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ダマシ×ダマシ [日本の作家 森博嗣]


ダマシ×ダマシ (講談社ノベルス)

ダマシ×ダマシ (講談社ノベルス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/05/08
  • メディア: 新書


<裏表紙あらすじ>
「もしかして、ある人に騙されてしまったかもしれないんです」
上村(かみむら)恵子は、銀行員の鳥坂大介と結婚したはずだった。
鳥坂に求められるまま銀行口座を新設し、預金のすべてを振り込んだ。
だが、彼は消えてしまった。預金と共に。
鳥坂の捜索依頼を受けたSYアート&リサーチの小川令子は、
彼がほかに二人の女性を騙していたことをつきとめる。
だが、その鳥坂は死体となって発見された。
事務所メンバの新たなる局面。Xシリーズ最終話!


森博嗣のXシリーズ第6作にして最終巻です。
「イナイ×イナイ PEEKABOO」 (講談社文庫)
「キラレ×キラレ CUTTHROAT」 (講談社文庫)
「タカイ×タカイ CRUCIFIXION」 (講談社文庫)
「ムカシ×ムカシ REMINISCENCE」 (講談社文庫)
「サイタ×サイタ EXPLOSIVE」 (講談社文庫)
と、これまでの5作は文庫化されています。
森博嗣の作品はほかにも既に読んでいて、感想を書いていないものがいくつかあるのですが、今月読んだ3冊目のこの本を先に感想を書きます。
本当は「χの悲劇」 (講談社ノベルス)の感想を先に書かないといけないとは思うんですが...

ミステリ的には扱われているのは結婚詐欺と、その詐欺師が殺される、という事件です。
結婚詐欺のほうは、なんとなく、ほぅと思える感じで描かれていますが、いくら婚約者といえども、人の口座はこのご時世開設できないのではないでしょうか... 戸籍や住民票では、本人確認用の書類として不足ですし... このあたりの手続きがうるさくなる前に時代設定がされているようにも思えません。
このXシリーズは、非常に現実的に進められるシリーズなので、こういう不手際はあまり好ましくありませんね。
でも、それ以外の、信じ込ませる手口とかは、ナチュラルな感じです。
こういうの好きですね。

シリーズ最終巻だけあって、ミステリ的な部分よりも、登場人物たちの動向のほうが、シリーズ読者には楽しめましたね。
シリーズは終わってしまいましたが、小川令子、真鍋瞬一、永田絵里子、そして椙田泰男の今後が楽しみですね。
あと、やはり、森シリーズならでは、他のシリーズの登場人物とのつながりがさっと明かされるのがポイントですね。


いいなあ、と思ったHPがあったので、以下に勝手にリンクを張っています。
ただ、どちらも強烈にネタばれしまくっていますので、ご注意ください。
灯台杜と緑の少年
KOERU.JPIS  THE PRACTICE OF TRANSCEND ONESELF.


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黒いカーテン [海外の作家 あ行]


黒いカーテン (創元推理文庫)

黒いカーテン (創元推理文庫)

  • 作者: ウィリアム・アイリッシュ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1960/02/19
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
事故で昏倒したことがきっかけで、記憶喪失から回復したタウンゼンド。しかし、彼の中では三年半の歳月が空白になっていた。この年月、自分は何をしてきたのか?不安にかられる彼の前に現れた、瑪瑙(めのう)のような冷たい目をした謎の男。命の危険を感じ取った彼の、失われた過去をたどる闘いが始まった。追われる人間の孤独と寂寥を描かせては並ぶ者のない、サスペンスの名手の真骨頂。


今月(2017年9月)読んだ2冊目の本です。
創元推理文庫の今年の復刊フェアのうちの1冊です。
むかし子供向けのものを図書館で借りて読んで以来ではないかと思います。
当然(?)、サスペンスものだったことのみ記憶にあるだけで、話の中身はちっとも覚えていませんが...
カップリングが「暁の死線」 (創元推理文庫)で、どちらかというと「暁の死線」 のほうが好みに合った記憶ですが、この

「黒いカーテン」 も十分おもしろかったはず...
大人向けの普通の翻訳を読むのはこれが初めてです。

200ページくらいの短い作品ですが、非常にサスペンスフルで、今の視点から見ると手垢にまみれたような記憶喪失ものながら、すっきりしたストーリーがとても好もしいです。

主人公の記憶喪失中の3年間の間に起こった事件が鍵となるのですが、そこに使われているトリックが意外でした。
あ、意外といっても、意外なトリックが使われていたということではありません。
このトリックに比重があるわけではなく、かつ、見せ場にできるようなトリックではないし、ミステリで先例がいくつもあるトリックなので、とりたててあれこれ言うのもなんですが、アイリッシュがこのようなトリックを使っているということが意外でした。
アイリッシュの作品、実はそんなに読めていないので、あらためて読んでみると、いろいろと発見があるのかもしれませんね、個人的に。

主人公に都合のいい結末を迎えるところが現代の感覚からいうとゆるいのですが、そういう甘さのあるところが、ウィリアム・アイリッシュの魅力のように思えます。
細かいところを気にし始めると、いろいろとボロのおおい作品ですが、さっと読めて、主人公と一緒に一喜一憂はらはらできる、楽しい作品だと思いました。
ほかのアイリッシュ(=ウールリッチ)の作品もまた読んでみたいです。

<蛇足>
「新聞紙は、急湍(きゅうたん)のようにバラバラになって床に散った」(20ページ)
という表現が出てきます。
急湍って語、知りませんでした。
「流れの速い瀬。早瀬。急灘 (きゅうだん) 。」
らしいです。

原題:The Black Curtain
作者:William Irish
刊行:1941年
訳者:宇野利泰



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殺人は広告する [海外の作家 さ行]


殺人は広告する (創元推理文庫)

殺人は広告する (創元推理文庫)

  • 作者: ドロシー・L. セイヤーズ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
広告主が訪れる火曜日のピム広報社は賑わしい。特に厄介なのが金曜掲載の定期広告。こればかりは猛者揃いの文案部も鼻面を引き回される。変わり者の新人が入社してきたのは、その火曜日のことだった。前任者の不審死について穿鑿を始めた彼は社内を混乱の巷に導くが……。広告代理店の内実を闊達に描く本書は、真相に至るや見事な探偵小説へと変貌する。

前作「死体をどうぞ」(創元推理文庫)感想を書いたのが2013年10月なので4年ほど経ってしまっていますが、今月(2017年9月)最初に読んだ本です。8月の終わりごろから読みだして、ようやく、昨日読み終わりました。
読むのにずいぶん時間がかかりましたが、つまらなかったのではありません! むしろとてもおもしろかったです。
なんだか気分的に、このところ本を読む気になかなかならなくて、すごーく飛び飛びに読んだんですが、そのたびに混乱せずに世界に入り込めました。きちんと作りこまれているからこそ、だと思います。

引用したあらすじには「見事な探偵小説へと変貌」と書かれていますが、あまり昔ながらの本格ミステリといった感じはしませんでした。

このシリーズの楽しみの一つは、ピーター・ウィムジイ卿をはじめとする貴族階級の世界にどっぷり浸ることだと思いますが、今回は執事のバンターもハリエットも出てきません。
どうせすぐにわかることなので書いてしまいますが、広告代理店に潜入捜査(!)するという話なので、そのあたりは抑え目です。
「するとお兄さまも、世の労働者のひとりにおなりなのね」
「そうだよ。週にまるまる四ポンド稼いでいる。何とも不思議な感覚だね。自分で一文でも稼いだのは初めてだ。毎週、給料袋を受け取るたびにすなおに誇らしくなるよ」(110ページ)
なんて会話が交わされたりします。
宮仕えの庶民としては、少々馬鹿にされているような気にもなりますが、逆に高踏遊民である貴族から見たらこんな感じなのかもしれませんね。

で、潜入捜査なわけですが、これがなかなか乙なものです。
本格ミステリっぽくないと書きましたが、その分、まったりとしたサスペンス(変な表現ですが)を楽しめます。昔風の表現でいうと、通俗的なスリラー、といった感じでしょうか?
セイヤーズって、こういう作家だったんですねぇ。もっともっとガチガチの本格ミステリだけかなぁ、なんて勘違いしていました。

事件のほうは社内での転落死なわけですが(西村敦子さんによる表紙絵をご覧ください。ちょっと階段のイメージが読んでいる時とは違うんですが、しゃれています)、そこから拡がりを見せるところがポイント。
そういう展開に持っていくのか... いやいや、本格ミステリっぽくないぞ。
ネタばれになるので、伏字にしますが、麻薬販売組織ですか...
話の展開としてはかなり緊迫した状況になりそうなんですが、そしてそういう状況に確かになっているのですが、読むとそういう雰囲気になっていないところがすごい。

クリケットでウィムジイ卿の正体がばれそうになる、ってのもイカしてます。
クリケットかぁ...日本人にはまったく馴染みのないスポーツなので、延々試合の描写がされても、なんだかなぁ、というところですが、それでもシチュエーションが笑えそう(笑えます)。

最終的な着地を見ると、ウィムジイ卿が潜入したピム広報社の位置づけがちょっと期待外れではありましたが、セイヤーズの曲者ぶりを十分堪能できました。
解説で、若島正が
「セイヤーズの自評が影響しているのかどうか、脂がのりきった時期に書かれたにもかかわらず、『殺人は広告する』は従来からさほど評価が芳しくない。」
と書いていますが、正統派の本格ミステリを逸脱するような部分が評価を下げている理由なのかもしれませんね。
今となっては、むしろそのはみ出た部分のほうが楽しめるように思えました。

このあと、シリーズは
「ナイン・テイラーズ」 (創元推理文庫)
「学寮祭の夜」 (創元推理文庫)
「忙しい蜜月旅行」(ハヤカワ・ミステリ文庫)
の3冊になりました。
たまにしか手に取らないのですが、残り少なくなってきたセイヤーズの作品、これからも、ゆーっくり読んでいきます。


<蛇足1>
「最初から始め、最後にたどりつくまで続け、できればそこでとまってくれないか?(『不思議の国のアリス』より)」(111ページ)
これ、いろんなところで使われるフレーズですが(たとえば岡嶋二人「クラインの壺」)、原典は『不思議の国のアリス』だったんですね。ちゃんと意識していませんでした。
古典をはじめとする引用の多い作品には、こういうのを再発見する楽しみもありますね、レベルの低い発見で申し訳ないですが...

<蛇足2>
引用ついでに
「疑り深いトマス(『ヨハネ伝』二〇章二四~二九節)」(114ページ)
というのもありました。
ロバート・リーヴズ「疑り屋のトマス」 (ハヤカワ ポケット ミステリ)のタイトルはここからきていたのですね。たぶん解説や何かで触れられていたでしょうから、「疑り屋のトマス」 を読んだ当時認識していたとは思うんですが、すっかり忘れていて、ちょっと嬉しくなりました。

<蛇足3>
「ワトソンを五十人集めたような無能ぶりと熱意」(122ページ)
いや、いくらなんでもワトソンに気の毒な言いぶりでは...ウィムジイ卿...

<蛇足4>
「堤防街(エンバンクメント)まで歩き」(158ページ)
という文章が出てきますが、エンバンクメント、というのは今では(ひょっとしたら昔から?)地下鉄の駅名にもなっている地名です。
これ、「堤防街」と訳す必要はなかったのではないでしょうか?
たとえば「テンプル」も「寺院」とは訳さないでしょう?

<蛇足5>
謎解きにもすこーし絡むので、気をつけないといけないですが、これくらい大丈夫と思うので、書きます。気になる方は避けてください。
「パンチしろい」が、「マウントジョイ」の聞き間違いって、ありえますか!?(382ページ)
原語でどうなっているのかがわからないので、日本語訳でうんぬん言っても仕方ないかもしれませんが、あまりにも遠すぎませんか??
いや、文句を言うよりも、むしろ苦笑して楽しんでしまいましたが。

<蛇足6>
実は途中から、アガサ・クリスティーの某作品を読み返したくなって仕方がありませんでした。
その某作品は、子供のころに読んで、どうもぴんと来なかったのですが、この「殺人は広告する」を読んで、今読み返すと楽しめるような気がしてならないのです。


原題:Murder Must Advertise
作者:Dorothy L. Sayers
刊行:1933年
訳者:浅羽莢子




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ロセアンナ [海外の作家 さ行]


刑事マルティン・ベックロセアンナ (角川文庫)

刑事マルティン・ベックロセアンナ (角川文庫)

  • 作者: マイ・シューヴァル
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ボーレンスフルトの閘門で、全裸女性の絞殺死体が見つかった。身元不明の遺体には誰からの問い合わせもなく、事件は膠着状態に陥ったかに見えた時、アメリカの警察から一通の電報が届いた。「ソレハコッチノサガシテイルオンナダ」。ロセアンナ・マッグロー、27歳。この知らせをきっかけに、刑事マルティン・ベックは、ロセアンナと関係をもった男達についての証言を探ってゆくが――。警察小説の金字塔シリーズ・第一作。


今年4月に読んだ本、二冊目です。今更、ですみません。
マイ・シューヴァル ペール・ヴァールーという夫婦作家による、世界的に有名な警察小説のシリーズ第1作の新訳です。
新訳というか、もともと以前翻訳されていたのは、原語(スウェーデン語)を英語に翻訳したものを日本語にしたもの=重訳だったのですが、今回は原語(スウェーデン語)から日本語への直接の翻訳ですね。スウェーデン語、わかりませんが、直接訳されたもののほうがよさげですよね。

このシリーズ、代表作(といっていいと思います)の「笑う警官」 (角川文庫)は旧訳で読んでいますが(左のリンクは新訳版に貼っています)、「ロセアンナ」は初めて読みます。

身元不明死体で幕を開けますが、こういうの警察小説に多いですよね。
ルース・レンデルの「薔薇の殺意」 (角川文庫)の評で、瀬戸川猛資が触れていた通りでもあります。
本書は早めに身元が判明します。(76ページ)
そして、生前の被害者の様子が捜査されます。
時代背景として、フリーセックスがもてはやされた(?)というのがあって、性の自由と女性の自立がうんぬんかんぬんと訳者あとがきに書かれていますが、警察小説で、わりと長く被害者の性生活が語られるのが意外でした。
このあたりも斬新だったのでは?
この部分、直接的に事件の解明に役立つものではないように思いますが、その後真相が判明したときに鮮やかに蘇ってきます。
そのあと、大詰め。犯人をマルティン・ベックたちが罠にかけます。

こういう進み方、いまでは警察小説でおなじみのパターンですが、原書が出た1965年では目新しかったのかもしれません。その意味でも意義深い作品なのでしょうね。

シリーズが順次訳されていくようなので、楽しみに読み進んでいきます。

ヘニング・マンケルが献辞を寄せているのも、読みどころですね、この新訳版の。


<蛇足>
今回の翻訳はスウェーデン語からの翻訳で、「訳者あとがき」でも触れられていますが、タイトルが微妙に変わっています。
以前の翻訳は「ロゼアンナ」と濁音だったんですね。
それが今回は「ロセアンナ」
これは、
「スウェーデン語にはザジズゼゾの濁音がなく、サシスセソとなるので、まずはタイトルから言語に忠実に『ロセアンナ』と訳すことにした。地名と人名はすべてスウェーデン語の発音に準じた」(365ページ)
ということらしいのですが、これでよいのでしょうか?
ROSEANNA というのは、被害者の名前なんですね。あらすじにもありますが、アメリカ人の... 
アメリカ人の名前なら、スウェーデン風に「ロセアンナ」ではなく「ロゼアンナ」と読むべきじゃなかろうか、と。
マルティン・ベックたちは「ロセアンナ」と発音していたのでしょうから、それでいいんだ、ということもありえなくはないと思いますが、なんだか気になります。



原題:ROSEANNA
作者:Maj Sjowall & Per Wahloo
刊行:1965年
訳者:柳沢由実子




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風は青海を渡るのか? [日本の作家 森博嗣]


風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)

風は青海を渡るのか? The Wind Across Qinghai Lake? (講談社タイガ)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/06/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。
ハギリはヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地を再訪する。
ウォーカロン・メーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地89以外の遺跡の存在を知らされる。
小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。


Wシリーズの第3作です。
「気づき」という無神経な語をあらすじに使うのは勘弁してください、講談社さん。

さておき、前作「魔法の色を知っているか? What Color is the Magic?」 (講談社タイガ)で見つけた(?) 聖地に一ヶ月ほどで戻ってくるところからスタートです。

冒頭、ハギリとヴォッシュ教授が会話します。
真賀田四季(と思しき)存在について「矛盾を抱えてこその天才」という表現をとった後で、
「生命が、それだ。」「エントロピィ的に考えても、存在自体が矛盾ではないか、違うかね?」(20ページ)
この第3作は、スタートから思索に富んでいます。

54ページからの、ハギリとヴォッシュとツェリンとの会話なんか、もうすごくてクラクラします。
意識とは、生命とは、生きているとは...
ウォーカロンと人間の差異というのが、とりもなおさず、人間とは何か、という点を突きつけてくるので、このシリーズの中心課題ですね。
動きが少ない作品ですが、その分、考えるところが多いです。

またウォーカロンにも異常が発生することが明らかにされます。
「ウォーカロンは、全体でリンクしています。それは、メインのプログラムがすべての頭脳のインストールを司るからです。ある意味で、全体として一つの生体のようなものです。ウォーカロンの個体は、その大きな生物の一つの細胞にすぎません。これは、おそらく人間でも同じです。今やネットで世界中がリンクしていますからね。」
「人間よりも、思考回路のリンクが密接なのです。そのため、拒絶反応も生じやすい。また、生体内で異常な細胞が突然生じるような変異の発生率も高くなります。かつて人類を悩ませた癌と同じメカニズムです。それが、全体思考回路において起こる。そのために、一部のウォーカロンが異変を来す。具体的には、現実離れした妄想を抱くのです。夢を見るような現象のようです」(200ページ)
生殖機能を持つウォーカロン開発に携わっていて、で会社をやめた技術者(科学者?)が日本人で、タナカというのも興味深い設定ですし
「メーカが、逃げたウォーカロンとタナカさんを追わなかったのは、何故でしょう?」
「おそらく、良心だろう」「失敗の責任を取ったものと、むしろ好意的に捉えたのではないかな」(207ページ)
なんてやりとりも出てきます。

そして最後のほうで、ハギリは
「人間の思考の方がランダムで、他回路へ跳びやすい。
 その不規則な運動は、白昼夢に似ている。
 忘れることにも似ている。
 間違えるのも、勘違いも、似ているのだ。
 ぼんやりしてしまうのも……、同じ。
 ウォーカロンの人工頭脳は、それをしない。
 整然としすぎている。
 効率がよく、合理的すぎる。
 だが、もしかして、それは単に……。彼らが新しすぎるからなのではないか。
 古くならなければならない?
 あるいは……。
 歴史を持たなければならないのか?
 人間は、遺伝子によって結ばれた系列の中で、古くなったのだ。
 歴史を育んだのだ。
 我々の頭脳は、いわば腐りかけている。
 もう少し綺麗に言えば……、
 そう、熟成している。
 ということは……。
 今の識別システムによって、人間になりつつあるウォーカロンを判別できる。」(222ページ以降)と考え、
「気まぐれ。
 人間にしかないものだ。
 もしかして、頭脳全体が、その回路の異変を拒否するのではないか。
 そうか。
 拒絶反応か。
 ハードではなく、ソフト的な拒絶
 それは、明らかに、信号からなる論理の世界における拒絶だ」
「ウォーカロンの頭脳には、その遊びがない。」
「ウォーカロンが暴走するのは、それかもしれない。」
と流れて行って、新しい研究に取り掛かります。

百十三年間眠っていたコンピュータも起動しますし、今後の展開がますます楽しみになりました。


英語タイトルと章題も記録しておきます。
The Wind Across Qinghai Lake?
第1章 月下の人々 Sublunary people
第2章 月下の営み Sublunary working
第3章 月下の理智 Sublunary intellect
第4章 月下の眠り Sublunary sleep


<蛇足>
「まるで、空中に向かって塗装のスプレィを吹くような感じだ。どこにも色がつかないうえ、塗料が無駄になる。」(40ページ)
ウグイとの会話を受けて、ハギリが思うのですが、そして確かに二人の会話はそんな感じではあるのですが、「ウグイは空気なのか、と思ってしまった」と続けるのはウグイがかわいそうです。


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マジシャンは騙りを破る [海外の作家 か行]


マジシャンは騙りを破る (創元推理文庫)

マジシャンは騙りを破る (創元推理文庫)

  • 作者: ジョン・ガスパード
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/12/21
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
ミネソタ州ミネアポリスとセントポール。ツインシティと呼ばれるこのあたりの川沿いの洞窟で、今夜、死後の世界と交信できるという男のショーがテレビで生中継される。マジシャンのぼくの役どころは、そのインチキを暴くこと。それがうまくいった翌日、ぼくは警察に連れていかれる。件の男が殺され、ぼくが容疑者のひとりだというのだ……。ライトなミステリ・シリーズ第一弾。


今年4月に読んだ本、一冊目です。
愉快な新シリーズの開幕です。
コージー・ミステリとはジャンルがちょっと違いますが、読み心地のよいミステリです。
まず、主人公であるぼく・イーライ・マークスをはじめとするキャラクターがいいですね。
インチキ超能力者対マジシャンという構図は常道というか王道というか、まあよくある設定なんですが、この対決シーンが終わるころにはすっかりイーライ・マークスのファンになっていました。
子供の前でマジックを披露するエピソードもかなりいい感じです。
なにより余裕の感じられる語り口がよいですね。

また、インチキ超能力者対マジシャンということを扱っていても、一方で超能力とか超常現象そのものを否定しきっていないのも興味深い。
結構あたらしい試みなのではないかな、と感じました。
いろんな登場人物たち、シリーズ次巻以降にもぜひ出てきてほしいですね。

ミステリ的には、謎解きが行き当たりばったりで、お世辞にもうまくいっているとは言えないと思いますが、意外な犯人を演出しようとしている点は買えますし、超能力者やマジシャンのあふれた世界で、普通のといいますか、現実的なといいますか、堅実な動機(変な表現ですが)を提示してくれたのもなかなかセンスあるなぁ、と感じました。

あらすじでは、ライトなミステリと書かれていますが、古い表現だと軽本格というのか、こういう手触りの作品、意外とすくないと思いますので、ぜひ続けていってほしいと思います。読みます!

原題は“The Ambitious Card”
67ページ以降、主人公が演じて見せてくれますが、マジックのネタ(技?)の名前です。


原題:The Ambitious Card
作者:John Gaspard
刊行:2012年
訳者:法村里絵




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ジーサンズ はじめての強盗 [映画]

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映画のHPからあらすじを引用します。

ジョー(マイケル・ケイン)は、離婚して戻ってきた娘とその孫と一緒に暮らしながら、親友のウィリー(モーガン・フリーマン)とアル(アラン・アーキン)とブルックリンの公園でローンボウリングをして過ごすのが日課だ。3人は40年間ウェクスラー社で働き、定年後は悠々自適な年金生活を送るはず……だったが、会社の所有者が変わったことで、彼らの年金は消えてしまった!!
さらにジョーは、住宅ローンが一夜にして3倍になり、家を差し押さえられる危機に直面。銀行へ相談に行くことに。しかし、担当の銀行員はまったく聞く耳を持たず、怒りが爆発! その瞬間、マスクを着けた3人組の強盗が銀行に押し入り、客たちを床に伏せさせ、次々と現金を奪っていく。ジョーのところにも首にタトゥーのある強盗の1人がやって来て財布を差し出すが 「年寄りを敬うのは社会の義務だ」と言って、なぜか受け取らずに去って行った。強盗たちが銀行にいた時間はわずか数分間、しかも誰も傷つけることなく、警察にも決して捕まらなかった!
消えた年金、問題のある住宅ローン、これからの人生、自分たちの置かれた状況を何とかしなければならないと考えた結果、ジョーはウィリーとアルに“あの3人”のように銀行強盗をしないか? と持ちかける。まずは自分たちの強盗としての能力を試すため、いつも買い物をしている食料品店で万引きを試みるが……防犯カメラにバッチリ記録され、警備員に追いかけられ、あっけなく捕まった挙げ句、若い店長に説教されてしまう。
それでも諦めきれない3人は、盗みのノウハウを教えてくれるコーチを探すことにする。あるツテを使って、動物保護施設の運営と泥棒、2つの顔を持つ“ジーザス”という男を紹介してもらい、彼の指導のもと3人の仲間たちは銀行強盗になるための特訓をはじめる。
そんななか、ウィリーは腎臓が悪く移植が必要なことを誰にも相談できず、アルは自分に好意を持っている女性との関係に戸惑いながらも、ついに! 運命の“決行”の日がやってきて──。


いつものシネマ・トゥデイから見どころを引用します。

見どころ:モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキンというオスカー俳優たちが一堂に会して放つコメディー。ひたむきに働き権利を得た年金を打ち切られた高齢の男性3人が、銀行強盗に及ぶ姿を生き生きと描写する。メガホンを取るのは『WISH I WAS HERE/僕らのいる場所』で監督と脚本と主演をこなしたザック・ブラフ。主人公たちのぶっ飛んだ行動が見どころ。

連休最後に見た映画は、「ジーサンズ はじめての強盗」
いやあ、いいですねぇ、この映画。
馬鹿馬鹿しいことを(馬鹿馬鹿しいことを承知の上で)まじめにやって、ちゃんと馬鹿馬鹿しくなっています! (褒めています。念のため)
馬鹿馬鹿しいことをふざけてやるケースが多いのですが、それでは見ている方は白けてしまったりしますよね。

あらすじからもおわかりかと思いますが、おじいちゃんたちが銀行強盗をするというのですから、そりゃあ、もう、突っ込みどころ満載ですけど、いいんです、こういう映画はこれで。
それを、ベテラン・オスカー俳優が真剣にやっている。素敵です。

ジーサンたちが、強盗のトレーニング(?) をするところもおかしかったですし(まずもって、銀行強盗の練習にスーパーで万引きって...)、用意するアリバイも傑作です。
このアリバイ、すぐに破られそうな気もしますが、一方で、ゆるーいアリバイであるからこそ、却って崩しにくいような気もします。
刑事が指摘するミスも、簡単に切り抜けられる(言い抜けられる)ように思えました。

邦題の「ジーサンズ」って、ふざけた語ですが、いい感じです。
原題の“GOING IN STYLE” 「かっこよくいこう」くらいの意味でしょうか? 「流行に乗ろう」ではなさそうですし。
これもなかなかいいタイトルと思いますが、「ジーサンズ」お気に入りです。
実はタイトルを見て、観ようと思ったくらいです。

それにしても、刑事役のマット・ディロン、久しぶりに見た気がします。

<蛇足>
引用しておいていうのもなんですが、HPのあらすじ、あちこち変ですね。
たとえば「住宅ローンが一夜にして3倍になり」というのには失笑。
返済額、月々の返済負担が3倍になるだけで、残高が3倍になるわけないですね。
書いていておかしいと思わなかったんでしょうか。
それにしても、年金が減額どころか打ち切りになる、というのは大変ですね。日本のような公的年金ではなく、企業年金であれば企業の経営状態によって当然起こりうることですが、働いてきた身からしたらたまりませんね。


原題:GOING IN STYLE
製作年:2017年
製作国:アメリカ



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ハクソー・リッジ [映画]

ハクソー・リッジ T0021638p.jpg


前回の「ライフ」に続いて映画です。
映画のHPからあらすじを引用します。長いけど。

ヴァージニア州の豊かな緑に囲まれた町で生まれ育ったデズモンド・ドスは、元気に野山を駆け回る少年だったが、家族に問題を抱えていた。父親のトム(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、兵士として戦った第1次世界大戦で心に傷を負い、酒におぼれ、母バーサ(レイチェル・グリフィス)とのケンカがたえない日々を送っていた。
 月日は流れ、成長したデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)は、看護師のドロシー・シュッテ(テリーサ・パーマー)と恋におち、心躍る時を過ごしていた。だが、第2次世界大戦が日に日に激化し、デズモンドの弟も周りの友人たちも次々と出征する。そんな中、子供時代の苦い経験から、「汝、殺すことなかれ」という教えを大切にしてきたデズモンドは、「衛生兵であれば自分も国に尽くすことができる」と陸軍に志願する。
 グローヴァー大尉(サム・ワーシントン)の部隊に配属され、ジャクソン基地で上官のハウエル軍曹(ヴィンス・ヴォーン)から厳しい訓練を受けるデズモンド。体力には自信があり、戦場に見立てた泥道を這いずり回り、全速力で障害物によじ登るのは何の苦もなかった。だが、狙撃の訓練が始まった時、デズモンドは静かにしかし断固として銃に触れることを拒絶する。
 軍服や軍務には何の問題もなく「人を殺せないだけです」と主張するデズモンドは、「戦争は人を殺すことだ」と呆れるグローヴァー大尉から、命令に従えないのなら、除隊しろと宣告される。その日から、上官と兵士たちの嫌がらせが始まるが、デズモンドの決意は微塵も揺るがなかった。
 しかし、出征前に約束したドロシーとの結婚式の日、デズモンドはライフルの訓練を終えないと休暇は許可できないと言われ、命令拒否として軍法会議にかけられることになる。面会に訪れたドロシーに、銃に触れないのはプライドが邪魔しているからだと指摘されたデズモンドは、その“プライド”こそが大切だと気付く。「信念を曲げたら生きていけない」というデズモンドの深い想いに心を打たれたドロシーは、「何があろうと、あなたを愛し続けるわ」と励ますのだった。「皆は殺すが、僕は助けたい」─軍法会議で堂々と宣言するデズモンド。ところが、意外な人物の尽力で、デズモンドの主張は認められる。
 1945年5月、沖縄。グローヴァー大尉に率いられて、「ハクソー・リッジ」に到着した第77師団のデズモンドとスミティ(ルーク・ブレイシー)ら兵士たち。先発部隊が6回登って6回撃退された末に壊滅した激戦地だ。150mの絶壁を登ると、そこには百戦錬磨の軍曹さえ見たことのない異界が広がっていた。前進した瞬間、四方八方からの攻撃で、秒速で倒れていく兵士たち。他の衛生兵なら見捨てるほどの重傷の兵士たちの元へ駆け寄り、「俺が家に帰してやる」と声をかけ、応急処置を施し、肩に担いで降り注ぐ銃弾の中を走り抜けるデズモンド。ひるむことなく何度でも、戦場に散らばった命を拾い続けるデズモンドに、感嘆の目を向け始める兵士たち。しかし、武器を持たないデズモンドに、さらなる過酷な戦いが待ち受けていた─。

いつものシネマ・トゥデイからは、見どころだけ引用します。

見どころ:俳優として数々の話題作に出演し、監督としては『ブレイブハート』でオスカーも手にしたメル・ギブソンがメガホンを取って放つ感動作。第2次世界大戦中に銃を持たずに戦地入りし、多くの負傷した兵士を救った実在の人物をモデルに奇跡の逸話を描く。主人公を『沈黙 −サイレンス−』などのアンドリュー・ガーフィールドが熱演。自身の信念に基づき、勇気ある行動をとった兵士の物語が胸を打つ。


あらすじを見ると、辛気臭そうな映画のように思うかもしれませんが、全然そんなことないですよ。
田舎の平和な生活と恋の芽生え、兵隊の訓練、軍法会議、そして戦場での戦闘シーン。
場面がテンポよく切り替わって、そのたびに映画のトーンも変わって、退屈なんかまったくしません。
ことに戦闘シーンの迫力というか、凄惨さはすごいです。
主人公デズモンドは衛生兵なので、救助というか救護を旨とするわけですが、戦場での過酷さが本当に怖くなります。
そんな状況で、よく救護・救助なんかできたなぁ、と。
戦争映画的なもの、いくつか見てますが、ダントツのすさまじさです。
いままでは、「プライベート・ライアン」の戦闘シーンがすごいと思っていましたが、かるーく凌駕しています。時間も長い。
銃とか手榴弾とか近代的兵器があったとして、行きつくところが白兵戦。怖いです。
戦艦(?)からの砲撃だったら、すごいと思ってもあまり見ていて怖くはないんですけれど。

で、その舞台となる戦場がタイトルのハクソー・リッジで、その意味も、これまた映画のHPから引用します。
〈ハクソー・リッジとは…〉第2次世界大戦の激戦地・沖縄の前田高地のこと。多くの死者を出した壮絶な戦いの場として知られている。ハクソーとはのこぎりで、リッジとは崖の意味。150メートルの断崖絶壁の崖が、のこぎりのように険しくなっていたことから、最大の苦戦を強いられたアメリカ軍が、“ハクソー・リッジ”と呼んだ。

沖縄戦なんですね。ちょっと日本人的には複雑な気分になりますが。
日本軍の抵抗の激しさが、戦闘の凄惨さの大きな要因だったのでしょうね、やはり。

唯一、文句をつけたくなったのが、偉い人っぽい日本兵の切腹シーン。このシーン、必要でしたでしょうか?

この映画に関するHPで素敵なのを見つけたのでリンクを張っておきます(勝手リンクです)。
メル・ギブソンの話とか、戦闘シーンのすごさとか、印象的です。
「町山智浩 メル・ギブソン監督 沖縄戦映画『ハクソー・リッジ』を語る」
そりゃ、町山さんのコメントだったらおもしろいに決まってますけどね...

3連休、毎日映画を観たので、このあともう一本感想を書きます。


原題:HACKSAW RIDGE
製作年:2016年
製作国:オーストラリア/アメリカ





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ライフ [映画]

ライフ T0021774p.jpg


いつものシネマ・トゥデイから引用します。

見どころ:『デンジャラス・ラン』などのダニエル・エスピノーサがメガホンを取ったSFスリラー。国際宇宙ステーションを舞台に、火星で発見された生命体の脅威にさらされた宇宙飛行士たちの運命を追う。『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホール、エスピノーサ監督作『デンジャラス・ラン』にも出演したライアン・レイノルズ、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』などのレベッカ・ファーガソンらが出演。宇宙船内での手に汗握る展開に息をのむ。

あらすじ:世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結し、火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査することに。まさに神秘としかいいようのない地球外生命体の生態に驚がくする彼らだったが、細胞は次第に進化と成長を遂げ高い知能を誇るようになる。やがて地球外生命体に翻弄(ほんろう)され、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始め、ついには命を落とす者も出る。助けを呼べない宇宙で追い詰められた彼らは……。


久しぶりの映画です。今年に入って初めてです。
引用したあらすじからもおわかりいただけるように、要するに「エイリアン」なんですよね。
結構な豪華キャストで、真田広之も出ていて、見どころなんだと思うんですが、既視感にあふれていてあまり感心できませんでした。

火星から得た生命体の造形は新しいとは思うんです。
火星の土のサンプルから見つかった、単細胞の生命体。
それが大きくなり、なんだかかわいらしい感じに。透明なヒトデみたい。あるいはクリオネ?
「カルヴィン」と名前を付けるあたりは、なんだか楽しかったんですね。
ところが、電気刺激を与えたことで狂暴化、そしてどんどん大きくなる。
この成長の仕組みが、あまりちゃんと説明されないし、見せてもくれないので、今一つ伝わってきません。
なにより、水が必要? 酸素が必要? このあたりが場面場面できちっと納得できるようにはなっていないようです。火星に近い環境にするために酸素の比率を落としていたかと思うと、生命体が狙う水分はどこにあるか、なんて会話をしていたり。さらには生命体のいる区画の酸素をなくしてしまえば、なんて言ってみたり。どっちなの??
国際宇宙ステーションにいる科学者たちともあろう面々がたいして考えもしないというのはちょっと...もともと火星にいた、という感じもあまりしない。
また、知能もあるような感じになっているのですが、知能獲得していく様子も描かれないし、説得力に乏しい。
生存していくためだけにしては、知能の獲得がご都合主義です。ただただ、人間を襲うのに都合よく知能を獲得していくのでは、映画として残念です。

エンディングも、想定の範囲内。
こういうオチにするんじゃないかなぁ、と思っていたらその通りになりました。
想定通りではありましたが、むりやりなオチなので、唐突感があります。自然にそうなっていない。
ネタバレ覚悟で書いてしまいますと、脱出用のポッドの行く先を手動で操作することにしたのに結局...ってことは、そういう操作をしたってことですよねぇ。でも、人間がそういう操作をするはずがないので、カルヴィンがやったってことになりますけど、そんな操作できる知能・知識はどうやって?
カルヴィンは襲った人間の知識・知能を獲得するってわけでもなさそうなんですよね。
そういう点も脚本に盛り込んでおいてほしかったですね。

とまあ、あげつらいましたが、そんなに嫌いな映画ではなかったですね。
突っ込みどころは満載ながら、楽しんでしまいました。


<蛇足>
冒頭に掲げたポスターなんですが、絵は左から、ライアン・レイノルズ、ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソンなのに、文字は、ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファーガソン、ライアン・レイノルズの順なんですね。変なの。


原題:LIFE
製作年:2017年
製作国:アメリカ


おもしろかった・興味深かった感想のブログに勝手にリンクを張っています。
人生半降りブログ 映画『ライフ(2017)』ネタバレ感想 80億人のバカを救う話?
TETSUGAKUMANのブログ 映画「ライフ」感想とネタバレ

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2017年7月になって [折々の報告]

2017年も7月になりました。
早いもんですねぇ。もう今年も半分が過ぎました。
久しぶりにアクセスいただいた順位を調べてみました。

順位を書いてあるところのタイトルをクリックするとブログのページへ、ついている書影やそこについている書名をクリックすると amazon.co.jp の商品ページへ飛びます。

1. 生存者ゼロ (宝島社文庫) 安生正

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

生存者ゼロ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 安生 正
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/02/06
  • メディア: 文庫


2. かばん屋の相続 (文春文庫) 池井戸潤

かばん屋の相続 (文春文庫)

かばん屋の相続 (文春文庫)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



3. 魔性の馬 (小学館) ジョセフィン・テイ

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

魔性の馬 (クラシック・クライム・コレクション)

  • 作者: ジョセフィン テイ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 単行本


4. QJKJQ (講談社)佐藤究

QJKJQ

QJKJQ

  • 作者: 佐藤 究
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/08/09
  • メディア: 単行本


5. 生きてるうちに、さよならを (集英社文庫) 吉村達也

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

生きてるうちに、さよならを (集英社文庫)

  • 作者: 吉村 達也
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: 文庫


6. 週刊文春2013ミステリーベスト10

7. モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫) 奥泉光

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

  • 作者: 奥泉 光
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 文庫



8. 体育館の殺人 (創元推理文庫) 青崎有吾

体育館の殺人 (創元推理文庫)

体育館の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: 青崎 有吾
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/03/12
  • メディア: 文庫


9.スクールボーイ閣下 (ハヤカワ文庫NV) ジョン・ル・カレ


スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)
スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/01/31
  • メディア: 文庫



10. 王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫) 篠田真由美

王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫)

王国は星空の下 北斗学園七不思議1 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 篠田 真由美
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: 文庫




1位の「生存者ゼロ」はすごいです。ほかとは圧倒的にアクセス数が違います。
それまでずっと1位だった「かばん屋の相続」のダブルスコアです。

ちなみに、いちばんたくさんnice!をいただいたのは、
雲雀 (文春文庫)佐藤亜紀

雲雀 (文春文庫)

雲雀 (文春文庫)

  • 作者: 佐藤 亜紀
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫

でした。

いつもありがとうございます!
ずいぶん更新が滞っておりますが、これからもよろしくお願いします。





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