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名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1 [コミック]

名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1 (少年サンデーコミックス)

名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: かんば まゆこ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/12/18
  • メディア: コミック


出版元である小学館のHPから引用します。
〈 書籍の内容 〉
あの"犯人"が主役のクリミナル・ギャグ!
犯罪都市、米花町―――世界トップレベルの事件数が 発生するこの町に降り立った、漆黒の人影…
標的に近づくべく上京してきたようだが、全てが謎に 包まれている。その人物の名は…犯人の犯沢さん(仮名)!

『名探偵コナン』でおなじみ、 全身黒タイツのようなビジュアルの"犯人"…

誰もが知ってるアイツが主役の漫画がスタートして以来、 ネット上で話題沸騰!

人気アンケート1位を独走し、さらには単行本発売前に日清とコラボし、朝のニュース番組で取り上げられるなど、 異例のスピードで認知度を上げている、唯一にして正統なる(?)コナンスピンオフ漫画、ついに待望の第1巻発売です!

〈 編集者からのおすすめ情報 〉
『名探偵コナン』を全巻読んでいる人も、 そうでない人も楽しめる、ギャグ漫画です!

"コナンワールド"と"かんばワールド"のコラボレーション、 是非ご一読くださいませ。

「名探偵コナン」 (少年サンデーコミックス)のスピンオフと呼んでよいのでしょうか。
「名探偵コナン」 には誰だかわからないように犯人が真っ黒に描かれて登場するシーンがよくありますが、その犯人を主人公に据えてマンガに仕立ててあります。

実は「名探偵コナン」を読んだことがなく、TVアニメも観たことがなく、唯一劇場版をいくつか飛行機の中で観たことがある程度ではあったのですが、90巻を超えるミステリマンガの金字塔ともいえる作品なので気になってはいたのです。
で、この「名探偵コナン 犯人の犯沢さん 1」 (少年サンデーコミックス)が話題になっているというので、気になって買ったと同時に、「名探偵コナン」の第1巻も今更ながら買ってみました。

でも、これ、(「犯人の犯沢さん 1」)、読んでみたら「名探偵コナン」ほとんど関係ないじゃん...あれっ!?
舞台こそ米花町で、そこは犯罪都市として高名とされていますし、「名探偵コナン」の登場人物もちらっと友情出演(?)しますが、内容は関係ありませんね。
なんだか何を目指そうとしているのかわからないけど、犯人になろうとして上京してきた田舎者がおろおろする、という話です。
第1話の冒頭いきなり、SUICAの使い方がわからない、というネタですからねぇ。第1話だけで、正直もういいかな、という印象。

「名探偵コナン」のパロディにもなっておらず、ミステリの要素もない。
ギャグがオリジナリティあっておもしろければ、それでもいいかなと思いますが、どこかで観たり聞いたりしたことのあるネタがほとんどとあっては困りものかと思います。
ちょっとガッカリしました。


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わたしたちが少女と呼ばれていた頃 [日本の作家 石持浅海]


わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (碓氷優佳シリーズ)

わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (碓氷優佳シリーズ)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2013/05/16
  • メディア: 新書


<裏表紙あらすじ>
新学期、横浜にある女子高の特進クラスで上杉小春は碓氷優佳という美少女に出会う。おしゃべりな小春とクールな優佳はやがて親友に――。二学期の中間試験で、東海林奈美絵が成績を急上昇させた。どうやら、夏休み中にできた彼氏に理由があるらしい。だが校則では男女交際は停学処分だ。気をもむ小春をよそに平然とする優佳。奈美絵のひと夏の恋の結末を優佳は見切ったようで……(「夏休み」)。教室のどこかで、生まれ続ける秘密。少女と大人の間を揺れ動きながら成長していくきらめきに満ちた3年間を描く青春ミステリー。


新書です。2015年10月に読みました。
「扉は閉ざされたまま」 (祥伝社文庫)
「君の望む死に方」 (祥伝社文庫)
「彼女が追ってくる」 (祥伝社文庫)(ブログの感想へのリンクはこちら
に続く、シリーズ第4弾で、なんと碓氷優佳の高校時代を描いた連作集です。
進学高校を舞台に、碓氷優佳の友人上杉小春の視点で卒業までを描いていく流れになっていまして、ミステリ的には日常の謎、です。
受験を間近にした生徒が、学校近くで赤信号にひっかかると、その子は不合格だという言い伝えの謎を解く「赤信号」
付き合いだしたクラスメイトの成績が落ちない、また近く別れると予想する「夏休み」
冷静沈着、クールビューティとしてイメージが定着している女子がイメージに合わない飲酒をし、二日酔いになるという謎「彼女の朝」
百合とみなされている二人が秘めている謎を解き明かす「握られた手」
マンガ家を目指していた少女がクラスメートのアドバイスに従って志望校を引き上げ、受験勉強を始めたことの裏側は? 「夢に向かって」
怪我をしギブスをすることになったクラスメイトにカンニング疑惑? 「災い転じて」
優佳が惹かれた大学生が優佳を拒んだ理由から、高校時代を上杉小春が振り返る「優佳と、わたしの未来」
の7話を収録しています。

視点人物を碓氷優佳の友達にして、碓氷優佳の高校時代を描いていきます。
相変わらず、石持浅海らしい変な思考回路を持つ人物がわんさか出てきますが(それが友達ってのもなんだか...ではありますが、碓氷優佳にあっている!?)、日常の謎にしているだけあってか、いつもよりは控えめな感じです。
謎自体もミステリとしては小粒で、まあ、碓氷優佳を使っても高校時代だとこれくらいなのかなぁ、と不遜なことを思ったりしていたのですが。
ラストの「優佳と、わたしの未来」にやられてしまいました。ああ、石持浅海はこれがやりたかったんですね、なるほど。
考えてみれば、もっとミステリ色を濃くした作品を連ねても同じことができたとは思いましたが、「優佳と、わたしの未来」でなされる謎解きのトーンと一致させようとしたら、軽めの謎がふさわしいような気もします。
ああ、すべては碓氷優佳のためだけに作り上げられていたのです。
「優佳と、わたしの未来」の、しんとした佇まいが読みどころでしょうか。最終行「優佳。じゃあね」というせりふに込められた深い意味をじっくりと味わいたいですね。
碓氷優佳シリーズにとっては大きな意味を持つ作品かもしれません。

ネタバレとは言えませんが、伏字で引用しておきます。
違う。碓氷優佳は、そんな人間ではない。優佳は、頭は冷静で、心が冷たい人間なのだ。
言われなければ、自分が他人に何の関心も持っていないことにすら気づかない。イノセントに残酷な人間。それが碓氷優佳だ。
なんということだ。友人を見捨て、見捨てていることにすら気づかない人間を、わたしは三年間も親友だと思っていたのか。」(194ページ)
優佳は、いずれ気づくのだろうか。自分が、他人に対して何の関心も持っていないことに。冷静で、冷たい人間であることに。」(197ページ)

新書で読みましたが、すでに文庫化されています。
わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)

わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/03/11
  • メディア: 文庫

また次の第5作目が出ています。
「賛美せよ、と成功は言った」 (ノン・ノベル)


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テニスコートの殺人 [海外の作家 ジョン・ディクスン・カー]

テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)

テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ディクスン・カー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/07/20
  • メディア: 文庫

<裏表紙あらすじ>
雨上がりのテニスコート、中央付近で仰向けに倒れた絞殺死体。足跡は被害者のものと、殺された男の婚約者ブレンダが死体まで往復したものだけ。だが彼女は断じて殺していないという。では殺人者は、走り幅跳びの世界記録並みに跳躍したのだろうか? “奇跡の”殺人に挑むのは、名探偵フェル博士。驚天動地のトリックが炸裂する巨匠の逸品! 『テニスコートの謎』改題・新訳版。


カーの<足跡のない殺人>を取り扱った作品の新訳です。
現場に残された足跡からしてブレンダが疑われる状況なので、ブレンダとブレンダに思いを寄せるヒューの二人が偽装工作をします。
解説で大矢博子が指摘しているように、「捜査する側にとってはごく普通の<足跡のある殺人>になってしまった。せっかくの不可能犯罪が表面的には不可能犯罪ではなくなっているわけだ。捜査する側が真犯人に辿り着くにはまずヒューとブレンダの偽装作戦を見抜けねばならず、見抜いた先にはさらに不可解な謎が待っているという次第」となっています。
凝っています。
もちろんフェル博士のこと、そんなことはお見通し、といった感じなのはいいのですが、注目すべきはハドリー主席警視!
いつもと違いますよ。何度も<足跡のない殺人>の解明をやってのけるのです。
しかもですねぇ、最終的にはフェル博士に一蹴されてしまうのですが、かなりいい線いったトリックを思いつくんです、ハドリー主席警視が! フェル博士が解明した真相よりむしろいいように思えるくらいのトリックを。
今回はハドリー主席警視をほめてあげたい。
一方、真相で明かされるトリックは、<足跡のない殺人>を成立させると同時に、もう一つの効果を狙った面白いアイデアではあるのですが、うーん、どうでしょうか。かなり無理があるんですよね。
ハドリー主席警視に軍配を挙げては...いかんのでしょうね、やはり。

あとこの作品で注目しておきたいのは、動機です。
意外な動機でもなんでもないし、カーは堂々とさらしているのですが(あまりにあからさまなので伏線なんてもんじゃありません)、いろいろと組み合わせて目がそらされるというか、読者にはピンとこないというか、不思議な境地の仕上がりになっています。

<足跡のない殺人>と言えばカーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」 (創元推理文庫)ですが、こちらも新訳出してくれないかな?


<蛇足>
274ページから、引っ越し後の片づけが進まないフェル博士の様子が描かれます。
いやあ、親近感湧くなぁ...



原題:The Problem of the Wire Cage
著者:John Dickson Carr
刊行:1939年
訳者:三角和代






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カンナ 天満の葬列 [日本の作家 高田崇史]


カンナ 天満の葬列 (講談社文庫)

カンナ 天満の葬列 (講談社文庫)

  • 作者: 高田 崇史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/05/15
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
出賀茂(いずかも)神社の社伝「蘇我大臣馬子傳暦(そがのおおおみうまこでんりゃく)」を巡る忍び同士の争いは、更に熾烈に。貴湖の祖父である丹波が何者かに襲われたのを皮切りに、貴湖や忍者犬のほうろくも入院、甲斐自身も繰り返し危険に晒される。そんな中、覚醒しつつある甲斐は、「菅原道真が大怨霊になった理由」と社伝のただならぬ関係を解き明かす!


シリーズも順調に巻を重ねて第七冊目。
感想を書くのがずいぶん遅くなりましたが、2015年10月に読んでいます。
今回のテーマは、天神さん=菅原道真。
あらすじにもありますが、「菅原道真が大怨霊になった理由」がポイントですね。
高田崇史の愛読者なら既視感のある謎解きですが、かなり鮮やかなものだと思います。
「歴史は勝者が作る」。敗者の功績も全て勝者のものとされてしまう正史。その中での勝者と敗者のせめぎあい。
道真を怨霊を位置づけることによって、彼の左遷は冤罪だったと主張することができる」(275ページ)
歴史に名を留めておくと同時に、無実であることも世に訴えられる」(275ページ)
278ページから明かされる太宰府天満宮の謎(参道が直角に折れ曲がっている理由、心字池の存在、社殿が墓所の上にある理由)と合わせて、今後天満宮にお参りするときに、いままでとは違う感慨を抱くかもしれません。

ところで、作中で菅原道真の功績とされている事象(「実際にこの改革を断行したのは、ひょっとすると本当に藤原時平たちだったのかもしれない。しかし、少なくともそのレールを敷いたのは、道真だということは間違いないと思う」(265ページ)と若干の留保は付されているものの)、律令の身分制の「延喜の国政改革」での廃止=奴婢解放に結びついたもの(264ページ)ですが、あまり歴史の授業ではクローズアップされていなかったように思います。「大化の改新に並ぶ政治的変革」だというのに...

シリーズは加速しておりまして、危険度もアップ。
残り2巻です。
「カンナ 出雲の顕在」 (講談社文庫)
「カンナ 京都の霊前」 (講談社文庫)

<蛇足1>
「しかし、そんな恋心と愛情は別物じゃよ。愛情というものは、お互いの暮らしの中で努力して、日々築き上げるものだ。恋心は打ち上げ花火。全くレヴェルの違う話だ。今こうして思えば、恋などは長い人生の中での、引っ掻き傷のようなものだった」(77ページ)
海棠鍬次郎と孫娘聡美の会話で出てくるやり取りです。
うーん、そういうものですか...

<蛇足2>
このシリーズ、忍び、がひとつ大きな要素として出てきますが、忍びの歴史と流派の説明が110ページから簡潔になされています。便利!
忍びのルーツは飛鳥時代、役小角(えんのおずぬ)、というのも高田崇史のおかげで覚えました!






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時を巡る肖像 [日本の作家 た行]


時を巡る肖像 (実業之日本社文庫)

時を巡る肖像 (実業之日本社文庫)

  • 作者: 柄刀 一
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2010/12/04
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
キャンバス越しに観察眼が見たものは…
フィレンツェで絵画修復技術を学び、ミケランジェロの天井画の修復工事にも参加経験を持つ主人公・御倉瞬介が巻き込まれる、名画に関わる不可解な事件。世界の文化遺産ともいうべき名画にまつわる、修復されない傷みに隠された「生と死」の謎を、キャンバス越しに冴えた観察眼で究明していく。驚愕の、柄刀美術ミステリーの傑作6編を収録する本格推理連作。


副題に「絵画修復士 御倉瞬介の推理」とあります。
シリーズになっていまして、この「時を巡る肖像」 (実業之日本社文庫)が第1作で、続いて
「黄昏たゆたい美術館―絵画修復士 御倉瞬介の推理」 (実業之日本社文庫)
「システィーナ・スカル - ミケランジェロ 聖堂の幻」 (実業之日本社文庫)
が出ています。
2015年10月に読んだ本でして、今あらためて感想を書こうとしたら、すっかり内容を忘れてしまっています。今回ぱらぱらと読み返してみて、主人公である御倉瞬介の設定がさっと思い出されました。
イタリア人・シモーナと結婚したけど死別して、7歳の子供・圭介を一人で育てている。家には家政夫・加護祥斎がいて家事を取り仕切ってくれている。瞬介は圭介を仕事場に連れて行くこともある。

連作短編集でして、六話収録。各話のタイトルページに絵が掲げられています。
「ピカソの空白」…ピカソ「犬と少年」
「『金蓉』の前の二人」…安井曾太郎「金蓉」
「遺影、『デルフトの眺望』」…フェルメール「デルフトの眺望」
「モネの赤い睡蓮」…モネ「睡蓮」
「デューラーの瞳」…デューラー「自画像」
「時を巡る肖像」…この作品にはなし。

それぞれかっちり作ってあるんですが、ミステリとしては印象が薄い。
農薬には強烈な匂いと苦味があることを逆手にとった「モネの赤い睡蓮」とか、大がかりなトリックを持ち込んだ「デューラーの瞳」とか、印象に残ってもよさそうなんですが、覚えていなかった(こちらの記憶力がひどい、ということもありますが)。
せっかく絵画修復士を主人公(探偵役)にして、名画も登場させるんだから、絵画修復士ならではの謎解きを見せてほしいと思うんですが、なかなかねぇ。名画の解説とか巨匠をめぐる考察も、事件や謎解きとさほどリンクもしない。ミステリとしては残念なポイントです。
一方で、人物設定はすぐに思い出したんです。シモーナと瞬介をめぐるエピソードは印象深い点があちこちにあります。
たとえば、
「彼女は、恋愛を加速させるのは“悔い”なのよ、と言っていた。それを形にするのも、質を量るのも“悔い”なの、と……」(83ページ)
「向こうの家族の同意を得て、火葬にしましたから、遺灰を少し手元に残してありましてね、幾つかあるあのデルフト焼の壺におさめてあるのですよ。家のいろいろな場所で、圭介の姿を観たり、声を聞いたりできるように」(189ページ)
彼らにはまた会いたいですね。
それに、ミステリとの結びつきには不満を持つものの、名画や巨匠をめぐる考察がとてもおもしろいのです!
例によってよたよたとではありますが、シリーズは続けて読んでいきたいな、と思います


<蛇足>
「睡蓮を描き続けて、そこに“船”見た。」(262ページ)
とありますが、そこに“船”見た、ですよね...

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海の底 [日本の作家 あ行]


海の底 (角川文庫)

海の底 (角川文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/04/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わっていた。巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、次々に人を「食べている」! 自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」。一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく――ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテインメント!!


有川浩の自衛隊三部作、
「塩の街」 (角川文庫)
「空の中」 (角川文庫)
に続く第三作です(「空の中」の感想ページへのリンクはこちら)。
作者有川浩によると有川式大人ライトノベル第二弾。
「海の底」を読んだのは手元の記録によると2015年10月。「空の中」を読んだのは2015年6月でしたから、意外と間を開けずに読んだのですね。

なんだかわからないけど、海からやってきた大量の巨大なザリガニに襲われる、という話です。
舞台が米軍横須賀基地と潜水艦で、自衛隊三部作というと、さぞかし派手にドンパチやるんだろうな、と思いきや、そうならないところがポイントでしょうか。
地上では、いかに戦うか、が大きな問題となります。
なにしろ軍事法制がでたらめな日本のこと、警察や機動隊が出動し、さてどうやって自衛隊にお出まし願うか。お出ましになったらなったで、武器を使っていいのやら...こういうの好きですね。
よくウルトラマンなど怪獣と闘う作品に対して、最初から「必殺技出せよ!」というツッコミがありますが、日本という国自体がそれに対する回答なんですね...
「俺たちはそういう国の役人だ」
「次に同じようなことがあったら今より巧くやれるようになる、そのために最初に蹴つまずくのが俺たちの仕事なんだ」(419ページ)
つらい立場ですが、なんだかよくわかる気がしてしまいます。

一方で、海上自衛隊潜水艦『きりしお』の方は、子供たちと問題自衛官二人という構成で、超非常事態なんですが、なんだかキャンプみたい。
夏木大和三尉、冬原春臣三尉という同期二人と、子供たちの中では最年長(高3)で紅一点の森生望のキャラクターがポイントでしょうか。あとは問題児遠藤圭介(中3)。
ラスト(460ページ以降)で圭介が見せる感情は、なかなかの見せ場だと思います。
「きっとこれから、面倒くさいことをいろいろと知るのだ。気づかないほうが楽だったことを、たくさん。
 それでも、気づかず楽だったときの自分が好きではなくなってしまったのだから今さら元に戻ることはできなかった。」
当初の圭介では考えられない境地ですね。

あらすじは、大森望の解説がきわめて要領よくまとめていますので、本書を読もうかどうか迷った時は、解説を先に読んでお確かめください。

ラストシーンは、いいシーンだと思いましたね。
夏木と望、ロマンスはきちんと成就しなければねっ。

ずいぶん間が開いてしまいましたが、番外編の「クジラの彼」 (角川文庫)も読まなければ。


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聖餐城 [日本の作家 ま行]


聖餐城 (光文社文庫)

聖餐城 (光文社文庫)

  • 作者: 皆川 博子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
「馬の胎から産まれた少年」アディは、新教と旧教が争う三十年戦争の戦地を渡り歩きながら育った。略奪に行った村で国王にも金を貸すほど裕福な宮廷ユダヤ人の息子イシュアと出会う。果てない戦乱のなか傭兵となったアディは愛してはいけない女性に思いを寄せ、イシュアは権謀を巡らし権力を握ろうとする。二人の友情を軸に十七世紀前半の欧州を描く傑作歴史小説!


皆川博子さんの作品、ことに海外を舞台にした作品は、タペストリーのように精緻で繊細かつ絢爛でいて、手触りは陶器のようになめらか、な印象を受けています。
と、久しぶりの感想なので、前に書いた「伯林蝋人形館」 (文春文庫) の感想(リンクはこちら)と同じことを書いておきます。

まず長大さにびっくり。本文の終わりが855ページ。測ってみたら厚さ3.8センチメートルもありました。
この「聖餐城」の題材は神聖ローマ帝国に端を発する三十年戦争。西欧史は知らないので三十年戦争といっても???。
この題材で、この厚さ。
読む前はちょっと臆していたのですがそんなのは杞憂。読みはじめたらいつもの皆川博子さんの作品どおり、しっかり楽しめました。

物語を引っ張っていくのは、アディとイシュア。
二人の成長物語、といってもよいかもしれません。二人は三十年戦争で育ったわけですね。
アディは、馬の胎に縫い込まれて捨てられていたのを、輜重隊についてまわる酒保商人ザーラに拾われて人生がスタートし、やがて傭兵に。
一方のイシュアは、宮廷ユダヤ人の息子なんですが、父親によれば錬金術師によって造られた人造人間=ホムンクルス、だと。投獄されてつらい生活を送らされる羽目に。

物語の底流に流れるのは、タイトルにもなっている聖餐城と青銅の首。
早い段階で
「〈聖餐城〉は、どこにあるのだね」(46ページ)
と触れられます。
「ルドルフ陛下とかかわりのある城だとか、もっとも有能な錬金術師をそこにおかれたとか、申すも恐れ多いことながら、ルドルフ陛下の……その……亡霊が出没するとか」(108ページ)
と説明されますが、所在不明(ルドルフ陛下というのは神聖ローマ帝国の皇帝みたいです)。また、
「青銅の首は、およそ七百年も昔、法王シルヴェステル二世が造らせた青銅製の、人の首を模した機械仕掛けで、政治上の問題について法王が質問すると、正確な指針を示した。首の製造法を知るために、シルヴェステルは悪魔に忠誠を誓ったと言い伝えられている。
 首の所在はとうに、わからなくなっていたのだが、父が祖父からわずかに聞いたところでは、ルドルフの蒐集に加えられたらしい。それが事実だとしても、おそらく、ものの役にはたたぬほど、内部の機械は壊れているだろうと父は言った。
 聖餐城におかれているとも聞いたが、その聖餐城というのが、どういう城なのか、どこにあるのか、どうやら祖父は知っていたらしいのだが、父には伝えられてないという」(197ページ)
とイシュアの兄であるシムニョンが整理しています。
こうした不思議な城や機械というのは世人をひきつけるものがありますね。残酷なものですが、同時にロマンティックだったりもします。

これらを背景に、三十年戦争の戦闘が繰りひろげられます。
各人、各国の思惑が入り乱れての戦争。当時の戦争の状況がよくわかりました。
しっかりと社会に食い込み、必要な存在となっているにも関わらず昔からユダヤ人が蔑まれ、嫌がられていることもわかりました。
正規軍みたいなのはなくて、ほぼすべてが傭兵というのはすごいですね。

物語の終盤、
「《青銅の首》を、私は発見した。」
「聖餐城とは、すなわち、ここであったのだ。」(729ページ)
とイシュアはアディに語ります。ついに見つかった! という感じ。
「私自らが、ここで、《青銅の首》になる」(729ページ)
というイシュアの決意が哀しいですね。

三十年戦争の終了、撤兵まで見届けて物語は終わりますが、イシュアとアディ、二人の出会いの不思議さが心に残りました。


<蛇足>
皆川博子さん、
「とんでもないことでございます」(791ページ)
とシムニョンに言わせています。
いい加減な作家なら、「とんでもありません」とか「とんでもございません」と書くようなところ、さすがです。


タグ:皆川博子
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ダンジョン飯(5) [コミック 九井諒子]


ダンジョン飯 5巻 (ハルタコミックス)

ダンジョン飯 5巻 (ハルタコミックス)

  • 作者: 九井 諒子
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/08/10
  • メディア: コミック




第5弾です!
今回は
第29話 炎竜(レッドドラゴン)7
第30話 良薬
第31話、第32話 シーサーペント 前後編
第33話 ドライアド
第34話 コカトリス
第35話 掃除屋
を収録しています。
第4巻(感想ページへのリンクはこちら)でレッドドラゴンを倒したというのに、第29話のタイトルが炎竜(レッドドラゴン)。あれっと思ったら、せっかく助けたファリンが...
迷宮の主 狂乱の魔術師、って怖ぇーっ。

余談ですが、そういえば、第4巻で調理したレッドドラゴン料理は、ローストレッドドラゴンでしたね。
第1巻(感想ページへのリンクはこちら)を読んだときに予想したレッドドラゴンのステーキではなかった...

余談はおいておいて、それぞれ出てくる料理は
第29話 ドラゴンボンレスハム
第30話 オークの調合薬(これは料理ではありませんね)
第32話 冒険者のための携帯食セット 
第33話 ジャック・オーランタンのポタージュとドライアドのチーズかけ蕾ソテー
第34話 コカトリスのアイスバイン風とドライアドの蕾のザワークラフト風
    付け合わせの石化消し草のグリル
第35話 コカトリスの石焼き親子あんかけ

新たな冒険、というか新たな展開に伴い、ストーリーはうねっていくわけですが、ちょっと方向性が変わっちゃったかな。まあ、マンガも続けば変容していくのはある程度致し方ないですね。
それでも料理は続きます。ちょっと料理のバラエティが減ってきたような気がして心配なんですが。
さておき、ライオスたちに加え、2つのパーティがストーリーに絡んできましたので、どんどんうねてっていくのを楽しんでいくことにしましょう。

<おまけ>
帯に
「生きて帰るまでが冒険だ!!!」
と書いてあって、本屋さんの店頭で笑ってしまいました。


タグ:九井諒子
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マシューズ家の毒 [海外の作家 は行]


マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

マシューズ家の毒 (創元推理文庫)

  • 作者: ジョージェット・ヘイヤー
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2012/03/22
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
嫌われ者のグレゴリー・マシューズが突然死を遂げた。すったもんだの末に検死を実施したところ、死因はニコチン中毒で、他殺だったことが判明。だが故人の部屋はすでに掃除されており、ろくに証拠は残っていなかった。おかげでハナサイド警視は、動機は山ほどあるのに、決め手がまったくない事件に挑むはめに……。巨匠セイヤーズが認めた実力派が、練りに練った傑作本格ミステリ。


「紳士と月夜の晒し台」 (創元推理文庫)(感想ページへのリンクはこちら)に続くシリーズ第2作。

ミステリとしての建付けは、うーん、「紳士と月夜の晒し台」 よりはよくなっているように思いましたが、とりたてていうほどのことはないかもしれません。
それよりは、「紳士と月夜の晒し台」 もそうだったのですが、登場人物がいろいろと楽しい作品です。

嫌われ者が殺されて、残された親族たちの会話がもう、狂騒というのか、ここが読みどころですね。
こんな嫌味な人ばっかりなのか、イギリスは、と思ってはいけませんが、意地悪な会話を楽しみましょう。
それにしても、シリーズ探偵の位置かと思われるハナサイド警視の扱いがひどい...ひょっとしてこれを楽しむシリーズだったりして。

このあと東京創元社のこの作者の本の翻訳が途絶えてますね。気になる。
この作者のミステリの邦訳としては、残すは「グレイストーンズ屋敷殺人事件」 (論創海外ミステリ)です。
また訳してくれるといいのですが。
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バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ [日本の作家 は行]


バチカン奇跡調査官  千年王国のしらべ (角川ホラー文庫)

バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ (角川ホラー文庫)

  • 作者: 藤木 稟
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
奇跡調査官・平賀とロベルトのもとに、バルカン半島のルノア共和国から調査依頼が舞いこむ。聖人の生まれ変わりと噂される若き司祭・アントニウスが、多くの重病人を奇跡の力で治癒したうえ、みずからも死亡した3日後、蘇ったというのだ! いくら調べても疑いの余地が見当たらない、完璧な奇跡。そんな中、悪魔崇拝グループに拉致された平賀が、毒物により心停止状態に陥った――!? 天才神父コンビの事件簿、驚愕の第4弾!


「バチカン奇跡調査官 黒の学院」 (角川ホラー文庫)(感想ページへのリンクはこちら
「バチカン奇跡調査官 サタンの裁き」(角川ホラー文庫)(感想ページへのリンクはこちら
「バチカン奇跡調査官 闇の黄金」 (角川ホラー文庫)(感想ページへのリンクはこちら
につづく、バチカン奇跡調査官シリーズの第4巻です。
第3巻を読んでから随分経っていますが、手元の記録によるとこの第4巻を読んだのは2015年10月。
シリーズはものすごい勢いで新刊が出まくっています。現段階で第16巻まで出ているようですね(あまりに多くて見落としがあるかも...)
2018年1月現在第5巻はまだ読めていません。

今回「バチカン奇跡調査官 千年王国のしらべ」 を読み終えたあとの感想は、あ~あ、というものでした。
正直、がっかり。

今回の謎が、まず強力なんですね。
重病人を治癒した、自ら死んだ後復活した。
それだけではなく、奇跡調査官・平賀さえも心停止状態から救ってしまう(蘇生と呼ぶのでしょうか?)。

これをどうやって解決するのか?
種明かしは...これは、なし、だよ藤木さん。反則です。
というか、この種明かしはミステリとして自殺行為です。
当然、作者にも自覚はあって
「まるでSFですね……」(366ページ)
「何もかも、荒唐無稽な話だから、全てを信じられないのは無理もないだろう。誰が聞いても突拍子もない話だ」(399ページ)
なんてセリフも出てきます。
でもね、SFとか荒唐無稽を通り越して、ミステリとしてはアウトです。
あ~、もう、このシリーズには期待しているのに、がっかり。
だから、第5巻以降も手に取っていません。

と、こう思ったのですが、感想を書こうとして本を取り出してみると、これ、角川ホラー文庫なんですよね、意識していませんでしたが。
レーベルにどのくらい意味があるのか、という点はあるものの、作者はミステリーです、とはおっしゃっていない(多分)。
こちらが勝手にミステリーと思い込み、ミステリーとしてアウトだぁ、といったところで、迷惑な話ですよね。
そう思って振り返ってみると、第1巻から第3巻にも似たようなところはないではなかった。
だから、ミステリーうんぬんではなく、大仕掛けとか大胆な設定とかを楽しむべきなんですよね、このシリーズは。
反省。

ということで、ずいぶん時間が経ってしまっておりますが、感想を書くにあたり、あらためてシリーズを読んでいこうと思った2018年初頭でした。

備忘に、現段階の第5巻以降を並べておきます。
「バチカン奇跡調査官 血と薔薇と十字架」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 ラプラスの悪魔」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 天使と悪魔のゲーム」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 終末の聖母」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 月を呑む氷狼」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 独房の探偵」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 悪魔達の宴」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 ソロモンの末裔」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 楽園の十字架」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 ゾンビ殺人事件」 (角川ホラー文庫)
「バチカン奇跡調査官 二十七頭の象」 (角川ホラー文庫)



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