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道絶えずば、また [日本の作家 ま行]


道絶えずば、また (集英社文庫)

道絶えずば、また (集英社文庫)

  • 作者: 松井 今朝子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/07/20
  • メディア: 文庫


<裏表紙あらすじ>
江戸中村座。立女形三代目荻野沢之丞が、引退を決めて臨んだ舞台で、奈落へ落ちて死んだ。大道具方の甚兵衛が疑われたが、後日首を吊った姿で見つかる。次に沢之丞の次男・宇源次が、跡目相続がらみで怪しまれた。探索にあたる北町奉行所同心・薗部は、水死体であがった大工の筋から、大奥を巻き込んでの事件の繋がりに気づくのだが…。多彩な生き様のなかに芸の理を説く長編時代ミステリー。


松井今朝子の作品を読むのは、直木賞受賞作「吉原手引草」 (幻冬舎文庫)(ブログの感想ページへのリンクはこちら)以来で、8年ぶりですか...
この「道絶えずば、また」 (集英社文庫)は、
「非道、行ずべからず」 (集英社文庫)
「家、家にあらず」 (集英社文庫)
に続く「風姿花伝」三部作を締めくくる作品です。

タイトルの「道絶えずば、また」は、
「たとえ人から見捨てられても、けっして諦めずにひとつの道をずっと歩み続けていれば、かならずやまた浮かびあがる時節もあろうってことさ。」(130ページ)
と作品中でも説明されています。

ずいぶん久しぶりにシリーズを読んだので、前の2作のこと、すっかり忘れてしまっていました。それでも、十分楽しめましたが、続けて読んだほうがもっともっと作品の世界を楽しめたでしょう。ちょっともったいないことをしました。

名跡を継ぐ、というのは大変だな、と感じました。
冒頭死んでしまう荻野沢之丞には子供が二人。長男市之助は実子ながら、次男宇源次は不義の子で血はつながっていない。芸としては宇源次の方が立つので、生前名跡は宇源次に継がせると言っていたが...
事件が相次ぎ、芝居小屋を離れた事件・謎も出て来ますが、物語の根底にずっとこの名跡がどうなるのか、の興味が流れています。
ラストの市之助と宇源次の会話が強く印象に残っています。

芝居の世界、歌舞伎の世界に目をとられていると、それ以外の世界での事件(?) が立ち上がってきます。
こちらは宇源次が逃げる(?) 谷中の感王寺。将軍のご代参があるほどの名刹。
ここでの事件(?) のなりゆきも、かなり趣向が凝らされています。

芝居、寺社の世界に対する探偵役は、北町奉行所の薗部。シリーズキャラクターですが、おもしろい設定の人物です。妻や義父笹岡平左衛門とのつながりがキーでしょうか。
義父なので違う設定なのですが、どことなくTVの必殺シリーズを連想してしまいました。
おもしろいといえば、宇源次の恋人(と現代の言葉で言ってしまうと違和感がありますね。なんというのがよいのでしょうか? 女房でもないし。いい仲の、くらいにしておくのがいいのかもしれません)実乃とその母親富美弥も印象的です。

松井今朝子のほかの作品も読んでみようかなぁ、と思わせてくれるシリーズでした。


<蛇足>
「これはまたずっけりしたいい方で、勘三郎はただただ苦笑するしかない。」(118ページ)
「善兵衛はずっけりいった。」(198ページ)
という表現がでてきます。「ずっけり」というのがわかりませんでした。
調べると「相手の気持ちなど無視して、無遠慮に物を言い切るさま。ずけずけ。」ということのようです。








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