの区別は?
このテーマが、イメージの奔流のなかで浮かび上がってきます。
訳者あとがき、数々の引用含めディックおよびこの作品について解説してくれているので、鑑賞の手引きとしてちょうどいいように思いました。

<蛇足1>
「服装はぞろっぺえだが」(37ページ)
という文章が出てきます。ぞろっぺえ...
ネットで調べたら、「(主に関東地方で)いい加減でだらしないこと。また、そういう人や、そのさま。ぞろっぺい。ぞろっぺ。」らしいです。
へぇ...

<蛇足2>
「キップルってのは、ダイレクト・メールとか、からっぽのマッチ箱とか、ガムの包み紙とか、きのうの新聞とか、そういう役に立たないもののことさ。だれも見てないと、キップルはどんどん子供を産みはじめる。たとえば、きみの部屋になにかキップルをおきっぱなしで寝てごらん、つぎの朝に目がさめると、そいつが倍にもふえているよ。ほっとくと、ぐんぐんおおきくなっていく」
「それがキップルの第一法則なんだ。グレシャムの悪貨の法則とおんなじで、『キップルはキップルでないものを駆逐する』のさ。」(86ページ)
いやあ、納得。うちにもキップルいます...
でも、グレシャムの悪貨の法則をさらっと口に出すような人物が、マル特=特殊者(スペシャル)認定されるんですねぇ。


原題:Do Androids Dream of Electric Sheep?
作者:Philip K. Dick
刊行:1968年
訳者:浅倉久志


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映画:ブレードランナー2049 [映画]

ブレードランナー2049 T0021551p.jpg



映画のHPからあらすじを引用します。
今、人間と人造人間《レプリカント》
その境界線が崩れ去ろうとしているーー。
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。
人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、
人間社会と危うい共存関係を保っていた。
危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と
呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。

LA市警のブレードランナー“K”(R・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、
《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、
その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。
彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、
ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、
30年間行方不明になっていた男、デッカード(H・フォード)だった。
いったい彼は何を知ってしまったのか?デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉―
人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、
人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。


いつも引用するシネマトゥデイから、見どころとあらすじを引用します。

見どころ:SF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編。前作から30年後の2049年を舞台に、違法レプリカント(人造人間)処分の任務に就く主人公が巨大な陰謀に巻き込まれる様子を活写する。新旧のブレードランナーを『ラ・ラ・ランド』などのライアン・ゴズリングと、前作から続投のハリソン・フォードが熱演。『メッセージ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督がメガホンを取り、前作の監督を務めたリドリー・スコットが製作総指揮に名を連ねている。

あらすじ:2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカント(人造人間)の寿命に制限がなくなっていた。



若干観てから時間が経ってしまっていますが(11月に観ました)、「ブレードランナー2049」の感想です。
名作「ブレードランナー」の続編、です。
1982年に公開された「ブレードランナー」、リアルタイムでは観ていません。TVで観たのだと思います。
「ブレードランナー」の原作フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 (ハヤカワ文庫 SF)も以前読んだことがあるはずですが、覚えていませんでした。以前読んだ際には、むしろ(ディック作品に対して)苦手意識を持ってしまったはずで、その後ディックの作品は読んでいません。
この2つの予習(復習?)なしで観てしまったのですが、いやあ、おもしろかったです。

大雑把なくくりですが、「ブレードランナー」では、人間とレプリカント(人造人間)という枠組みであったのにたいし、今回の「ブレードランナー2049」では、人間と旧型レプリカントと新型レプリカントという枠組みになっていて、さらに複雑な背景となっています。
ところが、これが分かりにくくない!
むしろ、覚えていなかった前作の世界を、すっと思い出せてしまったくらいです。

ライアン・ゴズリングが新型レプリカントでブレードランナーという設定なんですが、いやあ、表情があまり出ないのがぴったりはまっていて、いや本当にアンドロイドなんじゃないかと(笑)。なので、すこし表情を出すと(表情じみたものを出すと、というべきかもしれませんが)、そのレプリカントが感情を持つようになったのでは、と思わせる効果まであって、本当にぴったりの役者です。

「ブレードランナー」で扱われていたのが「人造人間が感情を持つ」ということで、「ブレードランナー2049」ではさらに発展させて「子供を産む」(早い段階で分かるようになっていますが、ネタバレなので伏字にしておきます)とかいうテーマになっています。これは、森博嗣のWシリーズみたいですね。

この点も含め、世界観や時代・人物設定、テーマ設定、ストーリー展開まで、「ブレードランナー2049」は続編として非常によくできていまして、史上最強の続編かもしれないな、なんて思いました。
オリジナルに登場したハリソン・フォードが、途中から同じ役柄で出てくるのもいい。
ハリソン・フォードって、「スター・ウォーズ」もそうですが、こういうのが続いていますね。若いころにいい作品に出演していたということですね。

おもしろすぎて、観終わった後、「ブレードランナー」のDVDを買って観て、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も買って読みました。順番、逆だよ。
でも、それくらい楽しく観終わりました。
ラストシーンに降る雪が、祝福の雪であるといいのですが...



原題:BLADE RUNNER 2049
製作年:2017年
製作国:アメリカ
日本公開:2017年10月27日



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人形パズル [海外の作家 か行]


人形パズル (創元推理文庫)

人形パズル (創元推理文庫)

  • 作者: パトリック・クェンティン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/03/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
時勢ゆえ戦争に駆り出され、海の男になったピーター・ダルース。久方ぶりの休暇を愛妻アイリスと水入らずで、と思いきや好事魔多し。宿の手配に右往左往、大事な軍服を盗まれ、あげく殺人の容疑者に仕立てられる始末。軍務復帰まで三十時間、警察に引っ張られるなんて冗談じゃない。私立探偵コンビの助力を得て逃避行と真相究明が始まり……。謎が謎を呼ぶ、パズルシリーズ第三作。


「迷走パズル」 (創元推理文庫)「俳優パズル」 (創元推理文庫)に続くシリーズ第3作です。

創元推理文庫ではちょくちょくあることですが、表紙をめくった扉のところのあらすじを引用しておきたいと思います。
プロデューサー業をしばし離れて、ピーター・ダルースは海軍中尉。ようやく取れた休暇が、愛妻の誕生日と重なった。アイリスも撮影を抜け出し久々の逢瀬を楽しむはずが、不案内な土地で宿が見つからない、軍服を盗まれる等災難続き。それが序の口だったとわかるのは、アイリスの従妹を訪ね、胸に刺さった短刀を見たときだった。現場にはピーターを犯人に擬する工作が施され、さては軍服盗難もその一環かと気づいたが後の祭り。気にいい私立探偵コンビの手を借りつつ人目を忍んで真犯人探しに奔走するダルース夫妻に、水入らずの時は訪れるのか。

うん、こちらの方がわかりやすいぞ。

12月に読んだ5冊目の本です。
ダルース、海軍中尉になっちゃったのか...と、まずはそこに驚きました。対日戦争で頑張ったんだねぇ...ちょっと複雑な気分。
まあ、そんなことは作品の出来栄えにはまったく関係がないので、おいておくとして...

すごくスピーディーに話が進んでいくのが素敵な作品で、東京から新大阪までの新幹線で一気読みしました。巻き込まれ型サスペンスとしてとても楽しめました。

なんとかホテルが確保できたとおもったら、サウナで軍服を盗難されるとは。
「支配人が飛んできて、その後にロッカー係のボーイがついてきた。わたしは不機嫌にいきさつを説明した。いつの間にかタオルをどこかへやっており、素っ裸で支配人に文句をいうのはいささか具合が悪かったが、どうしようもなかった」(30ページ)
この情景だけで十分おかしい。
「アイリスは面白おかしく思っただけのようだ。わたしが素っ裸で支配人を叱責している場面を想像して遠慮なく笑ったが」(39ページ)
そりゃあ、笑うでしょうねぇ...

このあとも次から次へとほぼ休む間もなくいろいろなことが勃発し、ラストのサーカスの場面までずーっと疾走している感じです。
「迷走パズル」「俳優パズル」に出てきたレンツ博士が出てこないので本格ものではなくなりましたが、真犯人の見当がつきやすかったって構いません、こういうサスペンスも大好きなので満足です。

シリーズ次作「悪女パズル」 (扶桑社ミステリー)は昔読んでいるのですが、忘れちゃっているので読み返した方がいいかな??

<蛇足1>
「わたしは確かにそういった。馬鹿馬鹿しいと。
 ミセス・ラインハートの永遠の決まり文句はこうだ。“もし私が知っていたら……”。」(21ページ)
という文章が出てきます。おお、ラインハート。「螺旋階段」の M.R.ラインハートですね。なんと懐かしい名前...


<蛇足2>
「そして誰もが、音楽的才能の差はあれど、高らかに結婚行進曲を歌っていた」(171ページ)
とあります。結婚行進曲って、歌詞があるんですね。それも誰もが歌えるほどポピュラーな...

<蛇足3>
こういう巻き込まれ型で、あんまり論理的に考えずに行動する主人公の一人称は、「わたし」ではなく「ぼく」の方が向いていると思ったのですが。
「わたし」は「ぼく」よりも少しは思慮深い一人称のような気がします。


原題:Puzzle for Puppets
作者:Patrick Quentin
刊行:1944年
訳者:白須清美





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